デジタルトランスフォーメーションは、あらゆる産業で急激に進んでおり製造業も例外ではありません。今まで強みだった少品種大量生産から多品種少量生産にシフトしています。これから、エンジニアリングチェーンのプロセスやエンジニアリングチェーン実現のためのポイントを紹介していきます。
製造業におけるデジタルトランスフォーメーションの必要性
デジタルトランスフォーメーションは、製造業においても必要性が高まってきています。
今まで日本は、有能な人材を中心にして、高い生産性を誇っていました。しかし、強みとされていた、垂直統合的な生産方法や属人的なノウハウなどが、このデジタル化がすすむ状況で世界に通用しなくなる恐れがでてきています。
人中心から様々なデータを利用するデジタル化にシフトする必要があるでしょう。
製造業の現状
製造業の設備投資の状況は、生産設備導入からの経過年数で、長期化傾向にあるといわれています。
これは、老朽化している生産設備を更新するのに二の足を踏んでいる状況であるといえます。また今まで、優秀な人材を基幹に配置し、設計、生産を行うことで、高生産性を維持していましたが、これは非常に人に依存する形になっています。
他国のデジタル化が進み、製品品質や生産性が急激に向上しているため、データを活用していかないと、今までの優位性が保てなくなっていくでしょう。
エンジニアリングチェーンの改革
エンジニアリングチェーンにおいては、設計部門を中心に強化を行っていくアプローチとなります。製造業では、少品種大量生産から多品種少量生産が世の中で求められる傾向にあります。それに合わせて、設計能力も向上の必要に迫られています。
製品設計から生産に至るエンジニアリングチェーンにおいても製品開発プロセスの工場とリードタイムの短縮に取り組む必要があるといわれています。そのために、各製品設計から生産の負荷を最適化する必要があります。
エンジニアリングチェーンのプロセス
エンジニアリングのプロセスとしては、商品企画から始まり、企画構想、製品設計、工程、生産設備、生産準備までになります。顧客が要求する製品に応じて、生産を準備するため、製造プロセスが特に重要であるといえます。
これから、エンジニアリングチェーンのプロセスを紹介していきます。
エンジニアリングチェーンの目的
取り扱い製品に関する情報を各プロセスで共有し、全体に最適化の実現と、開発競争力を向上させる目的があります。
今まで日本は、現場でのすり合わせによる品質の取り組み、原価の決定を行ってきました。しかし、人材不足や技能承継が難しくなっている現在は、設計段階で作りこみをする必要が出てきています。
フロントローディングを行い、自動化に取り組むことで設計段階における負荷を減らしながら、エンジニアリングチェーンの強化にあたる必要があります。
エンジニアリングチェーンを導入する効果
エンジニアリングチェーンを導入するにあたって、どのような効果があるかを把握しておくことは大切です。エンジニアリングチェーンを導入する効果を仕入先視点、企業視点、顧客視点の3つの視点から紹介します。
新型コロナウイルスで製造業に深刻なサプライチェーンの影響を与えています。このような不確実性が高い状況での効果もあわせて紹介します。
仕入先視点のメリット
デジタル技術を活用することで、部門間での様々な情報を共有し、部門間の連携を強化することが可能です。これにより、急なサプライチェーン寸断のリスクに柔軟に対処して代替の発注先を確保できるようになります。
納入先と情報共有ができ、条件変更を容易に追随が可能になります。顧客からの受注や社内からの指示をすぐに対応できるでしょう。
企業視点のメリット
企業視点のメリットとして、短期での開発や柔軟な供給体制、精緻な情報共有が可能であることが挙げられます。
製造業では、開発から納品までのリードタイムを少なくすることが重要です。部門間でのやり取りをスムーズにし、それぞれが同じ製品情報を見ながら話し合っていくことができると、より早く製品をお客様に届けることができるでしょう。
顧客視点のメリット
顧客視点のメリットとして、確実な納期回答や短いリードタイム、欲しい製品が入手可能であることが挙げられます。
最適な負荷配分によりエンジニアリングチェーンを強化すると、全体の作業負荷圧縮や顧客の要求高度化への対処を両立することができます。そのため、差別化につながることが可能になるでしょう。そのため、短いリードタイムで欲しい製品が入手可能になります。
エンジニアリングチェーン実現のためのポイント
エンジニアリングチェーンの実現にはどのようなことが必要になるのでしょうか。ポイントを知ることで、導入する際に活用することができるでしょう。また、事前に把握してすることによって、導入がしやすくなります。
ポイントとして、マネジメント、デジタル化、設計情報をマスター整備とつなげるアプローチの3つを紹介していきます。
マネジメントによるアプローチ
設計のプロセスや部門間の情報共有、進捗管理を実施するエンジニアリングチェーンマネジメント(ECM)という経営手法があります。
全社的な経営方針と目標の共有を行います。合わせて、デジタルトランスフォーメーションの推進とエンジニアリングチェーン強化の方針を検討します。
自社の経営目標をデジタル変革の成果と結びつけることで、全社的な取り組みとしての推進力を高めます。また直近の指標や費用対効果に囚われず、大局的な観点から自社の取り組むべきデジタル化を検討するようにします。
デジタル化によるアプローチ
情報共有には、デジタル化することが有用です。従業員の持つ技術力や能力の形式化・デジタル化を行います。従業員の知見を結集させて、ノウハウをマニュアル化します。
また、デジタル化によって生産情報などをリアルタイムでデータ化することで、部門全体が状況を把握することができるでしょう。製造業での効率化につながります。
設計情報をマスター整備とつなげるアプローチ
デジタル化された設計情報をマスター整備とつなげることで、部門間でシームレスに流通させ、製品に転化が可能です。
そのためには、役割や組織を跨いだデータ共有の仕組みを準備します。デジタル変革で連携を推進し、共通化された業務プロセスから見積やコスト算出を実施します。そして、自社の特徴を活かしたデジタル変革を実行するために、最適なツールやシステム、設備を導入します。
まとめ
エンジニアリングチェーンの強化は、1980年頃から注目されていましたが、新型コロナウイルスによる不確実性が高い状況が続く中、重要性がさらに高まっています。一方でデジタル化は、このデジタルトランスフォーメーションの後押しで導入の障壁が下がっています。
このタイミングをチャンスと捉え、デジタル化やエンジニアリングチェーンの強化に企業は取り組む必要があるといえます。
このような環境の中で、日鉄ソリューションズ株式会社(NSSOL)は、製造業会社を中心に、多くの会社のエンジニアリングチェーン改革を支援してきた実績を保持しています。エンジニアリングチェーン改革を考えている企業は、ぜひ日鉄ソリューションズ株式会社のご利用を検討されてみてはいかがでしょうか。