企業がより効率的に業務を行ううえで、デジタル化は欠かせない大切な要素です。一方で、名前は聞いたことあるけれど、デジタル化に関する具体的な内容を理解していないという人も多いのではないでしょうか。本記事では、企業がデジタル化を行うことで得られるメリットや、デジタル化の具体的な進め方についてまとめました。ぜひ、最後までご覧ください。
デジタル化の定義
アナログをデジタルに変えることをデジタル化といいます。また、デジタル化は以下の2種類に分けられます。
1つ目は、デジタル技術を用いて作業効率化を図る「デジタイゼーション」です。デジタイゼーションでは、業務の効率化や合理化を目的に次のような取り組みが行われます。
- マニュアルや請求書などの電子化(ペーパーレス化)
- 会議アプリを利用してのWeb会議やオンライン商談
- RPAなどの専用ツールの活用による既存業務の自動化 など
デジタル化の2つ目の意味は、デジタル技術の活用により、新たなサービスを生み出す「デジタライゼーション」です。デジタライゼーションは、商品力の強化や企業の競争力向上を目的に、サービスや製品などに付加価値を与えることを指します。デジタライゼーションの代表例は、以下の通りです。
- AIやセンサーを利用してのモニタリング
- CDやDVDをサブスクリプションサービスにて提供 など
デジタル化とDXの違い
デジタル化と似た言葉でDXという言葉があります。DXとは、デジタル化によって社会に影響を生み出すことをいいます。経済産業省はDXを以下のように定義しています。
「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。」
つまり、デジタル化(デジタイゼーション、デジタライゼーション)は、あくまでもDXの前段階にあたるものだということです。DXの具体例として、カメラに関する事例が挙げられます。写真をデータとして送受信できるサービスが誕生したことで、世界中の人と写真のシェアが可能になり、そのサービスは社会へ大きな影響を与えました。
デジタル化のメリット・デメリット
企業がデジタル化を行うと、さまざまなメリットが得られます。一方で、デジタル化を実現するまでには、コストや時間がかかる点といったデメリットもあります。ここからは、デジタル化のメリットとデメリットについて、詳しく解説していきます。
デジタル化のメリット
デジタル化には、主に3つのメリットがあります。
1つ目は、情報の共有や保管が容易になることで、業務の効率化が期待できる点です。情報がデジタル化されると、保管場所が不要になります。また、過去の資料や作業履歴を探すにしても、検索することで簡単に見つけられるため、よりスピーディーに情報の共有が行えるでしょう。
2つ目は、社員の生産性向上により、人手不足の解消が期待できる点です。情報の共有が容易になったり、業務の一部が簡略化されたりすることで、人が担当する業務を減らせます。
3つ目は、リモートワークの推進につながる点です。サーバーにアクセスできれば、場所関係なく、閲覧や更新を行えるようになるからです。特に近年は、新型コロナウイルスの影響で在宅勤務の重要性が高まっています。
デジタル化のデメリット
デジタル化によるデメリットとして、以下の3つが挙げられます。
1つ目は、セキュリティ対策が必須になる点です。デジタルのデータは、改ざんやコピーが容易にできてしまいます。万が一、顧客情報などが流出してしまえば、大きな損害につながりかねません。そのため、セキュリティ対策は必要不可欠です。
2つ目は、システムの構築や選定に時間がかかり、そのうえ導入コストも発生する点です。人件費やソフトの購入、設備投資など、デジタル化を実現するには、多くの出費が予想されます。予算が限られている企業にとっては、デメリットといえるでしょう。
3つ目は、デジタル化を推進・活用できる人材が必要になる点です。仮に、業務を変革させるための知識を有する人材がいたとしても、普段の業務と並行して行う場合には、従業員に負担がかかってしまいます。また、知識を有する人材がいない場合には、教育しなくてはならないでしょう。
デジタル化の重要性
新たなデジタル技術を用いた新規参入者が登場してきていることで、ビジネスモデルは従来のものから変わりつつあります。このような影響もあり、各企業は競争力を維持・強化するために、デジタル部門への対応を進める必要があるといえます。
デジタル化の重要性が高まりを見せる中、DXを進めるために各企業はデジタル部門を設置するというような対応をとっています。一方で、デジタル化の実現に向けある程度の投資をしているものの、実際のビジネスを変革するまでには至っていないという企業も少なくありません。
デジタル化の実現が進まないままだと、既存のシステムの老朽化・複雑化・ブラックボックス化が懸念されます。さらにこの状態が続くと、システムの維持・保守コストの増大に加え、セキュリティ面においてもリスクが高まる危険性があるといえるでしょう。
以上のようにデジタル化が進まない場合、数多くの損失が発生する恐れがあるため、各企業がDXの推進を進めていくことが重要だといえます。
デジタル化の事例
ここからはデジタル化の事例として、製造業・金融業・物流業の3つの業界での取り組みを紹介していきます。
製造業でのデジタル化
製造業を行っている企業の中には、少子高齢化の影響により人手不足に陥っている企業も少なくありません。とある企業では、手作業に代わるロボットやセンサーを用いた自動検出機能を導入することで、人手不足解消を実現しています。
金融業でのデジタル化
金融業では顧客への対応を行いながら、膨大な事務作業をこなしていく必要があります。とある企業では、帳簿を自動読み取りできるツールや電子契約システムを導入することで事務処理を簡略化させることを実現しています。
物流業でのデジタル化
配達を行う際にあらかじめルートが決められていたとしても、渋滞や事故が起きてしまうと配達に影響が出てしまうことは、物流業全体の課題といえるでしょう。とある企業では、AIを導入したことで、その日の状況に適した最適なルートを設定できるようになり、配達をスムーズに行えるようになりました。
デジタル化の進め方
では、デジタル化はどのように進めていけばよいのでしょうか。具体的な進め方について解説していきます。
現状の把握およびデジタル化の目的
まずは、自社がおかれている状況を把握しましょう。「手間や時間がかかっている作業はないか」といった、具体的な課題を見つける必要があります。課題を認識できたら、デジタル化する目的を明確にして社内で共有しましょう。
デジタル化を実現するためのツール選択
デジタル化の実現にはツールの利用が欠かせません。ツールを選ぶ際は、従業員が使いやすいものを選ぶことが大切です。また、必要に応じてマニュアルを作成するという取り組みも必要になるでしょう。
セキュリティ対策の実施
デジタル化を進めるにあたりセキュリティ対策は、避けては通れないものです。ウイルス対策ソフトの導入といったセキュリティ対策を行い、万全な体制を構築しておくことが重要だといえます。また併せて、社内でセキュリティに関する教育を行うなどして、従業員のセキュリティ意識も高めておきましょう。
デジタル化による効果確認
デジタル化の取り組みを行った後には、その効果を確認する必要があります。まずは、ペーパーレス化というような初歩的なところから始めてみて、効率化が図れているのかをチェックしてみるとよいでしょう。
まとめ
今回はデジタル化について、その定義やメリット、具体的な進め方などを解説しました。デジタル化を実現するためには、コストや時間がかかりますが、その分、数多くのメリットが得られます。業務の合理化や企業の競争力を強化するためにも、DXの推進が重要です。今回紹介した内容を参考にして、まずはできるところからデジタル化を進めていきましょう。