医療・製薬

医療事故とは?医療過誤との違いや未然に防ぐポイントを解説

医療事故が起きる原因は多々考えられますが、人命にかかわるおそれがあるため、回避しなくてはなりません。本記事では医療事故について、医療過誤との違いや未然に防ぐためのポイントなどを解説します。あわせて、過去に起きた医療事故の事例もお伝えしましょう。

医療事故とは?医療過誤との違いや未然に防ぐポイントを解説

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医療事故の定義とは

医療事故とは、病院やクリニックなど、医療サービスを受けられる場所において生じた人身事故を指します。医療の全過程において発生した人身事故が対象となるため、診察や治療、手術中などあらゆるシーンにおける事故が該当します。

一般的に、医療事故と聞くと患者が被害者となるケースを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。メディアで報道される医療事故は患者が被害者となるケースが多いため、そのような認識を持つ傾向にあるのかもしれません。しかし、実際には医師や看護師など、医療を提供する側が被害者となる場合も少なくないのです。

たとえば、「医師が手術中にメスで自分の手を切ってしまった」「看護師が誤って自分に注射針を刺してケガをした」といったケースが考えられます。また、感染症にかかった患者の診察する際に現場スタッフが感染してしまうのも一種の医療事故といえるでしょう。

医療事故と医療過誤との違い

医療事故と混同されがちなものに、医療過誤が挙げられます。同じものと認識している方も少なくありませんが、両者には明確な違いがあります。

医療過誤は、人為的なミスにより生じた事故のことです。「正規の方法で行っていれば発生していなかった」「注意深く対策をしていれば防げた」といった状況下において生じた被害を指します。

たとえば、A型の血液を輸血しないといけない患者に誤ってB型の血液を輸血してしまった、といったケースが挙げられます。また、患者を取り違えたことにより、関係のない治療を行ったり投薬する薬の種類を間違ったりするケースも医療過誤といえるでしょう。

一方、医療事故は医療過誤よりさらに広い範囲を指しています。医療過誤があくまで人為的な過失に限定されるのに比べ、医療事故は現場スタッフによる過失の有無は関係ありません。ここが大きな違いといえるでしょう。また、基本的に医療過誤による被害者は患者ですが、医療事故は医療従事者が被害者となるケースも含まれます。

医療事故を未然に防ぐためのポイント

医療事故が起きてしまうと、病院の管理体制や対策に問題があると受け取られ、経営にダメージを与えるおそれがあります。患者はもちろんのこと、スタッフ離れにつながるおそれもあるため、何としてでも防がなくてはなりません。以下に医療事故を未然に防ぐためのポイントをピックアップしました。

組織で取り組める対策

現場のスタッフが報告しやすい体制や風土の構築を進めることが重要です。現場から上げられた情報を全員で共有することにより、具体的な対策を打ち出せます。些細なことであっても報告を義務づけ、現場全体で情報共有できるような環境の構築を目指しましょう。

具体的な取り組みとしては、大きな被害はなかったものの重大な事故になりかねない事例である「ヒヤリハット」(インシデント)の積極報告が挙げられます。インシデントの無報告、もしくは現場レベルでの隠ぺいが行われてしまうと、上層部が把握できません。具体的な対策も打ち出せないため、同じ原因で医療事故が発生してしまうおそれがあるのです。

現場スタッフに、なぜインシデントの報告が重要であるのかを理解させることも大切です。そのためには、定期的な研修や教育も必要となるでしょう。その上で、必要に応じてマニュアルの作成や組織体制の整備などを行います。

また、病院全体で医療事故をなくすには、部署や職種を越えた意見のやり取りも求められます。合同カンファレンスの実施により、さまざまな観点からの意見を聞くことができ、さらに具体的な対策の立案が可能となります。

看護実践における安全確保の対策

医療スタッフの安全を守ることはもちろんですが、それ以上に患者を守るための対策が求められます。そのため、看護業務に携わるスタッフによる安全確保の対策が必須です。

具体的な取り組みとしてまず挙げられるのが、指示出しや指示受けの標準化です。指示する側はもちろん、指示を受ける側も手順の標準化を行うことで、インシデントの発生を防げます。標準化ができていないと、人によって伝え方や受け取り方が異なるため、医療事故のリスクが高まります。

患者の誤認が起きないよう、防止策を講じることも重要です。同姓の患者がいる場合、誤認してしまうおそれがあるため、必ずフルネームで確認する、手元にある患者の情報と一致するか確認する、などの手順が必要です。

与薬における事故も少なくないため、適切な対策が求められます。「投薬する患者を間違えていないか」「用法・用量は合っているか」「投与時間は適切か」といったことを確認する必要があります。ほかにも、転倒・転落防止や医療機器の安全使用対策などが必要です。

チームで行う医療安全の対策

チームで行う医療安全の対策で重視されるのは、「整理・整頓・清掃・清潔・しつけ」のいわゆる「5S」です。これらの要素を徹底することにより、チームでの適切な医療の提供が実現します。

たとえば、整理整頓ができていないとどこに何があるのか把握できず、スピーディーな医療の提供を妨げてしまいます。本来必要なものと異なる器具の使用や薬剤の投与といった事故が生じる可能性も否めません。そのようなことが起きないよう、不要なものは捨てる、器具は使いやすいよう配置するなどを徹底しましょう。

医療に使用する機器、器具は清潔でなければなりません。不潔な器具を使ってしまうと、症状の悪化や感染症などを招くおそれがあるからです。常にきれいな状態を維持できるよう、点検や整備を徹底しなくてはなりません。適切に清掃を行い、機器や器具の衛生管理も徹底しましょう。

整理整頓や清掃などにルールを設けるのは効果的ですが、現場がルールを守らなければ意味がありません。しつけをきちんと行い、スタッフ全員が当たり前にルールを守れる職場環境を実現しましょう。そのためには、日頃からルールを守ることの大切さを指導し、定期的な教育の場を設けるのも効果的です。

医療事故の事例

日本国内の各医療機関では、これまでに数々の医療事故が発生しています。実際どのような事故が発生しているのか知るために、ここでは、公益財団法人日本医療機能評価機構の発行する「医療事故情報収集等事業 医療安全情報」に報告された事例からいくつかピックアップして紹介します。

事例1: 口頭指示の解釈間違い(2015年5月)

日本医療機能評価機構の集計によると、2011年1月から2015年3月までの間に、口頭指示を間違って解釈した事例が4件報告されたとのことです。

指示や依頼を口頭で行った場合において、聞き手側にきちんと内容が伝わらず、異なる解釈をしてしまうようなケースです。たとえば、執刀医が胃管を抜いてほしいとの意味で「抜いてください」と伝えたことを、麻酔科医が「胃の空気を抜いてください」と解釈してしまった事例があります。

口頭による指示では、その場の状況や聞き手の理解力などで受け取り方が変わってきます。その結果、重大な事故に発展してしまいかねません。指示の送り手は言葉を省かず、きちんと伝わる言葉で伝えることを心がけましょう。一方の受け手は、解釈間違いをしていないかを確認するために復唱するなどの対策が必要です。

事例2: 外観の類似した薬剤の取り違え(2016年9月)

薬剤によっては外観が似ているものがあるため、取り違えて患者へ投薬してしまうケースがあります。薬剤の包装やアンプルの色が類似していると、ベテランの医療従事者でもミスを犯してしまうおそれがあるため、注意が必要です。

注射薬を取り違えた事例としては、「ラシックス注20mg」を投与するべきところ、「プリンペラン注射液10mg」を誤って投与してしまったケースが報告されています。内服薬では「ワーファリン錠1mg」を「ラシックス錠40mg」と間違えた事例も起きています。

先入観があると、類似する色や包装の薬剤を取り違えてしまうおそれがあるため、注意しなくてはなりません。色や包装だけで判断するのではなく、投与前に薬剤名を確認する必要があります。

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「CLISTA!」は、多くの医療機関への導入実績がある医療用データウェアハウスシステムです。病院で管理するあらゆるデータの一元管理が可能で、さまざまなシステムとの連携も実現します。

実装されている機能のひとつが、優れた検索機能です。電子カルテや医事会計などの情報から、複数要素を組み合わせた横断的な検索ができます。必要な情報をスピーディーに取り出せるため、業務効率の改善に役立ちます。

統計機能を活用すれば、患者の待ち時間や手術室利用などのデータも分析できます。待ち時間を軽減するための具体的な施策の立案が可能で、患者の満足度向上も実現できるでしょう。

来院患者数や、平均在院日数などのデータも分析できるため、経営改善にも役立てられます。CLISTA!を活用することで、現場レベルでの業務改善や医療事故をなくすための具体策の立案から、経営改善に至るまで役立つことでしょう。

まとめ

医療事故を回避するには、組織と現場、チームそれぞれで対策を施す必要があります。インシデントの報告がしやすい体制や風土の構築を進め、現場では指示出し・指示受けの標準化、誤認防止といった対策を進めましょう。

また、医療事故の回避だけでなく、経営改善にも役立つCLISTA!の導入も前向きに検討してみてはいかがでしょうか。

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