フィールドサービスの現場をIT化したい、と考える企業経営者や担当者も少なくないでしょう。ただ、実際にIT化を進めるとなると、どこから手をつけてよいのかわからない、といった声をよく耳にするのも事実です。本記事では、フィールドサービスの現場におけるIT化のメリットや、具体的な取り組み方について解説をします。
フィールドサービスとは
フィールドサービスとは、従業員が現場に足を運んで作業に従事するサービスを指します。たとえば、製造工場に設置してある機械のメンテナンスや修理、工事現場のインフラ整備、契約者の自宅に赴いてのインターネット回線接続工事などが該当します。
近年は、製品をただ売るのではなく、「利用できる状態を提供する」といったビジネスモデルへと変化しつつあります。従量課金制や、無料で製品を提供して修理、メンテナンスなどで収益を得るビジネスモデルも以前に比べ増えました。
世の中がこのような流れに向かって進んでおり、今後フィールドサービスの需要はますます高まると考えられます。ただ、フィールドサービスの需要が高まっても、従来と同じ非効率な取り組み方をしていては、利益の最大化を目指せません。そこで、フィールドサービスのIT化による業務の効率化が求められるのです。
フィールドサービスのIT化を進めるメリット
フィールドサービスのIT化を進めることで、さまざまなメリットを得られます。ペーパーレス化の推進や顧客対応の効率化、予知的保全の実施などが主なメリットです。詳しく見ていきましょう。
ペーパーレス化して効率が上がる
フィールドサービスIT化へ取り組み、ペーパーレスを実現できれば現場における作業効率を高められます。たとえば、オンラインでマニュアルや設計書、作業手順書などを閲覧できるシステムを導入すれば、わざわざ紙の文書を現場へ持ち込まなくてよくなり、必要に応じてスマートフォンやタブレット端末などでコンテンツを開けます。
現場でマニュアルや手順書を確認しつつ作業を行うとなると、非効率が発生します。ボリュームのあるマニュアルであれば、必要な情報を取り出すだけでも時間がかかるでしょう。しかも、マニュアルを読んでいるときは手がふさがってしまい、作業の進みが悪くなることも考えられます。
ペーパーレスを進めたうえで、スマートグラスを用いた作業支援も導入すれば、上記のようなリスクを回避できるでしょう。スマートグラスを通じて必要な情報を取得できれば、作業の手を止めることもありません。
また、オンラインでマニュアルや手順書を閲覧できる環境を構築すれば、文書忘れや紛失により作業に取り組めないといった事態も回避できます。これも、IT化で得られる大きなメリットといえるでしょう。
IoTを活用して予知的保全が行える
フィールドサービスのIT化として、IoTの活用も考えられます。IoTは「モノのインターネット」とも呼ばれ、モノとインターネットを接続しオンラインを介して情報を交換する仕組みです。
IoTを活用すれば、トラブルが発生する前に先回りした対応が可能です。たとえば、工場に設置された機械にIoTの技術を活用すれば、故障が発生する前兆を把握し、トラブルが表面化する前に適切な対処を行えます。
IoTの活用により、無駄な作業も省けます。たとえば、高所に設置された機械の修理を行う場合、担当者が高所にのぼり診断、オフィスに戻って部品の発注、後日再度高所にのぼって作業を行うといった工程が必要でした。
しかし、IoTを活用すれば、あらかじめトラブルを把握できるため、最初から必要な部品を準備したうえで現場へ向かえます。高所へのぼるのも一度で済むため、作業時間、工程の大幅な短縮になり、従業員の安全にもつながります。
顧客対応を効率化できる
フィールドサービスのIT化により、顧客対応の効率化が可能です。たとえば、顧客からフィールドサービスの依頼があった場合、管理者は対応できる人材をピックアップしたうえでスケジュールの調整を行うのが一般的です。
ただ、こうした対応はどうしても非効率が発生します。依頼内容に応じて従業員のスキルや経験などを確認する必要があり、さらにスケジュール調整まで必要となれば相当な時間を費やします。その結果、顧客対応が遅れる、クレームが発生するといったリスクが考えられるのです。
現場のIT化に取り組めば、上記のような課題を解決できます。たとえば、人材のスキルや経験などもまとめて管理できるシステムを導入すれば、依頼内容に応じた適切な人材をピックアップできます。また、リアルタイムにモニタリングを行える機能を実装したシステムであれば、イレギュラーな事態が発生したときも柔軟な対応が可能です。
フィールドサービスのIT化を進めるためには
フィールドサービスのIT化を進めるにあたり、何から手をつければよいのか、慣れない方には難しいものです。IT化とひと口にいってもさまざまな手法がありますが、ひとつには作業手順書やマニュアルの電子化が挙げられます。手順書やマニュアルを電子化し、モバイルデバイスで閲覧できるシステムを導入すれば、従業員は現場に最小限の荷物で足を運べ、必要に応じて情報にアクセスできます。
また、検索性に優れたシステムを導入していれば、電子マニュアルから必要な情報をスピーディーに取得できます。現場で文書を何度もめくっては戻るといった無駄がなくなり、スムーズに作業を進められるでしょう。
フィールドサービスの効率化に役立つアプリケーションの導入も有効です。たとえば、オンラインで日報や報告書を作成、送信できるアプリを導入すれば、従業員は現場で作業を終えたあとオフィスに戻って書類を作成、提出といったプロセスをなくせます。
上記のような無駄をなくすことで、従業員の機動性がより増し、1日に対応できる件数も増えるでしょう。従業員の負担軽減や満足度の向上にもつながります。
IT化を進める順番に決まりはありませんが、基本的には取り組みやすいものから始めるとよいでしょう。一度にすべて取り入れるのではなく、部分的に導入して様子を見つつ範囲を拡大するのがおすすめです。
フィールドサービスをトータルでサポートするMicrosoft Dynamics 365 Field Service
Microsoft Dynamics 365 Field Serviceは、フィールドサービスの効率化に役立つクラウドソリューションです。サービスの利用によりペーパーレス化を実現でき、マニュアルや対応履歴などをデバイスで一元管理できます。
依頼内容に応じて、適切な作業者を割り当てられるのも魅力です。直感的に操作できるダッシュボードで、個々のスキルや経験などをひと目で把握でき、リソースを適切に割り当てられます。
IoTセンサーと組み合わせて活用すれば、トラブルが顕在化する前にリモートで検知でき、適切な事前対応が可能です。このように、Microsoft Dynamics 365 Field Serviceにはフィールドサービスをトータルでサポートできる機能が網羅されています。
まとめ
フィールドサービスのIT化により、ペーパーレスの実現やそれに伴う業務の効率化が可能です。また、IoTを活用した予知保全や顧客対応の効率化も実現できるなど、さまざまなメリットを得られます。
フィールドサービスのIT化には、ツールやサービスの利用が有効です。Microsoft Dynamics 365 Field Serviceであれば、フィールドサービスを網羅的にサポートできる機能を実装しています。トライアル利用もできるため、この機会に導入を検討してみてはいかがでしょうか。