リテール業界でDXを実現するには、いくつかのポイントを押さえておく必要があります。大切なポイントを把握せず勢いで推進しようとすると、失敗してしまうかもしれません。そこで本記事では、リテール業界がDXを実現するにあたり、押さえておくべきポイントを解説します。大切なことを押さえ、スムーズなDX実現を目指しましょう。
リテール業界のDX実現に不可欠な4つの要素
リテール業界のDXを実現するにあたり、不可欠な要素が4つあります。それが「セルフレジの導入」「オンラインショップの運営」「バックエンドシステムの連携」「既存システムの連携」です。それぞれの取り組みについて詳しく見ていきましょう。
セルフレジの導入
少子高齢化が進む日本においては、労働力の減少も大きな問題となっています。さまざまな業界が人材不足に陥っており、リテール業界も例外ではありません。
人材不足は、現場で働く従業員へも負担をかけています。たとえば小売業では、長時間労働が大きな問題となっています。企業が人材を確保できず、現場へ投入できないため、従業員1人あたりの労働時間が長くなってしまうのです。
そこで注目されているのが、大手スーパーやコンビニなどで導入が進んでいるセルフレジです。お客様が自ら清算を行うシステムなら、人材不足や長時間労働の問題を解決できます。煩雑なレジ業務がなくなるため、外国人スタッフも雇用しやすくなるでしょう。
オンラインショップ
誰もがインターネットを利用し、モバイル端末を所有する時代だからこそ、オンラインショップの開設と運営は必須です。オンラインショップなら商圏を大きく広げられるため、売上の大幅な向上も期待できます。
近年、DXの推進や新型コロナウイルスの影響もあり、オンラインショップを導入する企業が増えました。ウイルスへの感染を避けるため極力外出を控え、オンラインで買い物を済ませる方が増えたからです。
また、近年注目を集めているのが、オンラインショッピングとリアル店舗を融合させた「OMO」と呼ばれるビジネスモデルです。これは「Online Merges with Offline」の略で、多様化する消費者のニーズへ対応できると話題を呼んでいます。
リアル店舗でお客様がよく購入する商品をオンラインショップでおすすめする、店舗で利用できるクーポンをネットで配布するなど、さまざまな手法が考えられます。工夫次第では、さまざまな顧客のニーズに応えられ、売上の向上が見込めるでしょう。
バックエンドシステム連携
DXを成功させるにあたり、データ活用は外せない要素のひとつです。小売業が扱うデータは多岐にわたり、バックエンドとの連携によりリソースを主力業務へ投入できます。ただ、バックエンドのシステム連携は、専門的な知識や技術を有するエンジニアでないと対応できないケースが多いのも事実です。
自社にエンジニアが在籍しているのなら問題ありませんが、在籍していないのなら、バックエンドを簡素化できる仕組みの構築が必要です。外部サービスの利用も含めて検討してみましょう。
既存システムの連携
DXの実現にあたり、全体的な業務の見直しを行うことはもちろん、老朽化したシステムにも目を向けなくてはなりません。老朽化したシステムとはいえ、今後も使いたいデータやアプリケーションが含まれているケースもあります。このような場合、なかなかシステムの刷新もできず、頭を悩ませてしまいがちです。既存システムを活かしながら新たなシステムも使いたい、といったケースは少なくありません。これを実現するには、システム同士の連携が必要です。
解決策としては、データ連携ツールの導入が考えられます。データ連携ツールならシステムを横断して、さまざまなデータの活用が可能です。また、クラウドサービスを利用し、オンプレミス環境のシステムと連携させるのも有効です。
リテール業界のDXを成功させるポイント
近年ではリテール業界のDXも進んでいるため、何も手を打たないままではライバル企業に差をつけられてしまいます。DXを成功させるポイントを理解し、今後のビジネスで生き残れる体制を構築しましょう。
1. ユーザーに体験価値を提供
ひと昔前に注目された施策として、「O2O」が挙げられます。O2Oとは「Online to Offline」の略称で、オンラインとオフライン双方からのアプローチにより顧客との接点を増やし、売上向上を目指す施策です。
O2Oにおいて、ユーザー体験は独立したマーケティングでした。しかし、これからはオンラインとオフラインを融合させたOMOを中心に、ユーザーへ体験価値を提供することが、DXを成功へ導くポイントです。
あらゆるものが手に入る現代において、ユーザーは体験価値を求めています。ただ商品やサービスを購入するだけでなく、その体験に価値を見出す時代を迎えているのです。OMOが注目されているのは、このような背景があるからだと考えられます。
2. 最新のアーキテクチャー
オンラインとオフラインを融合させた体験価値を提供するには、各チャネルの情報をリアルタイムで一元管理できていなくてはなりません。これができなければ顧客の状況を把握できず、連続性のあるユーザー体験を提供できないからです。
これを実現するためには、各種チャネルのアプリケーションをAPIで接続する必要があります。店舗のシステムやスマホアプリ、ECサイトなどの情報を一元管理できれば、連続性のあるユーザー体験の提供が可能です。
3. 変化に素早く対応できるサービス提供
対応策として、UI(ユーザーインターフェース)やUX(ユーザーエクスペリエンス)の向上が挙げられます。スピード感のあるサービスを提供するには、業務アプリケーションの利用はもちろん、外部サービスとの連携も考えなくてはなりません。
アーキテクチャーも、変化に対応したサービス提供に必要な要素のひとつです。マイクロサービスアーキテクチャーを利用すれば、各チャネルのアプリケーションを接続し、柔軟かつスピーディな対応を実現できます。
また、クラウドを利用すれば、自社のシステムをさらに拡張できます。さまざまなクラウドサービスと連携することにより、今までになかったサービスも提供可能です。
4. 従業員体験(EX)も重要
DXを実現するうえでは、顧客体験を向上させるだけでなく、従業員体験も重要なポイントです。小売業の現場は人手不足により、従業員個々への負担が大きくなっています。従業員の負担を軽減するには、AIやIoTなど先端テクノロジーの積極的な導入を考える必要があります。たとえば、先述したセルフレジを導入すれば、従業員の負担軽減が可能です。リソースをほかの業務へ投入できるうえ、接客の質の向上も期待できるでしょう。
これからDXを進めるにあたっては、もっとも困っている課題から手をつけることをおすすめします。レジ前の混雑や人手不足に一番困っているのならセルフレジを導入する、といった具合です。課題を抽出し解決に向けて進める中で、今後どのようにしたいのかを考えていけばよいでしょう。
リテールビジネスのデジタルシフトを支援する「Brainforce」
「Brainforce」は、富士通株式会社が提供しているサービスです。リテール事業者のデジタルシフトをサポートしてくれるサービスであり、顧客体験の革新と業務の革新、バリューチェーンの革新をコンセプトとしています。
Brainforceのメリット
従来にはなかった、新たな顧客体験を提供できることが大きなメリットです。Brainforceの導入により、消費者はレジに並ぶことなく、スマホ1台で買い物ができます。スマホだけで決済まで行えるため、便利に買い物ができるようになります。
企業側にとっても、従業員の業務効率化や負担軽減につながります。レジスタッフをほかの主要な業務に回せるうえ、設置するレジも減らしてコストダウンを図れます。また、消費者の購買履歴をデータとして蓄積できるため、分析結果を今後の営業に活かせるのもメリットです。
まとめ
リテール業界がDXを実現するには、セルフレジ導入やオンラインショップの運営、バックエンドシステム連携などの要素が必要です。また、ユーザーへの体験価値を提供し、変化に素早く対応できるサービス提供体制も整えなくてはなりません。今回ご紹介した内容を参考に、DXを成功へ導きましょう。