DXとはデジタル技術やデータを活用してビジネスモデルを変革し、競争上の優位性を確立する施策のことです。国内のDX市場は拡大しており、業種問わず多くの企業が取り組んでいることが伺えます。実際に大企業の4割以上がDXを行っているというデータもあります。
しかし、いざDXを推進しようとしても、DXが重要視される背景や具体的な進め方を把握していないと自社の課題に応じたDXを検討できません。そこでこの記事では、DXの定義や種類、具体的な進め方などDXに関する基礎知識をわかりやすく解説します。
DXを進める際に多くの企業が直面している課題やDXに成功している企業の成功事例も紹介します。DXに取り組む前に知っておきたい知識をまとめましたので、ぜひ参考にしてみてください。
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは
企業がデジタル技術を活用しビジネスモデルの変革を行い企業の競争力を高めることです。
経済産業省が公表している「「DX 推進指標」とそのガイダンス」のなかでは、DXの定義として下記のように記載されています。
企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や 社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務その ものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること
「Digital Transformation」を直訳すると、デジタル変革となります。DXではただ最新のデジタル技術を導入するのではなく、デジタル技術を用いてビジネスモデルの変革や付加価値の創出など が求められます。
IT化との違い
IT(Information Technology:インフォメーションテクノロジー)とは、コンピューターネットワークを使用した技術の総称 です。スマートフォンなどのハードウェアや、ハードウェア上で動作する アプリケーション、5Gなどの通信技術 が当てはまります。
「Information Technology」は情報技術 と訳すことができ、デジタル技術そのものを指します。一方で、DXはデジタル技術を用いた変革のことです。つまり、ITはDXを達成するための手段 であり、DXはIT化の先にある目的だといえます。
例えば、IT化だけでは業務プロセスの改善が限界ですが、DXを進めることでビジネスモデル自体を変革し新たな価値を創出できます。
DXには「認定制度」がある
DX認定制度とは、「情報処理の促進に関する法律の一部を改正する法律 」に基づいて作られた認定制度です。
DX認定制度は、経済産業省がまとめたデジタルガバナンス・コード(企業価値向上に向け実践すべ き事柄 )の基本的事項に 対応することが認定条件です。
認定企業はIPAが運営するDX推進ポータルサイトに掲載 されるため、DX優良企業 として認知をしてもらえます。いち早くDXに取り組んだ企業としてのブランディングや、取引企業からの 信頼獲得につながるでしょう。
このように、経済産業省は認定制度を設けて企業のDXの浸透を後押ししています。ではなぜ、今DXが重要視されるのか次の章で詳しく解説していきます。
DXが重要視される5つの理由
ここでは、DXが重要視される5つの理由をご紹介します。DXが注目されている背景が把握できるため 、ぜひチェックしてみましょう。
「2025年の崖」 のリスクの回避
1つ目は、2025年の崖 のリスクを回避できることです。2025年の崖とは日本の企業がDXを進めなければ、 「2025年以降の5年間で最大年間12兆円の経済損失が生じる 」可能性が あることを提言したものです。
その背景には、メインフレームなど過去の技術で構築されたレガシーシステム の存在があります。レガシーシステムの主な問題点は、下記のとおりです。
- 過剰なカスタマイズにより複雑化、ブラックボックス化している(柔軟な対応ができない)
- 保守管理費の高騰(古いシステムなので扱える人材が限定されている)
- 今後サポートが終了になる可能性がある(アップデートや適切な処置ができないためセキュリティリスクが高まる)
このような問題が押し寄せることで、企業にとって経済的な損失が膨らむのです。DXを進めるとレガシーシステムからの脱却ができ、2025年の崖を回避できます。
I T人材不足の解消
2つ目は、IT人材が不足していることです。IT業界では、人材に関する以下の 問題を抱えています。
人材に関する問題① IT人材の需要と供給のバランス
経済産業省の調査ではIT人材の需要と供給のバランスが崩れており、2030年には最大で79万人のIT人材不足に陥る と予測されています 。
デジタル技術の需要が高まっている昨今は、新商品の開発にもデジタルの視点が必要です。そのため、IT人材を求める企業や業種が増えています。一方で、IT人材の減少が見込まれており 、需要と供給のバランスが崩れている状態です。
人材に関する問題 ② ITに従事する人材の高年齢化
ITに従事する人材の高齢化 も問題となっています。レガシーシステムの保守管理、操作 ができる人材が不在となると、セキュリティ対策が疎かになり重大なトラブルに巻き込まれる可能性があるでしょう。
以上、人材に関する2つの問題からも、 デジタル技術を使い新たな仕組みを構築することが求められています。DXを進めることで、限られたIT人材でも問題なく運用できる基盤の構築が可能です。
競争上の優位性を獲得する
3つ目は、競争上の優位性を獲得して他社と差別化を図るためです。優位性の獲得には、顧客と従業員の2つの軸があります。
従業員には最新のテクノロジーやITツールを導入することで、働きやすい環境が提供できます。例えば、テレワーク環境の整備や従業員満足度を向上させるための施策 が当てはまります。
また、商品やサービスが溢れた現在では、合理的な価値だけでは競合他社と差別化が難しくなっていま す。DXを活用しCXの向上につながる付加価値をつけることで、優位性の獲得を目指せます。
コストダウンや業務効率化を図る
4つ目は、コストダウンや業務効率化ができるところです。レガシーシステムは、保守管理に高額な費用がかかり ます。それだけでなくシステム自体が複雑化 しており、運用に 手間がかかることが課題となっています。
例えば、重要なシステムが部署ごとに分断されていると、企業内での共有やデータ保管がしにくく作業負担が増えてしまうことがあります。現状に応じた適切なツール、システムを導入することで、 ランニングコストの削減や業務効率化につながるでしょう。
災害リスクマネジメントに活用できる
5つ目は、災害時のリスクマネジメントとして活用できるところです。実際に、2020年の新型コロナウイルス蔓延時にはDXの導入率が増加し、企業のDXが加速 しました。
大きな環境の変化を機に、従来の企業文化を見直し変革する流れが起きたのです。例えば、多様な働き方への対応や遠隔でのデータ共有、データ保管など従来の仕組みを変える動きが活発化しました。
この背景には、社員や顧客の安全を確保しながら事業継続を可能にするリスクマネジメント も含まれています。DXを進めることでトラブルや災害時でも事業を継続できる仕組みを整えられます。
DXの主な種類
DXの概要が把握できたところで、具体的な実施内容が気になる方も多いかと思います。ここからは、DXの主な種類をご紹介します。
業務環境のオンライン化
業務管理のオンライン化は、リモートワークへの対応や遠隔での会議、データ管理などが該当します。コミュニケーションツールや業務管理システムなどを導入すると、多様な働き方に対応できます。
出社不要な就業環境のもとで、 採用範囲の拡大や、優秀人材の確保につながるでしょう。また、災害発生時も事業が継続できる災害リスクマネジメントとしても活用が可能です。
社内だけでなく社外との打ち合わせや会議などもオンライン化できると、大幅なコスト削減や商圏の拡大も期待できます。
業務効率化・自動化
DXでは、既存業務の効率化や自動化が見込めるツールやロボットを導入するケースがあります。
例えば作業がパターン化している定型業務はRPA(Robotics Process Automation) を活用すると、自動処理することが可能です。物流倉庫では、ロボットを活用し荷物の移動や入出荷業務 を行うことで人的作業を減らすこともできます。
また、営業業務では営業に特化したツールを導入することで、顧客情報管理やスケジュール調整などの簡略化が実現します。
新規開拓
DXは新たな価値の創出が重要なので、顧客の新規開拓や現状の分析にデジタル技術を導入することもあります。
例えば、顧客を一元管理できるツールを使い、消費行動や属性を分析します。その結果をもとに、新規開拓を進めることが可能です。
他にも、広告ツールやランディングページの最適化ツールなどを導入すると、自動的に新規顧客や潜在顧客にアプローチできる仕組みを整えられます。
今回ご紹介したDXの種類は、あくまでも一例です。デジタル技術は日々進歩しており活用できる範囲も広いため、自社の課題や目指すビジョンに応じて選定しましょう。
DXの国内市場規模は拡大している
株式会社富士キメラ総研の調査によると、DXの国内市場規模は拡大傾向にあります。2020年の市場規模と2030年の想定市場規模を比較すると、3.8倍に達する見込み です。
とくに、自治体とカスタマーサービス 分野では、DXが進む予測となっています。自治体は人口の減少で、予算と人材の削減が考えられます。その中でも質の高い住民サービスを提供するために、デジタル技術が活用されるでしょう。
カスタマーサービスではデジタル技術を用いて顧客情報を一元管理し必要なときに活用することで、CXの向上が見込めます。
日本の大企業・中小企業におけるDXの現状
日本のビジネス界において、DXが大きな注目を集めています。DXは、従来のビジネスモデルをデジタル技術を活用して革新的に変えるプロセスであり、企業競争力を向上させる鍵とされています。ここからは、日本の大企業と中小企業におけるDXの現状に焦点を当ててみましょう。
【大企業】約4割がDXに取り組んでいる
大企業においては、DXへの取り組みが着実に進んでいます。DX白書2023年のデータによると、約4割の大企業がDXプロジェクトを進行中または計画中であることが明らかになりました。これは、大企業がデジタルテクノロジーをビジネスに活用し、競争力を高めるために積極的なステップを踏んでいることを示しています。
【中小企業】DXに取り組めている企業は約1割にとどまっている
中小企業においては、DXへの取り組みがまだまだ進んでいない状況があります。同じく、DX白書2023年のデータによると、中小企業の中でDXに取り組んでいる企業は約1割にとどまっています。
中小企業は、予算や人材の制約などがあるため、DXへの取り組みには慎重なステップが求められているといえるでしょう。しかし、中小企業でも将来的にデジタル技術を取り入れるDXの動きが高まると予想されています。
DXが進んでいる業界は?
DXが特に進んでいる業界として、IT、通信、金融、教育などが挙げられます。これらの分野では、デジタル技術を駆使した新しいサービスやプロセスが積極的に導入され、市場競争が激化しています。他の業界も、DXの潜在能力に目を向け、変革を模索する機会を逃さないようにすべきです。
日本の各業界においてDXは今後ますます重要になるトレンドであり、大企業も中小企業もそれぞれの課題を克服しながら、最適なDX戦略を立てることが重要です。競争の激化が予想される中、DXの成功が企業の生存と成長に不可欠であることは間違いありません。
DX推進において多くの企業が直面する課題
国内外・規模の大小を問わず、多くの企業がDXを推進しています。しかし、DXの推進をする中で、予算や人員確保など多くの企業が課題に直面しています。
ここからは、DXを推進する企業がどのような課題に直面するのか詳しく見ていきましょう。
レガシーシステム
企業がDXを進めるうえで、レガシーシステムが大きな弊害となっています。
レガシーシステムとは、過去に導入された(老朽化した)古い基幹システムやソフトウェアのことを指します。
これらのシステムは、長年の運用によって複雑化し、新しいテクノロジーとの統合が難しくなっています。DXを進めると、レガシーシステムで問題が発生するからDXを進められないという企業も多いです。
この課題に対処するためには、システムのアップグレードや置き換え、またはAPI(アプリケーションプログラムインターフェース)を活用した連携が検討されます。レガシーシステムの克服は、DXプロジェクトの成功に向けた重要なステップといえます。
IT人材の不足
DXを推進するためには、デジタル技術に精通したIT人材が不可欠です。しかし、日本全体でIT人材の不足が深刻な問題となっています。特に、高度なスキルを持つ専門家の不足が顕著であり、競争が激化する中で適切な人材の確保が難しくなっています。企業は、内部のスキル育成や外部の専門家との協力、アウトソーシングなどを通じて、IT人材不足に対処する戦略の検討も必要です。
コスト(予算)問題
DXプロジェクトは、新しいテクノロジーの導入やシステムの改善に多くの資金を必要とします。しかし、予算の制約や資金調達の難しさが、企業にとって大きな課題となっています。コストに対する慎重な管理やROI(投資収益率)の見込みを明確にすることが重要です。また、DXの成功事例を参考にし、投資の効果を最大化するための計画を立てることが求められます。
DXの進め方
DXは自社のIT資産を整理して、具体的な課題を見つけるところから始めます。ここでは、DXの進め方の一例を紹介しますので 、DXの流れを掴んでみましょう。
①現状の課題やシステム、自社のIT資産を確認する
ソフトウェアやアプリケーションなどのIT資産の状態と、現状の課題を書き出します。
②課題を解消できるDX戦略を検討する
DX戦略を立てる ときは、デジタル技術を用いることで創出できる付加価値や変革も視野に入れて考えます。具体的な戦略を立てるときには、下記の3つの視点で検討しましょう。
DX戦略を立てるときの3つの視点 | |
組織戦略 | 企業全体の方針を決めるときに組織間で共通認識を持てるよう配慮する |
事業戦略 | 事業の見直しにより生まれた余力を新規事業にあてる |
推進戦略 | 段階ごとにスピード感を持ちDXを進められるよう計画する |
③導入計画を立てる
DX化のために必要なデジタル技術の導入計画を立てます。システムやツールによっては移行期間が長く業務に影響が出る可能性があるので、あらかじめ確認しておきましょう。
④社内外に浸透させる
新たなデジタル技術や社内の仕組み、システムの変革による価値を社内外で共有します。ただデジタル技術を導入するだけでは社内に浸透しない ため、DXに取り組む意義を含めて共有し理解を深めることが欠かせません。
DX戦略を立てるときに必要な要素
企業のDXを成功させるには、下記の要素を年頭に置いて戦略を立てるといいでしょう。
DX戦略を立てるときに必要な要素 | |
現状把握 | 現状のIT資産や課題を把握する |
目的・ビジョン | DXによって達成したい目的やビジョンを明確にする |
外部環境変化の分析・評価 | 外部環境に変化が起きても業務を存続できるのか分析、評価する |
取り組み領域の策定 | どの領域でDXを進めるのか決める |
資源の最適配分 | コストを見直してDXに投資できる余力を創出する |
これらの要素を念頭に置いて戦略を立てると、変革や価値の創出につながるビジョンが描きやすくなります。
DXを推進するための5つのポイント
最後に、DXを推進するときに知っておきたい5つのポイントをご紹介します。DXを成功させるためにも、ぜひ参考にしてみてください。
ベンダー企業との共創を検討する
DX領域となるデジタル技術は、専門的な知識や技術を必要とします。そのため、DXの計画から導入まで一貫して企業内の人材のみで実施することは非常に難しいです。
そこで、DXの施策に応じて必要な技術に関連するベンダー企業と共創することが大切です。DXで実現されたいビジョンを共有、実現できるベンダー企業を選定し、効率よくDXを進められる状態を整えましょう。
社内でDX人材を育成する
DXを推進するには、社内にもDXに携わる人材が必要です。専門性の高い技術面はベンダー企業に任せられても、企業内への浸透やDXの計画を進める人材がいないとなかなか前に進みません。
とくに、部署間の連携やベンダー企業との打ち合わせは、内部事情やDXに精通した人材が担うことでスムーズに進められます。
社内でDX推進に携わる人材の選定や部署の立ち上げなどを行い、内部でもDXを推進しやすい環境を整えましょう。
IT資産の仕分けをしながらシステムを検討する
DXを推進するときは、現在のIT資産の仕分けをした後にシステムの再構築を検討しましょう。頻繫に使用するシステムはクラウド化を、使用しないシステムは廃棄など使用頻度や使用状況に応じた区分けを行います。
その結果、本当に必要なシステムのみを使いやすい形にまとめられるようになります。DXを推進するときにすべてのシステムを移行するのではなく、仕組みの再構築を念頭に置いて取捨選択してみてください。
社内の協力体制を仰ぐ
DXの推進において、社内の協力体制は不可欠です。多くの企業で、プロジェクトの進行において経営層のコミットメントを得ることや、部署間の連携を築くことが課題となっています。これらの要因が、旧来のシステムからの脱却とデジタル技術の活用に向けた障壁となることがあります。
DXの成功には、経営層の積極的なコミットメントが欠かせません。経営層の理解と支持がなければ、変革の推進は難しいでしょう。さらに、各部署の協力関係の構築も重要です。DXプロジェクトは異なる部門間で連携し、新しい業務フローとビジネスモデルの構築を要求します。
また、DXを推進する人材に対するスキル評価や処遇、マネジメント制度の整備も大切です。多くの企業がDXのために必要な人材の要件を十分に明文化できておらず、これが人材確保の難題となっています。社内制度を見直し、DX人材が適切に評価される環境を整備することは、成功の鍵となります。社内の協力体制を築くために、これらの課題に積極的に取り組むことが必要です。
社内にノウハウがない場合は専門家に相談する
小規模企業や個人事業主は、DXやITに精通している専門家に相談することが重要です。
自社でDXを進めると、多くの場合、人手不足やスキル不足が原因で失敗してしまいます。専門家のアドバイスを受けることはこれらの失敗を回避し、DXを成功させることにつながります。専門家は、適切なテクノロジーや戦略の選択から実装、トラブルシューティングまで幅広い分野で支援してくれるでしょう。
さらに、専門家のアドバイスは貴重な投資となり、リソースの最適な活用を可能にします。自社での学習や試行錯誤にかかる時間やリスクを最小限に抑え、DXプロジェクトのスピードと効率を向上させることができるでしょう。結果として、競争力を強化し、ビジネスの成長に貢献します。したがって、DXにおいては社内にノウハウが不足している場合、専門家に相談することをおすすめします。
DXを進めるために活用できる補助金
デジタルトランスフォーメーション(DX)は、企業の競争力を向上させ、効率化を実現するために不可欠です。しかし、DXプロジェクトにはコストがかかることもあるでしょう。ここで、活用できる補助金について解説します。
IT導入補助金
IT導入補助金は、情報技術の導入により業務プロセスの改善や効率化を図る企業を支援する制度です。
これを活用すれば、ハードウェアやソフトウェアの導入費用の一部が補助され、DXプロジェクトの負担を軽減できます。申請手続きは簡単で、初めての方でも利用しやすい制度です。
参考:IT導入補助金2023
小規模事業者持続化補助金
小規模事業者持続化補助金は、中小企業や個人事業主向けの支援制度です。DXに取り組む事業者に対して、経営改善やIT活用に関する支援を提供します。この補助金を受けることで、DXプロジェクトをスムーズに進め、事業の持続的な成長を図ることができます。
補助金を活用すれば、DXへの投資を効果的に行い、ビジネスの競争力を向上させることができます。ぜひ、自身の事業に適した補助金を活用し、DXの成功に向けて一歩前進しましょう。
参考:小規模事業者持続化補助金
【業界別】DXに成功している企業事例
ここまで、DXの概要やDXを成功させるためのポイントを解説しました。
実際にDXを成功させた企業の事例を見れば、より具体的なイメージがわいてくるでしょう。そこで、最後にDXに成功している企業3選を紹介します。
メーカー業界の事例|クボタ
クボタは、グローバルで建機・農機製品を提供する企業で、DXの一環として、故障診断の改善に取り組んでいます。以前は現地販売代理店のサービスエンジニアのスキルに依存する修理が主流で、その結果、マニュアルだけでは不十分なケースも多く存在しました。この問題を解決するため、クボタは以下の取り組みを行いました。
クボタは、故障診断のシンプル化や3DモデルとARの活用などの取り組みにより、故障診断の効率化とユーザー体験の向上を実現し、グローバル市場で競争力を強化しています。
参考:モンスターラボ
金融業界の事例|りそなホールディングス
次に紹介するDXの成功事例が、りそなホールディングスの事例です。
金融業界のDX成功事例として注目されており、「スマホがあなたの銀行に」というコンセプトでデジタル化を進化させたりそなグループアプリを推進しています。
2023年3月には、中期経営計画の目標である750万ダウンロードを達成し、大きな成功を収めています。このアプリは、個人顧客の90%以上がりそな銀行に対して能動的な接点がないという問題に対処するために開発されました。
さらに、りそなグループはデータ活用に焦点を当て、ビジネスの高度化を進めています。多様な顧客データを分析し、各サービスの改善を進めるPDCAサイクルを構築し、同時に「データサイエンス室」(現在は「データサイエンス部」)を設立し、内製のデータ活用を推進しています。りそなグループはDXを通じて金融サービスを変革し、お客様によりよい体験を提供しています。
参考:りそなDXへの取り組み資料
りそなIRプレゼンテーション資料
飲食業界の事例|Shake Shack
Shake Shack(シェイクシャック)は、DXの成功事例として注目されています。同社は、パーソナライズされた注文体験を提供するために、レコメンド機能とプッシュ通知機能を組み込んだ事前注文アプリを開発しました。
この新しいアプローチを導入した店舗では、レジスタッフの人件費を削減するだけでなく、注文フローのデジタル化により顧客単価が15%も増加しました。顧客はアプリを通じて自分の好みに合ったメニューアイテムを推薦され、プッシュ通知を受けて注文を事前に行うことができるため、スムーズで効率的な食事体験が提供されています。
Shake Shackは、継続的な改善を通じてDXを進化させ、サービスの拡大に向けて努力しています。その結果、顧客満足度を高めつつ、効率性と売上も向上させています。この成功事例は、デジタル技術を活用して飲食業界における新たな価値を提供する優れた例となっています。
参考:モンスターラボ
まとめ
DXは2025年の崖やIT人材不足を解消するために、取り組むべき施策です。業務効率化や優位性の確立など、企業にとっての メリットも大きいでしょう。
しかし、予算の問題やDXに割ける人材の不足、現在のシステムと新たなシステムの連携の問題、などDXを進める際には多くの課題に直面します。これらの課題があるため、大企業に比べ、中小企業でDXが進んでいないことが現実です。
この記事を参考にいち早くDXを推進できる基盤を整えて課題や目的に応じて取り組んでみてください。