ビジネスにおいてデータ分析が欠かせない時代になった今、皆さんはそのツールとして何を活用していますでしょうか?
この問いに対して、日ごろから使い慣れていて操作が簡単、データ分析も可能な「Microsoft Excel」と回答する方は多いでしょう。数十年の歴史がある表計算ソフトであり、そこには今までMicrosoftが培ってきたノウハウと、長年の開発によって導き出された最適な機能が備わっています。
ただし、データ分析においてExcelを超えるツールがないか?といえば、そうではありません。その存在が「BIツール」です。それではBIツールは、Excelと何が違うのか?と、疑問に感じている方は少なくありません。本稿では、BIツールとExcelの違いは何かについて触れ、それぞれの使い分けをご紹介していきます。
BIツールとは?
Excelという表計算ソフトはどういうものか?この説明に関しては、皆さんが十分理解しているところかと思いますので本稿では割愛します。では、BIツールとはどういうものでしょうか?
BIとは「Business Intelligence(ビジネス・インテリジェンス)」の略です。日本語に訳すと、「ビジネス上の意思決定を下すための知識/情報」といったところでしょうか。Intelligenceという言葉は単純な「知識/情報」ではなく、「意思決定を下すためのフレームワークを組み込んだ知識/情報」といった意味合いがあります。
要するに、データの集合体を単純に分析するものではなく、分析の結果としてビジネス上の意思決定を手助けするような知識/情報に変換するためのツール、ということになります。
実は昔から存在するBIツールですが、「ビッグデータ」が流行した2012年頃から、データ分析のニーズに伴い日本でも認知が一層拡大していきました。今ではビッグデータというワードをあまり聞きませんが、ビッグデータ自体が当たり前になったためと言えるでしょう。そのため、BIツールも一過性のブームではなく、今現在最もビジネスに欠かせない分析ツールとして普及しています。
Excelは分析に向かない?
本稿のタイトルやここまでの内容から、「データ分析にはExcelではなく、BIツールが最適だよと言いたいのだな」と、なんとなく予測していただいていることかと思います。事実、本稿ではExcelを使ったデータ分析ではなく、BIツールを使ったデータ分析を推奨しています。
それは単に「BIツールを利用してほしいから」ではなく、データ分析を行う上でやはりBIツールの方がExcelを凌駕する部分が多いからです。言い換えれば「Excelはデータ分析に向いていないもの」ということです。
Excelには500近い関数機能と、分析/レポートを簡素化するためのピボットテーブル機能、それと特定の処理を自動化するマクロ機能が備わっており、これらの機能を駆使すれば高度なデータ分析も可能になっています。ただし、「ファイル容量に限界がある」ことを忘れてはいけません。
ここで言っているファイル容量の限界とは、スペック的にどれくらいのデータを格納できるかではなく、一定のデータ量を超えるとExcelの動作が極端に重くなることです。Excelでデータ分析をしたことがない方でも、更新に更新を重ねてデータ量が増えたExcelファイルがなかなか開かない、開いても動作が重すぎて作業が捗らない、といった経験をされたことがあるかと思います。
これこそExcelでデータ分析を行う限界です。数千件程度のデータ量ならば問題ないでしょう。しかし数十万件、数百万件、数千万件とデータ量が増えるごとにExcelの動作は重くなっていきます。そして最終的には、強制終了も多くなります。これではいつデータを損失するか分からないので、データ分析どころの話ではありません。
これに対して「ファイルを分割して保存すれば問題が解決するのでは?」と考えた方もいるでしょう。しかし、増え続けるファイルを果たして適切に管理できるでしょうか?当然「NO」です。欲しい情報を入手するのに時間がかかり過ぎますし、バージョン管理が難しくどのファイルが最新版なのか、どこにどの情報が格納されているのかが分かりにくくなってしまいます。
大量のデータ分析にはやはりBIツールが最適
では、BIツールはなぜExcelよりもデータ分析に優れているのでしょうか?「データ分析に特化したツールだから」という単純な説明ではなく、BIツールがデータ分析に最適である理由と細かく説明していきます。
1.大規模なデータ分析基盤を簡単に作れる
企業ごとに保有している大量のデータを効率よく分析するためには、データの受け皿となる大規模なデータ分析基盤が必要です。Excelはその受け皿としてあまりに小さすぎるため、大量のデータ分析に向きません。
一方、BIツールは大量のデータ分析を実施することを想定しており、事前に大規模なデータ分析基盤が整えられています。特別な苦労なく、データを効率よく分析するための基盤が最初から作られているのです。
2.各システムとの連携で各所からデータを引っ張れる
データ分析を実施するにあたり、特定のデータだけを分析していても新しい情報は何も見えてきません。大切なのは、今まで関わり合いの無かったデータ同士を突き合わせて、相関性などを導き出すことです。そのためには各システムからデータを引っ張る必要があるのですが、これがなかなかに難しい問題です。
多くのBIツールはシステムとの連携性を強化しているため、各システムから素早く必要なデータを引っ張り出せます。それらのデータをBIツールの中で分析し、さまざまな形でアウトプットが可能です。
3.大量のデータの集計/分析を安定的に行える
BIツールはExcelと違い、大量のデータの集計/分析を実施することを想定しているため、それらを安定的に行えるのが大きな強みです。データ量が多くなったからといって、動作が重くなることはありませんし、まして強制終了も起きません。
4.情報の視覚化により直感的に理解できる
BIツールは分析したデータから、情報を視覚的に表すことを得意としています。ユーザーはそれらの情報を直感的に理解できるので、今までよりも意思決定スピードを高めることができるでしょう。
5.レポートが自動的に更新される
Excelの場合、新しいレポートを作るのに時間がかかり過ぎてしまい、その結果意思決定が遅れる可能性があります。一方、BIツールはデータが更新されればレポートも自動的に更新されるので、面倒な更新作業は不要です。
いかがでしょうか?大量のデータ分析を実施するならば、やはりBIツールが最適です。ただし、数万件程度のデータ分析ならばExcelで十分行えますし、追加コストもかからないので、データ量に応じてBIツールとExcelを使い分けるのが正解だと言えるでしょう。
Microsoftでは、BIツールとしてPower BIを提供しています。もし、BIツールを検討する場合には使い慣れたLook&Feelで強力な機能を有するPower BIを検討してみてはいかがでしょうか。