「DXの推進はしていきたいけど予算的に厳しい。」
当記事をお読みの方は上記でお悩みではないでしょうか。当記事ではDXに利用できる助成金や補助金について解説します。お読みいただければ自社が利用できる助成金や補助金を理解できます。ぜひ参考にしていただき、自社のDX推進のために申請に進んでください。
DXの概要と必要性
まずはDXについておさらいしておきましょう。DX(デジタルトランスフォーメーション)とは「企業がビジネス環境の変化に対応するためにデジタル技術を活用して、業務や組織、プロセス、企業文化などを変革し自社の競争力を高めること」です。
近年は業界や規模を問わず、全ての企業に対してDXが推進されるようになりました。背景として以下があります。
- 日本企業の競争力の低下
- 少子高齢化による労働人口の減少
日本企業は競争力が低下しているといえる状況です。スイスにある国際経営開発研究所によると、世界競争力ランキング2023において日本は35位でした。過去最低の水準であり、日本企業の競争力が弱まっていることに他なりません。
また日本は少子高齢化によって労働人口の減少が今後も続きます。歯止めをかける方法は少ないため、別の労働力を確保する必要が出てきました。
DXについて別の記事でも解説していますのであわせてご覧ください。
DXの定義とは?重要視される5つの理由や進め方・成功事例を紹介
DX推進にはコストがかかる
DX推進が求められるようになった背景は先述したとおりです。しかし「ではDX推進を」と簡単に進められるものではありません。DX推進には膨大なコストがかかるためです。
例えば以下のようなコストがあります。
- ツールやシステムの導入コスト
- 導入後の習熟にかかるコスト
DX推進=ITツールやシステムの導入、ではありませんが導入が必要となるケースが大半でしょう。よってツールの購入や契約に費用を必要とします。またツールの選定や、課題の洗い出し、実際の導入作業など、購入費用以外のコストも必要です。
加えて導入後の習熟にもコストがかかります。ツール導入後に、すぐに成果が現れるわけではありません。ツールに習熟し、使いこなせるようになって、ようやく成果が見え始めます。よって辛抱強く耐える時間も必要となるでしょう。
上記以外にも、現場から反発の声が上がる可能性があります。「今のままでいいじゃないか。導入よりも給料アップにお金を使って欲しい。」こんな声も上がるでしょう。従業員に納得してもらえるよう、説明責任を果たす際にも人的コストが必要です。
DX助成金・補助金の全体概要
DX推進には多くのコストがかかることを解説しました。しかし、コストがかかるからといってDX推進に取り組まないわけにもいきません。そこでコストの負担を軽減できるようDX推進には助成金や補助金が用意されています。
DX助成金・補助金の目的
DX助成金や補助金の目的はその名の通り、企業がDX推進に活用できるお金を支援することです。
企業がDX推進をためらう理由には、やはりお金の問題が大きいです。ITシステムやツールの導入にかかる費用が高額なことはいうまでもありません。加えて実際に導入して効果が出なかったときのことを考えると手を出せない、という意見もあるでしょう。
各企業のDX推進へのためらいを軽減するために、各自治体や団体がDX助成金や補助金でサポートをしています。各企業がDX推進に踏み切りやすくなることが助成金や補助金の役割です。
助成金と補助金の違い
助成金と補助金は似て非なる言葉です。どちらも返済の必要はなく、もらえるお金です。しかし、若干意味が異なりますので、整理しておきましょう。
助成金は、基準を満たしていればほぼ確実に受け取れるお金です。審査などもほとんどなく、申請期間が長期にわたっているため、多くの対象者が受け取れる特徴があります。「もらえるものはもらう」スタンスで受け取るとよいでしょう。
一方で補助金は予算や期間が限られており、助成金に比べると受け取れる確率が低いお金です。助成金と比べると基準も厳しいといえます。また予算に限りがあることから、基準を満たしていても受け取れるとは限りません。基準を満たしている対象者間で優先度をつけられることになります。
よって予算を立てる時に補助金の場合はもらえない可能性も頭に入れておく必要があります。
政府機関によるDX補助金・助成金
政府機関によるDX補助金・助成金の例として以下があります。
- ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金
- 人材開発支援助成金
- 人材確保等支援助成金
- 事業再構築補助金
- 成長型中小企業等研究開発支援事業(Go-Tech事業)
ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金
ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金は中小企業や小規模事業者が利用できる補助金です。目的として、今後の政策や制度の変更に伴う設備投資を支援します。例としてインボイスや電子帳簿保存、働き方改革や賃上げ、サイバーセキュリティ対策などです。
補助金の審査を申し込むためには主に以下の条件を満たす必要があります。
- 大企業ではない水準の人数、資本金(具体的な数字は公式サイトを参照)
- 今後の計画的な賃上げを明記した事業計画
また計画通りの賃上げをできないと、途中で補助金の返還となる可能性もありますので、注意が必要です。
補助金はDXに特化したものではありません。しかし、今後の政策や制度変更にはITツールが不可欠となっていくことが考えられます。当補助金を社内業務のDXに活用しましょう。
人材開発支援助成金
人材開発支援助成金は、中小企業に対して、職務に関連した専門的な知識やスキルを習得させるための訓練経費や訓練期間中の賃金の一部などを助成する制度です。厚生労働省が提供しており、助成を受けるためには訓練計画を提出する必要があります。
助成金には7つのコースが用意されており、それぞれで条件や金額が異なります。また受けるためには支援を受けた結果、生産性の向上が認められる必要がある点も特徴です。加えて賃上げを実現すると助成金額がアップします。
助成金はDX推進に特化したものではありません。しかし、社内でDXを進めるためには従業員がITリテラシーを高める必要があり、そういった用途への支援が可能です。ぜひ条件を満たしている場合には申請しましょう。
人材確保等支援助成金(テレワークコース)
人材確保等支援助成金は良質なテレワーク制度を導入、実施して人材確保や雇用管理改善を支援する助成金です。厚生労働省が提供しており、中小企業が対象となります。
補助金を利用することでテレワークを実施できるよう、テレワーク用端末のレンタルやリース費用の支援を受けられます。DXを進める背景の1つとして働き方改革があります。働き方改革によって、勤務場所を問わずに勤務できることで、社員のワークライフバランスや、企業の事業安定性の強化が可能です。また当助成金も、賃上げにつながれば助成金額のアップを受けられます。
働き方改革によって離職率が下がることで、企業の事業は安定しやすくなります。ぜひ当助成金を利用して、働き方改革を実現しましょう。
参考:「人材確保等支援助成金(テレワークコース)」(厚生労働省)
事業再構築補助金
事業再構築補助金は、ウィズコロナ時代の経済社会の変化に対応するために中小企業などの事業再構築を支援する補助金です。
新型コロナウイルスによって社会は大きく変化しました。中でも中小企業は新分野展開、業種転換、業態転換など、思い切った事業再構築を実行する必要性が高まったでしょう。そういった中小企業に対して支援をする補助金です。助成金額は企業の規模や、再構築に取り組む事業によって異なります。
補助金はDXに特化したものではありません。しかし、事業再構築に向け、技術費や人材育成費、システム利用費などが必要となれば補助金の利用が可能です。ぜひウィズコロナ時代の新たな局面のチャレンジに踏み出しましょう。
参考:事業再構築補助金
成長型中小企業等研究開発支援事業(Go-Tech事業)
成長型中小企業等研究開発支援事業(Go-Tech事業)は、ものづくりに取り組む中小企業を支援するための事業です。当事業は、経済産業省の関東経済産業局によって営まれています。
ものづくり中小企業の成長や製品の高度化によって、日本経済の発展に貢献します。そのためには研究や開発に費用が必要です。当事業は中小企業が安心して研究開発に取り組めるような支援により、日本全体のものづくり発展に貢献します。
当事業が指すものづくりとは、情報産業や計測業、バイオテクノロジーなどが挙げられます。審査が通れば、自社の研究開発に利用できる補助金をもらえるため、自社の発展のためにも日本の産業発展のためにもぜひ申し込みましょう。
参考:「成長型中小企業等研究開発支援事業(Go-Tech事業)」(関東経済産業局)
地方自治体によるDX補助金・助成金
地方自治体によるDXの補助金や助成金もあります。例として以下があります。
- 東京都|DXリスキリング助成金
- 宮城県|宮城県中小企業等デジタル化支援事業
- 北海道|函館市DX人材育成研修補助金
- 大阪府|意欲ある事業者経営 技術支援補助金
- 福岡県|福岡県中小企業生産性向上デジタル支援補助金
- 岩手県|沿岸地域基幹産業人材確保支援事業費補助金
東京都|DXリスキリング助成金
東京都のDXリスキリング助成金は、都内中小企業が従業員に対しDX関連の職業訓練を受けさせる際の経費を補助する助成金です。助成を受けられるのは都内にあり、従業員数や資本金の条件を満たしている企業となります。また国や別の自治体から助成を受けていない訓練が対象です。
助成金の交付対象となる例として以下の訓練があります。
- マネジメント講座
- 情報セキュリティ対策講座
- ExcelマクロVBA入門講座
当補助金は令和5年4月1日から令和6年8月31日までに受けた訓練に対して交付されますが、複数回交付を受けることも可能です。従業員が社内のDX推進に貢献できるよう、ITリテラシー向上に向けて講座受講を奨励しましょう。
参考:東京しごと財団
宮城県|宮城県中小企業等デジタル化支援事業
宮城県中小企業等デジタル化支援事業は、県内の中小企業や小規模事業に対してデジタル化に向けた相談や、アドバイザー派遣、設備導入の補助をする事業です。
当事業はDXの支援をする補助金だけではなく、相談対応をしていることが特徴です。従来、DXに本腰を入れて取り組んでこなかった企業は「何をすればよいのかわからなかったから放置していた」というケースもあるでしょう。そういった企業のために、相談に乗って着手すべきことを明確にする支援となります。
当事業のように補助金の支援だけでなく、相談を受けることで何をすべきか明確になり、DXに踏み出しやすくなる企業もあるでしょう。補助金を受けられない場合でも、相談をしてみることで糸口をつかめる可能性があります。ぜひ相談してみましょう。
北海道|函館市DX人材育成研修補助金
北海道函館市のDX人材育成研修補助金は、函館市内の中小企業や小規模事業者の従業員が研修を受講する場合に受けられる補助金です。補助金を受け取れるのは函館市内にあり、従業員数や資本金の条件を満たしている企業となります。
補助金を受けるためには研修実施日までに提出する交付申請書や、受講完了後の実績報告書を提出する必要があります。
また受講する講座にも条件がありますので、注意が必要です。条件は受講案内や受講料などが一般公開されていることや、受講時間の合計が6時間以上であることなどがあります。
補助対象となる経費には受講費用のみならず、教材費や交通費、宿泊費なども含まれます。補助金のように対象範囲が広い補助金もありますので、よく確認した上で、利用できる事業者は利用しましょう。
参考:函館市
大阪府|意欲ある事業者経営 技術支援補助金
大阪府八尾市の意欲ある事業者経営技術支援補助金は、市内の中小企業に対して、新製品の技術開発などにかかる費用を支援してもらえる補助金です。補助金を受けられるのは八尾市内で6ヶ月以上同一事業を営んでいる中小企業となります。
当補助金は区分が2つに分けられています。
- 区分1:製品開発、品質向上、環境貢献など
- 区分2:新分野進出、技術革新、IT化やDX推進など
よってDXの補助金として区分2が対象です。両区分の申請をすることはできません。
当補助金のように区分が分けられおり、DXの対象が限られている補助金もあります。DXに対して利用したい意思を示すには区分を正しく把握してください。
参考:八尾市
福岡県|福岡県中小企業生産性向上デジタル支援補助金
福岡県中小企業生産性向上デジタル支援補助金は、デジタル技術を活用する意思がある県内の中小企業に対して、ツール購入費用や講座の受講費用を支援する補助金です。
当補助金を受けるには、福岡県中小企業生産性向上支援センターへの申し込み、センターの生産性アドバイザーのアドバイスを受け、生産性向上プロセスに真摯に取り組んでいる必要があります。また既存の業務プロセスに対して、効率化及び省力化に対する高い意欲を持つことも条件です。
補助金のように、特定の団体に支援を受けつつ、すでに業務改善に取り組んでいることが条件となる場合もあります。よって助成金や補助金の有無に関わらず、業務改善の意識を常に持っておくことも大切です。
岩手県|沿岸地域基幹産業人材確保支援事業費補助金
岩手県の沿岸地域基幹産業人材確保支援事業費補助金(DX推進事業)は、沿岸地域で水産加工業を営む企業がDXに取り組む際の支援をする補助金です。
補助金の対象は以下の3つです。
- 専門家謝金:専門家に依頼した場合の報酬
- 委託料:コンサルタントやアドバイスを受ける際の報酬
- 備品購入費:機器やシステムの購入費用
補助金の特徴は県内の中小企業ではなく、水産加工業にフォーカスしていることです。地域の基幹産業を守るために設けられた補助金のため、企業の規模よりもどんな業務をしているか、が重要となります。
補助金のように特定の産業に着目した助成金や補助金があることも頭に入れておくべきです。そして条件に当てはまる場合はぜひ申し込みましょう。
DX助成金・補助金の活用方法
DX助成金や補助金をもらえた場合はどのように活用すべきか、ビジョンは定まっているでしょうか。支援してもらえても、活用できずに業務効率化や増収、賃上げにつながらなければ返還を求められることもあります。以下で助成金、補助金の活用方法の例を紹介します。
- クラウドへの移行
- 外部ベンダーや専門家からのサポートを受ける
- 機器やツールの導入
- セキュリティの強化
- IT人材の育成・採用
- 研究開発
クラウドへの移行
DX助成金や補助金を活用して、既存システムのクラウドへの移行を検討しましょう。システムをオンプレミスからクラウドへ移行することで多くのメリットを享受できます。例として以下のメリットがあります。
- ハードウェアの保守、運用業務から解放される
- 災害対策ができる
- リモートワークに対応しやすくなる
クラウドへ移行することで、現在のシステムよりも保守や運用にかかる業務コストが少なくなります。ハードウェアの保守や運用はクラウド事業者の管轄となるためです。またサーバーの機能を世界各地に分散やバックアップできるため、災害対策にも有効になります。加えてインターネット環境があればどこからでもアクセスできるため、リモートワークに対応しやすくなることもメリットです。
外部ベンダーや専門家からのサポートを受ける
DX助成金や補助金を活用して、外部ベンダーや専門家からのサポートを受けることもおすすめです。
DXに取り組めなかった原因として「何をすればよいかわからなかった」「どこから手をつければよいかわからなかった」企業もあるでしょう。そういった企業は社内のメンバーだけで現状を打破することは難しいです。よって外部からサポートを受けることで、やるべきことが明確になるメリットがあります。
外部ベンダーや専門家はDXのノウハウや経験が蓄積されています。よって自社の課題を解決に導いてくれるでしょう。また気付かなかった自社の課題に対する解決策も提案してくれる可能性もあります。ぜひ外部ベンダーや専門家にサポートを依頼して、DXに踏み出す足がかりを掴んでください。
機器やツールの導入
DX助成金や補助金を活用して、機器やツールの導入を検討しましょう。
新しい機器やツールを導入することで、生産性の向上や、業務効率化のためのヒントを得やすくなります。DXに取り組む上でITツールや機器の導入は多くの場合に必須です。古い機器やツールを使い続けている企業は、性能が低いことや別ツールとの連携ができないケースがあるでしょう。
例えば、IoTデバイスの導入を考えてみましょう。導入後は作業するごとにデータの蓄積も可能です。蓄積したデータを分析することで、既存業務プロセスの改善や新たな業務への活用ができます。
機器やツールは高額なため、簡単に導入できるものではないでしょう。DX助成金や補助金を得られた際にはチャンスと捉えて、導入に踏み切りましょう。
セキュリティの強化
DX助成金や補助金を活用して、セキュリティ強化を実施することもおすすめです。
「ITツールやネットワークにつながる機器を導入したけれど、セキュリティ対策にはあまりお金をかけられなかった」という企業もあるのではないでしょうか。セキュリティ対策が甘いと、情報漏洩やシステムの制御不能など、重大なインシデントにつながる可能性があります。これらは回復が大変難しく、企業の信頼失墜につながる大問題です。自社のためにも、顧客のためにも防がなければなりません。
お金がないからといって、家を建てて鍵をつけない人はいません。セキュリティ対策が甘いと感じている場合は、DX助成金や補助金をセキュリティ対策に充てましょう。
IT人材の育成・採用
DX助成金や補助金を活用して、IT人材の育成・採用を検討しましょう。
DXを第一歩として外部ベンダーや専門家に依頼することは先述しました。しかし、彼らへの依頼は期間限定です。将来的には社内の人材のみで、社内のDXを維持、向上させていく必要があります。よって社内にもDXに取り組める人材が必要です。
特にIT技術をほとんど利用してこなかった企業は、早急にIT人材の育成や採用に予算を当てましょう。DXに取り組む企業と取り組まない企業の差は広がるばかりです(いわゆる2025年の壁問題)。
社内でDXを推進するためにも人材育成や採用は不可欠です。助成金や補助金をもらうための条件が人材育成のための講義受講であるケースも多いので、ぜひ活用しましょう。
研究開発
DX助成金や補助金を活用して、研究開発の費用に充てることもおすすめです。
DX化のために教育やツール導入をして新たな製品やサービスを開発しましょう。これらが市場に影響を及ぼせれば、新たな競争力の獲得となり、DXで目指すべきところを実現できます。
研究や開発は売れる前の時点からお金をかける必要があり、企業にとってリスクでもあります。しかし、もらえるお金で取り組めるとなれば自社の負担が少なくリスクをとることも可能です。研究や開発にはリスクがありますが、成功した場合のリターンも大きいので、ぜひ挑戦しましょう。
DX助成金や補助金によって研究や開発のリスクに対して背中を押してもらう形で、活用してみてください。
業界別DX助成金・補助金ガイド
業界別に利用すべきDX助成金や補助金をまとめました。以下の業界について解説していますので、当てはまる企業はぜひ詳細を確認してみてください。
- 製造業
- 農業
- 小売業
- 運送業
- 医療業界
また上記以外にも業界独自のDX助成金、補助金が提供される場合があります。上記に当てはまらない企業もぜひ関連情報を確認してみましょう。
製造業が活用すべきDX助成金・補助金
製造業に活用すべきDXの補助金として以下があります。
- 事業再構築補助金
- IT導入補助金
製造業でDXを進める際にはデータの可視化、収集が中心となります。IoTデバイスなどを用いて製造プロセスにおけるデータを収集し、可視化、分析することで業務の課題を解決していくことになるでしょう。また収集したデータから新たな洞察を得ることで新製品の開発や、新たな市場価値を見出せる可能性もあります。
上記の補助金であればIoTデバイスやビッグデータ分析に必要な機器、システムの導入に必要な経費を支援してもらえます。
ぜひ上記の申込条件を満たしている企業は、申請をしてみましょう。
また製造業のDXについて別記事で解説していますので、あわせてご覧ください。
製造業におけるDXとは?課題や事例、成功のポイントをご紹介
農業が活用すべきDX助成金・補助金
農業に活用すべきDX助成金、補助金には以下があります。
- 事業再構築補助金
- ものづくり補助金
- スマート農業機械等導入支援
農業はDXがあまり進んでいない印象があるのではないでしょうか。しかし、農業もDXによって競争力を高めて発展させていく必要があります。食糧難や食料自給率の問題と向き合うためにも国が農業のDXに力を入れている状況です。
農業のDX補助金で注目すべきはスマート農業機械等導入支援です。当支援は農業支援サービス事業インキュベーション緊急対策の一環の位置付けとなります。スマート農業機械などの購入やリース導入を支援するもので、AIが搭載された収穫ロボットやドローンの導入を支援してくれます。導入の結果、作業効率の向上だけでなくデータ収集、活用が実現するため、DXに大きく貢献するでしょう。
参考: 「農業支援サービス事業インキュベーション緊急対策(スマート農業機械等導入支援)」(農林水産省)
小売業が活用すべきDX助成金・補助金
小売業に活用すべきDX助成金、補助金には以下があります。
- IT導入補助金
- 人材確保等支援助成金(テレワークコース)
- 小規模事業者持続化補助金
小売業はインボイス制度の開始や、電子帳簿保存法への対応などの影響もあり、会計業務に必要な労働時間が大きく増加しています。よってDXによって業務効率化したいと考える企業が多いです。
特に新しい制度に対応するため、新しい会計ソフトを必要としている企業が多いでしょう。またレジのシステムなどに変更が必要なケースも考えられます。これらの導入、更新をするためにも上記の補助金を積極的に活用しましょう。上記は小売業に特化したものではありませんが、小売業においてのDXでも活用しやすい補助金です。
運送業が活用すべきDX助成金・補助金
運送業に活用すべきDX助成金、補助金には以下があります。
- IT導入補助金
- AI・IoT等を活用した更なる輸送効率化推進事業費補助金
- 小規模事業者持続化補助金
運送業は人手不足による長時間労働を筆頭に、多くの問題を抱えている産業の1つです。長時間労働を防ぐための仕組みも整いつつあるため、DXによって一人ひとりの業務量の削減が必須となります。
特筆すべきはAI・IoT等を活用した更なる輸送効率化推進事業費補助金です。運送業は発荷主、輸送事業者、着荷主が関わりますが、彼らが連携するためのシステムや輸送効率化を実現するシステムの導入費用が補助されます。
新たな局面を迎えた運送業界でもDXは必須です。ぜひ補助金を活用して対応していきましょう。
医療業界が活用すべきDX助成金・補助金
医療業界で活用すべきDX補助金はIT導入補助金です。
医療業界では膨大なデータが常に扱われています。加えてコロナ禍の対応から、医療データのリアルタイムな共有が必要、という認識も具現化しました。よって医療業界でもDXにより必要なデータを必要なときに扱えるよう、仕組みを整えていく必要があります。
医療業界でIT導入補助金を活用することで、電子カルテや医療デジタル画像の管理システムなど、最新のシステム導入に必要な費用が支援されます。これらの高額なシステムの導入に踏み出すためにも、ぜひ補助金を活用しましょう。
DX助成金・補助金の申請の流れ
DX助成金、補助金を申請する際の流れはおおよそ以下の通りです。
- 申請する助成金・補助金を選択
- 要件を満たしているか確認する
- 必要書類を用意する
- 受理された場合の割り振りを決めておく
申請する助成金・補助金を選択
まずは申請できそうなDX助成金、補助金をリストアップしてみましょう。
当記事でもさまざまなパターンを扱いましたが、地域や産業、企業規模ごとに申請できる助成金や補助金が異なります。国や自治体、民間団体など、支援元もさまざまのため、複数の助成金や補助金が候補に挙がるでしょう。
複数の助成金や補助金をリストアップする際に注意点があります。要件に「他の自治体や団体から支援を受けていないこと」とある場合には、複数の補助を組み合わせることはできません。最も通りそうなもの、支援額が大きいものなど、基準はさまざまですが、要件や支援の内容を踏まえて申請する助成金や補助金を決めましょう。
要件を満たしているか確認する
上記でDX助成金、補助金を選択したら、改めて要件を満たしているか確認しましょう。先述した複数の補助を受けられない点の他にも、事業の継続年数や、企業規模など別の要件で当てはまらない可能性があります。
特に注意したいのは「事業所の住所」なのか「メインとなる勤務場所の住所なのか」です。複数拠点がある場合は気をつけましょう。
要件を満たしていないのに申請をすることは、自社にとっても受付先にとっても無駄な作業となります。満たしているかわからないときに問い合わせをすることは必要ですが、明らかな要件の違いが生じないように十分に注意してください。
また要件を満たしているか確認する前に後述の書類を準備すると、作らなくてよい書類を作ることになる無駄が発生するかもしれません。無駄が発生しないように順序よく進めていきましょう。
必要書類を用意する
要件を満たしていることを確認できたら必要書類の用意に取り掛かりましょう。
事業計画や助成金、補助金を受け取る場合の用途など、必要事項の記入をしていきます。助成金や補助金によっては、賃上げ計画や誓約書など独自の書類が必要です。
当然のことですが、必要書類に偽りがないように記入してください。偽造した内容で申請が受理されても、継続して書類の提出が必要な場合には、偽造が発覚してしまいます。支援金の返還だけでなく、業務停止など厳しいペナルティが発生する場合もありますので、十分に注意してください。
受理された場合の割り振りを決めておく
DX助成金や補助金を受理された場合の用途の割り振りを決めておきましょう。必要書類の記入項目に書く必要があれば、その時点で決めておく必要があります。
受け取った大切な助成金や補助金を有効活用できるよう、あらかじめ用途を決めておいてください。助成金や補助金の提供元はあなたの企業の成長に期待して、支援をしてくれます。期待に応えて、事業の成長や従業員への賃上げを実現すべきです。現在、自社の中で最も支援を必要としている課題はどこにあるのか、をしっかり把握しておくことで用途が決まってくるでしょう。
まとめ
DX助成金や補助金には企業規模、業界、地域などによってさまざまな枠組みが用意されています。DX助成金はDX推進をためらってしまう企業の背中を後押しする支援の1つです。ぜひ活用して、DX推進に踏み出しましょう。
助成金や補助金を受け取れるよう、まずは自社が利用できそうな支援策を探すところから始めてみてください。