DX化の波が押し寄せるなか、企業のアプリ開発は急を要する業務になりつつあります。しかし、実際には専門性が高い技術者を抱える企業は少なく、頭を抱えている企業も多いのが現実です。アプリ開発には「アプリケーションサーバ」の活用が欠かせません。本記事では概要や仕組み、導入のメリットに加え、アプリ開発におすすめのサービスの紹介をしています。
アプリ開発に必要なアプリケーションサーバ
企業独自にアプリを開発するためには、アプリケーションサーバは必須です。ここでは、アプリケーションサーバの概要や仕組みを解説します。
アプリケーションサーバとは?
アプリケーションサーバとは、Webサーバより受け取った情報を処理するためのモノ。プログラミング言語で構築されたアプリを実行して、動的なコンテンツを生成しています。APサーバと略称されることもあります。
アプリケーションサーバの役割は、WebサーバからのリクエストをJava、Ruby、PHPなどのプログラミング言語を実行して処理し、結果を返却することです。Webサーバから受け取ったリクエストによってはデータベースにアクセスしてデータをリクエストし、抽出や加工処理を行います。
アプリを構築するハードウェアではなく、アプリへのリクエストを処理する「ミドルウェア」と呼ばれるソフトウェアです。オペレーションシステム(OS)とアプリソフトの間の層で処理を担っています。アプリケーションサーバの代表的な種類としてTomcat(Java)・Apache (PHP)・Unicorn(Ruby)などがあります。
アプリケーションサーバの仕組み
Webサイトでは、利用者のリクエストを3層のサーバで処理しています。Webサーバがリクエストを受け取り、アプリケーションサーバが処理し、必要に応じてアプリケーションサーバが、データベースサーバにアクセスして、データのリクエストをします。
Webサーバ・アプリケーションサーバ・データベースサーバの3層構成は「3階層システム」や「Web層構成」とも呼ばれ、クライアントソフトとしてWebブラウザを支えています。
Webサイトの構成要素であるアプリケーションサーバは、Webサーバから送られる大量のリクエストを処理する役割があります。具体的には、Webサーバから受け取ったリクエスト内容に応じて、Java、Ruby、PHPなどのプログラミング言語を使用し処理を実行します。その際に、データベースにある固有のデータを必要とする場合は、データベースサーバにリクエストを行い、受け取ったデータを抽出・加工しています。
主な役割は、WebブラウザとWebサーバとのアクセス管理、データベース接続のコネクト機能・トランザクション管理・セキュリティ管理・ユーザー認証などがあります。企業内の業務システムや企業外の電子商取引、ECサイトの発注システムなどの動的な処理が多いWebサイトで活用されるものです。
Webサーバとの違い
Webサーバとアプリケーションサーバの違いはそれぞれの役割です。Webサーバが静的なコンテンツを処理する役割があるのに対し、アプリケーションサーバは動的なコンテンツを処理する役割があります。
Webサーバの機能
Webサーバは、フロントエイドにありユーザーと直接やり取りを担うサーバです。パソコンやスマートフォンといった端末から送られたリクエストに対して、HTML、CSS、JavaScriptなどの情報を返す役割を持ったソフトウェアのことを指します。リクエストを受け取ると、アプリケーションサーバに内容を伝え、処理が終わるとアプリケーションサーバから結果を受け取り、ブラウザに表示します。
リクエストの内容が、商品情報のようなテキスト情報だけの静的なページか、タグで絞ったような動的なページとで処理方法は異なります。テキスト情報だけのページは、Webサーバ単体でそのまま静的データであるHTMLやCSS、画像データを送ります。タグで絞ったような動的なページは、アプリケーションサーバへ処理のリクエストを実行しています。
よく利用されるWebサーバは、オープンソースのApache HTTP Server(Apach)・Nginx・IISなどがあります。
アプリケーションサーバの機能
アプリケーションサーバには、Webサーバから受けたリクエストを各プログラミング言語の実行で処理し、動的なコンテンツを生成する役割があります。動的なコンテンツとは、PHP、Java、Ruby(Ruby on Rails)、Pythonなどのサーバサイド言語で生成されたプログラムを指しています。例えば、大概のホームページで問い合わせフォームが設置されています。問い合わせ上で必要な項目を入力し送信すると、受付完了メールが自動で配信されます。このようにプログラミングによって、機械的に配信される仕組みも自動コンテンツの一種です。
基本的にアプリケーションサーバは、単体で利用されることはありません。Webサーバが司令塔になり、動的な処理が必要な場合にはアプリケーションサーバに対してリクエストを行い、返ってきた結果をWeb上に送信する仕組みです。
アプリケーションサーバを利用するメリット
アプリケーションサーバには、データベースへのアクセス制御、セキュリティ管理、ユーザー認証処理などの動的な処理機能が搭載されています。そのため、Webサイトを構築するには必要不可欠なソフトウェアといえます。
アプリ開発のコストを削減できる
アプリ開発に必要な機能が搭載されているモノを利用すれば、開発工数を削減でき、コストを抑えられます。もしアプリケーションサーバを導入しない場合、搭載されている機能を1から作り込みを行うことで時間を取られ、想定した納期に間に合わないことも考えられます。
開発後のメンテナンスやアップデートが容易に行える
メンテナンスやアップデートを行う際、都度新たなシステムをインストールする必要がなく、インターネットに接続するだけで継続してシステムを利用できます。アプリケーションサーバを導入していれば、新しいハードウェアに交換してもアプリケーションサーバと各アプリケーションをセットアップするだけで、システムの再稼働も時間がかかりません。
サーバの負荷を分散できる
3層構造なので情報処理に渋滞が起きにくく、サーバの負荷が軽減できるとともに迅速な処理ができるのもメリットです。サーバ1台あたりの負荷を減らすことでパフォーマンスの向上やレスポンススピードの向上が期待でき、効率よく処理を実行できます。また、サーバを分散させることで故障しにくく、万が一故障した場合でも故障範囲を容易に測定し、サーバの取り換えが簡単にできるという点もポイントです。
セキュリティが強固である
分散処理を行うことで、それぞれのサーバ間にセキュリティ製品を設置できます。そのため、よりセキュリティを強固にできるのです。1台のサーバコンピュータにシステムが集約されていると、データベースにクライアントは直接アクセスできる環境です。クライアントPC自体が乗っ取られると、必要な情報を抜き取られるリスクが高まります。
PowerAppsでコストを掛けずにアプリ開発
従来のアプリ開発・運用はセットアップ関連が大変だったものの、最近はクラウド環境やローコード開発の技術が進歩しDXの波が押し寄せています。そのような流れの中で、企業独自のアプリ開発は、もはや急務の業務といえるでしょう。
しかし、ゼロからのアプリ開発は新たな人材確保や研修制度コスト、また開発までの時間ロスを考え現実的ではありません。そのような悩みはPowerAppsが解決してくれます。PowerAppsを使用すればプログラミングに詳しくなくてもアプリが開発できるのです。
PowerAppsとは、Microsoftが提供しているWebアプリ作成プラットフォームサービスです。ローコードのアプリを誰でもすばやく構築して共有できるアプリ作成ツールです。単体契約かMicrosoft 365、もしくはOffice 365と契約することで利用できます。
PowerAppsを導入すれば、プログラミングの知識を付ける時間的コスト、研修コスト、教育コストの削減が期待できます。時間的コストとは、開発チームがアプリを開発するまで待たずに誰でもアプリを作成できるという点です。加えて、新しい開発者を雇う必要もなく、従業員を研修する必要もないため、研修コストや採用コストも抑えられます。技術やプログラミングの高い専門性がない組織の従業員でもアプリの開発ができるのです。さらにセキュリティ面も安心して開発ができます。利用部門が自らアプリを開発するため、外部に漏れる心配もありません。
このように、PowerAppsを導入することで、時間やコストを節約して企業の効率と生産性の改善につながります。その分カスタマーエクスペリエンスや自動化アプリなどに集中でき、企業パフォーマンスがあがります。
まとめ
アプリ開発にはアプリケーションサーバは欠かせません。アプリケーションサーバを活用することで、コストの削減やメンテナンスや故障時の対応のしやすさ、パフォーマンスの向上やセキュリティの担保につながります。しかし、実際には導入まで人材確保やコスト、時間的ロスを考え、アプリ開発のスケジュールが停滞しやすいのが現実です。
PowerAppsは、アプリを開発する手法がなくても簡単にアプリを作成でき、プログラミングに高い専門性のない従業員も開発の担当になれます。アプリ開発をすぐにでも実施したい企業は、導入を検討してはいかがでしょうか。