アプリに決済機能が実装されていると、さまざまなメリットが得られます。本記事では、アプリに決済機能を入れたほうがよい理由をはじめ、請求方法の種類や請求タイミング、解約時の対応、課金プランの設定など、決済機能を入れる際のポイントや注意点について解説します。
アプリ開発で決済機能を入れたほうが良い理由
アプリの決済機能には、売上の管理を楽にしてくれるメリットがあります。また、セキュリティ対策としても活用できます。決済機能がついているアプリを利用する場合、顧客のクレジットカード情報を決済サービスのサーバーにだけ送れるため、自社サーバーに顧客のカード情報を残す必要がありません。
さらに、ショップが独自にデータを管理するよりも、決済サービスのサーバーに保存するほうが、高いセキュリティで情報を安全に管理できるのもポイントです。クレジットカード情報を自社で保存する際の課題となる、情報漏えいリスクを抑えられます。
アプリ開発で決済機能を入れる際のポイント
アプリ開発で決済機能を実装する際は、いくつか押さえるべきポイントがあります。無料期間や請求方法の種類、請求タイミングなどをどのように設定するかが、決済機能の使いやすさにも影響します。
無料のトライアル期間を設定するか
アプリ開発時には、無料のトライアル期間を設定するかどうか決めなければなりません。トライアル期間を設ける場合は、期間が完了したときにどんな処理をするかも考える必要があります。
無料期間終了後、ユーザーがそのままアプリを継続して利用する場合には、利用を希望する有料プランを選択し再登録するのが一般的です。無料プランから有料プランに移行するケースでは、決済方法などの入力をせずに利用開始して期間完了時に決済方法を選ぶ形や、無料プランに申し込む時点から決済方法を選んで入力しておき、無料期間終了後にそのまま有料プランへ移行できる形があります。
決済情報の取得がトライアル期間の前後どちらに行われるかによって、決済のタイミングも異なるため、決済機能を外部に委託する際は、とくに早めに対応方法を決めることが大切です。
請求方法の種類
決済方法にはクレジットカード決済や銀行・コンビニ振込、スマートフォンのキャリア決済、モバイル決済などさまざまな種類があります。オンライン決済のなかでも最も利用されているのがクレジットカード決済で、次いで銀行・コンビニ振込やキャリア決済などが利用されています。
(参照元:https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/statistics/pdf/HR201700_001.pdf P76)
クレジットカード決済は、商品購入時に画面上でカード情報を入力するだけで決済が完了する方法です。事業者側はクレジットカード会社や決済代行会社と契約すると、カード決済を利用できるようになります。クレジットカード決済は利用者の多さゆえ、ユーザー増加につなげられるメリットの大きい方法です。
また、近年ではモバイル決済も増加傾向にあります。こちらは事前に登録したクレジットカードや、チャージ済みの電子マネーに紐づけて即時決済を行います。
コンビニ・銀行振込やインターネットバンキングなども利用率が高い方法です。ユーザーからの入金があると、入金口座に振り込まれた旨が記録されます。事業者は銀行口座を確認したときに入金を確認できます。
ただし、すぐに入金確認ができるクレジットカードやモバイル決済とは異なり、振込の場合は振り込まれた口座のデータを一人ひとりチェックしていく必要があり、確認に時間や労力がかかります。請求方法によって管理の手間が大きく異なるため、決済方法を導入する際は、機能面だけでなく運用面にも十分注意しなければなりません。
請求タイミング
アプリの利用料を請求するタイミングも、事前にしっかり決めなければならないポイントのひとつです。一般的には、企業が顧客や取引先とのやり取りにおいて、月末・20日・25日などを締め日とし、月末までの料金を翌月末までに支払う「決済ルール」を設定します。ただし、アプリの請求の場合は、プランによって1ヶ月の利用料が一定のケースも多いため、登録日に決済処理を行うのがおすすめです。
月半ばなどに利用を開始した場合は、開始日から月末までの料金を日割りで計算するか、1ヶ月分を請求すべきかなどの問題が発生します。ユーザー個人の料金を明確に管理できるのは、ユーザーの利用開始日を基準に請求した場合なので、請求タイミングは開始日に設定すると管理しやすくなります。
月の途中で解約された場合の対応
ユーザーが利用月の途中で解約したケースも考えておく必要があります。決済が毎月自動更新に設定されているとしても、月の途中で契約を解除した場合に利用料金がいくら発生するのかという問題が生じるかもしれません。
とくに、毎月開始日が来るたびに自動更新される設定で、新しい月が10日しか経っていないときに途中解約したケースなどは注意が必要です。残りの20日分も最後の1ヶ月として考えるパターンでは、残り20日が経過するまで有料プランのユーザーとして利用可能状態を継続し、1ヶ月分の料金を請求します。
また、月の途中で解約を申し込まれた時点ですぐに解約となり、利用料金を月割りで計算して請求する方法もあります。解約申し込みから自動更新までの期間、有料プランのユーザーとしてこれまで通り利用できるか、解約申し込みからすぐ無料プランのユーザーに移行されるのかを決めておくことが大切です。
解約したあとの最終月は、日割り計算ができずに1ヶ月満了後に解約とするケースが比較的多いですが、基本は業務上管理しやすい方法を選んで採用します。
どのような課金プランを設定するか
「課金プラン」とは、ユーザーから料金を受け取り、その額に応じたサービスを提供するシステムです。料金が低額のプランは利用できるサービスが少なく、高額のプランほどさまざまなサービスを利用できる充実した内容になっています。
たとえばZoomの場合、「プロ」「ビジネス」「エンタープライズ」の3種類の有料プランが用意されています。低価格の「プロ」は利用可能人数や使用メモリなどが少なく、より高額な「ビジネス」は制限が緩くなり利用可能な機能も増加しているプランです。そして、ほかのプランよりもさらに高額で、人数やメモリの心配がいらず、すべての機能を使えるプランが「エンタープライズ」です。
有料プランは、さまざまなオフィスや企業で使われることを想定して、料金や利用可能な機能などが異なる複数のサービスを設定しておくことが大切です。
決済失敗時の対策
クレジットカード決済を利用しているユーザーの場合、カードの期限切れなどで決済が失敗してしまうケースもあります。クレジットカードの決済ができないときには、現在クレジットカードが使えない状態になっていることをユーザーに通知しなければなりません。
まず、登録していたクレジットカードで決済ができない状況をユーザーにメール送信して、マイページではエラーメッセージを表示する、といった対応で通知します。さらに、クレジットカードの有効期限を変更するために修正画面へのリンクを通知する、クレジットカード情報の変更フォームを準備するなどして、利用可能なカード情報の入力を依頼します。
また、決済に失敗したユーザーをそのまま有料ユーザーとして扱うのか、決済されるまでは無料ユーザーとして利用してもらうのかについても、併せて対応を考える必要があります。
アプリ開発で決済機能を入れる際の注意点
アプリ開発で決済機能を入れる際は、対応しているクレジットカードの種類や利用料金、対応規模などが合っているかなどに注意しましょう。決済機能を入れたとしても、ユーザーが利用できる決済方法と異なるようでは、利便性の向上にはつながりません。
たくさんの決済方法を導入するほど多くのユーザーに利用されやすくなりますが、決済方法を利用可能にするためにはコスト面などの問題もあります。たとえば、クレジットカード決済を導入する際はクレジットカード会社の審査を受けて、カード会社ごとにシステムを構築したうえ、初期費用や決済手数料を支払うなどのコストと手間がかかります。
決済機能を決める際は、種類にこだわりすぎて初期費用がかさまないか、種類数を広げすぎて管理できない状態に陥らないかなど、さまざまな点に注意しなければなりません。
PowerAppsで決済機能を組み込んだアプリ開発が可能に
決済機能を組み込んだアプリは、Microsoft社の「PowerApps」を利用すると簡単に開発できます。PowerAppsとは、プログラミングの専門知識がなくてもアプリを開発できるローコード開発プラットフォームです。簡単なコーディングの知識だけで済み、わかりやすい視覚的な操作により手軽にアプリ作成が可能です。アプリ作成を外部に委託する必要がないことから、開発コストを抑えられるメリットがあります。
システム開発で重要なセキュリティ問題についても、PowerAppsなら直接現場でアプリを作成できるため、外部に情報が漏れる心配もありません。簡単かつ安全にアプリ開発を行えるので、ぜひ導入を検討してみてはいかがでしょうか。
まとめ
アプリ開発では、決済機能の導入により売上の管理が楽になるほか、セキュリティ対策の強化にも役立ちます。アプリ開発で決済機能を入れる場合は、トライアル期間の設定や請求方法の種類、請求タイミング、解約時の対応など、さまざまなポイントを押さえて導入することが大切です。
決済方法の導入には、初期費用がかかるものもあります。コストを抑えてアプリを開発したい場合は、ローコード開発プラットフォーム「PowerApps」の利用がおすすめです。