企業が売り上げを伸ばすために必要なのが、営業活動やその後の売り込み、取引を行う商談です。この過程をいかに成功させるかが、その後の企業の運命を左右するといっても過言ではありません。
顧客となる商談相手の情報をはじめ、それぞれの商談に向けた進捗状況の管理などを行う「商談管理」をどのように行っているでしょうか。商談管理のやり方と抑えておくべきポイント、また、商談管理におすすめのツールもあわせて紹介します。
商談管理とは
商談管理とは、商談を行う前の段階から商談成立に至るまでの過程について、それぞれ情報を記録して管理することをいいます。ここで得たデータを基に、そのほかの商談の進行のサポート、記録、分析を行うことを目的としています。商談に関するあらゆる情報を取りまとめてデータ化することで、商談が成立しそうな手ごたえなど表現が難しい場面も記録しておけるでしょう。それぞれの段階で情報を記録しておけば、どのような場面でどのようなアプローチをかけたのかほかの商談で応用できたり、商談に臨む人以外も施策を練ったりすることも可能です。
商談管理をすると、取引先と商談をしている人だけでなく、そのほかの社員にも情報共有しておくことで、万が一の際の引き継ぎや戦略建てをしやすくなるというメリットがあります。
商談管理の重要性
商談管理は、企業にとって非常に重要です。なぜなら、商談は企業活動の生命線とも呼ぶべきもので、商談での課題をクリアすることは、企業が今後業界を生き抜いていくステップになるからです。
商談を進めるためのプロセスは複雑で、一つとして同じものはありません。顧客によって必要とされる知識、必要とされる情報、提案すべき内容はすべて異なっており、商談が行われるたびに使い分ける必要があります。そのため、商談に関するプロセスや情報はそれぞれ整理をしておく必要があり、その情報をうまく活かして、さらに商談を成立させていきます。
だからこそ、商談で得られた情報や知見は、それ以後の企業活動や商談で活用するため重要です。ただ淡々と商談を成立させても、データを蓄積しなければ知見として役に立ちません。
商談管理のやり方
それでは、ここからは商談管理の具体的なやり方について紹介します。商談管理のやり方について、ビジネスシーンで誰もが使ったことのあるツールを用いた方法やソフトを用いた方法の2通りの方法を見てみましょう。
Excelを用いた商談管理
まずは、Excel(エクセル)を用いた商談管理のやり方についてです。初歩的な商談管理であれば、Excelでも簡単にできるのでぜひチャレンジしてみましょう。
Excelによる簡単な作成例を紹介します。
- 会社名
- 進捗状況
- 最新の日付
- 行ったアクション
- 担当者名
- 資料のリンク
- メモや気づきなどの記入欄
これらをテンプレート化して商談管理表を作成します。アクションの部分には「ヒアリング」や「商品紹介」など、先方に対してどのようなアクションを行ったかを記入します。メモ欄には、商談を行った際の手ごたえや感想、気づきなどを自由に入力しておきます。些細なことでもメモしておくと、あとで商談の役に立ったということもあるでしょう。
商談に際して用いた資料があれば、その資料もメモしておきます。ネット上にあるものであれば、リンクを貼っておくと資料を見返す際にいちいち探す手間が省けます。
Excelにあらかじめ搭載されているテンプレートを用いて作成すると手間も半減します。
ただし、Excelでは情報の活用には限界があることを頭においておきましょう。
SFAを用いた商談管理
次に紹介するのが、SFAを用いた商談管理です。SFAとは「Sales Force Automation(セールス・フォース・オートメーション)」の略で、営業の自動化という意味です。
営業活動にかかる工程を自動化し、効率良く業務を進めていけるようにする「営業サポートシステム」のことを指します。SFAは営業が本来行う業務を自動化するために用いられるシステムや仕組みの名前です。
SFAを用いると、顧客やスケジュールなどさまざまな情報を横断的に管理・支援することができ、最初からフォーマットが固まっているために導入しやすいメリットがあります。Excelと同様に集まった情報を見やすく管理することはできますが、Excelだとそのデータをさらに活用することは難しくなります。
しかし、SFAであれば蓄積した商談管理情報を活用しやすいというメリットがあります。
SFAでできるのは、顧客社名や担当者名、これまでに行ってきた商談内容の履歴などを記録する顧客管理機能をはじめ、現在の商談の進み具合の管理などです。商談管理に必要となるさまざまな機能を利用できます。
商談管理のポイント
それでは、ここまでを踏まえて商談管理を行ううえで重要なポイントについて詳しく解説していきます。商談管理を行うために気をつけておきたいこと、商談管理の際に企業としてやっておきたいことなどを、まとめて見てみましょう。属人化からの脱却
商談の情報は、属人化を避けるように気をつけましょう。具体的な例として、営業ノウハウや商談に関する情報を担当者が独占しがちなことです。商談を取り付けてきた営業担当者と、その後引き継ぎをして商談を進める担当者が異なる場合、必要な情報がうまく共有されていなかったり、情報の中に営業担当者の主観が入ったりしやすくなるため、客観的な情報活用が難しくなります。
もちろん主観的な情報が役立つこともありますが、情報の引き継ぎはあくまで客観的に、そして必要だと思われる情報は出し惜しみしたり独占したりすることなく、丁寧に引き継いで共有することが大切です。
そのためにも、ExcelやSFAなどのツールを用いて、商談情報を客観的に落とし込んで、円滑に可視化・共有化すべきでしょう。社内での業績争いなどの理由もありますが、営業にかかるノウハウや情報共有など、商談を成立させて企業として生き残るためには、社内での横断的な情報共有が必須です。
データの一元管理
次に、データの一元管理について紹介します。商談管理は対象となるデータが非常に幅広く、管理をするのが大変な面もあります。例えば、顧客名(社名)、担当者、案件の内容、スケジュール、売り上げなどが挙げられますが、これはまだほんの一部です。そのほかにも、商談を進める担当者が気づいたことも含めるとその情報量は膨大になることもあります。
このようなデータが社内のあちこちに散在していては、今後の商談に活かすなど活用が難しくなります。そのため、会社のほかの経営資源情報とともに連携が必要です。部署関係なく横断的な情報共有を進めるとともに、上述のように特定の担当者のみが情報を独占することがないよう、商談管理の仕組みを整えていく必要があるでしょう。
また、営業スタッフが利用するクラウドツールなども商談管理の連携対象と考えます。あらゆる情報を一元的に管理・共有することで、会社内の透明性もアップし、社員全体で情報共有が可能になります。
業務効率化と省力化
最後に、商談管理を業務効率化につなげることを検討しましょう。日本では働き手となる人口減少により、慢性的な人手不足が懸念されています。営業、事務、経理など複数の部署を設けている企業の場合、各部署の人員が少しでもかけると、商談にも大きな影響が及ぶ可能性があるでしょう。
その影響によるリスクを避けるためにも、まずは業務効率化を図り、省力化に努めましょう。
商談管理にかける時間を削減することで、プレゼンの内容を充実させ、さらに広く営業活動を展開していくなど、本質的な仕事に集中することへつながります。
商談管理のための労力は、今回紹介したExcelやSFAなどのツールを用いて最小限にし、業務全体の効率化やスピードアップを実現しましょう。
まとめ
業務の効率化を図るためにさまざまなツールがありますが、その中でも商談管理のための情報共有を行うなら「Dynamics 365」がおすすめです。商談管理のための情報は複雑で多く、他部署との連携をとるためにも、Excelでの管理ではなくツールを用いた管理を選ぶとよいでしょう。
各商談の進捗をわかりやすく把握できるだけで、商談管理をはじめとする作業効率は大きく変わります。そのほか、社内で導入されている既存システムとの連携も図りながら、活用してみましょう。