昨今のビジネスにおいてデータ活用の重要性は広く理解されるようになりました。しかし、その一方でデータ活用のための情報基盤を整えられている企業も存在することは事実でしょう。これからの企業のデータ活用はビジネスに新しい知見をもたらすだけでなく、事業成長そのものを成長させる効果があることが間違いありません。それでは企業はどういった形で重要な情報基盤・データ活用基盤を整えていくのが良いのでしょうか。
本稿では社内のデータ見える化を実現するのに欠かせない、Microsoft Power BIとAzure Data Factoryの概要解説と、その深い関係についてご紹介します。
Power BIは難しいデータ活用を単純にするクラウドツール
Microsoftが提供するPower BIは、BI(ビジネスインテリジェンス)ツールです。このPower BIは、データの収集/集計/整形/表現/配信を実施するためのクラウドツールです。
Power BIの特徴の一つとして多くの企業が継続して利用するといったものが挙げられます。多くの企業はBIツールによるデータ活用に取り組みますが、2つのパターンからツールが使われなくなるケースが多々あります。「費用が高い→変化に対応できない→陳腐化する→使われなくなる」というパターンと、「操作が難しい→思い通りにならない→妥協する→使われなくなる」というパターンです。
Power BIはこれらの問題を解消します。まずは無料から始められ、継続的な費用が安く、そして操作が簡単です。これがPower BIが選ばれる理由であり、2019年2月に発表されらBI分野の調査レポート(ガートナー)「Magic Quadrant for Business Intelligence and Analytics Platforms」では、Power BIがBI専門ベンダーの製品と並んで市場のリーダーとして位置付けられています。
Power BIを活用し続けると必ず直面する課題
Power BIはエクセルのような操作感で、万人にとって使いやすい設計になっています。ビジネスパーソンなら誰もがエクセルを操作した経験がありますし、普段から慣れ親しんでいる人なら尚更使いやすさを実感できます。マイクロソフト社が提供するため普段お使いのExcelなど操作性に統一感があることも頷けます。
企業がひとたびBIツールを活用しだすと、多くのケースにおいてもっとデータを活用したいという要望が出てきます。そのためには、データソースを増やして行くと言った作業が必要になってきます。つまり、データソースが多様化することで分析のためのデータの準備が煩雑化していくことが多くの場合におおて課題になります。
これらの課題に直面すると、ビジネスで求められるスピードでの見える化が難しくなり、リアルタイムな経営・事業戦略や意思決定を阻害してしまいます。このような課題を解決するために同じくMicrosoftが提供するAzure Data Factoryの存在が欠かせません。
Microsoftサービスの「ハブ」になるAzure Data Factory
Microsoftが提供するAzure Data Factoryは、いわゆるETLツールの一種です。ETLツールは「Extract(抽出)」「Transform(変換)」「Load(読み込み)」というデータ活用に欠かせないプロセスを自動化するツールであり、様々なシステムやサービスに散在しているデータを統合し、データ活用を促進します。いわゆるPower BIのためにデータを集めてくれる位置付けということで理解すると良いでしょう。
Azure Data Factoryは、SalesforceやMarketoなどの営業・マーケティングツールの他、AWSやGoogle Cloudなどの外部クラウドプラットフォーム、MySQL ServerやOracle Databaseなどの多様なソースからデータを統合し、それを分析可能な状態に変換するなどの作業が自動的に行えます。
一般的なBIツール環境では分析対象のデータを一度、読み込んでからBIツールが分析しやすいように加工する必要がありますが、Azure Data Factoryがある環境では、あらゆる媒体のデータを一度Azure Data Factoryに保管し、その中でデータが更新された状態でPower BIを通じてリアルタイムに分析を行うため分析にかかる煩雑な作業が免除されるということになります。
<Azure Data Factoryの機能>
- マッピングデータフロー
コードを記述しなくても、大きぼなグラフィカルデータ変換ロジックを作成可能
- トリガー機能
トリガーを作成し、そのスケジュールを設定することで、パイプラインの実行を自動化
- 制御フロー
データ統合やデータ変換のプロセスを大規模に管理、設定するために、視覚的にワークフローを作成可能
- 事前定義済みのテンプレート
データベースからのコピー、AzureでのSSISパッケージの実行などのタスク用のテンプレートの拡張ライブラリを使用可能
- Wrangling Data Flows
コードを記述せずに、データを大規模に探索可能
データ活用に有効な情報基盤が必要なわけ
組織の様々な業務によって発生した大量のデータを、時系列で保管するデータベースのことをDWH(データウェアハウス)と呼びます。データとは活用の状況等に合わせて着眼点や形式を変化させる必要があり、またそれによってデータの量も種類も変化します。現代ビジネスを生きる企業に強く求められているのは、そうしたダイナミックな活用と素早い分析に耐えられるような強い情報基盤です。そうした情報基盤を可能にするツールこそが、Power BIとAzure Data Factoryなのです。
カコムスのデータ分析基盤構築支援サービス
カコムスではデータ分析基盤の構築や、Power BIレポートの作成だけでなく、現在保持している情報の精査から、どんなデータをどのように見える化すると効果的かなどのコンサルティングサポートも行っています。ビジネスにおける新しい付加価値の源泉となるデータをどう管理するか、「見える化すべき情報」や「未来の利活用」を意識して 理想的な見える化基盤の構築をサポートするのです。
カコムスでは、データ分析基盤を構築だけでなくBIツールのトレーニングや作成済みのBIレポートの拡張、QAに対応できる運用保守サービスも提供しております。データ分析基盤構築を検討される際は、ぜひカコムスまでご相談ください。