業務効率化

ハイブリッドワーク時代のオフィスデジタル化の具体的な施策とは?

近年では、オフィスワークとテレワークを組み合わせたハイブリッドなワークスタイルが普及しつつあります。そこで本記事においては、ハイブリッドワーク時代に求められるオフィスのデジタル化について具体的に解説します。ニューノーマル時代に即した仕事環境の構築を推進する企業は、ぜひ参考にしてください。

ハイブリッドワーク時代のオフィスデジタル化の具体的な施策とは?
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オフィスデジタル化が進む背景

1990年代後半から起こったIT革命以降、社会や経済などのあらゆる面においてデジタル化が加速しました。近年は情報通信やテクノロジーの分野のみならず、小売や流通などの業種でもデジタル化が進展しており、その流れは今後もさらに加速していくと予想されます。なかでも、さまざまな分野で推進されているのが、オフィスのデジタル化です。

オフィスのデジタル化とは、コラボレーションツールやグループウェアなどの技術を活用し、デジタル空間でバックオフィス業務を完結できる仕事環境の構築を指します。国内におけるオフィス環境のデジタル化は段階的に進展しており、その背景には「働き方改革の推進」「新型コロナウイルスの流行」「ハイブリッドワークへの移行」という3つの要素が深く関わっています。

働き方改革の推進

2018年6月に「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」、いわゆる「働き方改革関連法」が成立し、2019年4月より順次施行されました。この働き方改革の推進により、企業には長時間労働の是正や残業時間の上限規制、公平な待遇の確保、多様な働き方の実現など、労働環境の抜本的な改革が求められるようになりました。

長時間労働や残業が規制されるなか、従来の環境と同等以上の労働生産性を確保するためには、より効率的に付加価値を創出する生産体制の構築が欠かせません。労働生産性を向上させるためには、従来よりも少ない従業員数や労働時間で、生産量を最大化することが重要になります。このような背景があって、より効率的な生産体制の構築を目的として、業務プロセスのデジタル化を推進する企業が増加したのです。

新型コロナウイルスの流行

働き方改革の推進によって浸透しつつあったオフィスのデジタル化が大きく加速する契機となったのが「新型コロナウイルスの流行」です。新型コロナウイルスは2019年12月に中国の武漢市で第1例目の感染者が報告され、それからわずか数ヶ月足らずで世界的な大流行となります。2020年3月に、WHOは新型コロナウイルスをパンデミック認定し、多くの企業が感染症対策としてテレワーク制度を導入しました。

パーソル総合研究所の調査によると、2020年3月の時点で13.2%だったテレワーク実施率が、緊急事態宣言発令後の4月以降になると27.9%と約2.1倍にまで上昇しています。テレワーク制度を最適化するためには、デジタル空間でバックオフィス業務を完結できる仕事環境の構築が求められます。このように、働き方改革の推進によって業務プロセスのデジタル化が進み、さらに新型コロナウイルスの影響から、オフィス環境そのもののデジタル化が加速していったのです。

ハイブリッドワークへの移行

ハイブリッドワークとは、オフィスワークとテレワークを掛け合わせた働き方を指します。テレワーク制度は、従業員側の視点では通勤が不要になると同時に柔軟な働き方が可能になります。企業側の視点では、オフィスコストや通勤手当の削減につながるというメリットがあります。しかし、コミュニケーションの希薄化やプロジェクトの進捗管理が困難になるなど、リモート型の労働環境によるデメリットも少なくありません。

そこで大きな注目を集めているのが、オフィスワークとテレワークのメリットを活かすハイブリッドなワークスタイルの導入です。単なるテレワークの延長ではなく、より効率的で生産的なハイブリッドワーク環境を構築するためには、オフィスのデジタル化が必須といえます。また、感染症対策の一環として普及したテレワークですが、新しい時代に即した働き方としても定着しつつあります。こうした背景により、新しい時代に即したデジタルワークプレイスの構築が求められているのです。

オフィスデジタル化のメリット

ここからは、オフィスをデジタル化する具体的なメリットを見ていきましょう。オフィス環境をデジタル化することで、経営者と従業員の双方にどのような恩恵をもたらすのかについて解説します。

経営者のメリット

オフィスをデジタル化することで経営者が得られる主なメリットは、「コスト削減」「生産性の向上」「従業員の満足度の向上」の3つです。

コスト削減

オフィス環境のデジタル化によって、テレワークやハイブリッドワークが実現できれば、従業員の出社が不要になるため、さまざまなコストの大幅な削減が可能です。たとえば、テレワーク制度を整備し、従業員の出社が不要になれば、通勤手当を支給する必要がありません。ハイブリッドワークでは、実際に出社した日数分だけを支給したり、1ヶ月分の定期代を上限としたりすることなどで、通勤手当を削減できます。

また、従業員が使用するデスクやチェアなどが不要になるため、オフィススペースを必要最小限に縮小できます。これにより、オフィスの賃料や保険料・高熱費などの大幅な削減が可能です。また、オフィスのデジタル化を推進することでペーパーレス化に寄与し、用紙やインク代、印刷機器のメンテナンス費用といったコストを削減できます。ペーパーレス化の推進によって、環境問題への取り組みをアピールできるというメリットもあります。

生産性の向上

オフィスのデジタル化を推進することで得られる大きなメリットのひとつが、生産性の向上です。生産性は経営資源の投入量に対して、得られた成果を定量化するための指標であり、「生産性=産出量÷投入量」という数式で算出されます。そして、「投入量」の値に「労働投入量(従業員数×労働時間)」を代入することで算出される指標を、「労働生産性」と呼びます。

生産性および労働生産性を向上するためには、リソースの投入量を最小化しつつ、付加価値の産出量を最大化することが重要です。オフィスのデジタル化を推進することで、定型業務やルーチンワークを効率化できるため、従業員一人ひとりの労働生産性が向上します。また、不要な会議や打ち合わせなどが減少し、業績向上に直結する重要度の高いコア業務にリソースを集中できるため、組織全体における生産性の向上につながるでしょう。

従業員の満足度の向上

詳しくは後述しますが、オフィスのデジタル化を推進することで、働きがいのある職場環境の構築やワークライフバランスの充実が実現します。こうした労働環境を整備することで得られる大きなメリットが、従業員エンゲージメントの向上です。従業員エンゲージメントとは、企業に属する従業員が組織に対して抱く愛着心や貢献意識などを表します。

オフィスのデジタル化によって働きやすい職場環境を整備できれば、従業員の貢献意識や労働意欲の向上に寄与し、離職率や定着率の改善につながります。実際に株式会社リンクアンドモチベーションの調査によると、従業員エンゲージメントの高い企業ほど離職率が低い傾向にあると示されています。従業員満足度の向上は人的資源のパフォーマンスを最大化する一助となり、より自由で創造的なアイデアが生まれるきっかけにもなるでしょう。

従業員のメリット

次は、オフィスをデジタル化することで得られる従業員のメリットについて見ていきましょう。具体的なメリットとして挙げられるのが、「働きがいのある職場」と「ワークライフバランス」の2つです。

働きがいのある職場

オフィス環境のデジタル化が進展することで、従来はアナログで行っていた業務プロセスをITシステムで処理できます。たとえば、伝票の記帳や請求書の作成といった定型業務に割く時間や労力を大幅に削減できるため、人的資源を企画や設計などのコア業務に投入できる点が大きなメリットです。それにより、労働生産性が高まるのはもちろん、やりがいのある仕事へシフトできるというメリットもあります。

「人はパンのみにて生くるものにあらず」という言葉があるように、従業員は金銭的な報酬のためだけに業務に従事しているわけではありません。働きがいのある職場環境を構築できれば、従業員の内発的動機付けに基づく主体的なモチベーションの向上につながるでしょう。また、従業員一人ひとりがキャリアをイメージしやすくなるというメリットもあります。

ワークライフバランス

オフィスのデジタル化によって従業員が得られる大きなメリットのひとつが、ワークライフバランスの実現です。ワークライフバランスは、「仕事と生活の調和」を意味する概念であり、仕事と生活のバランスがとれた状態を指します。仕事と生活の両方を充実させ、経済的な発展とともに精神的なゆとりのある暮らしを謳歌することがワークライフバランスを推進する本質的な目的です。

近年では官民一体となってワークライフバランス実現に取り組んでおり、多くの企業で仕事と生活の調和が重要な経営課題となっています。オフィスのデジタル化によってリモート型の労働環境を整備できれば、多様かつ柔軟な働き方が可能となります。たとえば、育児や介護などの事情を抱える従業員が、それぞれに適した労働環境や就業形態を選択できれば、ワークライフバランスは良好に保たれます。

ハイブリッドワーク時代のオフィスデジタル化の具体的な施策

ここからは、ハイブリッドワーク時代に求められるオフィス環境を構築する方法について見ていきましょう。オフィスのデジタル化を推進する具体的な施策として挙げられるのは、以下の5つです。

  • ハイブリッド会議室
  • サテライトオフィス
  • AIを使用したチャットボット
  • ERPの導入
  • スマートオフィス化

ハイブリッド会議室

ハイブリッド会議とは、オフラインの参加者とオンラインの参加者が混在した会議形態を指します。参加者全員が同じ場所に集まるのではなく、会議の様子をリアルタイムでオンライン配信し、実際の会議室とWeb会議をつなぐ新しい会議スタイルです。後述するMicrosoft Teams Roomsのようなデジタルソリューションを活用することで、オフラインとオンラインが一体となったハイブリッド型の会議室を構築できます。

サテライトオフィス

サテライトオフィスとは、組織の本社や拠点から離れた場所に設置されたオフィスを指します。サテライトオフィスはリモート型のワークスタイルという特化した施設であり、事業規模に応じて設計された支社や支店よりも、さらに小規模で運営されている点が大きな特徴です。テレワーク制度の普及に伴い、オフィス以外の勤務地としてサテライトオフィスを利用する企業が増加する傾向にあります。

AIを使用したチャットボット

ハイブリッドワークを最適化するためには、いかにしてノンコア業務を省人化・効率化するかが重要です。AIを使用したチャットボットを用いることで、問い合わせへの対応や通知業務といったノンコア業務のオートメーション化に寄与します。高度なAIは、人間の手を煩わせることなく、いつでも無休で顧客や従業員の疑問に回答できます。

ERPの導入

ERPとは「Enterprise Resource Planning」の略称で、財務会計・人事・購買・在庫管理・販売などの基幹業務を統合的に管理するITシステムです。一般的に、基幹系システムは各部門で個別管理されていますが、ERPを導入することで基幹業務を一元管理できます。このため、部門横断的な情報共有と業務連携の強化につながります。また、基幹業務のデータを統合的に管理することで、組織の経営状況が可視化され、的確な意思決定やロジカルな戦略策定に寄与します。

スマートオフィス化

スマートオフィスとは、IoTやAIなどの技術革新を活用した次世代型のオフィス空間です。たとえば、建物内の各種設備とネットワーク接続されたIoTセンサーが、あらゆるデータを自動的に収集し、照明機器や空調システムなどを自動的に制御します。人間の活動に最適化された快適な職場環境を常に保てるため、従業員のエンゲージメントやロイヤルティの向上につながります。

オフィスデジタル化に役立つITツール

ハイブリッドワーク時代に即したデジタルワークプレイスを整備するためには、デジタルソリューションの戦略的な活用が不可欠です。しかし、大企業のような多様な資金調達手段を持たない中小企業にとって、大規模なIT投資は容易ではありません。そこでおすすめしたいのが、「Microsoft Teams Rooms」と「Microsoft 365」の導入です。この2つのソリューションがあれば、大きなコストを投じることなくオフィスのデジタル化を推進できます。

Microsoft Teams Rooms

Microsoft Teams Roomsとは、Microsoft社が提供する会議室用のビデオ会議ソリューションです。具体的にはMicrosoft Teams Roomsとして認定されているデバイスにライセンスを付与することで、会議室から簡単にMicrosoft Teamsを用いたWeb会議を開催できます。従来のように会議室に従業員が集う必要がなく、オフィスワーカーとテレワーカーのハイブリッドなWeb会議を簡単に開催できる点が大きなメリットです。

Microsoft Teams Roomsは、「個人」ではなく「デバイス」にライセンスを付与するため、デバイス自身がMicrosoft Teamsのアカウントを持っているといえます。そのデバイスにUSB接続のカメラやマイクを接続すれば準備完了となり、あとはインターネットからログインすれば、会議室全体を映す形式でWeb会議に参加できます。必要なものは共有デバイスとライセンスだけであり、ハイブリッドワークに最適化された会議室を容易に整備できるでしょう。

Microsoft 365

Microsoft 365とは、Microsoft社が提供するSaaS型のクラウドサービスです。各種プランによって詳細は異なりますが、デスクトップアプリケーションのOffice、オンラインストレージのOneDrive、グループウェアのMicrosoft Teams、ファイル共有サービスのSharePointなど、複数のソリューションが統合的に搭載されています。

Microsoft 365では、常に最新のアプリケーションを利用できるため、サポート終了によるソフトウェアの入れ替えや更新作業などが不要です。また、OSやデバイスを問わずに利用できる点も大きなメリットです。これにより、コラボレーションツールやグループウェアによる機動的な連携を可能にするだけでなく、クラウドサービスであるためBCP対策としても機能します。ハイブリッドワークに最適化されたセキュアな仕事環境を整備する上で、欠かせないソリューションだといえるでしょう。

まとめ

働き方改革や新型コロナウイルスなどの影響も相まって、ハイブリッドワークが普及しつつあります。ハイブリッドワークに最適化された業務環境を構築するためには、優れたITツールの活用が不可欠です。新しい時代に即したワークスタイルの確立を目指す企業は、ぜひMicrosoft Teams Roomsの導入をご検討ください。

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