あらゆるソフトウェア製品に言えることではありますが、長年アップグレードされないままの古いERP(=レガシーシステム)では、日々変化する市場環境の変化、それに伴う経営判断に追従できないという大きな問題があります。これに加えて製品のサポート期限が終了すると、セキュリティ更新に関するアップデートがされなくなるため、サイバー攻撃による情報漏洩などのリスクが増大してしまいます。
今日、その課題に直面しているのがMicrosoftのERP「Dynamics AX」です。Dynamics AXは会計管理、サプライチェーン管理(販売・購買・在庫)、生産管理/プロジェクト管理、人事管理、BI等のコア機能を搭載するERPとして世界130カ国の国や地域で多く販売されていたソフトウェアです。現在では、Dynamics AX は、Dynamics 365 for Finance and Operationsブランドで生まれ変わり、現代的でインテリジェントな ERP として展開されています。
以下は、Dynamics AXの製品ライフサイクルです。もっとも最新のAX 2012 R3以前のバージョンにおいてはすでにメインストリームサポートは終了しており、延長サポート終了日も間近に迫っている状況です。
<Dynamics AXの製品ライフサイクル>
本稿では、現在Dynamics AXにてERPを運用している企業に向けて、クラウドベースのERP「Dynamics 365」へ移行すべき理由についてお話します。
◆Dynamics AXのサポート期限が終了するとどのような問題が起きるのか?
ここ数年、過去にERPを導入した企業の多くがバージョンアップを行なっています。特に「SAP 2025年問題(後にサポート終了を2027年に延長)」は多くの企業において問題になっていたことでしょう。それではERPのサポート期限が終了するとどのような問題が起きるのでしょうか。このことを知っておくことでその重要性を理解できると言っても過言ではありません。
冒頭でも述べた通りサポート期限が終了(延長サポート含め)するとセキュリティ更新に関するアップデートまで停止し、ERPに深刻な脆弱性が見つかった場合でもセキュリティプログラムが更新されないため、サイバー攻撃による情報漏洩などのリスクが増大してしまいます。これは企業にとって死活問題にも発展しかねない状況に陥る、ということです。
特に経営そのものとも言えるERPに保存されているデータが漏洩するとなると、そこには顧客情報や事業データなど機密性の高い情報が流出する可能性があり、その経済的損失は計り知れないでしょう。社会的信用は失墜し、それを回復させるのにさらに多額の投資が必要になります。
また、サポート期限が全て終了する前でも、メインストリームサポートの終了によってビジネスが停滞する可能性があります。メインストリームサポートとは継続的な機能改善・強化を含むサポート期間なので現代的な機能の搭載は望めないことになります。そのため企業の業務プロセスがレガシー化していくことになるのです。
昨今のERPに求められている重大要件は、日々変化するビジネスへ追従できるような柔軟性と拡張性です。メインストリームサポートが終了すればその要件を満たすことは極めて難しくなり、デジタルビジネス時代の敗者となる可能性があります。それは経済産業省が過去に発表した「DXレポート」でも指摘されていることです。
Dynamics AXの移行先、Dynamics 365とはどのようなERPなのか?
Dynamics AXのサポート期限終了に対し企業が取るべき行動は、新しいERPへのアップグレードに尽きます。その最有力候補が、同じくMicrosoftが提供するDynamics 365です。これはどのようなERPなのでしょうか?
<Dynamics 365のイメージ>
Dynamics 365ではDynamics AXで提供されてきた機能を踏襲しながら、日々変化するビジネスに対して柔軟性と拡張性を確保するための汎用さがあります。また、マイクロソフト製品ならではの他製品との連携性、先進性などを業務に取り込むことが可能になります。さらに、業界特有のテンプレートなどを利用すると、ごく短時間でのアップグレードが可能になります。
一般的にERPをリプレースする場合、12~20ヶ月ほどの期間がかかるものと考えられます。ただしDynamics 365とDynamics AXは同じMicrosoft製品ということもあり、リプレースにかかる期間を通常よりも大幅に短縮できることが大きな利点です。
CECのDynamics AXアップグレードサービス
CECではDynamics AXのサポート期限終了に備えて、Dynamics 365への移行を検討している企業にアップグレードサービスを提供しております。アセスメントは無償で行われ(ヒアリングシートによるアセスメント)、その後はアップグレードの検証、検証の結果を踏まえてDynamics 365へのアップグレードを実施いたします。
目安となる期間として、アセスメントに約1週間、アップグレード検証に約2週間、アップグレードの実施に約3ヶ月~となりますので、通常のERPアップグレードよりも短期間で完了できる特徴があります。また、アップグレード後のDynamics 365のカスタマイズや運用サポートもCECでは提供しておりますので、リプレースだけでなく業務実態に合わせた拡張も可能です。
Dynamics AXからDynamics 365への移行をご検討の際は、ぜひこの機会にCECのアップグレードサービスを検討してみてはいかがでしょうか。