どんな企業にも顧客との関りがあります。関わり方は違っても、ビジネスを成長させていくための顧客管理の本質は変わりません。つまり、如何なる企業でも正しく顧客管理を行えていれば、自然と成長できるというわけです。
今回はなぜ顧客管理が重要視されているるのか?そして顧客管理システムとはどのようなシステムなのかなど、気になる疑問を解説していきたいと思います。
そもそも顧客管理とは
顧客の企業規模、売上高、取引内容などを管理するだけならばそれは顧客管理ではありません。顧客管理は企業情報を集めることはもちろん、「顧客との関係性を管理」して初めて顧客管理と言えます。
例えば基本的な情報だけでなくサポートでの対応記録、営業部門による商談内容など、様々な管理項目があります。
顧客管理システム(CRM)
顧客との関係を管理しビジネスを成長させるための顧客管理ですが、この考えを体現化したのが顧客管理システムです。CRM(カスタマーリレーションシップマネジメント)とも呼ばれる顧客管理システムでは、属性的な情報だけでなく業界業種に合わせて様々な情報を管理することができます。
例えば営業活動履歴、クレーム対応、商談内容など様々な情報を管理します。それらの情報を管理し適切な営業活動を行ってくことで、顧客との関係性を築いていくことができるのです。
なぜ顧客管理が必要なのか?
顧客管理が必要とされる背景にはいくつか理由があります。ここでその理由を紹介していきます。
新規顧客獲得にかかるコスト、期間が増大している
10年ほど前を比べると、消費者が所得できる情報量は明らかに違います。インターネットやスマートフォンが普及した現在は、過去の何倍何十倍もの情報を得ることができるのです。
これは一般消費者だけでなく企業も同じです。企業に生じた課題を解決する際、まずインターネットで検索するという行動が当たり前になりました。
こうした背景から顧客は様々な情報を自ら得ることができるので、新規顧客獲得のコストや期間が増大している傾向にあります。これはインターネットの普及によって、企業の選択肢が爆発的に増加したためとも言えます。
顧客管理はこうした状況を打破し収益性を確保するために必要とされているのです。
顧客を理解し商品やサービスの満足度を高める
自社商品やサービスの質を高めていくためには、顧客について深く理解する必要があります。
「カスタマーエクスペリエンス」という言葉をご存知でしょうか?これは、商品やサービスに関わる時、あるいはそこに至るまでの過程で顧客が得る「体験」や「感覚的価値」をマネジメントすることで、商品やサービスへのロイヤリティを高めていこうという取り組みです。
このカスタマーエクスペリエンスの取り組みはすべての企業にとって早急に取り組むべき課題と言えます。そしてこれを実現するために必要なのが顧客管理です。
カスタマーエクスペリエンスに正しく取り組むには、まず顧客を深く理解する必要があります。つまり顧客情報を蓄積させ、その上で顧客目線に立った分析が必要になるというわけです。
過去の失注案件を新規案件へと繋げられる
これまで過去に成約に至らなかった案件、あるいは自社商品やサービスの利用を停止してしまった顧客は、失注案件として保管されているケースがほとんどでしょう。しかし、それら失注案件の中にも新規案件へと繋げらえるものがあったとしたら?
実際に失注案件から新規案件へと繋がるケースは少なくありません。
なぜ失注案件になってしまったかの理由は基本的にシンプルです。それは、自社商品やサービスが顧客の課題を解決するに至らなかったり、必要性を感じなくなってしまったためです。
あるいはコストパフォーマンスが高いと感じ、他社商品やサービスの乗り換えたからかもしれません。失注案件を新規案件に繋げるためには、まずこのような「なぜ失注案件になってしまったか?」を理解する必要があります。
さらに顧客が持つ課題まで理解できれば、的確な商品やサービスを提供することも可能です。
顧客管理を行うことで、過去・現在の情報から類似した顧客情報を集め、失注案件となった原因や顧客が求めているものを理解することができます。
蓄積したデータを経営に活かせる
顧客管理システムを利用していると、日々顧客情報が蓄積されていきます。これらの情報は企業のビジネスを成長させるための貴重な情報源です。
例えば受注や失注の要因を詳しく分析すれば、自社商品やサービスの強みと弱みが明確になり、適切な改善へと繋げることが可能です。あるいは顧客管理を通じて商談内容を細かく管理していれば、短中期的な売上見込みを立てることもできます。
具体的な数字をもとに経営判断を下せば、人員採用や社内リソース分配など様々な場面で無駄のない投資を行えるようになるのです。
マーケティングにおける顧客管理の役割
商品やサービスをより効率的に、より広範囲に利用してもらうためのマーケティングにおいて、顧客管理は既に欠かせない存在となっています。
前述のように顧客一人一人が持つ情報量は増大しており、それによって購買行動も大きく変化しました。今ではほとんどの企業が、課題解決ソリューションの検討にインターネットを必ず活用しています。
つまり、今までのマスマーケティングのような一方通行の情報発信では既に通用しなくなっているのです。
現代ビジネスにおいてマーケティングを成功させるためにはまず、顧客セグメントが重要となります。セグメントとは顧客の属性情報や行動情報をもとにセグメンテーション(グループ分け)を行い、セグメントごとに最適なマーケティングを展開するというものです。
「One 2 Oneマーケティングの一つ手前のマーケティング手法」とも言えます。
また、顧客管理をマーケティングに活かすことで、無駄な広告費を抑えられるというメリットもあります。
例えば不特定多数の企業に対しリスティング広告を配信すると、多大なコストがかかる割には大した成果が得られないというケースが少なくありません。それならば、セグメントごとに最適なフォローメールを送信すれば、宣伝費用は圧倒的に抑えることができます。
特にリスティング広告などの広告単価が高騰している現在では、顧客管理を用いたコンパクトなマーケティングがより効果的に感じるでしょう。
あるいは、顧客管理を上手く活用して情報分析を行えば、リスティング広告などにおいても高い成果を得ることもできます。
まとめ
顧客管理を徹底していると自負している企業の中にも、属性情報など基本的な顧客情報のみを管理することで、顧客管理を行っていると錯覚してしまっている企業は少なくありません。繰り返しますが、顧客管理とはあくまで顧客との「関係性」を構築、あるいは維持するためのものです。
基本的な情報を管理するためのものではありません。
顧客管理に対する正しい認識があるかないかで、その後のビジネスは大きく違ってきます。また、顧客管理を正しく理解してれば、顧客管理システムを導入した際も適切に利用することができるでしょう。
重要なのは正しい理解と基本的な活用ポイントを抑えることです。今後顧客管理システムの導入を検討している企業は、今一度自社の顧客管理について再考していただければ幸いです。