さまざまなアプリ開発がなされる中、より高度なアプリを簡単に開発すべく、ローコードアプリが注目されています。ローコードアプリとは、従来のように複雑なコードを記述せず簡単なコードで作られたアプリのことを指します。
そのために活用されるのが、Microsoft社が提供するローコードアプリ開発のサービスである「Power Platform」です。今回は、ローコードアプリ開発に優れたPower Platformについて、どのような機能があるのかを詳しく解説します。
Power Platformとは
まず、Power Platformとはどのようなサービスなのかを詳しく解説します。
Power Platformとは、カスタムアプリをローコードで作成できるクラウドサービスのことで、従来のように複雑で長いコードを記述せずとも、短く少ないコードを用いて簡単にアプリ開発できるというサービスです。
ゲームといったエンターテインメントアプリ以外にも、企業はあらゆるサービスをアプリ化して提供しているなど、Power Platformのようなローコードアプリ構築ができるサービスの需要は非常に高まっていると言えるでしょう。
Power Platformを活用すれば、フルクラウドへの移行や柔軟な機能変更、そして何よりも迅速なローコードアプリ開発が可能になるため、アプリ開発を考える企業にとってさまざまなメリットが得られます。
Power Platformに含まれる4つのサービス
では、ここからはPower Platformはどのようなサービスを利用できるのかについて詳しくご紹介します。
Power Platformには4つのサービスが含まれており、そのどれもがアプリ開発者にとって重宝されるサービスになっていることから、活用するためにもぜひ詳細を知っておきましょう。
Power Apps
Power Platformに含まれるサービスの1つ目は、「Power Apps」です。
Power Appsとは、プログラミングをせずとも手軽にビジネスアプリを作成できるツールです。事前にテンプレートが準備されており、ドラッグアンドドロップなどの簡単な作業を経てアプリ構築が可能になっています。
Microsoft社の調査によると、Power Appsを利用したことで、開発コストを74%削減できたほか、アプリ開発の生産性も大きく向上したと言います。
Power Appsは「キャンバスアプリ」、「モデル駆動型アプリ」、そして「Power Appsポータル」の3種類の形式で提供されており、ローコードもしくはノーコードでのアプリ開発も可能になっています。そのため、ITに関する専門的な知識を有していない方であってもアプリ開発が可能というメリットがあります。
Power Automate
2つ目のサービスは「Power Automate」です。
このサービスは、反復作業やタスクの自動化を実現し、ビジネスにおけるさまざまな工程を短縮して生産性を高めるためのサービスです。Power Appsと同じように、アプリ開発に関する詳しい知識がなくても、直感的な操作でワークフローの作成やAIの利用が可能になるという特徴があります。
Power Automateには「AI Builder」というAIの機能があり、これを用いるとタスクや作業の自動化をよりスムーズに行うことができます。プロセスの承認や画像・テキストの検出をはじめ、これまでに構築したモデルを使ったさまざまなタスク処理が可能です。
この自動化サービスはパソコンのデスクトップはもちろん、モバイル環境など活躍の場が広く、さまざまな環境で活用できるのも特徴です。
Power BI
3つ目のサービスは「Power BI」です。
BIとは、ビジネスインテリジェンスのことで、企業内の各部署がそれぞれ収集して活用しているデータを集め、分析してまとめることを指します。集めたデータは貴重な資産である一方、分析やまとめる手間がかかるため活かしきれていない企業も少なくありません。
Power BIはデータ収集や分析を目的とした「セルフサービスBI」で、データベースに保存されているデータを分析、そして可視化することによって誰もが内容を把握できる、視覚化されたわかりやすいレポートを作成できるという特徴があります。
Microsoft社が提供しているサービスのため、もちろん多くの企業が活用しているExcel(エクセル)との連携・統合も可能です。また、分析されたデータは上述のとおり、企業にとってデータは、とても重要な資産となり得るため、分析データの保護支援機能も備わっています。
暗号化や機密度のラベリング、アクセスをリアルタイムで監視するなど、集まったデータを安全に管理できる便利な機能も利用できます。
Power Virtual Agents
4つ目のサービスは、「Power Virtual Agents」です。
こちらも、プログラミングやAIの専門的な知識を必要とすることなく、誰でも簡単に「チャットボット」を作ることができるというサービスです。チャットボットとは、特定のアクションに対してさまざまな回答を自動でしてくれるロボットのことで、企業の問い合わせサービスで24時間回答をしているチャットサービスが主な例に挙げられます。
企業にとって重要度の高いロボットと言えるチャットボットを、専門的な知識がなくても作成できるのが、Power Virtual Agentsの魅力です。また、すでに構築しているサービスやワークフローとの連携もできるため、企業内外で幅広く活用できると言えます。回答には高度なAIを用いることができ、サービスのクオリティが高いのも特徴です。
その他Microsoft 365に含まれるローコードアプリ
ここまではPower Platformの4つの機能についてご紹介しましたが、ここからはその他Microsoft 365に含まれているローコードアプリについてご紹介します。
Microsoft 365に含まれるローコードアプリにはどのようなものがあるのか、詳しく見てみましょう。
Microsoft Forms
Microsoft 365に含まれるローコードアプリ1つ目は「Microsoft Forms」です。
これは、Microsoft 365アプリのひとつである「アンケート作成ツール」のことで、アンケートでさまざまなデータ収集を行うとともに、投票機能を使った情報収集も可能です。集まった回答データはわかりやすくまとめて視覚化され、同時に分析も行われるためアンケートで集まったデータを分析する手間が省けます。
アンケート調査のほかにもスケジュール調整、従業員へのアンケートを作成するなど、工夫次第でさまざまな使い方ができるのも特徴です。
Microsoft Lists
Microsoft 365に含まれるローコードアプリの2つ目は「Microsoft Lists」です。
Microsoft Listsとは、さまざまなリストを作成して多くの人と共有・追跡できる機能で、SharePointのリスト機能やインターフェイスを大幅にアップグレードした情報追跡アプリのことを言います。
Microsoft ListsはMicrosoft TeamsやPower Appsとの連携や自動化も可能できるため、組み合わせ次第でメンバーとリアルタイムでともに作業ができたり、リマインダーやコメント機能を利用してタスク確認をしたりするなど、さまざまな使い方ができるのも特徴です。
まとめ
Microsoft社のローコードアプリ構築サービス「Power Platform」についてご紹介しました。多くの企業がアプリ開発を行っている中、より簡単にアプリを構築できる仕組みが求められています。Power Platformはまさにその需要に当てはまっており、今後企業のDX化が進むにつれて、さらに利用されていくでしょう。
アプリを簡単に開発したい、ローコード・ノーコードアプリ開発に関する悩みを抱えている企業は、その悩みを解消すべく、Microsoft Power Platformの導入を検討してみてはいかがでしょうか。