生産性向上について検討していると、ペーパーレス化について語られることが多いです。その際、帳票OCRの導入を検討した方も多いのではないでしょうか。しかし実際にどんなことができるのかがわからないと、なかなか踏み込めません。そこでこの記事では、帳票OCRについて紹介していきます。概要だけでなく、メリットや便利なツールについても解説しています。ぜひ参考にしてください。
帳票OCRとは?何ができるのか
帳票OCRは、様々なデータを電子データまたは文字コードに変換できるソフトのことです。例えば紙に書かれている活字をスキャンすると、情報を読み取って電子化してくれます。これは他にも手書き文字やバーコード、QRコードなども対象になります。
では、帳票OCRを活用するとどんなことができるのでしょうか。ここからは、3つの効果を紹介します。
紙帳票の保管・管理の効率化
1つ目の効果は、紙帳票の保管や管理の効率化です。複合機やスキャナーと連動させて、文書を画像やPDFで取り込みます。すると紙帳票の情報が電子化され、ソフトウェア上のコンテンツとして取り込むことができます。紙で管理していた分スペースを削減でき、また検索もスムーズになります。
データの一元管理
2つ目の効果は、データの一元管理ができることです。情報を電子化すると、一箇所でまとめやすく、データを取り出す際も便利です。また、社内で規定されているフォーマットを作成することや、あらかじめ用意されているテンプレートを使用することで、公的書類の作成ができます。
データ出力・転送
そして3つ目の効果は、データ出力や転送ができることです。紙帳票の情報を取り込むと、CSV形式などでデータベース化できます。これらはExcel・Word・PDFといった別形式への出力や、データベースから抽出した項目を社内で使用しているソフトへ転送することもできます。そのため、紙の情報を手入力するリソースを大きく削減できます。
生産性向上と帳票OCRの関係性
帳票OCRは、どのように生産性向上に貢献するのでしょうか。その一つに、ペーパーレス化があります。ここからは、ペーパーレス化への対応や手順、そして国内企業事例について解説していきましょう。
ペーパーレス移行への対応
昨今の潮流ではペーパーレスへの移行が一般的になっています。帳票OCRを導入すると、ペーパーレス移行への対応がスムーズになります。社内にあるスキャナーを使ってPDF化し、それを電子データとして管理することは可能です。しかしスキャナーを独占してしまうことで他の業務に支障が出る、リソースを確保しなければならないというデメリットが発生します。そんな場合に帳票OCRは有効です。
社内でペーパーレス化を進める手順とは
根本的な解決策として無駄な帳票がないか確認することが重要です。そして関係者の協力や理解を得ながら標準化を進めていきます。
社内でペーパーレス化を進める手順は以下の通りです。
- ペーパーレス化に必要なツールを決める
- ワークフローを決定する
- 運用を始める
- PDCAサイクルを回しながら改善していく
その際ワークフローの決定がポイントになります。まずは社内のワークフローに電子承認制度など仕組みを作りましょう。これまで行われてきた書類での承認フローでは、書類そのものを回し、押印によって承認を行っていました。しかし電子化により、フローそのものが変わっていきます。
そこでまずはハンコ文化を見直し、ITリテラシーを高める組織文化へと醸成していきましょう。一度紙やハンコの文化を会社全体で見直すことで、それ以降に確立されるワークフローも電子化を考慮したものになっていきます。アナログでの管理体制が根強い会社は、社員全員に告知することや便利なツールを共有することが大切です。
ペーパーレス化の国内企業事例
小径エンドミルの先端企業として知られる日進工具株式会社では、なかなか電子化が進まなかった事務作業についてペーパーレス化を図りました。基幹業務システムといったシステム周りのクラウド化は進んでいたものの、事務作業で使われる紙の文書はまだまだ多い状態だったのです。そこで変則的な業務にも対応できるアプリケーションを内製し、紙文書からの脱却を実現しました。
帳票OCRなら「Microsoft Power Platform」がおすすめの理由
帳票OCRでは、「Microsoft Power Platform」というツールをおすすめします。紙を使用する業務自体を電子化し、さらに一元管理も可能にします。そんなMicrosoft Power Platformをおすすめする理由は、以下の通りです。
- 知識不要で直感的に操作できる
- テンプレートを利用できる
- 他サービスと連携が可能
1つ目の理由は、知識不要で直感的に操作できるからです。エンジニア以外の方が簡単に操作できるようにデザインされているので誰でも簡単に始められます。
2つ目の理由は、テンプレートを利用できるからです。一般的にはツールを導入するとワークフローの形成が難しくなることもあります。しかしこのツールには複数テンプレートが用意されているので、用途に合わせて利用できます。これらを活用することで、ワークフローの自動化も可能になります。
そして3つ目の理由は、他サービスと連携が可能だからです。SlackのようなコミュニケーションツールやGitHubのようなエンジニア向けのツール、そしてSalesforceのようなビジネスツールなど、様々な外部サービスを利用できます。そのため、業務改善にも繋がるでしょう。
先にご紹介した日進工具株式会社でも、ペーパーレス化へ移行するためにMicrosoft Power Platformを導入しました。帳票の様式が顧客ごとに異なっていたり、業務に変則的な部分があったりと様々な課題がありましたが、そうした変則的な業務にも対応可能なアプリケーションを内製することで業務改善を行ったのです。
まとめ
帳票OCRは様々なデータを電子データまたは文字コードに変換できるソフトで、紙帳票の保管・管理の効率化やデータの一元管理、データ出力・転送に役立ちます。
帳票OCRなら「Microsoft Power Platform」がおすすめです。知識不要でアプリ作成が可能なPower Appsなど、多様なプラットホームが業務改善をサポートしてくれます。また、外部サービスとの連携も可能です。ペーパーレス化を検討している方は、ぜひ導入してみてください。