新型コロナウイルスの感染拡大以降、在宅勤務(テレワーク)を導入する企業が増えています。その普及に伴い、課題や問題点も見えてきました。これから在宅勤務を導入するにあたり、どのような課題があるのか、解決策もふまえてご紹介します。
在宅勤務の普及率
新型コロナウイルスの感染拡大が始まる前から、在宅勤務(テレワーク)の普及率は年々微増しており、2019年の総務省の調査では、約20%の企業がテレワークを導入していました。
東京商工リサーチによる調査結果では、緊急事態宣言が発出された直後の2020年4月からテレワーク普及率が急上昇し、ピーク時の2020年5月には56.4%を記録しました。
その後の普及率は一旦落ち着き、2021年3月には38.4%となっています。
在宅勤務の課題・問題点
在宅勤務の課題・問題点は、企業側にも社員側にもそれぞれ存在します。テレワークがある程度普及した今だからこそ見えてきた課題・問題点を整理してみましょう。
企業側の課題・問題点
まずは企業側の課題・問題点からご紹介します。
テレワーク環境整備
在宅勤務は、単に仕事をする場が自宅に代わるだけと考えている方もいるかもしれません。実際に始めてみると、従来の職場環境がいかにテレワークを前提としていないかに気づくはずです。
在宅勤務では、お互いに顔を見て仕事をする機会が減り、相手がどのタスクをしているかなどの把握が難しくなります。タスクの進捗や社員の勤怠状況を適切にチェックできる体制を構築しなくてはなりません。
通常時には社員の勤務態度も人事評価に反映されることが多いですが、実際に働いている姿が見られなくなると、従来の評価方法を見直す必要も出てきます。
情報セキュリティの確保
在宅勤務をするにあたり、自宅の通信回線や持ち出し用の情報・通信端末を準備する必要があります。
社用パソコン等の端末を持ち出す場合、紛失や盗難のリスクはもちろんですが、自宅の通信回線等の脆弱性による情報漏洩リスクにも気をつけなくてはなりません。
社内勤務と同様のセキュリティを確保することが求められます。
コスト面
上述のような在宅勤務環境の整備、セキュリティ確保には、一定の初期費用が発生します。
この点が課題となり、テレワークの導入に踏み切れない企業もあるでしょう。
従業員側の課題・問題点
従業員側の課題・問題点としては、以下のような点が挙げられます。
在宅勤務の環境確保
多くの社員は自宅でテレワークを行うことになりますが、勤務に適した環境をある程度自分で確保しなくてはなりません。
家族とスペースを共有している、在宅勤務に適したネットワーク環境がないなどの問題が考えられます。
また、住居と勤務場所が同じになると、仕事に向かう姿勢のオン・オフ切り替えが難しいと感じる人も存在します。
コミュニケーション不足
基本的にひとりで仕事をする在宅勤務では、どうしてもほかの社員とのコミュニケーションが不足します。
同じ空間にいれば、近くに座る同僚が困っているのに気づいたり、ほかのメンバーがどこまでタスクを進められたか確認したりすることもできるでしょう。また、仕事と直接関係がなくても、雑談を通じてコミュニケーションを取ることは、仕事のモチベーションアップにもつながっています。
在宅勤務でもメンバーとのやりとりはメールや電話でももちろん可能ですが、オフィスに勤務していたときのような気軽な相談や雑談はしづらいのが難点です。
在宅勤務の課題を解消する3つの方法
ここからは在宅勤務の課題・問題点を解消する方法を3つご紹介します。自社の状況に合った方法を検討してみてください。
ツールの導入
在宅勤務の普及以降、その課題を解消するためのツールが数多く知られるようになりました。
よく使われるツールとしては、以下のようなものが挙げられます。
Web会議システム
「Microsoft Teams」などのWeb会議システムは、新型コロナウイルスの発生以来知名度が向上しました。
一度に多くの参加者がWebのシステム上で出席でき、発言はもちろん、資料を共有して参加者に見てもらうこともできます。
Microsoft Teamsでは会議メモの作成や録画・録音も可能です。
ビジネスチャット
作成したグループのメンバー同士で気軽にやりとりできるチャットサービスです。
メールのような長い文章のやりとりもできますが、オフィスで相談するような気軽なやりとりにも使えます。
Microsoft Teamsにもチャット機能があり、発言者へ簡単にリアクションを返したり、ファイルを添付したりするなどの機能があります。
タスク管理ツール
ほかのメンバーがなにをしているか、自分がいつまでになにをしなくてはならないか、といったことを管理できるのがタスク管理ツールです。チーム内の業務をスムーズに進めるのに役立ちます。
Microsoft Teamsに代表されるようなタスク管理ツールでToDoを設定すると、自分がやるべきことを把握できるのはもちろんですが、チーム内にも共有できます。在宅勤務でお互いに仕事する姿が見えなくても、ツールを通してタスクの進捗状況が確認可能です。
環境の整備
在宅勤務の環境整備を周到に行うことで、問題の顕在化を予防できます。適切な整備のためには、まず現状を把握する必要があります。
たとえば、在宅勤務を取り入れた場合、勤怠管理をどのように行うか、評価をどうするか、などの問題が生じます。就業規則を整えるとともに、平等かつ公正な評価制度を確立しましょう。
在宅勤務用の通信端末や回線の準備など、環境整備にはコストがかかりますので、初期費用の見積もりも適切に行うべきです。
また、社員が在宅勤務のできる自宅環境を持っているか、把握することも重要です。
多くの社員が在宅勤務に適した環境を持っていない場合、サテライトオフィスを設置するなどの対策が考えられます。
サテライトオフィスは通信環境の整った小規模なオフィスで、本社オフィスなどとは別に、社員がより通いやすい場所に設定されます。ビジネスのためのスペースとして、通信・セキュリティ環境が用意されていますので、自宅よりも仕事に適した場所として利用可能です。
賃貸オフィスを利用するほか、利用する予定人数に応じてシェアオフィスを使うなど、低コストで導入する方法もあります。
セキュリティ対策
情報の漏洩や情報・通信端末の紛失は、企業の価値と信用を失墜させるだけでなく、社会的な責任問題にもつながります。
事故が起きないよう、セキュリティ対策は万全にしなければなりません。
通信環境・設備・端末の安全性確保といったハード面の対策と、情報を取り扱う社員の意識などのソフト面、両方から対策を考えていきましょう。
社用パソコンなどの各端末に講じるセキュリティ対策として、セキュリティソフトの導入が有効です。ウイルススキャンや定義ファイルの自動更新を行うように設定し、端末を守りましょう。
重要なデータは暗号化しておけば、万が一情報漏洩した場合に読み取られるリスクを減らせます。
クラウドサービスを導入して情報を管理するのもよい解決策になります。クラウドサービスはセキュリティレベルが高いものが多く、一からシステムを構築するよりコストも低く抑えられます。
社員のセキュリティに対する意識改革も同時に必要です。
社用端末の持ち出しルールや休憩・移動時間の端末の扱い方など、社員全員が同じレベルで対応できるよう、基本的なガイドラインを定めましょう。
OSやアプリを常に最新版にアップデートする、定期的にパスワードを変更するなど、基本的なセキュリティ対策を知らない社員がいるかもしれません。
在宅勤務を導入する前に研修や定期的な注意喚起を行うなど、ガイドラインやルールの徹底ができるような仕組みを作っていきましょう。
まとめ
在宅勤務の課題を解決するにあたり、適切な環境整備と安全なセキュリティの確保は欠かせません。
Microsoft 365の豊富なツールとサービスは、在宅勤務ならではの多くの課題を解決できます。自社が抱える課題を見直しつつスムーズな在宅勤務環境を構築するために、ぜひ導入をご検討ください。