多くの会社で残念ながら営業とマーケティングは対立関係にあります。これは日本企業に限った話ではなく、先進的な国の企業でも営業とマーケティングが対立しているのはよくある光景です。とある調査※では営業人材とマーケティング人材に対してアンケート調査を行ったところ、実に87%もの人材が互いにマイナス印象を持っているという結果が出ています。
皆さんの会社では営業とマーケティングはどういった関係にあるでしょうか?今回は、両者の本来あるべき姿と、それを実現するための方法についてご紹介します。
営業から見たマーケティング、マーケティングから見た営業
もしも皆さんが営業もしくはマーケティングに所属している人間ならば、相手にどういった印象を持っているか考えずともわかることです。では、あなたが営業ならばマーケティングは営業をどう思っているのか?あなたがマーケティングなら営業はマーケティングをどう思っているのかをご存知でしょうか?
典型的な意見としては次のようなものがあります。
営業から見たマーケティング
- 見込み客の質が悪い
- 会社の売り上げに貢献していない
- 顧客と関わらないから楽な仕事だ
- 営業の現場を分かっていない
- 見込み客の声が反映できていない
マーケティングから見た営業
- 購入寸前の見込み客でないとすべて質が悪いと吐き捨てる
- 営業はクロージングだけで楽な仕事だ
- 会社のイメージやブランディングをまったく考慮していない
- 短期的な実績ばかり求めている
- マーケティングが引き渡した見込み客を無駄にしている
こうして見ると営業とマーケティングが対立してしまうのは至極当然のようにも思えます。しかし、その状態を維持したままで組織として成長することはあり得ません。営業とマーケティングとは本来協力して然るべき関係なのです。
営業とマーケティングはなぜ対立するのか?
営業とマーケティングが対立してしまう理由については、まずそれぞれの役割について理解することが大切です。
営業の役割
営業とは与えられた期間内に会社に製品やサービスを販売する活動、およびそこに従事する人を指します。会社が提供しているものがサービスならばそれを販売し、製品ならばそれを販売し、その対価として売上を獲得することで企業は経営活動を維持できます。そのため会社の売上に一番近い部門だと言えます。
一般的な営業はマーケティングから引き渡された見込み客への電話、アポ取り、商談、プレゼンなどを実施してサービスや製品を販売し、さらにクロスセルやアップセルによって会社の利益を高める活動を行います。営業によってはマーケティングに頼らず、自分でアポイントを取ってリストを作り営業活動を展開する人もいるでしょう。
マーケティングの役割
マーケティングとは市場の需要を読み取り、そこに存在する見込み客のことを理解した上で適切な施策によって見込み客を獲得したり、育成することで営業に引き渡し会社の売上に貢献するための活動およびそこに従事する人を指します。
一般的なマーケティングはサービスや製品のターゲットを明確にした上で、プロモーションを展開するためのデジタル戦略を策定します。この他イベントやセミナーを開催して積極的に見込み客を獲得したり、マーケティングメールを送信することで見込み客のニーズを育てていきます。このためマーケティングは会社の売上に貢献するための部門ですが、営業ほど顧客に近い存在ではありません。
営業とマーケティングの役割について理解すると、それぞれにまったく違った能力が求められることが分かります。
両者の目標は“会社の売上に貢献する”という点で共通しています。しかし、それぞれが持つ業務プロセスや習慣の違いから意見の食い違いを生みやすく、何よりマーケティングが見込み客を営業に引き渡すというプロセスがあるために、互いに不満を生みやすい環境を作っているのです。
営業とマーケティングの関係を良好にするためには?
実は、社内で対立関係になりやすい部門や営業とマーケティングだけではありません。他にもそうした部門はいくつかあります。その一つが情報システム部門における開発チームと運用チームです。
システムを開発する部門と運用する部門。どちらもユーザーに最良のITサービスを提供し、ビジネスの価値を高めるという共通した最終目標があります。しかし、開発チームはその目標を達成するために新しい機能をどんどん開発し、運用チームはその目標を達成するためのシステムの安定した稼働を目指します。この役割の違いから開発チームと運用チームは対立しやすく、結果としてビジネスの停滞を招いているのです。
数年前からこの開発チームと運用チームの関係を良好にするための取り組みに注目が集まっています。それが“DevOps(デブオプス)”という組織体制です。これは開発チームと運用チームが協力するための組織文化と、それを実現するためのITツールによって良好な関係を築きビジネスを加速させるための取り組みになります。
このDevOpsに成功している企業では1日に10回以上のローンチ(新機能のリリース)に成功しているケースもあります。
営業とマーケティングに関係についてもDevOpsのように良好な関係を築くことはできないでしょうか?そこで、DevOpsを構築するための組織文化を参考にしてみましょう。
組織文化
尊重する
営業とマーケティングの仕事内容は違えど「会社の売上に貢献する」という目的は一致しています。なので一緒に働く一人ひとりを心から尊重し、その功績や能力を評価して優秀な人間だと認めること。
信頼する
営業とマーケティングが互いを尊重すれば自然とそこには信頼関係が築かれていきます。信頼するということは安心して仕事を任せることになり、チームとして仕事に取り組むという姿勢を作るきっかけになります。
責めない
挑戦しなければ失敗はしませんが成功もしません。挑戦すれば必ず失敗もします。なので他者の失敗を責めるのではなく「挑戦した結果だ」と考え、それを称えましょう。
共に考える
マーケティングや営業のプロセスに何か問題が発生した際はその当事者を責めるのではなく、問題に対して共に考える姿勢を取りましょう。そうすることで営業がマーケティングをより理解し、マーケティングが営業をより理解することで自然と協力体制が取れます。
こうした組織文化を作り上げることに成功すれば、営業もマーケティングも一つのチームとして活動することができます。
営業とマーケティングを繋ぐITツールとは?
営業とマーケティングがDevOpsのような協力体制を取り、互いに会社の売上向上に向けた取り組みを行うためには適切なITツールの存在が欠かせません。その一つが“クラウドCRM”です。たとえばMicrosoftが提供する“Dynamics 365 CRM”は、営業を支援するシステムとマーケティングを支援するシステムが互いに連携しているので、両部門の情報をリアルタイムに可視化したり互いにコミュニケーションを取るための機能が備わっています。
そのため、DevOpsのような協力体制を構築するために欠かせないITツールです。特に物理的に離れた場所にいる営業とマーケティングは、両者を強力に繋ぐためのITツールが必要になります。
営業とマーケティングの関係を良好にして会社として一歩成長したいと考えている企業は、Microsoft Dynamics 365による営業とマーケティングの連携をぜひご検討ください。