企業における業務効率化と生産性向上には作業指示書の活用が有効です。もし、現場でミスが頻発している、作業がスムーズに進まないといった問題が発生しているのなら、作業指示書を活用してみませんか。本記事では、作業指示書の概要や目的、書き方などのほか、作成に役立つツールも併せて解説します。
作業指示書とは
製造業や在宅医療サービス事業、施設管理など、作業指示書はさまざまな業種で活用されています。幅広い業種や企業で活用されているのは、得られるメリットが多いにほかなりません。まずは、作業指示書の役割や目的、内容を把握しましょう。
作業指示書の役割と目的
作業指示書とは、作業に関わる従業員がスムーズに仕事を進められるよう作成する文書です。「業務指示書」と呼ばれることもありますが、単に「指示書」と呼ぶケースも少なくありません。
一般的に、作業指示書は手順や取り組みが難しい作業を、従業員にわかりやすく説明するために用いられます。具体的に作業をどう進めるのか、どこでどのような業務を遂行するのかを細かく記載します。
手順や内容が難しい作業の場合、従業員がミスしてしまう可能性があります。また、作業に慣れていない従業員なら、上司へ何度も聞きに行ってしまい、業務効率が低下するといったことも考えられるでしょう。
作業の手順や内容などをわかりやすく記述した指示書があれば、上記のような事態の発生を防げます。従業員は、作業指示書に基づいて黙々と業務に取り組めるため、ミスの発生や作業の遅延を回避できるのです。
また、わかりやすい作業指示書を作成すれば、教育コストの削減にもつながります。大掛かりな研修が不要となり、新人でも即戦力として活躍できるでしょう。
書かれる項目
業種や企業によって、作業指示書に書く内容は異なります。ただ、一般的には以下の項目を設ける傾向があります。
- 作業者名
実際に作業を担当する従業員の名前です。作業者名を記載しないと、誰に向けた内容なのかわかりません。 - 依頼者
作業を依頼してくれた企業や個人の顧客名などが該当します。患者の自宅へ足を運ぶ訪問医療や在宅医療サービスなどでは、訪問先が間違いなく依頼者かどうか確認するために名前を記載する必要があります。 - 依頼者連絡先
依頼者の電話番号やメールアドレスなどが該当します。訪問先に依頼者がいない、作業が完了したなど、連絡が必要になるケースがあるため記載します。 - 作業名
実際に行う作業の名称です。製造業であれば検品、梱包など、建設業であれば足場の架設、基礎工事などが挙げられます。 - 作業期間・作業日
作業を行う日にちや期間を記載します。作業の遅延を招かないよう、明確に記載しなくてはなりません。 - 作業場所
作業を行う場所を記載します。建設業であれば工区、清掃業であればフロアといった具合です。 - 作業内容
実際に行う作業の手順や内容を記載します。読んだ者がきちんと理解できるよう、わかりやすく記載しましょう。 - 作業時間
作業に要する時間を記載します。あらかじめ時間が決められているのならそれを記載し、決まっていないなら作業予定時間を書きます。
作業指示書作成のポイント
作業指示書の作成が目的にならないよう、書き方のポイントを押さえておきましょう。業務効率化や生産性向上を実現するには、以下のポイントを踏まえた指示書の作成が有効です。
必要な項目を漏れなく書く
指示書作成において最も大切なポイントは、誰が読んでも理解できるようにわかりやすく書くことです。また、適切に作業が行えるよう、必要な項目を漏れなく記載することも重要です。
どこで何をするのか、どのように行えばよいのか、何に注意すべきなのかをきちんと記載しましょう。複雑かつ難しい作業であるほど、丁寧にかみ砕いた指示が求められます。
「これくらいは書かなくてもわかるだろう」と省略するのはNGです。人によって理解力は異なります。従業員のAさんは容易に内容を理解できても、Bさんは理解できずスムーズに作業を進められないかもしれません。
特に、それぞれの従業員にスキルや経験のばらつきがあるなら、より丁寧に記載したほうがよいでしょう。スキルや経験は作業に対する理解力に大きく関わります。経験の少ない従業員が読んでも問題なく理解でき、スムーズに作業へ反映させられるかどうかを確認しましょう。
事実を具体的・簡潔に書く
作業指示書に書かれている内容が抽象的では、読んだ従業員は混乱してしまうおそれがあります。また、余計な説明が多すぎるのも理解を難しくしてしまうため、具体的かつ簡潔に記載することを心がけましょう。
内容が抽象的だったり、冗長すぎたりすると、従業員が理解するまでに多くの時間を要してしまいます。その結果、作業が遅延する、顧客に迷惑をかけるといったことが起こります。
上記のような事態を避けるべく、指示書には必要なことのみをシンプルに記載しましょう。まず結論を示したうえで具体的な作業の手順や注意点、補足などを記載するとよいでしょう。
作業指示書を簡単に作成・活用するならDynamics365フィールドサービス
従業員に伝わりやすい作業指示書を作成し、業務効率化を実現したいのなら、「Dynamics365フィールドサービス」の導入を検討してみてはいかがでしょうか。Dynamics365フィールドサービスは、企業におけるフィールドサービス業務の一元管理が可能なソリューションです。
作業効率アップ
Dynamics365フィールドサービスの導入により、オンラインで作業指示書の作成や共有を行えます。従来のように、紙を用いて文書化する必要がなくなり、組織のペーパーレス化も促進できます。
従来は、作業指示書のテンプレートに必要事項を入力し、作成・印刷・配布といった手間が発生していました。しかし、Dynamics365フィールドサービスを導入すれば、これらの手間を大幅に削減できます。
インターネット環境さえ整っていれば、常に指示書の内容を最新の状態に保てるのもメリットです。そのため、オフィス以外の場所で業務を遂行するときも、モバイル端末で最新の指示書を確認したうえで作業を行えます。
作業のステータス管理ができるのもメリットといえるでしょう。作業が完了しているのか未完了なのか、どのような状態なのかをリアルタイムで確認できます。管理者が頻繁に従業員へ連絡して進捗を確認する必要がなくなり、業務効率化が進みます。
また、指示やスケジュール通りに進まなかった作業も把握できるため、問題点の可視化が可能です。トラブルが発生した工程をそのままにせず次に活かせるため、作業効率をさらに高められるでしょう。
システムの連携でさらなる業務品質の改善も可能に
Dynamics365フィールドサービスは、Dynamics365シリーズの他サービスと連携が可能です。システムを連携させることでさらに便利な使い方ができ、業務効率化や業務品質改善を促進します。
たとえば「Dynamics 365 Remote Assistモバイルアプリ」と連携すれば、その場にいない共同作業者からアドバイスを受けられます。指示書を通じて作業内容や手順を確認してもらえ、的確なアドバイスを受けつつ作業を進められます。
製造業であれば「Dynamics 365 Supply Chain Management」との連携もおすすめです。これは製品情報の一元管理や倉庫業務の最適化を実現できるツールで、システムの連携により今まで以上に適切な在庫管理が可能です。在庫過剰を回避し、コストの改善に役立ちます。
まとめ
作業指示書の導入により、従業員は作業の手順や内容を正しく理解でき、スムーズに仕事を進められます。指示書の作成時には、必要な項目を漏れなく記載し、作業内容を具体的かつ簡潔に書くことを心がけましょう。
Dynamics365フィールドサービスなら、作業指示書の作成や共有を容易にし、システムの連携でさらに便利な使い方ができます。これを機会に、導入を検討してみてはいかがでしょうか。