Microsoft Surface Pro XはSurface ProシリーズのタブレットPCです。
特徴として、コンパクトかつ軽量、Wi-Fiのほか、LTEによる接続が可能であり、モバイルワーク・リモートワークに最適なスペックを持つPCの1つです。ストレージ容量の違う128G版と256G版があります。
Surface Proは、ユーザーからの評価満足度も全般に高いシリーズです。なかでもモバイルビジネスPCとしては、Surface Pro Xは使い勝手が最高クラスといわれていますが、用途によっては、注意点もあります。
そこで、Surface Pro Xの概要・Surface Pro 7との比較・注意点を解説します。Surfaceを購入する際ぜひ参考にされてください。
「Surface Pro X」とは?
Surface Pro Xとは、2019年10月発売のSurface ProシリーズのタブレットPCです。高いPCとしてのパフォーマンスと、タブレットの使いやすさ双方を兼ね備えています。
Surface Pro Xの特徴
Surface Proは、LTE通信を標準搭載していることが最大の特徴です。発売が2019年10月ですが、当時はCPU がARMのSQ1であったため、タブレット用Windows アプリが使用できませんでした。理由としては、Windowsアプリは、Intelプロセッサを標準仕様としてビルドされているためです。
翌2020年10月には、CPUが発売当初の「SQ1」から、クロックを高速化し、よりパワーアップした「SQ2」へと変わった第二世代モデルも販売されています。
Surface Pro Xの技術仕様
Surface Pro Xの技術仕様は以下の通りです。重量・接続・バッテリー駆動時間など、モバイルユースでのパフォーマンスの高さ・使い勝手の良さが際立っています。
構成要素 | 仕様 |
---|---|
OS | Windows 10 Home (Windows on ARM) |
CPU | SQ1、SQ2 |
メモリ | 8 GB、16 GB(LPDDR4x RAM) |
ストレージ | 128GB / 256GB / 512GB(SSD) |
ディスプレイ | 13 インチ PixelSense™ ディスプレイ 解像度: 2880 × 1920 (267 PPI) |
重量・薄さ | 774g・7.3㎜ |
バッテリー駆動時間 | 最大15時間 |
外部端子 | USB-C × 2
Surface Connect ポート × 1 |
Office ソフト | Office Home and Business 2019 標準付属 |
価格 | ¥142,780 から |
【比較】Surface Pro 7との違い
同時期に発売された「Surface Pro 7」とサイズ・重量やスペックの面から比較してみると、いくつかの大きな違いがあります。
まず、CPUですが、Surface Pro 7ではIntel Coreプロセッサを使っており、Pro XではSQ1 かSQ2 のARM系のものを使っています。パフォーマンスがIntel Coreプロセッサのほうが高いこと、またARMでは Intel 64 ピット版でビルドされているアプリが使えない点が大きな違いです。
一方、モバイル性に優れたPro Xのほうがディスプレイサイズは大きいものの、若干コンパクトで軽く、どこでも接続を確保できるようLTE機能が搭載されています。
Pro XにはUSB type-Cが2つあるのみで、type-Aはありません。さらに、microSDスロットとイヤホンジャックも搭載されておらず、モバイルユース重視の設計思想がうかがえます。
テレワーク時にさまざまな場所へ持ち運んで仕事をするなど、使い方の自由度の高さを求める人にはPro Xが向いています。一方のPro 7はより高い処理能力を求める人・できる限り機能を揃えたいと思っている方向きだといえます。
以下にて比較点をまとめておりますので、ぜひ確認してみてください。
Surface Pro 7 | Surface Pro X | |
---|---|---|
LTE対応 | なし | あり LTEバンド: 1 / 2 / 3 / 4 / 5 / 7 / 8 / 12 / 13 / 14 / 19 / 20 / 25 / 26 / 28 / 29 / 30 / 38 / 39 / 40 / 41 / 46 / 66 |
CPU | Intel Core i3・i5・i7 | SQ1 SQ2 |
外部端子 | USB Type-C、USB 3.0 Type-Ax1、Surface Connectポート、Surfaceタイプカバーポート、Surface Dial | USB Type-Cx2、Surface Connectポート、Surface キーボードコネクタポート、Surface Dial カードリーダー micro SD XC用のスロット付き |
イヤホンジャック | あり | なし |
ディスプレイサイズ | 12.3インチ | 13インチ |
バッテリー駆動時間 | 10.5時間(ローカル動画再生時) | 13時間(通常使用時) |
Surface Pro Xの使い勝手を示す、5つの注目ポイント
Surface Pro Xは特にモバイル性の高さに特徴があり、機動的にどこへ持ち運んでも使用できます。ビジネスユースでは非常にパフォーマンスが高く、使い勝手の良いPCです。
4G+LTE通信機能を標準搭載。場所を選ばず活用できる
Wi-Fiや、4GまたはLTEでも使え、LTEのバンドも広く対応していますので、最もつながりやすく、早い回線を使えます。モバイルワークで課題の1つとなる通信の問題に直面することが少ないといえるでしょう。
Wi-Fiの通信速度スローダウンなど、時間帯や使う場所によっては起こりがちで心配されている方には、この機能があることは、大きな魅力といえます。
独自のCPUにより、スマートフォンの手軽さとPCのパフォーマンスを両立
SQ2は、ARMの起動の速さを生かしています。SQ2は、CPUというより、SoC=System on Chipであり、スマートフォンに使われている構造と同様のもので、CPUはそのうちの一部を占めています。
このため、スマートフォンアプリと同様に各アプリの立ち上がりが非常に速いことから、特に最適化されているアプリなどについては非常に使い勝手が良いと感じることでしょう。
SQ2は、SQ1を改良し、高性能のクロックを搭載、スマートフォン並みの機動性と、PCの高パフォーマンスの両立に成功しています。
「薄くて軽い」のに、大画面のタッチスクリーンを搭載
Pro Xは774グラムと、Surface Laptop GOや、Surface Pro 7と比べ、最軽量のスペックであり、薄さも7.3mm と史上最薄です。そのため、特に携帯性が高く、持ち運びやすく仕上がっています。
しかし、ディスプレイは、13インチと大き目の10点タッチスクリーンで、薄くて軽いのにペンでもキーボードを外付けしても、高い作業性が確保できます。
マルチタスクに耐えうる大容量のストレージ
軽量・薄型でありながら大容量のストレージを備えています。128GB/256GB/512GB の3通りのストレージが選べます。Microsoft Office製品・Photoshop/Light roomなどは問題なくサクサク動かせます。
ローカルでの大きなファイルの保存も可能です。そのうえ、良好な接続のもとでWebアプリの利用にも問題がないことから、ビジネス用として十分に使える性能を持っています。
大容量のストレージも、仕事で短時間にマルチタスクをこなさなければならないときに非常にストレスが少ないと感じられるスペックの重要な一部です。
専用の「Surfaceスリムペン」で使い勝手はさらに向上
Surface スリムペンは、筆圧感知やタイムラグのない応答性で入力が極めて快適です。特に、Surfaceスリムペン2は、ワイヤレス充電にも対応、応答性も初代よりも向上しており、使い勝手が良くなっています。
Surface Pro Xの専用キーボードを使うと、スリムペンを充電できて、ぴったり格納できます。ビジネスで忙しくしている間に紛失してしまう・カバンの中に入れている間に破損する、などの心配を減らすことができ、便利です。
一方で注意点も?購入前に知っておくべき「アプリ」問題
Surface Pro Xは、ARM のSoC(System on Chip)を使用しています。正確にいえば、CPUは、複数の集積回路から構成されるSoC の構成要素の1つです。
ところが、Windowsのアプリは、IntelのCPUを使用することを想定して作られており、特に64bit 版はIntel のCPUの仕様に依存してビルトされています。
このため、Surface Pro Xでは、ATOKなど、32bit 版が存在しないアプリなどには非対応となってしまいます。
どれだけ、64bit 版のアプリを使うかは、使い方によりますが、ATOKや、その他32bit版が存在しないアプリを使用したい場合は、PC用として一般的なCPUが使用されているPro7のほうが選択肢に入りやすいものと考えられます。
Surface Pro X と、Pro7で迷う場合は、この点を十分検討してから決定することをおすすめします。
まとめ
Surface Pro Xはモバイルデバイスとして非常に使い勝手の良いPCです。スマホの機敏な動きと、PCのパフォーマンスを両立させ、機能をシンプルにしています。
4G+LTE対応・モバイルユースの使い勝手を重視するなら間違いなくおすすめのデバイスだといえます。ただし、アプリの利用が限定されるため、購入する際には、十分に注意しましょう。