RPA(Robotic Process Automation:ロボティック・プロセス・オートメーション)とは、ロボットソフトウェアと呼ばれる自動化プログラムにより、パソコン上の定型作業を自動化するための製品です。2016年頃に市場が立ち上がり、現在多くの企業が事業の効率化のためのRPAの導入を実施し検討しています。
RAP活用は金融業界でスタートし、日本のメガバンクでも当時からトライアルが実施されています。例えば、2018年11月より本番運用を開始した第四銀行(第四北陸フィナンシャルグループ)では、52業務で275のロボットを稼働させたことにより1年半で約1万6,000時間の余力が創出されたといいます。
出典:事例で学ぶRPA 基本から導入、運用までのロードマップ(著者 武藤駿輔)
本記事でご紹介するのは、2020年よりRPA市場へ本格参入することになったマイクロソフトの「Power Automate(パワー・オートメート)」ができることについてです。前身となったMicrosoft Flow(マイクロソフト・フロー)から何が変化したのか?そしてAIとの連携にもご注目ください。
Power AutomateはどんなRPAなのか?
Power Automateの前身であるMicrosoft Flowをご存じの方も多いでしょう。コネクタと呼ばれる、サービスがサポートするアプリケーションやクラウドサービスをつなぎ合わせ、まるでパズルのピースを揃えるように接続することで自動ワークフローの作成が可能になります。2016年11月にリリースされたMicrosoft Flowは豊富なコネクタが提供されていました。
一方、Power Automateもその流れを汲み取りつつ、繰り返し作業の自動化を支援するRPA機能「UI Flow」を追加し、新しいブランドとして生まれ変わったRPAツールです。
UI Flowについて
Microsoft FlowからPower Automateへ進化する中で決定的に異なるのが、UI FlowによってRPA機能を実装したことです。UI Flowは人のマウス操作やキーボード操作、入力内容などを記録して、ロボットソフトウェアがその記録をもとに指定されたアプリケーション操作を自動的に行うことで、まるでそのアプリケーションに対してAPI経由でデータを入力しているように振る舞わせられます。要するに、ユーザーのパソコン操作を記録して、記録した通りに自動化処理を実行するということです。
また、Power Automateでは「AI Builder(エーアイ・ビルダー)」を使用することで、自動ワークフローにAIを簡単に採り入れられます。例えば紙の請求書のスキャンデータやフォームの認識、画面内オブジェクトの認識なども学習させることが可能です。RPAとAIを併用することでより高度な処理を行えるのでレベルの高い自動化処理によって大幅な作業時間短縮が見込めます。
Power Automateと他のRPAの違い
現在、日本では20種類以上のRPAが提供されています。各製品と比較した場合、Power Automateとの決定的な違いは何かをご紹介します。
違い1. テンプレートを活用して自動ワークフローを素早く作成
日本では続々とRPA製品が誕生していますが、あるようで無かったのがテンプレート機能です。RAPは通常、パソコン上の作業手順を記録してプログラムを自動生成するため、ユーザーが自動ワークフローを作成する環境によってソースコードが変化します。そのため、テンプレート機能の実装が難しいのです。一方、Power Automateはアプリケーションやクラウドサービス間の連携に特化しているため、テンプレートがいくつか用意されておりそれを活用すると自動ワークフローを素早く効率的に作成できます。
違い2. プログラミング・データサイエンス知識ゼロでもAIが利用可能
マイクロソフトは2019年6月に、プログラミングやデータサイエンスなどの専門知識が無くても誰でも簡単にAIを利用できるサービスとしてリリースしたのが前述したAI Builderです。RPAとAIの組み合わせて様残な製品が取り組んでいますが、ほとんどが他社製AIと連携しており、独自のAI組み込みが難しいのが現です。一方、Power Automate にはAI Builderがサービスとして組み込まれているため(追加オプションにて利用可能)ので、非エンジニアユーザーであっても作成した自動ワークフローにAIを採り入れられます。
違い3. Microsoft Azure上で稼働する安定性の高いRPAクラウドサービス
Power Automateはクラウドプラットフォームである「Microsoft Azure(マイクロソフト・アジュール)」上でサービスが提供されています。このため、必要なリソースを必要な時に合わせて利用できるため、RPAのコスト最適化を実現します。また、Microsoft Azureのセキュアな環境をそのまま反映しますので、セキュリティ性も高められます。
違い4. RPAについて学べるドキュメントとコミュニティ
RPA導入で大きな課題になるのが自動ワークフローの作成や管理に関するトレーニングです。一般的にはRPAベンダーが有償でのトレーニングプログラムを受けますが、Power Automateではドキュメントとコミュニティによる気軽な学びの機会が提供されています。
Power Automateを活用してみよう!
Power Automateには他のRPAには無い様々な特徴があります。特に、マイクロソフト製品を多く利用しているような環境では、Power Automateによって広範囲な自動ワークフローが作成可能です。この機会にぜひ、Power Automateを活用してみてはいかがでしょうか?