新型コロナウイルスや働き方改革などの影響で、近年注目を集めている「ハイブリット会議」。従来の会議やオンラインミーティングなどとはどのような違いがあるのでしょうか。本記事では、ハイブリッド会議の概要や特徴といった基本知識に触れながら、おすすめのツールや必要な設備、導入するべき企業像などを紹介します。
ハイブリッド会議とは?
ハイブリッド会議とは、セミナーやミーティングなどの様子をリアルタイムで配信し、一部の参加者がオンラインで参加する、新しい会議スタイルです。参加者全員が同じ会場に集まる必要がないため、感染症対策のひとつとして近年多くの企業に導入されています。従来の会議は、「実際に顔を合わせて行う会議」と「オンラインで行うビデオ会議」などの線引きがありましたが、ハイブリッド会議はこのふたつが融合したものと考えると、イメージしやすいでしょう。
ハイブリッド会議が注目される背景
ハイブリッド会議が注目される理由は、2019年に施行された働き方改革関連法や、新型コロナウイルスの流行などが挙げられます。
働き方改革関連法とは、多様な働き方を選択できる社会をつくるために、労働時間の見直しや雇用形態に関わらない公正な待遇の確保などを定めた法律です。これにより、自宅から会議に参加したり、オンライン会議が主体になったりと、より柔軟性の高い働き方が重要視されるようになりました。
また、新型コロナウイルスの感染拡大により、さまざまな企業でリモートワークが導入されました。勉強会や外部の人を招いてのプレゼンテーション、式典など大人数で集まる行事が行いづらくなり、普段の業務だけでなく、それらをリモートで開催するケースも多く見受けられています。
ハイブリッド会議の進め方
ハイブリッド会議は、リアルとオンラインが融合した、次世代型の会議スタイルです。会議を進める上で、どのような点に注意すればよいのでしょうか。
ハイブリッド会議参加者を決める
ハイブリッド会議の参加者は、直接会場に行くリアル参加者と、オンライン参加者の2通りに分かれます。ソーシャルディスタンスを保って安全に開催するためにも、当日どれくらいの人数が会場に訪れるのかをあらかじめ把握しておきましょう。リアル参加者の人数を決めておくことで、会場選びもスムーズに進められます。
また、参加者の出席スタイルは、「どの程度の配信機材をそろえるべきか」「インターネット回線はどの性能が必要か」などを決める指標にもなります。ホスト側からの希望がある場合は、あらかじめ「会場参加は主要メンバーのみ」「可能な限りオンライン参加を優先」などを参加者に伝えておくとよいでしょう。
ハイブリッド会議の場所を確保する
ハイブリッド会議は、通信環境が安定している場所を選ぶことが大切です。ハイブリッド会議は大勢の人をオンラインでつなげるため、脆弱なインターネット環境下では動画が固まったり、音声が途絶えたりするトラブルが発生することもあります。質の高い映像・音声を安定して届けるために、オンライン配信対応の高性能なインターネット環境を備えている会場を選びましょう。まだまだ数が少ないものの、オンライン会議・オンラインセミナーに対応する貸し会議室やイベントホールであれば、安心して利用できます。
ハイブリッド会議の機材を用意する
ハイブリッド会議では、リアル参加者とオンライン参加者に格差が生まれないように、適切な機材をそろえる必要があります。まずは、オンライン参加者の顔を現場のメンバーが把握しやすいように、可能な限り大型のモニターを用意するとよいでしょう。
また、会議の様子をうまく配信できないとオンライン参加者は会議に参加している意識が生まれにくいため、ホワイトボードなどをしっかりと映せるカメラや音響設備などの配信機材も不可欠です。ハイブリッド会議対応の会議室など、配信機材がひと通りそろっている会場もありますが、自社で行う場合などは、会議の規模に応じた配信機材を用意する必要があります。
ハイブリッド会議の開催
ハイブリッド会議は、出席スタイルによって参加者に格差が生まれないために、あらかじめアジェンダやルールを共有しておくことが大切です。会議のやり方や内容、参加者のリスト、議論の内容、タイムスケジュールなどを事前に配布することで、スムーズに会議を進められるでしょう。
また、オンライン参加者に疎外感を与えないために、「発言する前に必ず名前を名乗る」「リアル参加者のみでの会話は控える」などのルールを定めておくとよいでしょう。オンライン参加者の発言機会が少なかったり、現場で誰が発言しているのかが伝わりづらかったりすると、リアル参加者だけの意見で会議が進行してしまうことも少なくありません。
ハイブリッド会議にはMicrosoft Teams Roomsが便利
Microsoft社は、柔軟な働き方を進めるための施策のなかでも、特に「ハイブリッドワーク」に注目しています。ハイブリッドワークとは、リアルとオンラインを融合させた働き方のことで、ハイブリッド会議もそのひとつです。Microsoft社がハイブリッドワークを実現させるために開発したのが、「Microsoft Teams Rooms」です。
Microsoft Teams Roomsとは、カメラ・マイク・スピーカー、ソフトウェアが一体になったソリューションで、誰でも簡単にオンライン会議が行えます。従来の「Microsoft Teams」との違いは、デバイスそのものにライセンスを紐づけられることです。Microsoft Teamsは個人アカウントにライセンスを紐づけるため、オンライン会議を行う時は個人がそれぞれのPCを持ち込む必要がありました。Microsoft Teams Roomsは会議室のデバイス自体にライセンスを付与するため、会議室全体をひとつのカメラで映します。このため、個人がTeamsアカウントを持っていなくても会議に参加できるのです。
ハイブリッド会議にMicrosoft Teams Roomsをおすすめする理由
配信機材やツールなどの知識が必要で、導入が難しいと思われがちなハイブリッド会議。しかし、Microsoft Teams Roomsならセットアップの手間を抑えながら最低限の機材のみでハイブリッド会議が始められます。ここでは、ハイブリッド会議にMicrosoft Teams Roomsを導入するメリットを紹介します。
自在にハイブリッド会議の場所が決められる
Microsoft Teams Roomsは、専用のデバイスからワンタッチでハイブリッド会議を開始できます。専用デバイスさえ用意すれば、参加人数や用途などによって自在にハイブリッド会議の場所が決められるのです。
従来のビデオ会議ツールの場合、「部屋の広さ・形状によっては音を拾いにくく、声が聞こえない」などのトラブルも多く見受けられました。Microsoft Teams Roomsの専用デバイスはUSB端子やHDMI端子などを搭載しているため、内蔵マイク・スピーカーなどが物足りないと感じたら、市販の製品を使ってカスタマイズできるというメリットもあります。さまざまな広さ・形状のスペースに使用でき、柔軟性・拡張性に優れています。
セットアップの手間がない
Microsoft Teams Roomsは専用デバイスにあらかじめカメラ・マイクを接続しておくため、会議の前にそれらをセットアップしたり、持ち込みのPCと接続したりする必要がありません。開始ボタンを押すだけですぐに始められるため、ITに苦手意識がある人や、オンライン会議に不慣れな人でも扱いやすいでしょう。これまでビデオ会議前のセットアップに費やしていた時間を節約でき、効率的に会議が行えるというメリットが期待できます。
ハイブリッド会議用の機材がシンプル
ハイブリッド会議は、モニターや配信機材など、普段使うことのない設備を扱わなければならず、導入のハードルが高いと思われがちです。しかし、Microsoft Teams Roomsは専用のデバイスを購入し、既存のモニターなどを組み合わせることでハイブリッド会議が行えるため、初期費用や導入の手間を最低限に抑えられます。操作性もシンプルなので、普段Microsoft Teamsを使っている方はもちろんのこと、IT知識の薄い方でも操作しやすいでしょう。基本的には専用デバイスとマイク、カメラがセットで販売されていますが、種類によっては全てが一体型になったものや、カメラがないものなどもあるので、パッケージの内容をよく確認した上で購入するとよいでしょう。
オンライン参加者とリアル参加者の差が付きにくい
Microsoft Teams Roomsには、専用のコンテンツカメラなどのオプションが付いており、より高性能なオンライン配信が可能です。
2台のコンテンツカメラを使用する「どこでもホワイトボード」は、カメラがホワイトボードを自動でトリミングし、オンライン参加者に見やすい形で表示してくれます。斜めにカメラを置いても正面から映したように自動調整して表示するため、ホワイトボードを共有するために画角を気にする必要がありません。
また、AIを搭載したルームトラッキングカメラは、発言している人を自動でズーム・フォーカスしてくれるため、配信スタッフを配置しなくてもクオリティの高い映像を配信できます。オンライン会議でありがちな「現場で誰が発言しているのかわからない」というトラブルを防ぎ、オンライン参加者とリアル参加者の格差をなくせます。
Microsoft Teams Roomsの共有デバイス
Microsoft teams roomsは、デバイスとソフトウェアで構成されるソリューションです。導入するには必ず専用のデバイスが必要なため、それらの特徴をあらかじめ理解しておくとよいでしょう。ここでは、「Microsoft Teams Rooms on Windows」「Microsoft Teams Rooms on Android」「Microsoft Surface Hub」という3つのデバイスの特徴を紹介します。
Microsoft Teams Rooms on Windows
「Microsoft Teams Rooms on Windows」は、外付けのカメラ・マイクを使用するため、会議室の大きさやレイアウトに柔軟に対応できます。「用途に併せて部屋を変える可能性がある」「より柔軟性の高い設備を導入したい」という方は、Windows版のデバイスが適しているでしょう。
また、Microsoft Teams Roomsはどこでもホワイトボードやルームトラッキングカメラなどのオプション機能がありますが、今後追加される新機能をいち早く取り入れたい方もWindows版がおすすめです。新機能はWindows版に実装された後、Android版などほかのデバイスに追加されるケースが多いため、Windows版のほうが常に新しい機能やオプションを取り入れやすいでしょう。
Microsoft Teams Rooms on Android
「Microsoft Teams Rooms on Android」はマイク・カメラがデバイスに内蔵されているため、会議室にデバイスを設置するだけで、簡単にハイブリッド会議が導入できます。「カメラ・マイクを接続する手間を減らしたい」「設置や管理をなるべくシンプルにしたい」という方は、Android版のデバイスが適しているでしょう。
また、Microsoft Teams Rooms on Androidは外付けの機材が必要ないため、ケーブルの少ない小さな会議室やハドルスペースなどの設置が適しています。オフィスの面積が狭い場合や、簡易的なハイブリッド会議設備を探している方も重宝するでしょう。
Microsoft Surface Hub
「Microsoft Surface Hub」は、Microsoft社が手がける、Windows 10搭載のデバイスのことです。84インチと55インチの2種類があり、画面が大きく大人数でのオンライン会議に適しています。また、同じMicrosoft製品であることからMicrosoft Teams Roomsとの互換性が高く、背景ノイズの抑制、チャットバブル、ライブリアクション、デジタルホワイトボードなど、ハイブリッド会議のクオリティを高めるさまざまな機能を搭載しています。また、ワンタッチ会議参加やMeet Now、Dial Pad for PSTN、ピアツーピア通話といった主要な機能も搭載されています。
ハイブリッド会議にMicrosoft Teams Roomsを導入すべき企業
最小限の機材で高性能なハイブリッド会議が導入できるMicrosoft Teams Roomsの導入に適している企業の特徴を、項目ごとにまとめました。ハイブリッド会議のツールで迷っている方は、ぜひ参考にしてください。
会議にMicrosoft Teamsをよく利用する企業
Microsoft Teamsはリモートワークのコミュニケーションツールとして国内外のさまざまな企業で導入されています。社内チャットやオンラインミーティングなどで使用されることも多く、個人でMicrosoft Teamsのライセンスを取得している方も多いのではないでしょうか。
Microsoft Teams Roomsは、すでにMicrosoft 365やMicrosoft Teamsを使い慣れている方にとっては操作性が良く、最小限のトレーニングで使いこなせるでしょう。
Microsoft Teams会議に複数人で参加している企業
Microsoft Teamsはビデオ会議機能を備えていますが、複数人で使用すると、「同時接続数が多すぎると音質・画質が悪くなることがある」「チームで出社メンバーと在宅メンバーが混在していると使いづらい」などの問題が見受けられます。一対一で使用する時は問題ないものの、ミーティングの規模が大きくなると不具合が生じる場合があるのです。
Microsoft Teams Roomsは、会議室全体を映して配信できるため、大人数のセミナーや、オンラインミーティングで複数人のチームが参加する場合などに適しています。また、AIを搭載したルームトラッキングカメラを併用すれば、発言者を自動でフォーカスしてくれるため、人数が多くても誰が発言したかがひと目で把握できます。
ハイブリッド会議機材の導入コストを抑えたい企業
ハイブリッド会議は配信機材や人材確保などが難しく、一見すると導入のハードルが高いと思われがちです。実際に、ハイブリッド会議対応の会議室を構築するのに膨大なコストがかかってしまう企業も少なくありません。
しかし、Microsoft Teams Roomsは、専用デバイスとサブスクリプション料金のみでハイブリッド会議が利用できるため、なるべく初期費用を抑えたい企業に適しています。また、他の方法を採用した場合、発言者をカメラでフォーカスしたり、ホワイトボードをわかりやすく映したりと、より質の高いハイブリッド会議を目指す場合はリアルタイムで動ける配信スタッフが必要な場合もあります。Microsoft Teams Roomsはオプション機材を追加することで、それらの作業を自動で行ってくれるため、配信技術のある人材がいない企業や、会議中の人的コストを削減したい企業などで重宝するでしょう。
快適なハイブリッド会議を行いたい企業
Microsoft Teams Roomsは、デバイスに高性能な調整機能を搭載しているため、自動で音声や映像を最適な状態に保ってくれます。オンライン会議で複数人をつなぐと「音声や画像が乱れる」「発言が被ると音声が聞こえづらい」などのトラブルが発生し、ミーティングがスムーズに進まないケースも多いでしょう。Microsoft Teams Roomsは周囲のノイズを軽減するAIや、音がクリアに聞こえる高性能オーディオなど、ハイブリッド会議に特化したさまざまな機能を備えているため、ワンランク上の快適な会議を実現できます。
まとめ
ハイブリッド会議とは、リアルとオンラインが融合した新しい会議スタイルのことです。ハイブリッド会議を導入するには、最低限のコストでワンランク上の満足度が目指せる「Microsoft Teams Rooms」の利用がおすすめです。