「Copilot Proは無料版とどのように違うのか」
当記事ではCopilotに焦点を当てて概要を解説します。お読みいただくと料金やできること、最新の機能追加情報などを理解できます。Copilotの無料版や、ChatGPTの有料版であるChatGPT Plusとの比較もしているので、どれを導入すべきか判断材料にしてください。
Copilot Proの概要
Copilot Proについて理解するにあたり、まずはCopilotについて復習しておきましょう。
Copilotとは
CopilotはMicrosoftが提供する生成AIサービスです。当初、Bing Chatという名前で登場しました。2023年11月に名前が変更されてCopilotになっています。CopilotとBingの歴史について気になる方は以下の記事でご覧ください。
CopilotとBingはどう違う?使い方や制限に注目して紹介
CopilotはChatGPTのモデルであるGPTをモデルとして採用しています。ブラウザやMicrosoft 365(以下M365)の各アプリ内や、Windows OS上でユーザーのさまざまなサポートができます。例としてブラウザでは調べたいことをメッセージとして送ることで、その回答を得ることが可能です。また作成したい画像を指示すれば、画像の作成もできます。
以下の呼び分けが一般的です。
種類 | Copilot | Microsoft 365 Copilot | Copilot in Windows |
利用環境 | ブラウザ | WordやExcelなどM365アプリ上 | Windows 11 OS |
料金(月額) | 無料版:無料 Copilot Pro:3,200円 |
4,497円 | 無料 |
使用例 |
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Copilotについて別記事で詳しく解説しているので、あわせてご覧ください。
Copilotとは?ビジネスでの使い方や企業の活用事例を紹介
Copilot Proとは
Copilot Proは上記のCopilot(旧Bing AI)の有料版のことです。
有料版は無料版と比較して、高機能なAIサービスをいち早く利用できることや、モデルが高性能であることなど、機能が拡張されています。またCopilot ProはTeamsを除くM365アプリ内でも利用可能です。
個人ユーザー向けのサービスですが、企業でも導入が可能となっています。ただし、自社がM365を利用しているのであれば、企業向けであるMicrosoft 365 Copilotを利用する方がメリットが大きいです。
Microsoft 365 Copilotは有料であり、Copilot Proと混同しやすいので注意が必要です。
当記事で紹介するよく似たサービスと間違えないように、以下の表を参考に違いを確認しておきましょう。
プラン | Copilot Pro | Microsoft 365 Copilot | Copilot in Windows | ChatGPT Plus |
用途 | Copilotの有料版 | M365アプリ上で使える | Windows 11で使える | ChatGPTの有料版 |
料金(月額) | 3,200円 | 4,497円 | 無料 | $20 |
Copilot ProとCopilot無料版の違い
Copilot Proは1ユーザーにつき、月額3,200円で利用可能です。
Copilotには無料版も用意されているため、違いを比較した上でどちらを導入するか決めればよいでしょう。無料版と比較して、以下の点で優位性があります。
- 最新モデルへのアクセス頻度
- 画像生成
- M365アプリでの利用
プラン | Pro | 無料版 |
料金(月額) | 3,200円 | 無料 |
最新モデルへのアクセス | 優先 | - |
画像生成のブースト回数 | 100 | 100 |
M365アプリ | 利用可能 | 利用できない |
最新モデルへのアクセス頻度
両者の間で異なるのが最新モデルへのアクセス頻度です。Copilot Proのユーザーによるアクセスが優先されます。
OpenAIの最新モデルが登場すると、Copilotにもいずれ反映されます。その際に、優先的に最新モデルを利用できるのはCopilot Proです。無料版のユーザーはProのユーザーによるアクセスが少ないときに利用できます。
またCopilotは画像生成機能のように、新しいAI機能をリリースします。新しい機能の早期アクセスはProのみが可能です。
より早くAI機能を試したい場合は、Proを契約するとよいでしょう。
画像生成
画像生成能力も両者では異なります。画像生成について、1日あたり以下のブースト数が用意されています。
- Copilot Pro:100
- 無料版:15
ブーストとは画像生成を迅速に行える回数です。ブーストを用いるか、用いないかで画像生成依頼時から完了までにかかる時間が異なります。このブースト数がProの方が多く用意されており、たくさんの画像を素早く作成したいユーザーはProを利用しましょう。
Microsoft 365アプリでの利用
M365アプリでの利用も両者では異なります。無料版はM365アプリ内で利用できません。M365アプリ内で利用できるのはCopilot ProまたはMicrosoft 365 Copilotのいずれかになります。
Copilot Proを用いると、以下が可能です。
- Wordでドキュメントの作成や編集
- Outlookでメール作成や返信すべきメールの収集
- Excelで数式の作成、データの分析や要約
- OneNoteでメモの作成やToDoリストの作成
Copilot Proを用いるとM365アプリ上でもユーザーの作業効率化を実現できます。
Copilot ProとMicrosoft 365 Copilotの違い
Copilot ProとMicrosoft 365 Copilotの両者は混同しやすいサービスです。Copilot Proは個人向けであり、後者は企業向けですが、より具体的な違いとして以下があります。
- 料金
- 利用できるM365のアプリ
プラン | Pro | M365 Copilot |
対象ユーザー | 個人 | 企業 |
料金(月額) | 3,200円 | 4,497円 |
Teamsの利用 | できない | できる |
本章では、違いについて詳しく解説します。
料金
それぞれの料金は以下に設定されています。
- Copilot Pro:月額3,200円(1ユーザー)
- Microsoft 365 Copilot:月額4,497円(1ユーザー)
Copilot Proは個人向けですが、Microsoft 365 Copilotは企業向けのサービスです。M365は企業規模ごとに中小企業向けと大企業向けのプランがありますが、どちらで導入しても同じ金額になります。
なお、Copilot Proは1カ月間の無料試用が可能なので、利用を検討しているようであればぜひ試してみましょう。
利用できるMicorosft 365のアプリ
両者が対応するM365アプリについて、Teamsで利用できるか、できないかの差があります。
Copilot ProはTeamsで利用できませんが、Microsoft 365 CopilotはTeamsで利用可能です。CopilotをTeamsに用いると、会議の要約や議事録作成など、大幅な業務効率化が見込めます。これは利用者にとってメリットといえるでしょう。
しかし、一般ユーザーがTeamsにCopilotを用いたい場合は、企業向けのプランであるM365 Businessプランを導入する必要があるため、注意してください。またEnterpriseプランを利用する企業はTeamsを別途契約が必要となるため注意しましょう。
Copilot ProとChatGPT Plusの違い
CopilotとChatGPTはどちらもGPTがモデルになっています。そしてCopilot ProとChatGPT Plusはどちらも個人ユーザー向けの有料プランです。どちらを利用すべきか、以下の観点で両者を比較しています。
- モデル
- M365アプリとの連携
- 音声入力
- カスタマイズ性
導入検討の際の参考にしてください。
モデル
Copilot ProとChatGPT Plusは利用できるモデルが異なります。
具体的にはChatGPT PlusではGPT-4、GPT-4o、GPT-4o miniが利用可能です。Copilot ProではGPT-4やGPT-4 Turboを利用できるといわれています。
2024年10月現在は記載したモデルの中ではGPT-4oが最も性能が高く、GPT-4が低いです。よってCopilot ProとChatGPT Plusを比較した場合、ChatGPT Plusの方が性能が高いことになります。
またGPTの新しいモデルが登場した場合、基本的にはChatGPTから先に搭載されていきます。このことからも性能がよいモデルを利用したい場合はChatGPT Plusを利用すべきです。
Microsoft 365アプリとの連携
Copilot ProはM365アプリとの連携ができますが、ChatGPT Plusは連携できません。
Copilot Proの強みとして、M365の各アプリとの連携性の高さがあります。先述したように、Word、Excelなどの主要アプリとCopilot Proを連携させることでさまざまな業務効率化が可能です。
ChatGPT Plusにメッセージを入力し、返答内容をM365の各アプリに転記することは可能です。しかし、アプリ上でCopilotとコミュニケーションを取れることを考えると、効率はCopilot Proの方が高くなります。
M365のアプリと連携させたい場合はCopilot Proに優位性があります。
音声入力
Copilot Proは音声入力ができませんが、ChatGPT Plusでは音声入力が可能です。
音声入力ができると、翻訳や英会話の練習など、利用できるバリエーションが広がります。Copilotで音声入力をしたい場合にはCopilot StudioなどでカスタマイズしたCopilotが必要です。
こちらの記事もぜひ参考にしてください。
Copilot Studioとは?使い方と料金プランなどを解説
カスタマイズ性
Copilot Proはカスタマイズができない一方で、ChatGPT PlusはGPTsというカスタマイズ機能を利用可能です。
Copilotをカスタマイズしたい場合はCopilot Studioを利用する必要があります。しかし、ChatGPT Plusはプラン内でGPTsの利用が可能です。GPTsを用いるとノーコードで外部サービスとの連携や学習させたいデータの学習ができるため、オリジナルのChatGPTとして利用できます。
Copilot Proでできること
本章では、Copilot Proを用いてできることについて詳しく解説します。これらについてよく知り、導入にメリットがあるか検討の材料としてください。
新しいAI機能の早期利用
Copilot Proを契約すると無料版よりも先に新しいAI機能の早期利用が可能です。
AI領域の進化が早く、大企業同士の切磋琢磨が続いています。その中でMicrosoftとOpenAIはタッグを組んでいる状況です。Copilotに新しい機能が追加されれば、Copilot Proを契約中のユーザーから先に利用を開始できます。
無料版よりも少ない制限でAI機能の利用可能
Copilot Proは無料版よりも少ない制限でAI機能を利用可能です。先述したように無料版に比べて、AI機能の性能が高いメリットがあります。
- Copilot Pro
- 高速モデルへの優先アクセス
- 画像生成は1日あたり100ブースト
- Copilot(無料版)
- 高速モデルへのアクセスはピーク時以外の時間帯
- 1日あたり15ブースト
高性能な機能をたくさん利用したいユーザーには無料版よりもCopilot Proがおすすめです。
Outlookでの利用
Outlookで利用することで、さまざまなメリットがあります。例として以下の使い方が可能です。
- メールの本文を要約
- メールのスレッド(一連のやり取り)を要約
- メール本文の下書き
- 返信すべきメールの候補を取得
上記以外のTeams会議の招待などはMicrosoft 365 Copilotでのみ可能です。しかし、上記のように多くの業務効率化を実現できます。Copilot Proに依頼して、面倒な業務や定型作業を減らし、ユーザーはクリエイティブな業務に集中できる環境の整備が可能です。
Wordでの利用
Wordでも利用でき、さまざまなメリットがあります。例として以下の使い方が可能です。
- 作成したい文書の内容をメッセージ送信することで文書の自動作成
- リアルタイムのテキスト改善
- レポートや設計書など複雑な文書のフォーマット用意
上記のようにCopilot Proを用いるとWordの中で文書の作成、編集の効率化を実現できるため、従来の文書作成よりも大幅な時間短縮が可能です。また自身のみで文書作成をするよりも編集者としてCopilotがいることで、よりクオリティが高い文書に仕上がります。
時間短縮とハイクオリティを両立させられることがメリットです。
Power pointでの利用
PowerPointでも利用でき、さまざまなメリットがあります。例として以下の使い方が可能です。
- プレゼンテーションの作成
- スライドの追加
- プレゼンテーション全体の要約
- プレゼンテーション全体に対する質問とその回答
Copilot ProをPowerPointに利用すると資料作成だけでなく、プレゼンテーションに向けた準備も効率化できます。例として発表後の質問対応をシミュレーションが可能です。また全体の要約ができれば、一言で内容を報告する際に役立ちます。
発表準備と発表時のそれぞれの準備を効率化できます。
Excelでの利用
Excelでも利用でき、さまざまなメリットがあります。例として以下の使い方が可能です。
- 計算式の作成
- データ分析
- チャートやグラフの作成
Copilot ProをExcelで利用すると、資料の作成やデータの可視化に役立つだけではありません。データ分析も可能で、例として最大値、最小値、平均値を算出できます。またデータのソートなどもできるため、分析時に役立つ操作を自動で行ってくれることがメリットです。
資料作成やデータ分析に役立てましょう。
OneNoteでの利用
OneNoteでも利用でき、さまざまなメリットがあります。例として以下の使い方が可能です。
- ノートの要約ができる
- ToDoリストを作成できる
OneNoteはメモに利用することが想定されます。単にメモを取るだけでは、内容が整理されていない可能性も高いです。Copilot Proに要約やリスト化をしてもらうことで、単なるメモではなく、より今後に活かしやすいドキュメントになります。
Copilot Proを用いてOneNoteにあるメモを実践的なものにしましょう。
Copilot Proの利用方法
Copilot Proを利用するには契約が必要です。契約方法と具体的な利用方法を押さえておきましょう。
Copilot Proの契約
Copilot Proの契約方法は以下のとおりです。
- Copilot Proを利用したいMicrosoftアカウントにサインイン
- 「Copilot Proを購入する」を押下
- 支払い情報を入力し「サブスクライブ」を押下
- 「利用開始」を押下
上記でCopilot Proの契約が完了し、利用を開始できます。
例:PowerPointでの利用方法
Copilot ProはM365アプリ上で利用可能です。ここでは例としてPowerPointでの利用方法を確認しましょう。
Copilot ProをPowerPointで利用する方法は以下のとおりです。
- 右上の「Copilot」アイコンをクリック
- 右側に対話ペインが表示される
- メッセージ送信が可能になるので、頼みたいことを送信する
- Copilotが対応してくれる
上記の方法でPowerPoint上でCopilotを利用できます。なお他のM365アプリでも同様の使い勝手です。
Copilot Proによるビジネスアイデア
Copilot Proを用いたビジネスアイデアとして以下があります。
- マーケティングに向けた市場調査
- 商品開発のサポート
- カスタマーサポート
- 在庫管理
- 教育現場のサポート
マーケティングに向けた市場調査
マーケティングに向けた市場調査に利用できます。
マーケティング情報はデータベースなどに情報を集約しているでしょう。ExcelやCSVの形式に変換すればCopilot Proが読み込み可能です。
ここからデータの分析や可視化にCopilot Proを利用し、さらにその情報をPowerPointでまとめる際にもCopilot Proを利用できます。
マーケティングの市場調査の結果を説得力がある資料作成にするため、Copilot Proを利用しましょう。
商品開発のサポート
商品開発のサポートにも利用可能です。
まずCopilot Proはアイデア作成に利用できます。アイデアを抽出し、具体的な商品像をまとめていくことが可能です。また商品開発時に必要な設計書やプレゼンテーション用の資料作成にもCopilot Proを利用できます。
最終的な販売時の計画や説明書の作成にもCopilot Proを用いることで、多くの業務効率化が可能です。
カスタマーサポート
カスタマーサポートにも利用できます。
カスタマーサポートの問い合わせはある程度傾向があります。傾向を掴むためにも、問い合わせ内容をExcelファイルなどにまとめておくことで、Copilot Proによる分析が可能です。またCopilot Proは最適な返答内容も考えてくれるため、担当者の手間を大幅に削減できます。
Copilot Proによってカスタマーサポートによく届く質問への対応を定型化することが可能なので、担当者が頭を悩ませる機会が減ります。
在庫管理
在庫管理にも有効です。
Copilot Proによる在庫管理は集めたデータをExcelに変換することで、傾向の分析や需要の予測が立てられます。予測にもとづいた発注をすれば大量の在庫を抱えるリスクの低減が可能です。またCopilot Proへの指示によっては季節や世間のトレンドにもとづいた予測にも対応できます。
Copilot Proを用いることで、在庫管理業務にも大きく貢献可能です。
教育現場のサポート
教育現場のサポートにも有効です。
例として学習計画の策定に利用できます。さまざまなデータを読み込ませて、学生の苦手分野や近年の問題のトレンドから学習計画を立てられるでしょう。学習計画を立てる際はExcelなどでグラフ化すると、可視性が高く分かりやすいです。
計画からグラフ化までCopilot Proと協力して進めましょう。
Copilot Proの今後の展望
Copilot Proは今後も進化を続けていくことが予想されます。CopilotのモデルとなっているGPTの進化が今もなお続いているためです。今後の進化として、以下が予想されます。
- 現在ChatGPTで利用できるGPT-4oなどのモデルがCopilotにも搭載される
- 音声入力や動画ファイルの入力など、さらなる機能が追加される
- 対応できるM365アプリやAzureサービスが追加される
Copilot Proはこれまでと同様に、無料版よりも先に上記を利用できるようになるでしょう。
進化が続くAI業界ですが、その中でも強力なタッグを組むOpenAIとMicrosoftが生み出すCopilotに今後も目が離せません。
まとめ
Copilot ProはMicrosoftの生成AIであるCopilotの有料プランです。無料版と比較して、最新のAI機能を早期に利用でき、制限が少ないAIサービスの利用ができます。
Copilot ProはM365アプリ内でも利用できるため、活用することで、大きな業務効率化を期待できます。この点はChatGPT Plusよりも優れているため、個人利用かつ、M365アプリ内で利用したい場合にはCopilot Proはおすすめできるサービスです。