業務効率化

労働生産性の推移を解説! 日本の順位が下がった原因と改善方法

企業が利益の最大化を狙うにあたり、避けて通れないのが労働生産性の向上です。社員1人あたりが生み出す成果が大きくなるほど、利益拡大に貢献します。本記事では、日本における労働生産性の推移や順位が下がった原因、改善方法を解説します。記事の内容を踏まえ、組織の労働生産性向上に役立ててみましょう。

労働生産性の推移を解説! 日本の順位が下がった原因と改善方法

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労働生産性とは

企業における労働生産性とは、1人の従業員がどの程度の成果を生み出したかを測る指標です。また、従業員が1時間で得た成果や、年間で達成した成果を指標化したものを指すこともあります。

企業が利益の最大化を狙うにあたり、労働生産性の向上は避けて通れません。従業員一人ひとりが生み出す成果が大きくなるほど、組織の利益も増えるからです。

労働生産性を向上させるには、従業員が働く環境に目を向けなくてはなりません。働きにくい環境では、従業員が本来のパフォーマンスを発揮できず、生み出す成果も少なくなってしまいます。快適かつ効率的に働ける環境の整備を進めることで、生産性向上を実現できるでしょう。

日本の労働生産性の推移

2020年の日本における時間あたりの労働生産性は、コロナ禍の影響もあり一時大きく落ち込んだものの、回復に向かいました。しかし、2021年には再び低迷しています。一方、1人あたりの労働生産性は3年連続で前年度を下回るなど、厳しい状況が続いています。

時間当たりの労働生産性の推移

「日本の労働生産性の動向2021」によると、2020年の日本における就業1時間あたりの付加価値額は4,986円です。これは、前年より0.4%低い数値です。

実質経済成長率が低下した理由は、新型コロナウイルスの影響です。世界的なパンデミックにより、日本経済も多大な影響を受けたものの、労働時間短縮に取り組む企業が増えたことで少しずつ状況は改善しました。ただ、2021年になると再度不安定になりつつあります。

さまざまな分野の産業がコロナ禍の影響を受けましたが、そのなかでも製造業の労働生産性は改善が進んでいます。一時期は他産業と同様に打撃を受けたものの、主要国への輸出増や経済活動の活性化により改善が進んでいます。

一人当たりの労働生産性の推移

同資料によると、日本の就業者1人当たりの付加価値額は805万円です。1人あたりの労働生産性上昇率は-3.4%と、1995年以降最大の落ち込みを示しています。

しかも、ここ3年は毎年のように前年度を下回る数値をたたき出しています。理由としては、やはり新型コロナウイルスの影響が挙げられます。多くの方が外出を控えるようになり、個人消費も大幅に落ち込みました。その結果、企業の生産活動が停滞し、生産性の低下を招いたと考えられます。

世界と比べる労働生産性の推移

「OECD諸国の労働生産性の国際比較」で見ると、日本の労働生産性はそれほど高いとはいえません。2020年度における、OECD(経済協力開発機構)加盟国の労働者1人当たりの労働生産性は、第1位がアイルランド、次いでルクセンブルク、米国の順です。

そのほか、世界の主要国で日本と関係の多いフランスは8位、オーストラリアは13位、ドイツは15位、英国は19位、隣国の韓国は24位です。日本は78,655ドル(809万円)で38か国中28位です。世界の主要国と比べ、いかに日本の労働生産性が低いかがうかがえるでしょう。

では、時間あたりの労働生産性はどうでしょう。2020年日本の時間当たり労働生産性は49.5ドル(5,086円)で、38か国中23位でした。1人あたりの生産性より順位が上がっているのは、コロナ禍による政策的な雇用維持もありますが、飲食店や宿泊業等の営業時間自粛や短縮が増えたことも大きな要因と考えられます。そのため日本の平均労働時間は、2020年は1,598時間となり、米国(1,767時間)より160時間以上も短くなる結果につながりました。

日本の労働生産性が低下した原因

日本の労働生産性が低下した原因として、新型コロナウイルスの感染拡大が挙げられます。また、総労働時間が海外諸国に比べて長いこと、成果ではなくプロセスを重視する企業が多いことも原因と考えられます。

コロナウイルスの感染拡大

新型コロナウイルスの感染拡大は、さまざまな方面に大きな打撃を与えました。感染リスクを懸念して多くの方が外出を控えるようになり、個人消費の落ち込みや外需の減少などにより、労働生産性低下を招いたことは否めません。

「OECD諸国の労働生産性の国際比較」において、これまで日本は韓国やニュージーランド、トルコなどに抜かれたことはありませんでした。しかし、最新の資料ではこれらの国々にも追い抜かれています。

このまま新型コロナウイルスに振り回され、収束が遅れてしまうと、ほかの国々にも追い抜かれる恐れがあります。上記資料で見ると、日本より下位のランキングに位置する国々と、日本との差はそれほど大きくありません。特に欧州各国の回復ペースは日本より速いため、追い抜かれることは十分考えられます。

ただ、新型コロナウイルス蔓延がきっかけで多くの企業がリモートワークへシフトし、少しずつではあるものの、生産性の改善が進みつつあります。

総労働時間の長さ

日本人は働きすぎといわれるように、日本人労働者は総労働時間が長くなりがちです。サービス残業のような悪しき習慣がいまだに残っている企業では上司より先に帰りづらいといった職場の雰囲気があるため、総労働時間は長くなりがちなのです。

労働生産性が高い国は、1人当たりが限られた時間内でしっかりと成果を生むため、労働時間も日本より少ない傾向があります。一方、日本は残業も本来の業務であると考える方も多く、終わらなければ残業すればいいと考えてしまいがちです。また、規定の勤務時間終了と同時に勤務を終えることにうしろめたさを感じる方も多く、なんとしてでも就労時間内に業務を終わらせる努力をしないのです。

成果ではなくプロセスを重視

日本では、いまだに多くの企業が終身雇用や年功序列といった人事制度を採用しています。これでは、いくら短期間で高い成果を出そうと待遇は変わらないため、優秀な従業員ほどやる気が起こりません。何の成果も出さない従業員が、年功序列で待遇や役職がアップするのでは、労働生産性が下がってしまうのは必至です。

日本企業にありがちな、ひとつのプロジェクトや業務に携わる人員が多すぎることも改善の余地があります。ひとり一人の責任や業務範囲を見直し、不要な業務や工程を削減し、余った人材を他に回すなども工夫も必要です。

また、不要な会議やレポート作成に時間をかけすぎていないかもチェックすべきでしょう。会議は最低限の回数と時間を心がけ、出張レポートや研修レポートなどは、記入すべき内容が多すぎていないか、そもそもそのレポートは必要なのかといった抜本的な見直しも必要です。

また、成果主義を導入している企業であっても、数値の実績のみを評価の対象にしているケースが少なくありません。
たとえば、野球であれば直接得点を入れたプレイヤーだけでなく、走塁や守備で活躍した選手も正当に評価されます。企業においても、多角的な視点で評価を行うべきでしょう。

労働生産性を向上させるにはツールの活用が大切

労働生産性を高めるにはツールの導入がもっとも有効と考えられます。ビジネスチャットやマネジメントツール、Web会議システムなどのツールを導入すれば業務効率化が進み、労働生産性の向上につながります。

それより、組織の利益最大化を実現できます。また、労働生産性の向上は従業員のワークライフバランスが整うのもメリットです。従業員が快適かつ効率的に働ける環境や体制を構築すれば、労働時間が短縮し残業も少なくなるでしょう。従業員が自由に使える時間が増え、ワークライフバランスが整うのです。

ツール選定においては、どのような業務を効率化したいのか、アウトプットとインプットの双方から考慮する必要があります。また、自社のどういった課題を解決したいのかを明確にし、それを解決できるツールを選定するとよいでしょう。
また、いかに優れたツールであっても、従業員が使いこなせないようでは意味がありません。機能面だけでなく操作性やコストなども考慮しつつ選定を進めましょう。

ただ、便利なツールが増えすぎると、マルチタスクで仕事を進めようとする人が増えるため注意が必要です。マルチタスクは一見効率がよさそうで、実は集中力の低下を招き、個々の業務が中途半端になる恐れがあります。ツールが多ければよいわけではありません。コスト面も考慮しながら、自社の課題解決につながり誰もが使いやすい最適なものを選ぶことが大事です。

まとめ

日本における労働生産性の低さを考えると労働環境の改善などを進め、従業員一人当たり、時間当たりの労働生産性の向上に努める必要があります。そのためには、自社の課題解決につながるITツールを活用し、業務効率化を図ることが重要です。機能や操作性、コストを比較しつつ、目的にマッチした製品を選びましょう。

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