2015年にマイクロソフトがリリースしたWindows 10は、最新OSとしてなおも現役です。実は、Windows 10以降新しいバージョンが登場することはなく、「Windows as a Service(WaaS:サービスとしてのWindows)」というコンセプトに従って、Windows 10が継続的にアップデートし続けることになります。要するに、Windows 10がパソコンにインストールされていれば、永続的に最新OSを利用できるということです。
そんなWindows 10にはPro(プロ)とHome(ホーム)という2つのエディションがあります。一般的な認識として、Proの方がHomeよりも多機能・高機能となっています。本稿では、2つのエディションの違いについてより詳細に解説しています。Windows 10搭載パソコンの購入を検討しているけれど、どちらのエディションを選べばよいのか?悩んでいるという方はぜひ参考にしてください。
Windows 10 ProとWindows 10 Homeの違い
それではさっそく、Windows 10 ProとWindows 10 Homeの違いをさまざまな角度から解説していきます。
拡張性能の違い
|
Pro |
Home |
---|---|---|
価格 |
27,864円(税込み) |
19,008円(税込み) |
ビット数 |
32bit/64bit |
32bit/64bit |
CPUソケット数 |
1 |
2 |
最大メモリ(64 bit) |
128GB |
2TB |
最大メモリ(32bit) |
4GB |
4GB |
OSの価格はProとHomeで8,000円程度差があります。ただし、ほとんどの方はWindows 10が搭載されたパソコンを購入することになるかと思いますので、単純にWindows 10の価格だけでは判断できません。できる限り価格が安い方が良いという場合はHomeを搭載しているパソコンの方が良いですし、性能重視というならばProが良いでしょう。ただし、Homeの最大メモリは128GBなので、個人がWindows 10を使用するにあたってProを購入する需要はかなり少ないと言えます。
セキュリティの違い
|
Pro |
Home |
---|---|---|
Windows Hello |
〇 |
〇 |
デバイスの暗号化 |
〇 |
〇 |
ファイアウォールとネットワーク保護 |
〇 |
〇 |
インターネット保護 |
〇 |
〇 |
保護者による制限/保護 |
〇 |
〇 |
セキュアブート |
〇 |
〇 |
BitLockerデバイスの暗号化 |
〇 |
- |
Windows保護情報(WIP) |
〇 |
- |
Windows Defenderウイルス対策 |
〇 |
〇 |
BitLocker(ビットロッカー)とは、ストレージ(HDD、SDD、外付けメモリなど)内部を暗号化してセキュリティを確保するためのWindows 10新機能です。保護したいボリューム(ドライブ)を選択し、BitLockerを有効にするとそのボリュームが暗号化されます。外部からの不正アクセスに対して有効ですが、100%安全というわけではありません。
共通機能
|
Pro |
Home |
---|---|---|
デジタルペンとタッチ |
〇 |
〇 |
Microsoft Edge |
〇 |
〇 |
Cortana |
〇 |
〇 |
電池節約モード |
〇 |
〇 |
モバイル |
〇 |
〇 |
音声 |
〇 |
〇 |
Windows 10の基本的な機能についてはProもHomeも同じように使用できます。Windows 10よりマイクロソフトの規定ブラウザになったMicrosoft Edgeも、音声アシスタントのCortanaも使用できます。
ビジネス機能の違い
|
Pro |
Home |
---|---|---|
モバイルデバイスの管理 |
〇 |
- |
グループポリシー |
〇 |
- |
Enterprise State Roaming とAzure |
〇 |
- |
ビジネス向けMicrosoft Store |
〇 |
- |
割り当てられたアクセス |
〇 |
- |
動的プロビジョニング |
〇 |
- |
Windows Update for Business |
〇 |
- |
キオスクモードの設定 |
〇 |
- |
Active Directoryのサポート |
〇 |
- |
Azure Active Directoryのサポート |
〇 |
- |
以上の機能に関しては、HomeではサポートされずProのみの機能となります。いずれもビジネスで必要になる機能であり、モバイルデバイス管理等はデバイスが多様化した現代において必須機能とも言えます。Active DirectoryとAzure Active Directoryのサポートも提供することで、組織的に生産性を向上できます。
重要機能の違い
|
Pro |
Home |
---|---|---|
Internet Explorer 11のエンタープライズモード |
〇 |
- |
リモートデスクトップ |
〇 |
- |
クライアント Hyper - V |
〇 |
- |
Internet Explorer 11のエンタープライズモードとは、Internet Explorer 7及び8など、以前のバージョンのInternet Explorerをエミュレートする互換モードです。リモートデスクトプは離れた場所にあるパソコンに接続できる機能であり、Windowsパソコンから以外にも、AndroidやiOSデバイスからも接続することが可能です。Proを個人利用して便利に使える機能の1つとなります。
クライアント Hyper – Vとは、Windows内で仮想マシンを作成して複数のOSを実行することができます。確認としてWindows 7を稼働したい場合などに利用します。これらの機能は、個人利用であっても重要な機能になることが多いため、3つの機能を利用するためだけにProを選ぶ個人ユーザーもいます。
Windows 10 ProとWindows 10 Home、結局どっちがいいの?
ここまでProとHomeの違いについて解説しましたが、結局のところどっちを選べばいいのと悩んでいる方も多いでしょう。単純な線引きとしては、ビジネスユースを想定した場合はProを、一般家庭で使用する場合はHomeを、ということになります。
ただし、前述のようにProには個人ユーザーにとっても魅力的な機能(BitLocker、リモートデスクトップ、クライアント Hyper – Vなど)があります。そのため、一般家庭で使用する場合であっても、Windows 10 Proを選択するメリットはあります。パソコンでゲームを楽しむようなユーザーにとっても、Proを選択することをおすすめします。
企業などの組織内でWindows 10を利用する場合は、Pro一択と言えるでしょう。モバイルデバイス管理やグループポリシー、ビジネス向けMicrosoft Storeといった機能は、ビジネス上で使用するOSとして重宝するものばかりです。また、Windows 10はOffice 365をはじめとしたクラウドサービスとの親和性が高く、組織のコミュニケーションを円滑にしたり、セキュリティを強化したりするための利活用が行えます。Homeを選択するよりもコストは上がりますが、それ以上のメリットがあると考えてよいでしょう。
いかがでしょうか?Windows 10 ProとWindows 10 Homeには大きな違いがあり、それぞれにメリットが異なります。Windows 10を使用するシーンを想定し、目的を明確にし、自分にとって最適なWindows 10エディションを選択しましょう。