近年はセンサー技術が大きな発展を遂げたことにより、IoTソリューションの導入が企業経営におけるトレンドとなっています。そのため、IoTソリューションの導入を検討している企業は増える一方です。
現在の課題は、IoTソリューションの導入ノウハウが不十分であることです。IoTソリューションの需要が拡大していることは間違いありませんが、どのようにIoTを構築していけばよいのか、適切な構築方法を理解している開発者は多くありません。
そこで今回は、IoTの概要について説明したうえで、現代で求められているIoTを構築する際に気をつけるべきポイントについて解説します。
IoTとは
近年ビジネスシーンを中心によく耳にする「IoT」という言葉。内容は知らなくても、「名前だけは聞いたことがある」という人は多いのではないでしょうか。
IoTは「Internet of Thing」の略で、直訳すると「モノのインターネット」。モノにネットワーク技術が搭載され、必要となる情報を伝達し合うことです。ここでいう「モノ」には、日常的に使われる家電製品をはじめ、自動車やセンサー機器、駆動装置、家やビルなどの建物のほか、雑貨なども含まれます。
IoTが普及した背景には、センサー技術やネットワーク技術の発展があります。インターネットといえば、パソコンやスマートフォンを通じて利用するのが一般的です。しかしIoT技術が今後も発展していけば、私たちはインターネットをさまざまなモノを通じて使うようになり、その利便性を活かせるようになるのです。
IoTの構成要素
IoTには、基本となる構成要素があります。IoTは以下4つの要素がそろうことで、IoT搭載のモノとして成立する点が特徴です。
- センサー
- デバイス
- ネットワーク
- アプリケーション
センサー技術によって情報をワイヤレスで通信できる機能が搭載されたデバイスで、モノのデータを読み取るところからスタートします。収集されたデータはネットワーク通信によってクラウドなどで管理され、その後分析されることで、機能性や利便性を向上させられるのです。
データはアプリケーションによって目に見えるようになり、デバイス操作の効率化や最適化に寄与します。センサー、デバイス、ネットワーク、アプリケーション…。この一連の流れによって蓄積されたデータが活用され、業務の効率化へつながります。
IoT環境の構築時のポイントとは
続いてIoT環境を構築し、スムーズにIoT技術を活用していくためのポイントを整理していきましょう。
精度の高いデータ取得
システムを構築する際は、高精度のデータ取得が不可欠です。デバイスによってデータの収集が行われた後、分析にあたってデータの前処理が必要になることも少なくありません。
そのデータ処理が適切に行われていないと、結果としてよいインサイトを導き出すことができなくなります。収集されたデータに基づいて行われる機会学習やアナリティクスで、想定していた結果を得られないからです。
IoT環境を構築するためには高精度のデータ取得が必須であり、データの精度が高くなるほどIoTソリューションの成果も大きくなると言えます。
クラウドの活用
IoT環境を適切に構築するためには、クラウドを最適な手法で活用していくことも欠かせません。
IoT環境を構築する際は、クラウドサーバーにおいて膨大なデータを蓄積できるような環境を整えておくことが大切です。取得されたデータはクラウドに蓄積され、集約されていきます。この集約の工程において重要な役割を果たすのが、クラウドになります。
取得したデータが対象とする地域やエリアは、広大な範囲に及ぶことも少なくありません。しかし、クラウドであればどのエリアにいても自由にデータを収集可能なため、利便性はさらに高まります。
もちろん、大容量のデータ保存領域を確保できるというクラウドならではのメリットも忘れてはならないポイントです。集約・解析といったデータ活用はIoT技術を活かすうえで重要であり、そのためには膨大なデータを保存できる場所が必要になるのです。
導入前のPoCの実施が不可欠
IoTソリューションの導入を検討する際に、導入前に必ず実施しておきたいことがあります。それは、「PoC」について知っておくことです。
「PoC」は「Proof of Concept」の略で、直訳すると「概念の実証」です。PoCはIoTの構築において、非常に重要なプロセスと言えるでしょう。新しい概念やメソッド・アイデアなどを取り入れて何かを刷新するときは、「現実的に、その実現は可能か」を事前にチェックする必要があります。そのチェック過程が、概念の実証、PoCです。
IoTは、登場して間もない新しい技術です。導入事例の少ないIoTソリューションも多いため、安易に導入を決断できない企業も少なくありません。これは、IoT環境を構築するうえで見過ごせない課題と言えます。
利便性の高いIoTソリューションでも、安定性などが担保されていなければリスキーであり、導入が憚られます。導入に失敗した場合はどのような結果になるのか、企業活動にどのような影響があるのか、PoCを実施してリスクを抽出しておくべきです。
まとめ
IoTソリューションの導入はビジネスにおける大きなトレンドになっていますが、安心して運用できる環境の構築は、今のところ難易度が高いと言わざるを得ません。IoTに関する専門的な知識を持った人員の配置も欠かせないでしょう。だからこそIoT環境を構築する際は、PoCを実施するといった適切なプロセスを踏む必要があります。
NTTコミュニケーションが提供するスマートフィールドサービスは、企業の収益性を高めることや、製品の付加価値を高めることなどに貢献する設備保守サービスです。IoT環境を構築する際は、データ活用コンサルティングやフィールドサービス業務と連携し、収集したデータの見える化を実現します。IoT環境構築の際は、ぜひスマートフィールドサービスの導入をご検討ください。