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6G通信で何ができる? 6Gが企業と社会にもたらすこと

第5世代移動通信システム(5G)の後に続くのは、第6世代移動通信システム(6G)の時代であり、この6Gという革新的な技術をめぐって、国際的な主導権争いが激化しています。そこで、この記事では6Gの概念や技術的要件、6G通信でできるようになること、6G通信が社会や企業にもたらす影響などについて解説します。

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5Gに続く「6G」とは?

6Gは、第6世代移動通信システム(6th Generation Mobile Communication System)の略称で、現在商用利用されている5Gの次の無線通信システムとして開発が進められています。「Beyond 5G」とも呼ばれる6Gには、5Gの機能をパワーアップするだけでなく、あらゆる場所での通信を可能にし、人間が手出しすることなく機器を自律的に連携させるなど、5Gにはない新たな機能を備えることが求められています。

移動通信システムの歴史は、アナログ変調方式で電波を用いて音声を送信する1Gから始まり、日本では1979年に自動車内で通話ができるサービスとして商用利用が開始しました。その後は大体10年おきに次の世代が出現して、通信速度が上がっていき、それに伴ってできることも増えています。

1Gから6Gまでの流れ

移動通信システムの進化により、各世代で何ができるようになったのでしょうか。初代の1G(1979年~)は、固定電話しかなかった世界に、自動車電話や携帯電話という新しいタイプの電話を誕生させ、移動しながら音声のみの通話ができるようになりました。

2G(1993年~)では、通信方式がアナログからデジタルへと進化します。データ通信サービスにより、携帯電話でメールやインターネットが利用できるようになりました。

3G(2001年~)になると、世界中どこでも同じ端末が使えるようにと、「IMT-2000」という国際規格が作られます。カメラ付き携帯電話やスマートフォンが誕生し、高速データ通信によって、メールに写真を添付できるようになり、音楽やゲームなどさまざまなコンテンツが利用できるようになりました。

次の4G(2010年~)では、データ通信速度がさらに上がって、高精細な動画やゲームなど、より大容量のコンテンツが楽しめるようになりました。

現在は5Gが進行中です。5Gでは、4Gだと5分かかる動画のダウンロードが約3秒で完了すると言われています。また5Gでは、通信上の遅延を約1ミリ秒に抑えられるため、ロボットなどを遠隔操作できるようになり、インターネットに同時接続できる端末やセンサーの数が飛躍的に増えました。そして、5Gが実現段階に入ると、その次に来る6Gで優位に立つための競争が激しくなったのです。

6Gの議論は始まったばかり

6Gの議論は始まったばかりで、6Gの明確な定義や基準は、現時点ではまだ存在していません。したがって、今のところ6Gは、5Gの次に来る技術として、研究・開発されているものの総体であり、漠然としたものです。

2021年10月に開催された「Brooklyn 6G Summit」では、世界中の優秀な無線通信研究者が集合して、6Gについての議論を繰り広げました。そこで行われた議論の内容は、世界中の人々から注目を集めており、6Gを語るうえでよく参照されています。

6Gはどのような技術なのか?

6Gに関する国際的な基準づくりはこれからですが、2022年3月に「Beyond 5G 推進コンソーシアム」が公表した白書では、6Gに求められる技術的な要件を日本が世界に発信すべくまとめたものが示されています。ここに記載されたものを含め、6Gの技術的特徴には以下のようなものがあります。

100Gbps超えの超高速通信

やはり6Gと言えば、一番に注目されるのは通信速度でしょう。6Gの通信速度は、最大で100Gbpsを超えます。100Gbpsがどのような速度かというと、1秒間に100,000,000,000ビットのデータを伝送できる速度です。旧世代の最大通信速度と比較すると、4Gのおよそ100倍、5Gのおよそ10倍の速度になります。

超低遅延と超高信頼通信による信頼できるネットワーク

通信には遅延がつきものです。遅延とはタイムラグのことで、送信元の端末で送信したデータが、受信端末に届くまでにかかる時間のことです。6Gではタイムラグを極限まで減らし、5Gの10分の1という超低遅延を目指します。

また、生活に不可欠な用途や命に関わる用途に通信を利用するとなると、通信障害が発生しづらいという信頼性が重要な要件となります。そこで、6Gで求められる超高信頼通信は、5Gよりも1桁厳しい、信頼度99.99999%が目標値となっています。これが実現すれば、例えば手術用ロボットを遠隔操作するなど、よりミッションクリティカルな用途で通信システムを利用できるようになるでしょう。

超カバレッジ拡張と超多接続・センシング

超カバレッジ拡張とは、現在地球上に数多く存在する、電波が届かないために通信が不可能になっている場所をなくすことに加え、海上や空、宇宙空間に至るまで、電波の届く範囲を拡張して通信可能エリアにしていくことを指します。これにより、地球上で通信できない場所がなくなり、宇宙空間に飛び出しても通信できるようになるでしょう。

また、超多接続・センシングとは、5Gの約10倍にのぼる数のセンサーや機器がインターネットに同時接続できるようになり、通信ネットワーク自体が電波で測位などを行うセンシング機能を兼ね備えるようになることです。これによって、IoTのさらなる進化と社会への浸透が期待されます。

コストと消費電力を削減

6Gでは、以上のような高いスペックを満たすと同時に、持続可能な社会を実現しなければならないという要請から、地球環境に配慮し、超低消費電力かつ低コストが求められています。また、通信設備やIoT機器の爆発的な増加が見込まれることから、端末への充電が不要となるようなバッテリー技術の進化も欠かせません。

6Gで何ができるようになるのか

技術的要件をクリアし6Gが実現すると、一体何ができるようになるのでしょうか。代表的なものとしては、徹底したデータ社会化やSDGsの実現などが挙げられます。

徹底したデータ社会化

6Gが実現すると、社会全体のデジタル化やデータ化が加速します。超カバレッジ拡張によって、地球上のあらゆる場所や宇宙空間でデータの送受信が可能になり、超多接続・センシングによって、地球上のありとあらゆるデータが収集されるようになるでしょう。

データ化が浸透することで、世界全体がデータ社会となり、世界中の膨大な情報が利用できるようになります。しかし、その一方で膨大な情報への対応が、個人や企業に対して求められるようにもなるでしょう。

SDGsの実現と社会問題の解決

6Gによって、現在課題となっているSDGsの実現や社会問題の解決が期待されます。超高速通信や超低遅延・超高信頼通信によって、住む場所を選ばずに完全なリモートワークが可能になり、人々の働き方が本質的に変容するでしょう。

また、変容するのは働き方だけでなく、教育や医療もリモートで行うことが普通になり、車やドローンの自動運転やロボットの遠隔操作も当たり前になって、工場や店舗の無人化も実現するでしょう。そして6Gが目指す、コストと消費電力の削減によって、地球レベルでの資源やエネルギー利用の最適化にもつなげられます。

仮想社会と現実社会の融合

6Gによって、現実と仮想という2つの世界でデータが共有され、仮想社会と現実社会が融合した「Society 5.0」と呼ばれるサイバー社会の実現が期待されます。超高速通信によって、実物とほぼ同じに見えるリアルな3次元立体映像を空間に投影できるようになるでしょう。また、今注目を浴びているメタバースが、6Gによって現実世界と一体化し、世界を根底から変えるイノベーションが創出されるとも言われています。

まとめ

6Gには、超高速通信、超低遅延、超高信頼通信、超カバレッジ拡張、超低消費電力などの要件があり、これらの実現によって、世界を根底から変えるイノベーションの創出が期待されています。こういった時代では企業も対応を求められることになるため、来たる6G時代に備えて今からDXを進めておきたいものです。

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