FAQサイトの導入により、業務効率化や顧客満足度の向上といった効果を期待できます。ただ、成果につなげるには、FAQサイトを正しく作成し運用しなければなりません。
本記事では、FAQサイトの概要や得られるメリット、作成におけるポイントなどについて解説します。導入を検討している企業経営者や担当者は、ぜひ参考にしてください。
FAQサイトとは?
まずは、FAQサイトに関する基本的な情報を押さえておきましょう。以下、FAQサイトの概要や浸透している背景、よく聞くQ&Aサイトとの違いなどについて解説します。
FAQサイトの概要
FAQサイトとは、Frequently Asked Questionsの略で、問い合わせ頻度の高い質問と回答を整理したサイトです。社内用と社外用があり、前者は組織に属する従業員を、後者は顧客を対象にしています。
FAQサイトにアクセスしたユーザーは、キーワードやカテゴリー、シーンなどから解決したい課題と回答を探せます。そのため、アクセスユーザーは求める情報をスピーディーに取得でき、運営側は対応業務の負担軽減、時間短縮を実現できます。
FAQサイト浸透の背景
FAQサイトが浸透した背景として、電化製品の多機能化や高機能化が挙げられます。多機能化や高機能化により、取扱説明書のボリュームが大きくなったことで、ユーザーは知りたい情報をスピーディーに取得するのが難しくなりました。
このような背景から、ユーザーが知りたい情報を速やかに見つけ、課題を解決できるようFAQサイトが浸透したのです。また、紙のマニュアルよりもオンラインで知りたいことをすぐに調べられる、電子マニュアルが業務効率化につながることもFAQが浸透した理由といえるでしょう。
あわせてよく聞くQ&Aとの違い
FAQとQ&Aサイトは、基本的に同じ意味です。Q&AはQuestion and answerの略であり、直訳すると質問と回答です。FAQがよくある質問と回答をまとめてあるのに対し、Q&Aは幅広い質問内容と回答を網羅しています。
FAQサイト作成のメリット4点
FAQサイトの作成で得られるメリットとして、顧客満足度の向上や問い合わせ件数削減、マーケティング活用、業務負担軽減などが挙げられます。詳しく見ていきましょう。
顧客満足度の向上
FAQサイトの運用により、顧客は自ら解決したい課題の答えを見つけられます。わざわざ問い合わせ窓口に連絡する必要がなく、都合のよいタイミングで求める情報を取得できるため、顧客満足度の向上につながります。
また、FAQサイトであれば、画像や動画などのコンテンツを用いた回答が可能です。口頭では説明が難しい内容でも、画像や動画コンテンツを掲載することで顧客はスムーズに理解できます。回答内容も統一できるため、担当者によって答えが違うといったことが起きずクレームの軽減にもつながります。
問い合わせ件数の削減
FAQサイトを構築すれば、ユーザーは知りたい情報を自ら見つけられるため、問い合わせの件数が減ります。対応に割く時間が少なくなれば、従来より少ない人員で業務を遂行できるようになり、コスト削減にもつながります。
問い合わせが少なくなり、対応時間を削減できれば従業員がコア業務に注力できるようになるのもメリットです。利益に直結する業務に人的資源を投入でき、利益拡大につながります。
マーケティングでの活用
FAQサイトの閲覧履歴を分析すれば、どのページがよく見られているのか把握できます。アクセスの多いページは、それだけユーザーの関心が高いと考えられるため、そこから課題の抽出や改善策の立案が可能です。
たとえば、商品の操作に関するページがよく見られているのなら、商品そのものの操作性に何らかの問題があるのかもしれません。このような事実を分析から把握できれば、商品の操作性を改善する、よりわかりやすい説明書に刷新するといった施策を講じられます。
業務負担削減と属人化の防止
FAQサイトを構築すれば、問い合わせ件数を削減できるため従業員の業務負担を軽減できます。また、社内FAQを構築していれば、顧客から難度の高い問い合わせがあったときも模範的な回答を速やかに見つけられ、スムーズに回答できます。
業務の属人化を防止できるのもメリットといえるでしょう。ナレッジを蓄積した社内FAQであれば、すべての従業員がベテランの知識やノウハウを閲覧でき、業務の標準化が進みます。
FAQサイトの作成ポイントを解説
FAQサイトは、行き当たりばったりで作成しても成果につながりません。以下、成果につながるFAQサイトを構築するために大切なポイントをピックアップしました。
必要な材料を収集する
まずは、過去の問い合わせ内容を洗い出すことからスタートです。コールセンターや問い合わせ窓口に寄せられた質問の中から、特に頻度の多いものをピックアップしていきましょう。社内FAQであれば、ヘルプデスクに寄せられた頻度の高い質問を洗い出します。
また、今後質問されそうな事項があるのなら、それもFAQの材料としてピックアップしておくとよいでしょう。
収集内容を分析し整理する
洗い出した質問をもとに整理するプロセスです。洗い出したよくある質問を、そのまま公開しても使いにくいFAQになってしまいます。ユーザーが知りたい情報へスピーディーにアクセスできるよう、シーンやカテゴリーなどで整理していきましょう。
頻度の高い質問を中心に公開することで、業務効率化の即効性が期待できます。頻度の高い質問はアクセスが多いと考えられるため、適切に反映させることで顧客満足度の向上にもつながるでしょう。
収集した質問に回答を紐づける
質問に対する回答を考え、紐づけていくプロセスです。ひとつの回答でユーザーの悩みを完全に解決できればよいのですが、そうならないケースも少なくありません。このような課題を解決するため、回答を補足するページや関連する質問と回答へのリンクなどを設置します。
回答への適切な紐づけができれば、ユーザーのサイト滞在時間が増えます。そこから自社商品やサービスに興味をもってもらえ、購入や成約につながる可能性もあるのです。
FAQシステムを選定する
FAQサイトは、オープンソースや無料で自作できるツールなどがありますが、基本的には有料ツールの利用がおすすめです。有料システムは豊富なテンプレートを用意したものもあり、容易にFAQサイトの構築が可能です。
システム選びの際には、機能性や操作性、費用など総合的に検討して決めましょう。自社に合ったシステムを導入し、適切に運用を続けることで成果につながります。
なお、Dynamics 365 Customer ServiceにはFAQナレッジ機能をはじめ、問い合わせ業務の効率化に役立つ機能が多々実装されています。
FAQサイト作成時の注意点
FAQサイト構築時には、利用者にとって分かりやすい場所へ設置することが大切です。コンテンツが充実していても、ユーザーが見つけにくい場所に設置していては利用してもらえません。
質問の数にこだわりすぎるのもNGです。Q&Aではないため、頻度の高い質問と回答に絞りましょう。また、情報を常に更新し続けることも大切です。古い情報がそのまま残ってしまうと、ユーザーが課題を解決できないおそれがあります。定期的なメンテナンスとアップデートを心がけてください。
具体的にどのようなFAQを構築すればよいのかわからないのなら、他社の事例やインターネット上のサンプルなどをチェックするのもよいでしょう。
まとめ
FAQサイトの構築により、問い合わせ業務の効率化や顧客満足度の向上を実現でき、コスト削減にもつながります。作成時には、よくある質問を洗い出したうえで整理し、ユーザーが課題を解決できるよう適切に質問と回答を紐づけていきましょう。
スムーズにFAQサイトを構築したいのなら、ツールやシステムの導入がおすすめです。Microsoft社のMicrosoft Dynamics 365 Customer Serviceであれば、FAQナレッジ機能のほか、問い合わせ対応の効率化や顧客満足度向上に役立つ機能が実装されています。この機会に導入を検討してみてはいかがでしょうか。