RPA/ワークフロー

Power Automate Desktop無償版でできることやインストール手順を解説

Power Automate Desktop無償版でできることやダウンロード法を解説-01

近年、業務効率化や人材不足の解消に向けて、RPA(Robotic Process Automation)ツールの導入が注目されています。Power Automate Desktopは、RPAツールの1つで、人間の手作業で行っていたタスクを自動化することにより、時間短縮やミス削減などを実現できます。
しかし、RPAツールは高額なライセンス費用が必要になる場合が多く、導入に二の足を踏んでいる企業も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、Microsoftが提供する無償RPAツールPower Automate Desktopについてご紹介します。また、有償版と無償版の違いが分からないまま、有償版を契約してしまったということにならないように、有償版と無償版の違いも含めて詳しく解説していきます。

Microsoft PowerApps はじめてのアプリ開発

Power Automate Desktopとは

Power Automate Desktop無償版でできることやダウンロード法を解説-02

Power Automate Desktopは、Power Automateの一部でデスクトップ操作を自動化する機能を備えています。Windows10もしくはWindows11で無償で利用可能なツールです。
ExcelやWordで、マクロやVBAを組んだ経験のある方は、それに似た機能とイメージして問題ありません。
しかし、マクロやVBAとは異なり、Microsoftのツール以外にも利用可能なため、より多くの用途で利用されています。

Power Automateの概要については、下記の記事で詳しく解説しています。ぜひ本記事と併せてご覧ください。

「Power Automate」を分かりやすく解説!活用事例あり

Power Automate Desktopの概要

Power Automate Desktopは、Microsoftが提供する「RPA」ツールで、Windowsユーザーは無料で利用できます。
プログラミングを使わず、パーツを配置しながらフローを組むことでPC操作を自動化できる点が特徴です。

プログラミングができるエンジニアのためのツールと思っている方も多いのではないでしょうか。

無料でインストール可能なので、ぜひ1度使ってみてください。

RPAとは?

Power Automate Desktopは、「RPA」ツールと紹介しましたが、そもそも「RPA」とは何か?について解説します。

RPAは、Robotic Process Automation(ロボティック プロセス オートメーション)の略称です。ロボティックとありますが、工場や店頭にあるような物理的なロボットというわけではありません。

パソコンの操作を自動化するためのロボットを自分で作成し、決められた操作や手順を自動化することをRPAと呼びます。さらに分かりやすくいうと、「自動化ロボットを作って、パソコン作業を勝手にやってもらおう」というものになります。

この自動化ロボットを簡単に作れるサービスが、Microsoft が提供する Power Automate Desktopです。

通常のPower AutomateとPower Automate Desktopの違い

Power Automateはクラウドベースの自動化ツールで、Microsoft 365や他のクラウドサービスと連携して業務プロセスを自動化します。例えば、メールの自動送信やデータの更新をオンラインで行うことができます。

一方、Power Automate Desktopはデスクトップアプリケーションとして動作し、ローカルパソコン上のタスクを自動化します。特にロボティックプロセスオートメーション(RPA)に優れており、人手による反復作業を効率化します。

クラウドベースの業務プロセス自動化にはPower Automate、ローカルパソコン上の詳細なタスク自動化にはPower Automate Desktopが適しています。

Power Automate Desktopの価格

  • 無料試用版
  • Power Automate Premium 2,248円ユーザー/月
  • Power Automate Process 22,488円ボット/月
  • Power Automate Hosted Process 32,233円ボット/月

Microsoftでは、上記4つのPower Automateの料金プランを提供しています。このうち、無料試用版は30日間の期間限定で、クラウド版のみ利用可能です。その他の3つのプランはデスクトップ上でRPAの設定が可能です。

一部のMicrosoft 365やDynamics 365のライセンスでもPower Automate Desktopが利用できますが、標準コネクトしか利用できない、作成したフローの共有ができないなど制限があります。詳しくは、Microsoftの公式ページでご確認ください。

無償版と有償版を比較

Power Automate Desktopには、無償版と有償版があります。
2つの違いや無償版でできないことを紹介しますので、無償版か有償版か悩んでいる方は参考にしてください。
有償版は、機能に応じてさらに3つのプランに分けられます。Premiumは、ユーザーがパソコンにログインした状態で、RPAを実行するモード(アテンド型)です。ProcessとHosted Processは非アテンド型と呼ばれ、パソコンにログインしていなくても時間設定やトリガーを設定することでRPAの実行が可能です。Hosted Processのみ、Azureで構築した仮想マシン上でRPAを実行できるという特徴があります。

 

無償版

Premium

Process

Hosted Process

価格

無料

2,248円/ユーザー

22,488円/ポット

32,233円/ボット

クラウドフロー

アテンド型

 

 

 

非アテンド型

 

 

コネクタの種類

標準コネクタのみ

標準、プレミアム、カスタム コネクタを利用可能

フローの共有

×

無償版と有償版の違い

無償版と有償版の最も大きな違いは、自動化プロセスを組織として使用・管理ができるかどうかという点です。

個人での利用の場合や、企業利用でも共有機能は不要であるという場合は、無償版でほとんどの操作を自動化できます。しかし、Power Automate Desktopで作成した自動操作を、組織内で横展開したい場合や一元管理したい場合は、有償版を利用しましょう。

続いて、その他の無償版と有償版で異なる点を紹介します。

無償版でできないことは?

Power Automate Desktopの無償版でできないことは、大きく4つあります。

  • クラウドと連携した自動実行
  • 他のサービスとの連携
  • フローの集中管理や実行状況の確認
  • トリガー実行やスケジュール実行

有償版で作成した自動化のフローは、クラウド上のPower Automateのサイトに登録されます。これにより、共有が可能になりますが、無償版ではクラウドとの連携はできません。
有償版ではAI Builderの利用やPower BI による実行の可視化など、他のサービスと連携できるため、より便利に活用できるでしょう。
クラウドと連携することにより、作成したフローをチーム内で共有する際、管理者によるフロー管理も可能です。そして、フローの成功・失敗もチーム内で確認ができるようになります。
「また毎日朝8時にこの操作をする。」といったスケジュール実行や、「Excelファイルが更新されたタイミングで指定した操作をする。」といったファイルの更新をトリガーにした作業の自動化も有償版のみ対応しています。

Power Automate Desktopのメリット

Power Automate Desktopのメリット

Power Automate Desktopは、繰り返し作業の自動化を簡単に実現できる強力なツールであり、業務効率を大幅に向上させることができます。

リモートワークでの業務に役立つ

ファイルのコピーと移動やフォルダの作成、データ入力、レポート作成、メール送信など繰り返し行う手動作業を自動化することで、時間と労力を節約できます。

特に、リモートデスクトップ接続を経由した操作は、自動化することでネットワークの遅延や操作の煩雑さを軽減できます。こちらはエージェントを入れることで実現可能です。

また、退勤後や休憩時間中に自動化処理を実行することで、労働時間の短縮とワークライフバランスの向上に貢献できます。労働時間を効率的に活用することで、仕事とプライベートの両立が可能です。

機能性が高い

Power Automate Desktopは機能性が高く、さまざまな業務プロセスを自動化することが可能です。例えば、ウェブスクレイピングやファイル操作、データベースのクエリ実行など、複雑なタスクも簡単に設定できます。

また、豊富なテンプレートや事前に用意されたアクションを利用することで、初心者でも短時間で自動化フローを構築できます。さらに、他のMicrosoft製品との連携もスムーズで、ExcelやOutlookと組み合わせることで、日常業務の効率化も可能です。これにより、時間の節約とミスの削減が実現し、全体の業務パフォーマンスが向上します。

直感的に操作できる

Power Automate Desktopは直感的な操作性が特徴で、プログラミングの知識がなくても簡単に使いこなせます。ドラッグ&ドロップによるフローの作成や、視覚的なインターフェースにより、誰でも手軽に自動化プロセスを構築できます。

また、操作ガイドやヘルプ機能が充実しているため、初めてのユーザーでも安心して利用できます。具体的な事例として、簡単なマウス操作やキーボード入力を録画し、自動化フローに組み込むことが可能です。このような使いやすさにより、全社的な導入も容易で、社員全員が効率的に業務を遂行できる環境を整えられます。

基本的な機能は無償版で使える

Power Automate Desktopの基本的な機能は無償版でも利用可能です。これにより、初めて自動化に挑戦する企業や個人でも、コストをかけずに始めることができます。無償版でも、ファイル操作やデータ抽出、通知機能など、多岐にわたる機能を利用でき、十分な効果を発揮します。

例えば、毎日の定型作業やデータのバックアップを自動化することで、業務の効率化と時間の節約を実現します。無償版を試用することで、自動化のメリットを体感し、必要に応じて有償版への移行を検討することが可能です。

有償版でもコストパフォーマンスが高い

Power Automate Desktopの有償版は、高いコストパフォーマンスを誇ります。月額料金に対して提供される機能とサポートが充実しており、投資対効果が非常に高いです。例えば、より高度な自動化フローの作成や、複雑なデータ処理、外部システムとの連携が可能になります。

また、有償版は専用サポートやトレーニングリソースが提供されるため、導入後のサポート体制も万全です。有償版を利用することで、業務効率化の幅が広がり、さらに多くの業務プロセスを自動化することが可能になります。結果として、全体の業務パフォーマンスが向上し、コスト削減と生産性向上の両立が実現します。

Power Automate Desktop無償版でできること

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無償版でできる主なことを2つに分けて紹介します。

  • 1つは、アプリ操作の自動化。
  • 2つ目は、マウス操作の自動化です。

それぞれ詳しく見ていきましょう。

無料で各アプリの自動化が可能

Power Automate Desktopは、パソコンでできる範囲の操作の自動化が可能です。
各アプリケーションの自動化を行い、業務効率の改善が図れます。アプリケーションの自動化について具体例を2つ紹介しますので、1つずつ見ていきましょう。

ブラウザ操作の自動化

ブラウザの自動化については、Power Automate Desktop上でさまざまな機能が利用できます。

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上の画像のように、ChromeやExplorerを起動できます。例えば、Webフォーム入力で、yahooページのURLを入力すると、ボタン1つでyahooページを起動することもできます。

またyahooやGoogleの検索エンジンを自動で起動し、さらにそのページ内のリンクをクリックすることも自動で行えるように設定可能です。

メールの送信・転送・ファイル移動を自動化

Power Automate Desktopを利用すれば、メールのさまざまな操作も自動化が可能になります。

Excelのデータと連携させれば複数のメールアドレス宛への一斉メール送信も可能です。例えば、顧客データを管理しているExcelの表の中から、「広島県」に住んでいる人の名前を抽出し、広島県のユーザーあてに、Outlookでキャンペーンメールを送るといった使い方もできます。

さらに、受信メールの件名、本文などをExcelに転記する作業も自動化も可能です。1つずつメールを開く手間が省ける上、リスト化もできて一石二鳥です。

また、添付ファイルが含まれているメールは重要なメールである場合が多いでしょう。多くのメールに紛れてしまうと、探すことが困難な場合があります。このような場合でも、Power Automate Desktopを利用すれば、添付ファイルを自動的にフォルダに保存できるようになります。

デスクトップ上でマウス操作の自動化が可能

Power Automate Desktopでは、マウスの動きを学習するレコーダー機能によって、複雑な操作の自動化も可能です。

デスクトップのアイコンをダブルクリックで開き、そこで開いたアプリ上で絵を描くなど、マウスで操作をして、その絵のスクリーンショットを撮ることもできます。

ここまで紹介したものは、あくまでも一例です。組み合わせ方や紹介しきれていない機能もあるので、気になる方はぜひ一度ご利用ください。

Power Automate Desktop の利用方法

Power Automate Desktopでできることについて紹介してきましたので、試しに使ってみたいという気持ちになっている方も多いのではないでしょうか。

ここからは、実際にPower Automate Desktopのインストール手順や使用方法について解説していきます。なおWindows 11ではデフォルトでインストールされているため、以下のインストール手順は不要です。

インストール手順

まずは、WindowsパソコンでMicrosoft storeを開き、「Power Automate」と検索します。
下記画像のPower Automateアプリの「無料」もしくは「入手」ボタンをクリックしてアプリをインストールしてください。

Power Automate Desktop無償版でできることやダウンロード法を解説-05

インストールが完了したら、開くを押してアプリを開きます。

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Power Automate Desktopの利用方法

アプリを開いたら、「+新しいフロー」を選択します。

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フロー名の部分に、「Webブラウザ起動の自動化」のように好きな名前を入力し作成をクリックして、フローを作成してください。

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フローを作成すると、左のバーにアクションが書かれたポップアップが表示されるため、ここから、使用したいアクションを選択し、フローを完成させていきます。

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Power Automate Desktopの更新について

更新は、常に最新の機能とセキュリティ対策を利用するために重要です。しかし、Power Automate Desktopは、現在自動アップデートが行われません。新たなバージョンが利用可能になるとMicrosoftが通知で知らせてくれるため手動での更新が必要です。

手動での更新は、通知メッセージ内に更新ボタンがあるため「更新」を選択します。更新プロセスは数分で完了し、再起動が必要な場合もあります。最新のアップデートにより、バグの修正や新機能の追加が行われ、より快適に利用できるようになります。

Power Automate Desktopのアンインストール手順

Power Automate Desktopのアンインストールは以下のステップで行います。

  1. スタートを開き、設定→アプリ の順にクリック
  2. アプリと機能の中から「Power Automate」を検索し、選択
  3. アンインストール を選択
  4. 確認のポップアップが出るため「アンインストール」のボタンをクリック

以上のステップでアンインストール完了です。後で再インストールする際にフローを復元できるため、アンインストール前に、自動化フローのバックアップを取っておくことをおすすめします。

Power Automate Desktop利用時の注意点

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無料で利用でき、業務効率化のツールとして便利なPower Automate Desktopですがいくつか注意点があります。
最後に、Power Automate Desktopを利用する際の注意点を紹介します。

Windows10以上で利用可能

冒頭でも解説しましたが、Power Automate DesktopはWindows10もしくはWindows11でのみサポートされています。

Windows10より前のOSの自動化には対応していないため、Windows10以降のOSを利用できるPCを用意する必要があります。

マウス操作の自動化はウィンドウやファイル位置を固定する

Power Automate Desktopは、マウスの動きを登録すると、その動きを学習して再現します。

複雑な操作でも実行可能なため、汎用性は高いですが、アイコンやファイルの位置が変わると思い通りの動きにならない場合があるため注意が必要です。

アプリやフォルダを開く場合は必ず最大化する、操作しないアプリは終了するようにフローを工夫するなどの配慮が必要となるため注意してください。

必要な機能が無償版で使えるかを事前に確認する

Power Automate Desktopは、無償版と有償版があり、さまざまなアプリや操作を自動化できると紹介してきました。

無償版でも多くの機能が備わっていますが、よく知らずに有償版を契約してしまったというケースも耳にします。
無償版で何ができるのか、有償版で何ができるのかこの記事を参考にして、自分がやりたいことは無償版でも可能なのか確認した上で使用することが重要です。

使いこなすのには時間がかかることを理解する

Power Automate Desktopを効果的に使いこなすには、ある程度の学習時間と経験が必要です。最初は基本的な操作やフローの作成から始めますが、複雑なタスクを自動化するためには、ツールの各機能やオプションを深く理解する必要があります。

特に、大規模な業務プロセスを自動化する際には、試行錯誤を繰り返しながら最適な設定を見つけることが重要です。また、エラー処理や例外管理も重要な要素となるため、これらの知識を習得するためには時間がかかります。持続的な学習と実践を通じて、徐々にスキルを向上させていくことが成功の鍵となります。

シナリオを構築する能力が必要になる

Power Automate Desktopを最大限に活用するためには、シナリオを構築する能力が必要です。自動化したい業務プロセスを具体的に理解し、そのフローを効率的に設計するスキルが求められます。

例えば、データ入力やレポート作成、メール通知など、さまざまなタスクを組み合わせて一連の作業を自動化する際には、各ステップの順序や条件分岐を適切に設定することが必要です。また、異なるシステムやアプリケーションとの連携も考慮する必要があります。これには、論理的思考と問題解決能力が不可欠であり、継続的な学習と実践を通じてその能力を磨いていくことが重要です。

まとめ

Power Automate Desktopは、無償版でも多くのことができるツールです。プログラミングの知識がなくても、簡単にタスクの自動化ができます。

本記事でご紹介したように、Power Automate Desktopは、さまざまな業務を自動化することで、時間短縮やミス削減、生産性の向上を実現できます。

業務効率を向上させたい、生産性を向上させたいと思っている方は、ぜひPower Automate Desktopを試してみてください。

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