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AIとIoTの関係で新たな価値を創出していく

世界各国でAIとIoTの導入が急速に進められています。日本は残念ながら後進国と言わざるを得ません。しかし、国内でいち早くAIとIoTを導入し成果を上げている企業もあります。そこで、ここではAIとIoTの関係性に着目して、サイバー空間やリアル空間で今後どのような活用が期待できるか、事例を交えて説明しましょう。

AIとIoTの関係で新たな価値を創出していく

AIとIoTの違いとは

AIやIoTなど、少し前まではなかったIT系の言葉が急速に増えつつあります。何となくわかったつもりでいても、中には誤って覚えている言葉があるかもしれません。その中でも、混同されやすいAIとIoTについて、それぞれの意味と違いをわかりやすく解説していきましょう。

AI(人工知能)とは

AIとは、「Artificial Intelligence」の略で「人工知能」という意味があります。スーパーコンピューターのように、圧倒的な計算処理能力を持つ機械をAIと考える人もいるかもしれません。また、AIを人間と会話ができるロボットと想像する人もいるでしょう。しかし、私達の生活に身近なところにも、さまざまなAIの技術が使われています。

そもそも「人工知能」という言葉に明確な定義はありません。人工知能をどう解釈しているかは、研究者や有識者の間でも認識が少しずつ異なるのです。例えば、Windowsが登場する遥か前から、コンピューターと対戦できるゲームがありました。またコンピューターのレベルを、初級、中級、上級などに変更可能でした。こうしたものも、AIの1つです。

また、iPhone搭載のSiriや、AndroidスマートフォンのGoogleアシスタントも、人の言葉を理解して返答したり命令に従ったりするAIなのです。後述するIoTとは異なり、AIはあくまでもデータを解析する頭脳的な役割を担います。

IoT(モノのインターネット)とは

IoTとは、「Internet of Things」の略で、直訳すると「モノのインターネット」という意味です。つまり、パソコンやスマートフォンのように、さまざまなモノが、インターネットにつながる技術をIoTと呼びます。AIが情報を解析する頭脳のような役割を持っていることに対して、IoTはインターネットを通じて膨大な情報をやり取りする手足のような役割を持っています。

例えば、スピーカーに向かって話しかけるとニュースや天気を教えてくれるスマートスピーカーもIoT技術を利用したものです。住宅では、IoTでお風呂を沸かしたり、テレビの録画予約をしたり、照明点灯・消灯をしたりといった利用がされています。さらに複雑な機能を持たせることも可能で、IoTを採用した冷蔵庫が、庫内の食材から自動的に献立を提案したり、近所のスーパーの特売情報を教えてくれたりするものも登場しています。

インターネットにつながっているため、レシピや食材の保存方法など、知りたい情報も、音声や液晶パネルで瞬時に調べることが可能です。家電同士がつながることで、洗濯終了を冷蔵庫が通知してくれたり、離れて住む家族の安否を電気ポットや冷蔵庫の使用に応じて知らせてくれたりといった利用方法も実現しています。また、車の自動運転も、IoT技術により車の位置情報や周囲の情報を取得することで、より安全な走行へつながるでしょう。

AIとIoTはどのような関係があるか?

先述しましたが、AIはデータを分析するのに対して、IoTはデータを取得します。この関係性は密接で、双方が機能して初めて膨大なデータを有効活用できるのです。AIと絡めたIoTは、あらゆるジャンルでさまざまな利用方法が検討されている最中であり、まだまだ開発の余地がある分野です。

モノがそれぞれインターネットとつながって、膨大な情報をリアルタイムで収集・解析することで、人の行動予測・渋滞の回避や分散・防犯対策などが可能です。以下に、AIとIoTの関係性について説明します。

IoTデバイスで収集されるビッグデータ

IoTデバイスとは、IoT技術を持ったモノを指す言葉です。先述のインターネット接続できる冷蔵庫や電気ポット、スマートスピーカーなどがIoTデバイスです。近年個人の車に設置することが増えているドライブレコーダーにも、IoT技術を搭載しているものが出ています。無線LAN内蔵や、Wi-Fi対応などと明記されているのが、IoTデバイスのドライブレコーダーです。

ドライブレコーダーが記録した映像や音声などの情報をAIが分析することで、危険運転を検知して知らせる仕組みです。例えば、運転手の過度な疲労、体調不良などをセンサーが素早く自動検知して適切な指示を出したり、居眠り運転を察知して警告を出したりすることで、事故を未然に防止します。長距離を運転するドライバーには欠かせない安全運転システムです。ほかにも、高齢者の運転への補助に大きな効果が期待できます。

IoTデバイスが取得した膨大なデータの集積・ビッグデータ。このビッグデータをAIが規則性や相関性などに基づいて解析することで、業務の効率化・危険予知の精度向上・最善の提案などが可能になるのです。

日本におけるAI・IoTの導入状況

2018年のボストンコンサルティンググループが行った調査で、「世界各国の中小企業から大企業までのAIとIoTの導入率や産業別の導入割合」を示したデータがあります。調査結果を見ると、中国、アメリカ、ヨーロッパなどの主要国と比べて、日本は後れていると言わざるを得ません。導入率トップの中国では、消費者向け産業、金融機関などすべての産業分野において、80%を超える企業がAIを運用して成功しているとわかります。

それに対して、日本はテクノロジー・メディア・通信産業で60%の導入率があるものの、ほかの分野では23%から42%と低い導入率に留まっています。産業別の導入割合を見ても、世界の平均導入率と比較して、いずれの産業でも下回っているのです。世界各国が「AIとIoTを導入して成功している」と評価した企業の割合は多いことに鑑みても、日本でも早急に導入促進を図ることが重要です。

AIとIoTの活用が加速していく理由

第5世代移動通信システム「5G」の通信速度は、4Gの100倍とも言われています。今までにも通信速度は段階的に高速化してきましたが、今回の5Gはそれらを凌駕する飛躍的な進歩を遂げているのです。同時接続数も圧倒的に増えたため、さまざまなモノを同時にインターネット接続しても、安定した速度で通信が可能になりました。この超高速かつ大容量通信可能な5Gの普及により、AIとIoTの連携活用も一気に加速していくと考えられます。

AIとIoTを活用したサービスの分類

過去には難度が高かった音声認識や画像認識において、IoTの活用によりAIが実用的なレベルの精度を出すまでに成長しています。日本社会では、これらAIとIoTをどのように実装し活用しているのでしょうか。実際のサービス事例に基づき、活用技術、技能レベル、データ収集・分析の3種類に分けて解説します。

活用技術

AIとIoTの技術を分ける大きなくくりは、音声認識・画像認識・機械学習・自然言語処理の能力です。サイバー空間やリアル空間で、これらの技術を駆使したサービスが数多く登場しています。

音声認識とは、マイクを使って話すと音声を次々に文字に変換してくれる技術です。文書作成やメール、ブラウザ検索などサイバー空間で使われる音声入力以外にも、例えば、耳の不自由な人とのコミュニケーション手段としてリアル空間で利用されています。

画像認識技術は、サイバー空間での指紋認証にリアル空間では、高齢者の見守り、自動運転、健康管理などに使われています。機械学習技術は、サイバー空間では、利用者の閲覧データを取得して、趣味嗜好に応じた広告を表示するレコメンド機能として活用したり、FAQに利用されたりする事例が多いです。リアル空間では、過去の蓄積されたデータから推測する混雑予測や、サービスや商品の需要予測、与信審査、設備の稼働管理などにも利用されています。自然言語処理技術は、翻訳や質疑応答、口コミ分析などに応用されています。

また最近増えてきたのは、複数の技術を使って、より高度なサービスを可能にしている事例です。例えば、サイバー空間での不正対策として、機械学習と画像認識を併用することで、不正送金や迷惑メール、不正出品物などの検知が可能になりました。このように技術を組み合わせれば、さらにさまざまな分野へのサービス拡大も期待されます。

技能レベル

AIを技能レベルで分類すると、専門家レベルの技能と、一般人レベルの技能に分かれます。一定以上の知識や経験を求められる現場では、労働力不足が大きな課題です。IoT技術により、リアル空間の情報が効率的に収集できるようになったため、これらの現場ではAIやIoTが活用されつつあります。

例えば、農作物の生育状況管理、製造物の不良品検出、サービスや商品の需要予測などです。特に、今までは専門家の知識と経験則に依存するしかなかった農業分野において、利用が拡大しています。ほかにも、高い分析力や言語能力により、翻訳・指紋認証・最適提案・不正の検知などに活用されています。

また、高い能力を必要としない内容でも、大量の業務を自動化して継続できるため、業務効率の向上に貢献するでしょう。例えば、手書き文字や音声のデジタル化・質問の回答・注文の応対などのサービス。さらに、娯楽・介護・商品案内・顧客属性判定・口コミ分析の他、高齢者の見守り・自動運転・監視などにも、活用されます。これらのサービスはまた、労働力不足や生産性の向上など、課題解決へつながります。

データ収集・分析

データの収集は、サイバー空間とリアル空間双方で行われます。特に、リアル空間で収集されたデータは、さまざまな業界で活用されています。例えば、農業なら農作物の生育状況の管理、医療なら健康管理、製造業なら不良品の検出、小売業なら需要予測や商品案内などです。これらは、IoTの普及によりリアル空間から多くのデータが収集可能になったため実現したと見られます。

サイバー空間でも、金融業の質問回答や不正送金の検出、EC業の顧客管理やレコメンド、FAQなどに利用されています。今後もIoTにより得られたデータを有効活用して、AIの利用範囲がさらに拡大すると期待されます。

まとめ

AIとIoTの活用で、労働力確保・業務効率化・働き方改革など、さまざまなプラス効果を期待できます。また、労働環境の改善だけでなく、サービスのクオリティアップにもつながるでしょう。5Gの普及拡大に伴い、多様な分野でAIとIoTの導入が進められています。AIやIoTを活用して自社で何ができるか、検討してはいかがでしょうか。

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