昨年9月のマイクロソフトカンファレンス「Ignite(イグナイト)」にてOffice 2019のリリースが発表されてから、すでに1年弱が経過しています。その間に、Office 2019に関する様々な情報が公開されてきました。
発売日は2018年下半期、ExcelにAIが統合されより賢い表計算ソフトに生まれ変わるなどの情報の中で、特にOfficeユーザーにとって衝撃的だったのが「Office 2019はWindows 10しかサポートしてない」という情報ではないでしょうか?
現時点で最新のOffice 2016はWindows 7以降のOSをサポートしているため、Office 2019からWindows 10しかサポートしないという情報はあまりに唐突で、多くの方が混乱していることでしょう。
そこで今回は、この情報をより詳細に伝えて、今後どのようにして次期バージョンのOfficeを展開していけばよいかについて考えていただきたいと思います。
Office 2019がサポートするOSをより細かく
今年2月に投稿されたマイクロソフトのブログエントリ※1では、Office 2019のサポート要件として次のOSを指定しています。
- サポート期間中の Windows 10 SAC リリース
- Windows 10 Enterprise LTSC 2018
- Windows Server の次期 LTSC リリース
各OSについて詳しく説明していきましょう。
≪サポート期間中の Windows 10 SAC リリース≫
マイクロソフトの最新OSであるWindows 10は「Windows as a Service (WaaS)」というサービスに基づいて、最新機能や最新セキュリティが提供されていることをご存知の方も多いでしょう。つまりクラウドサービス(SaaS)のように、定期的な更新によってソフトウェアが継続的に改善されるというサービスです。
このWaaSのリリースサイクルは「Semi-Annual Channel(SAC:半期チャネル)」といって、3月と9月ごろの年2回(半期ごと)、新機能や新セキュリティを含む機能更新プログラム(新バージョン、新ビルド)がリリースされます。各バージョンは18ヵ月間+6ヵ月間の品質更新プログラムが提供されることになっており、現時点での新バージョンは「1803」となっています。
各バージョンのサポート期限次の通りです。
リリース |
リリース日 |
サポート終了日 |
Enterprise/Education エディションに対する追加サービスの提供終了日 |
バージョン1511 |
2015年11月10日 |
2017年10月10日 |
2018年4月10日 |
バージョン1607 |
2016年8月2日 |
2018年4月10日 |
2018年10月9日 |
バージョン1703 |
2017年4月5日 |
2018年10月9日 |
2019年4月9日 |
バージョン1709 |
2017年10月17日 |
2019年4月9日 |
2019年10月8日 |
バージョン1803 |
2018年4月30日 |
2019年11月12日 |
- |
Office 2019が対応しているのは“サポート期間中のWindows 10 SAC リリース”なので、バージョン1511はすでに利用できませんし、バージョン1607はOffice 2019のリリース時期によって利用できません。バージョン1703以上ならば確実にOffice 2019をサポートします。
≪Windows 10 Enterprise LTSC 2018≫
これは「Long Term Servicing Channel (LTSC)」といってボリュームライセンスで提供される、新機能が追加されない長期固定化バージョンです。旧称を「Long Term Servicing Branch (LTSB)」といいます。現状、LTSCリリースとしてWindows 10 Enterprise 2015 LTSBと2016 LTSBの2バージョンがリリースされていますが、Office 2019はそのどちらもサポートしていません。
サポートするのは2018年秋リリース予定のWindows 10 Enterprise 2018 LTSCと、それ以上のバージョンのみです。
≪Windows Server の次期 LTSC リリース≫
Windows Serverのシステム要件に関してはWindows Server 2016以前のバージョンをサポートしません。LTSCリリースの次期バージョンがサポートされる予定です。ちなみにWindows Serverは2017年にソフトウェアアシュアランス(SA)契約に基づいて、SACの提供が開始しています。
しかし、Windows ServerのSACリリースはOffice 2019のサポート対象外です。これは
Windows ServerのSACリリースはOfficeアプリケーションを操作するためのGUI(グラフィカルユーザーインターフェース)機能を提供していないためです。そのため、現状Windows Server バージョン1709がリリースされていますがOffice 2019には対応していないので注意しましょう。
以上がOfficeスイートの次期バージョンOffice 2019がサポートしているOSです。端的に言えば本稿のタイトル通り「Office 2019はWindows 10しかサポートしていない」ことになります。
Office 365 ProPlusのサポート要件も変わる?
Officeユーザーが知っておきたい情報はOffice 2019のサポート要件だけではありません。実は、Office 2019リリースのすぐ後に控えているのがOffice 365 ProPlusのサポート要件変更です。これもマイクロソフトのブログエントリに記載されている情報ですが、合わせてご紹介します。
未だ愛用しているユーザーも多いMicrosoft OSのWindows 7は、2020年1月14日に延長サポートが終了します。それに伴いOffice 365 ProPlusでは、次のOSをサポートしなくなる予定です。
- すべての Windows 10 LTSC リリース
- Windows Server 2016 またはそれ以前
- Windows 8.1 またはそれ以前
つまりOffice 365 ProPlusが利用できるのはサポート期間中のWindows 10 SAC リリースと、2018年秋リリース予定のWindows 10 Enterprise 2018 LTSCのみということになりOffice 2019とほぼ同じ要件になります。
新しいOfficeスイートの展開に向けてOS環境を見直そう
いかがでしょうか?マイクロソフトが提供するOfficeスイートやOffice 365は一つの転換期を迎えようとしています。それは私たちユーザーにとって無数の便益をもたらすと同時に、展開への準備も要求しています。皆さんは新しいOfficeスイートに向けた展開を検討しているでしょうか?この機会に、OS環境について見つめ直していただきたいと思います。