業務を遂行するなかで、頻繁に行われることが書類などの受け渡しです。従来は紙媒体で行われていましたが、近年はデータで受け渡しをすることも多くなりました。データの受け渡しにおいて、とくに活用されているのが「EDI」です。
本記事では、EDIとはなにか仕組みや2024年問題、導入メリットについてわかりやすく解説します。組織のDX推進とEDIの関係についてもご紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。
EDIとは
EDIとは「Electronic Data Interchange」の略であり、日本語訳すると「電子データ交換」という意味を持つシステムのことです。
その意味のとおり、社内や企業間で電子データを受け渡しする際に用いられます。
通常、社内や企業間でデータを受け渡す場合は、メールをはじめFAXや郵送などの方法で
受け渡しを行います。
しかし、データ受け渡しに多くの方法があると、業務が煩雑になる恐れがあるでしょう。
EDIとは、このような煩雑なデータの受け渡しを一本化するシステムです。
EDIの仕組み
EDIとは、専用の通信回線を用いて電子データを受け渡しするシステムです。
専用のプロトコルやフォーマットなど、さまざまな規格のうえで通信が行われています。
そのため、他社と電子データの受け渡しを行う場合は、事前に規格を取り決めて置かなければいけません。とくに、通信方法やデータ形式、文字コードなどは、使用するシステムによって異なります。そのため、異なるシステムでデータを受け渡すには、これらの取り決めは必要不可欠です。
EDIの種類
EDIは、その運用方法や細かな規格により、下記4つの種類に分けられます。
- 個別EDI
- 標準EDI
- 全銀EDI
- Web-EDI
それぞれのEDIによって取り決める規格が違うため、自社の運用目的にあったEDIを選ぶことが大切です。それぞれの特徴について詳しく解説します。
個別EDI
個別EDIとは、企業ごとに規格を取り決めて受け渡しを行うEDIのことです。
通信プロトコルやフォーマットを企業ごとに取り決めるため、それぞれの仕様にマッチした受け渡し環境を構築できます。
しかしその一方で、同じ環境を横展開できないため、企業ごとにEDIの環境を構築しなければいけません。
そのため、電子データの受け渡しを行う企業が少ない場合に使用することがおすすめです。
標準EDI
標準EDIとは、通信プロトコルやフォーマットなどを標準化したEDIのことです。
個別EDIとは違い、規格を標準化することで複数の企業で同一のEDIを使用できます。
自社データを標準の規格に合わせることで、どのようなシステムとも連携することが特徴。
標準EDIには「流通BMS」や「中小企業EDI」をはじめ、業界や用途によってさまざまなシステムが提供されています。
全銀EDI
全銀EDIとは、企業間の振込処理においてデータを受け渡しするEDIのことです。
全銀EDIを使用することで、振込時に振込元の「支払通知番号」や「請求書番号」などの情報が、振込先に送信されます。
データ形式の違いによって、ほかのEDIに比べて添付できる情報量が多いのが特徴。
取引情報を効率的に受け渡しできるため、売掛金の消込作業などの業務を効率的に行えるようになるでしょう。
Web-EDI
Web-EDIとは、インターネット回線によって受け渡しを行うEDIのことです。
システムそのものはウェブサーバー上に設置され、ユーザーはウェブブラウザから電子データの受け渡しを行います。
現在提供されているWeb-EDIはクラウド型が多いため、専用の環境を構築せずに簡単に導入できるでしょう。システムがクラウド上にあることから、データ通信速度が速いことも特徴です。
EDIの2024年問題とは
一般的に広く普及してきたEDIですが、2024年問題により環境が大きく変化する恐れがあります。
2024年問題の原因は、Web-EDIを除く従来のEDIで使用されているISDN回線サービス「INSネット」のデジタルモードが終了することをいいます。
INSネットは、NTT東西が長年提供してきたサービスです。
しかし、公衆交換電話網の設備が2025年頃に維持限界を迎えてしまうことでIP網への移行が予定されており、従来のEDIの通信方法が使用できなくなってしまいます。
ISDN回線を使用するEDIは広く普及しており、多くの企業で決済・受発注業務をはじめとした業務に悪影響が発生する可能性があるでしょう。
EDIの対応策
2024年問題は、企業として対応しなければいけない課題です。対応策として、まずは自社における課題を特定することが先決でしょう。
これから導入を考えている場合は、影響のない回線サービスを使用したEDIを導入する必要があります。また導入している場合は、それが2024年問題に関連しているかを確認しなければいけません。もし、関連している場合、システムの点検や見直しを行い、余裕をもってシステム移行を実施することが大切です。
EDIを導入するメリット
EDIの導入には、さまざまなメリットがあります。
ここでは、下記3つの代表的なメリットをご紹介します。
- 作業効率の向上
- コストの削減
- 入力ミスの低減
それぞれ、詳しく見ていきましょう。
作業効率が上がる
電子データを直接受け渡すEDIでは、紙媒体では行わなければいけなかった送付作業などが必要ありません。受け取る側も即座に受け取って次の処理を行えるため、待ち時間などが発生せず作業効率が向上します。
コストを削減できる
EDIでは、書類の作成や送付作業が必要ありません。また、紙媒体が必要なくなるため、ペーパーレス化を実現できます。そのため、書類作成や送付作業の人件費や、用紙代などのコストを削減することができます。
入力ミスを減らせる
データをすべて電子化することで、それにともなうデータの入力作業などを自動で行うことができます。これにより、入力ミスや見間違いといった人的ミスを低減できます。
また、情報の管理も行えるため、データの間違いなども起こらないようになるでしょう。
EDIで実現する組織のDX推進
EDIで効果を発揮できる活動領域として、受発注管理、3PL、VMI、マスターデータなどがあります。上記で挙げた領域において、おもに下記のような作業を効率化できるでしょう。
- バックオフィス業務の効率化
- ペーパーレス化推進により文書管理コストの削減、一元管理
- 誤入力による人的ミスの防止
- 在庫管理や需要予測、供給の最適化
このようにバックオフィス業務において特に生産性向上が期待できます。
さらに詳細を知りたい方は資料ダウンロードからケーススタディを確認することができます。
是非ご活用ください。
まとめ
ここまでEDIとはなにか、その種類や特徴・メリットについて解説しました。
EDIとは、電子データを効率よく受け渡すことができるシステムのこと。
さまざまな種類があり、それぞれに異なる特徴があるため、自社の環境にマッチしたEDIを選択することが大切です。EDIには多くのメリットがあり、組織のDXを推進することにも役立ちます。
しかし、2024年問題によってその環境を大きく変化させることに注意しておかなければいけません。
その際に、受発注、3PL、VMI、マスターデータなどを扱う業務と連携できるERPを導入しておくことで業務効率化を実現できるでしょう。