アプリ開発には基本的な手順があり、その流れにそってプロジェクトを進めていきます。流れが把握できていなければ、スムーズなアプリ開発が難しくなり、余計な時間や手間をかける結果になってしまうでしょう。この記事ではアプリ開発における基本的な手順を解説し、より簡単に開発する方法を紹介します。
アプリ開発の手順とは
アプリ開発の手順には基本的に5つのステップがあり、それぞれで必要な計画を立てて行動に移すことがポイントになります。もしアプリの開発手順を熟知せずに開発をスタートさせれば、トラブルの発生や修正・仕様変更などの問題が起きる可能性もあります。それは結果的にアプリ開発の進行を遅延させ、予定通りのリリースを阻害することになり兼ねません。まずは以下を参考にアプリ開発の基本手順を確認し、どのような流れが必要になるのかを把握しておきましょう。
要件定義
アプリ開発をスタートさせるには、まず要件定義で実装する具体的な機能や全体像を計画します。アプリにどんな目的を持たせるのかを決めて、その実現のためにどんな仕様や機能が必要になるのかを考え、具体的な内容を要件定義書にまとめます。要件定義では、アプリの開発に必要なあらゆる情報をなるべく詳細に決定するのが基本です。
例えば以下のような要素が、要件定義の段階で決められます。
- 実装する機能
- 開発に使うプログラミング言語
- 開発に使うフレームワーク
- 具体的な方向性やコンセプト
- ターゲットとなるメイン層
- アプリが提供できる価値や魅力
- アプリが達成すべき最終的な目標(ダウンロード数やWebサイトへの流入数の増加など)
要件定義の段階でなるべく詳細に内容を詰めておくことが、スムーズなアプリ開発につながります。後になって追加の機能や方向性の変更などが起きないように、何度も社内で話し合いを行って内容を充実させていきましょう。要件定義書の作成後は、抜けや漏れがないように複数人でチェックするのがおすすめです。
要件定義書にミスがあると、アプリ開発を外注する際に認識のずれが発生し、想定していたものと違うものが出来上がってしまう恐れがあります。要件定義は時間をかけて行い、後からミスが発覚しないように備えましょう。
設計
要件定義を行った後には、アプリ開発を実行するための設計を計画します。決定した要件定義を元にしてアプリのデザインやUIを具体的に考案したり、使用するプラットフォームを確定させたりする段階です。機能の動かし方や実際のアプリの画面をデザインすることで、リリース後のイメージを明確化します。設計はあくまで実装を想定した準備段階でもあるので、必要に応じて修正や変更も積極的に実施していきましょう。
また、設計には実際にプログラミングを行うための設計図を作成する「詳細設計」もあります。具体的なデータの構築や表示される画面などを明確に伝え、プログラマーが正確に仕事をできるように備える必要もあるでしょう。
開発
アプリ開発におけるメインフェーズとも呼べる段階で、設計した内容を元に構築・制作を行います。具体的にはプログラミングを行ってアプリを形にしていきながら、必要に応じて修正の提案や問題点の指摘などを行って完成を目指すことになるでしょう。基本的には最初のスケジュール通りに進むように開発工程を進めますが、プログラミング中には作業トラブルがつきものであるため、時間的に余裕を持って対応できるよう備えておく必要があります。
要件定義や設計から離れるほど問題は大きくなってしまうので、最初に決めた内容に合わせて開発作業を進めていくのが基本です。
テスト
開発業務が終了したら、続いてきちんとアプリとして動作するかテストを行います。機能数が多いアプリの場合には、それぞれの機能をテスト(単体テスト)しつつ、動作がきちんと連携するか確認(結合テスト)する必要もあるでしょう。最終的にはアプリが滞りなく利用できることを確認する「総合テスト」を行い、リリースに向けての準備に移行します。
アプリの開発を委託している場合には、開発会社にテストを全て任せないことが重要です。必ずデモ用のアプリを配信してもらい、使用感や実際の動作を自社で確認するようにしましょう。リリース直前になってからの確認で問題が発覚すると、プロジェクトの納品タイミングが大きくずれ込み、リリースまでの工数が増加してしまいます。広告などを配信している場合はその費用も無駄になる恐れがあるので、テストには自社から積極的に参加するのがおすすめです。
リリース
開発作業が完全に終了したと判断したなら、いよいよアプリのリリースを行います。リリース方法はアプリのプラットフォームごとに異なり、具体的にはアップルのiOSとAndroidなどのOSや、デバイスによって変わります。
iPhoneなどで使用するiOSアプリの場合、開発者登録を行って各種証明書の提示やアップロードを実施します。その後Apple Storeによるアプリの審査が行われ、問題がなければそのままアプリが世界中にリリースされます。
Androidの場合にも、Google Playへの登録を行ってデベロッパーアカウントを作成しましょう。apkファイルの作成や質問への回答作業を通して、Googleによるアプリの審査を受けましょう。審査が完了して問題がなければ、Androidのプラットフォームでもアプリの配信が開始されます。基本的にアプリの審査には1〜2日程度かかりますが、早ければ数時間で完了するケースもあります。
アプリのリリース方法が分からない場合や時間をかけたくない場合には、リリース作業までを任せられる開発会社に依頼するのがおすすめです。
アプリケーションを簡単に開発するには
アプリ開発は上記のような中長期的な時間を必要とするため、ときには途中で問題が起きるケースも珍しくありません。そのため開発費用を抑えたり作業工程を簡略化したかったりする場合には、より簡単なアプリ開発方法を選択することがおすすめです。
以下からは、比較的簡単にアプリを開発できる方法について解説します。
ローコードでの開発
ローコード開発とは、プログラミング言語を極力使わずにアプリを開発できるツールや環境のことを意味します。ローコード開発であれば特別なスキルがなくてもアプリ開発をはじめられるので、開発工程を省略可能です。自社内でアプリ開発の流れを内製化することもでき、環境が整えばテストやメンテナンスなども全て社内でまかなえます。開発業務の初心者でも直感的に使用できる開発環境が基本となっているので、アプリ開発のプロジェクトを立ち上げる際にはローコードの利用もおすすめです。
開発環境の選定
アプリ開発を簡略化するには、使いやすい開発環境を選定することも重要となります。そこでおすすめされるのが、Microsoftの環境を利用した「Power Apps」の活用です。Power Appsは「Microsoft 365」などで利用できるローコード開発ツールで、Officeをはじめとした有名アプリケーションとの連携が可能です。そのほかの業務に応用できるMicrosoft環境をそのまま使えるので、アプリ開発に必要な機能を簡単に導入できるでしょう。
また、Power Appsにはさまざまなテンプレートが提供されているため、簡単に本格的なアプリを構築できます。テンプレートを参考に多少のカスタマイズを加えるだけでも、世界でひとつだけのオリジナルアプリの開発を進められるのです。アプリの開発環境を選ぶときには、Microsoftのように汎用性の高いプラットフォームを選ぶことで、スムーズに導入が行えるでしょう。
まとめ
アプリ開発の手順は、既に基本的な流れが確立されています。その流れを把握してその都度必要な作業を確実に行っていくことが、アプリ開発のスムーズな進行につながります。
アプリ開発を継続して行っていく場合には、簡単に開発できる環境を用意することもおすすめです。Power Appsなどの便利なローコードツールを活用して、自社だけでアプリを開発できる環境を整備することも検討してみてはいかがでしょうか。