インサイドセールスは、ポストコロナ時代における対面営業の制限や、リソース不足の解消に有効な営業手法です。社会情勢の急激な変化により需要が高まる一方で、成果向上につながるアプローチ方法を模索する企業は少なくないようです。本記事では、インサイドセールスを成功に導くコミュニケーションのコツを詳しく紹介します。
インサイドセールスとは
インサイドセールスとは、直接相手先を訪問せずに行う内勤型の営業です。非対面で顧客とコミュニケーションをとる手段には、電話・メール・SNSなどの活用が挙げられます。これまで、商談などの重要な場面では、対面が重視される傾向にありました。外勤型のフィールドセールスは、複雑な説明でも内容を理解してもらいやすく、顧客の反応を見ながら対応できるといったメリットがあります。しかし、相手先を訪問する際の移動時間を考えると、効率化といった面では課題が残されたままでした。
フィールドセールスの課題解決に有用な手法が、近年注目を集めているインサイドセールスです。営業効率が上がれば、その分成約率がアップする可能性は高くなります。また、日本企業が避けて通れない人手不足の課題解決にもインサイドセールスは大きく貢献します。メールやSNSを用いて、より多くの見込み顧客にアプローチを行えば、大幅な業務効率化が見込めるでしょう。インターネットが普及する以前は、情報収集の手段が限られていたため対面による接客が有効とされてきました。
しかし現在では、顧客が事前にリサーチを行ったうえで企業にコンタクトをとるケースが増えています。そのため業界を問わず、メールやSNSをうまく活用して、有益な情報をリードに届けることが重要視されています。このように、マーケティング部門と連携を図りながら営業活動の効率化を図るインサイドセールスは、非対面での接触需要が高まるポストコロナ時代に適した営業手法なのです。
インサイドセールスにおけるコミュニケーション方法
インサイドセールスの強化に向けて、どのような改善策が有効なのかと試行錯誤する企業担当者も少なくないようです。インサイドセールスの主軸は、非対面でのコミュニケーションにあります。リードの状況に適したコミュニケーションを積み重ねれば、購買意欲の高いホットリードの育成が期待できるため、成約率の向上が実現する可能性も高まります。
1. リード獲得に向けたアプローチ
インサイドセールスにおける最初のコミュニケーションは、自社がターゲットとするリードを獲得するために行うアプローチです。オンライン上でのアプローチに有効な方法として、SNSの活用やリスティング広告、コンテンツ配信、プレスリリース、ホワイトペーパーなどが挙げられます。とくに、顧客が手軽に情報を入手できるホワイトペーパーは、近年多くの企業が採用しているようです。
ホワイトペーパーを活用すれば、企業は顧客情報を安定して獲得できるようになります。また、顧客側も展示会などへ足を運ぶ手間が省けるため、双方に利益をもたらします。ただし、商品やサービスにより強い関心を持ってもらうために、セミナーや展示会といったイベントを開催するのも重要です。直接商品に触れる機会をつくることで、顧客の購買意欲が後押しされれば、Webサイトからのアクセスや問い合わせの増加が期待できるはずです。
2. リード顧客へのフォロー
リードを獲得したからといって、すぐに購入や成約につながるわけではありません。インサイドセールスにおいて、継続的かつ長期的なアプローチを行い、リードをホットリードへと育成するリードナーチャリングが必要です。リードナーチャリングには、見込み顧客の質を高める効果もあります。電話やメールを使ったフォローコール、ブランディングやロイヤリティの向上に期待できるSNSの活用、自社の情報を積極的に発信するオウンドメディアの活用もリードのフォローに有効なツールです。
BtoBビジネスでは、メール配信がリードの獲得に高い効果を発揮します。さらに有効性を高めるには、興味の度合いによって段階的にメールを配信する「ステップメール」、特定の層に絞ってメールを送る「セグメントメール」など、より顧客ニーズに適した内容を配信するようにしましょう。リードの状況やニーズにあわせてカスタマイズされた文面は、顧客の満足度につながるため、購買意欲の促進に効果的です。単にコミュニケーションの継続だけを目指すのではなく、細分化によるアプローチで効率的にリード増やす工夫も大切です。
3. 既存顧客へのフォロー
インサイドセールスは、新規顧客を発掘するだけでなく、既存顧客に対するアフターフォローにも高い効果を発揮します。既存顧客はすでに自社の商品やサービスを購入した経験があるため、電話やメール、DMなどの定期的なコンタクトの積み重ねにより、継続的な購入や契約につながりやすい傾向があります。このとき、顧客にアンケートを実施して隠れた顧客ニーズを見つけ出すのも有効な手段です。意見や要望を参考に商品やサービスの改善、新製品の開発に活かしていけば、顧客ロイヤリティのアップも期待できるでしょう。
適切なフォローの継続により顧客ロイヤリティが向上すれば、よりグレードの高い商品やサービスを購入してくれるアップセル、別の商品を併せて購入してくれるクロスセルの機会が得られる可能性も高まります。一般的に、新規顧客に商品を販売するコストは、既存顧客と比較して5倍近くかかると言われています。適切なフォローによるインサイドセールスの強化が既存顧客の継続購入につながれば、効率よく成果向上を目指していけるはずです。
成約につながるコミュニケーションのコツ
電話やメールを用いたコミュニケーションで重視したいのは、購買の後押しにつながる適切なタイミングと頻度です。インサイドセールスを強化したいからといって、電話やメールの頻度があまりにも多すぎると、インサイドセールスの失敗を招きます。有効性の高いコミュニケーションについて理解を深め、企業の持続的な成長に向けて取り組みましょう。
MA(マーケティングオートメーション)ツールを活用する
インサイドセールスは、マーケティング活動で確度を高めたリードを引き継ぎ、顧客と契約を締結する営業活動のクロージングに渡すまでの重要な役割を担います。異なる部門で綿密に情報を共有しながら状況を正しく把握するには、MAツールの活用が欠かせません。マーケティング業務の自動化に有用なMAツールには、顧客情報管理やデータ分析、確度の高い顧客を可視化するスコアリング機能が実装されています。
リードの状況に適したアクションを実施するには、膨大な見込み顧客のデータが必要です。一般的なMAツールには、リードの情報を取得して蓄積するトラッキングと呼ばれる機能が実装されており、オンライン上でリードがどのように行動したのか詳しく把握できます。データ分析により、見込みの高いリードを抽出してニーズに適したアプローチを見出すことも可能です。
商談の基準に達したリードを自動で抽出できる環境が整えば、営業担当はもっとも重要なクロージングに集中できるでしょう。さらに、過去に一度だけ購入しただけの顧客や、見込み顧客リストに挙がったまま放置されている休眠顧客も容易に抽出できます。休眠顧客に適切なタイミングで再度アプローチをかけ、ニーズの顕在化を促す方法も業績アップに有効です。このように、インサイドセールスにおけるMAツールの活用は、効率化と成果向上の実現に不可欠と言っても過言ではないほど、深い関係性にあります。
コミュニケーションの頻度を見極める
リードにアプローチをかける際は、タイミングだけでなく頻度にも配慮しなければなりません。いくら相手が興味を持っているからといって、一方的に何度も電話をかけてしまったり、メールを送り続けたりすれば、購買意欲の低下を引き起こす可能性があります。インサイドセールスにおけるコミュニケーションは、少なすぎると忘れられてしまうといったリスクも伴います。
顧客のセグメントに応じて適切なコミュニケーションの頻度を見極め、適切に距離感を図りながらアプローチを重ねることが大切です。現在リリースされているMAツールは「XをしたらYする」といったIF-Then型のアルゴリズムに基づいた分析で実行を支援するものが大半です。MAツールの機能によって、購買に結びつく有効なルールを発見すれば、継続的なビジネスの発展が望めるでしょう。
まとめ
インサイドセールスの有効性を高めるには、MAツールの活用が有効です。「株式会社エコノミクスデザイン」では、マーケティングを活用したインサイドセールスのコミュニケーション頻度について、詳しい資料を提供しています。適切なコミュニケーションのタイミングと頻度を理解するための参考にしてください。
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