会議資料や研修資料などをスクリーンに映すプロジェクターは、会議に必要なデバイスのひとつです。プロジェクターの寿命はどのくらいなのか、会議用のプロジェクターを選ぶポイントやシーン別の選び方、近年導入が増えているハイブリッド会議などについても解説します。
プロジェクターの寿命はどのように判断すれば良い?
プロジェクターは、ランプの寿命が切れたときが寿命と判断できます。プロジェクターのランプには、水銀ランプ・LEDランプ・レーザーランプの種類があり、その特徴もさまざまです。ランプは種類ごとにその寿命が異なるため、プロジェクターの使用期間にも違いが生じます。
水銀ランプ
水銀ランプは低価格ながら高輝度なものが多く、現在のプロジェクターで最も使用されているランプです。寿命はほかのランプよりも短く大体2,000~4,000時間ほど、寿命の長さは製品によっても大きく異なっています。単純計算をすると、1日に2時間使用した場合には最低でも3年以上使えます。また水銀ランプの場合、寿命が切れてもランプを交換可能です。
水銀ランプには消費電力や発熱量が多いなどのデメリットもあるため、バッテリーを使用するモバイルプロジェクターの場合、水銀ランプが使われるケースはあまり多くありません。
LEDランプ・レーザーランプ
LEDランプ・レーザーランプは寿命が長く、20,000時間もの間使用できます。水銀ランプと比べると5~10倍もの長期間使えるため、ランプの寿命よりも劣化などによる本体の故障に注意しなければなりません。
LED・レーザーランプはコンパクトで電力の消費が少ないため、モバイルプロジェクターによく採用されています。ただし、輝度が低く高額というデメリットがあり、輝度を求める場合には機能的に適さないかもしれません。LEDと比べると、レーザーランプの方が輝度は高いという特徴があります。
会議室のプロジェクターを選ぶポイント
会議室のプロジェクターを選ぶ際には、明るさや解像度、投影距離、投影方法、接続方法など、プロジェクターで映写できる映像のタイプや使い方から選ぶことが大切です。どのような映像を映すために使いたいのか、どのように接続するのかなど、選び方のポイントをおさえて実際の使い方に合うプロジェクターを探しましょう。
明るさ
プロジェクターを選ぶ際には、投影時の明るさに注目します。プロジェクターの明るさを示す単位は「ルーメン(lm)」です。ルーメンの値が大きいプロジェクターほど、明るくなります。家庭などで部屋を暗くして使う場合にはそれほど明るさが必要ないのですが、日中に遮光のできない室内などで使う場合には明るさのあるプロジェクターでないと投影された映像がはっきりと確認できません。
明るい場所で使う場合、プロジェクターの明るさは2,000lm以上が推奨されています。ビジネス用はさらに余裕を持って明るいものを選ぶと安心です。プロジェクターを使う部屋の大きさも必要な明るさに影響します。部屋が大きいほど明るさも必要になるため、選ぶ際には使用する部屋の広さにも注意しなければなりません。
コントラスト比は、白と黒の明るさの比率を表した数値です。画質の高さとは異なりますがコントラスト比が高いものはくっきりと見えることから、選ぶ際にはコントラスト比も参考にできます。明るさの目安として、家庭用のプロジェクターを選ぶ場合には1,000~2,000ルーメン、ビジネス用として使う場合には2,500ルーメン以上のものがおすすめです。
解像度
解像度とは、映像を作り上げている点の密度のことです。解像度の高さによって映像のなめらかさが決まります。映像は、光の点が多いほどなめらかで美しく映し出され、点が少ないほど荒い映像になるため、高画質の映像が必要な場合は解像度の高い機種を選ぶ必要があります。
横に1280個、縦に720個の点が存在する場合には、解像度は「1280×720」と表されます。高画質のプロジェクターを探している場合には、フルHD(ハイビジョン)や4Kの機種から選ぶのがおすすめです。ただし、会議資料など文書を映すのがメインのビジネス利用であれば、それほど高解像度の機種を選ぶ必要はありません。
選ぶ際には、投影する映像の種類に合う解像度から機種を選びます。解像度の目安として、「HD1280×720」「WXGA1280×800」「フルHD1920×1080」「4K3840×2160」などがあります。
投影距離
投影距離とは、プロジェクターのレンズからスクリーンまでの距離のことです。プロジェクターとスクリーンまでの距離は会議室の大きさによって異なるため、適したサイズで画面を映せるように、投影距離が適正な機種を選ぶことも大切です。部屋の大きさに制限があるときには特に、どの程度の投影距離で希望する画面サイズが表示されるのかに注意して選ぶ必要があります。
プロジェクターの投影可能インチ数は30~300インチのものがほとんどです。スクリーンから遠いほど画面は大きくなり、近いほど画面が小さくなります。短い距離でも大きな画面に映したい場合には短焦点レンズ搭載機種もおすすめです。目的に合う画面サイズを投影するためには、実際に使用する場所を確認してから適した機種を選びます。
投影方式
投影方式には「液晶方式(3LCD方式)」「DLP方式」「LCOS方式」の3種類があります。「液晶方式(3LCD方式)」は、プロジェクターのランプから出る光を「赤・緑・青」の光の三原色に分解してから改めてプリズムで光を合成し、投写レンズを通して鮮やかなカラー映像を映し出す方式です。あまりコントラストを強くできない、画素のドットが目立ちやすいなどのデメリットもありますが、さまざまなプロジェクターに採用されている一般的な方式です。
「DLP方式(デジタル・ライト・プロセッシング)」は、鏡を使って光を反射させて投影する方法です。コントラストが高くドットの格子が目立たないなどのメリットがあります。シンプルな構造で小型・軽量化に適した方式のため、モバイルプロジェクターに多く採用されています。
「LCOS方式(リキッド・クリスタル・オン・シリコン)」は液晶方式と同様に、光を「光の三原色」に分解して合成してから投写する方式です。反射型液晶デバイスを使用するため、鮮やかなカラーと液晶方式よりもなめらかな映像が特徴で、高画質用のプロジェクターに採用されています。
接続方法
プロジェクターは、VGA(D-sub15ピン)ケーブルやHDMIケーブルでパソコンと接続できる機種がほとんどです。これらのケーブルは多くの機種に付属されています。VGAケーブルは従来から使用されている接続方法で、音声は出力できず映像のみが出力できるといった特徴があります。
HDMIケーブルは現在プロジェクターとパソコンを接続するときに使用される主な接続方法です。ノイズの発生が少なく、美しい映像や音声を出力できます。ワイヤレス接続が可能な機種ではケーブルが不要で手軽に接続が可能であったり、USBメモリなどから直接データを投影できたりする機種もあります。モバイルノートパソコンなどに採用されているUSB Type-Cやスマートフォン、タブレット端末などの接続方法に有線でつなぐ際には、HDMI端子などから変換アダプタを使用して接続します。
会議室のプロジェクターの選び方
会議室で使用するプロジェクターは、大会議室、中会議室、小会議室など、会議室の規模に対応する機種を選ぶ必要があります。会議室の規模によりどれだけの機能が必要になるのか、基本的な選び方を解説していきます。
大会議室
50~100人程の人数を収容できる大会議室は、会議以外にも大規模なセミナーなどさまざまな用途に使用される場所です。大会議室で使用する機種には、明るく幅広い目的に使用できる機種がおすすめです。明るさは5,000lm以上、スクリーンサイズは約80~120インチのものが推奨されています。大画面で鮮やかな映像を使用する場合には、高い解像度を備え色再現性の高い機種が適しています。
中会議室
中会議室は20~50人程の人数が収容できる広さの会議室です。スクリーンサイズ・明るさともに大会議室よりもやや小さめの60~100インチサイズ程度、明るさは控えめの3,500~5,000lm程度の機種が推奨されています。この規模の会議室に適したプロジェクターは種類が豊富に揃っているため、自社での使い方に合う機能を持つ機種を選ぶのがおすすめです。
スクリーンの近くに置いても大画面で投影できる短焦点タイプ、接続にケーブルが不要のWi-Fi対応機種など、置く位置や接続方法の選び方で利便性の高さが大きく変わります。1つの会議室に常時設置する場合は天井吊り下げ設置タイプ、違う会議室に持ち運ぶ使い方を想定しているならモバイルタイプのプロジェクターなど、普段の用途に合う機種かどうかを検討します。
小会議室
20人以下の会議に利用する小会議室で使用するプロジェクターには、明るさが3,000lm程度の機種がおすすめです。スクリーンサイズは60インチ以下を目安にします。あまり広さのない小会議室は、小規模の会議やミーティングなどに頻繁に使われることもあり、使用するときに手軽に持ち込めるコンパクトな機種が適しています。狭い場所でも大画面で資料を投影できる短焦点や超短焦点機種を選ぶと、プロジェクターの置き場に困らず必要な資料をはっきりと映像に表すことが可能です。
打ち合わせスペース
数名で利用できる小さな個室やオープンスペースなど、打ち合わせに使用するスペースには3,000lm程のプロジェクターが適しています。広さがかなり制限されるため、スクリーンに近い場所からでも大きな画面を投影できる超短焦点がおすすめです。壁のすぐ近く、机の端などに置いて映像が投影できる機種は、会議中の置き場所にも困りません。打ち合わせのたびに持ち運ぶ機会が多いなら、軽量・コンパクトなモバイルプロジェクターも便利です。
「Microsoft Teams Rooms」の導入でより良い会議室へ
リモートワークが普及した近年では、会議室にいる社員だけでなく、リモートワーク中の社員がネットワークを介して参加するWeb会議の需要が増加しています。そのため、プロジェクターは、「Microsoft Teams Rooms」のようなWeb会議の機能を持つ機器に置き換えられるケースが増えています。
Microsoftは、近年急激に変化した働き方から「ハイブリッドワーク」に注目し、その実現を促進するために「Microsoft Teams Rooms」の利用を提唱しています。「Microsoft Teams Rooms」とは、会議室やミーティングルームを丸ごと「Teams」化してWeb会議に参加させる機能を持つデバイスソリューションです。Microsoft Teamsのライセンスから、Webカメラ、ミニPC、コンソールデバイスまで、Web会議に必要なものがすべて含まれているため、会議室に設置するとワンタッチで部屋ごと会議に参加できます。Microsoft Teams Roomsの利用により、Microsoft Teamsで会議に参加しているリモートワーク中の社員を交えて、ハイブリッド環境でのミーティングが実現します。
Microsoft Teams Roomsが持つ機能
Microsoft Teams Roomsは、ハイブリッド会議を行いやすい機能を持っています。会議室に設置したカメラ、マイク、タッチ対応のコンソールなどを利用すると、Microsoft Teams Roomsによって簡単にMicrosoft Teamsのビデオ会議への参加が可能です。会議の準備に時間がかからないため、セッティングもスムーズにできます。
Microsoft Teams Roomsではホワイトボードを会議時に効率よく利用できる便利なコンテンツカメラ機能や、会議で話したことを自動でテキスト化できるインテリジェントスピーカーなどの機能もあります。また、発言者が誰か明確にするため、会議中に発言している人を自動でズーム&フォーカスできるルームトラッキングカメラ機能などもあり、このようなWeb会議がスムーズに行える環境を手軽に社内へ構築できるのが、Microsoft Teams Roomsの機能です。
Microsoft Teams Roomsのデバイス
Web会議を行うには、Microsoft Teams Rooms共有スペース用デバイスが必要です。共有スペース用デバイスには「Microsoft Teams Rooms on Windows」「Microsoft Teams Rooms on Android」「Microsoft Surface Hub」の3つの種類があるため、会議の規模や使い方に合わせて使用するデバイスを選びます。
Microsoft Teams Rooms on Windows
Microsoft Teams Rooms on Windowsは、カメラ・マイクなどが分かれているモジュール型の共有デバイスです。会議室の大きさやレイアウトに合わせてオーディオやコンポーネントの選択を変え、幅広い用途で使用できます。会議室に設置した専用のWindows PC、カメラ・マイク・スピーカーなどからなるMicrosoft Teams Rooms認定のオーディオビデオコンポーネントを組み合わせて会議室に設置するだけで、簡単にMicrosoft Teams会議を行えます。
大会議室にも使用可能で、サードパーティーのオンライン会議にワンタッチで参加できるなど、柔軟性の高い使い方が可能です。
Microsoft Teams Rooms on Android
Microsoft Teams Rooms on Androidは、コンピューター・カメラ・マイク・スピーカーが不要のオールインワン型デバイスです。モニター上のメニューやタッチパネル、リモコンを使って操作できます。小さなスペースでの会議に適し、シンプルで管理しやすい、コラボレーションバーで一体化されている、といった特徴があります。Androidベースの一体型デバイスのため、ほかのコンポーネントが不要で、価格をおさえながらWeb会議の導入が可能です。会議室のモニターに設置するだけですぐにTeamsのビデオ会議が行える、コストパフォーマンスの高いMicrosoft Teams Roomsデバイスソリューションです。
Microsoft Surface Hub
Microsoft Teams Roomsの便利な機能を会議スペースで利用可能にするためのソリューションがMicrosoft Surface Hubです。会議の参加者や資料、ホワイトボードなどを映し出すモニター機能に、視野角90°の広角レンズを備えた4Kカメラが付属したデバイスで、モニターを最大限に活用できる会議や共同作業が行えます。
Surface Hubを使用するとワンタッチで会議への参加が可能で、Meet Now、Dial Pad for PSTN、ピアツーピア通話などの主要なコミュニケーション機能も手軽に利用できます。モニター上に表示されたリモートメンバーと、まるで同じ場所にいるような感覚で会議を行えるのが大きな特徴です。
優れた会議コントロールに、同じ場所にメンバーが並んでいるような配置が特徴の「Togetherモード」や、「背景ノイズの抑制」、「チャット バブル(フローティング通知アラート)」、発言を遮ることなく個々の感情を絵文字で表す「ライブ リアクション」など、ハイブリッドワークプレースでのメンバー間のコラボレーションを強化できる機能が豊富に搭載されています。会議中にメンバーがそれぞれアイディアを書き込んでデータを共有、クラウドで保存できるデジタルホワイトボード機能も搭載され、効果的なWeb会議が実現します。
Microsoft Teams Roomsの会議室別おすすめ構成
Microsoft Teams Roomsは、会議室の規模に合わせて自由にカスタマイズできるデバイスです。中会議室や打ち合わせスペースで利用する際のカスタマイズを例にあげて説明します。
中会議室
20人程までの規模において使用する中会議室でWeb会議を行う際には、Microsoft Teams Rooms on WindowsとSurface Hub 25 side(50インチや85インチ)の組み合わせがおすすめです。
Microsoft Teams Rooms on Windowsが約20万円、Surface Hub 25 sideは50インチモデルで約100万円、85インチモデルが約260万円です。
AI機能を備え、広角度の視野、アクティブ話者追跡、ホワイトボード認識などの機能が利用できるThinkSmart Cam(約7万円)を搭載すると、より効果的なハイブリッド会議を実現できます。
打ち合わせスペース
5人程までの規模で使える打ち合わせスペースでは、Microsoft Teams Rooms on Androidを準備するだけでWeb会議が行えます。VaaSゲートウェイの標準ベースビデオソリューションと簡単に接続可能で、オールインワンのビデオ会議ソリューションであるPoly studio x50ビデオバーを購入する場合には、60万円程(オープン価格)の価格を目安にできます。
まとめ
プロジェクターの寿命はランプの種類によって異なり、2,000~20,000時間とされています。会議使用には、明るさや解像度などに注意し、会議室に合う機種を選びます。近年はハイブリッド会議の増加により、Web会議用のMicrosoft Teams Roomsが注目されています。Microsoft Teams Roomsの導入により、効率的かつ効果的な会議を実現できます。