リモートワークを導入したものの、マネジメントの難しさに頭を悩ませる経営者や担当者は少なくないでしょう。リモートワークは社員の労働実態などが把握しづらく、従来のマネジメント手法では対応が困難です。本記事では、リモートワークにおけるマネジメント上の課題や、成功に導くための方法などについて解説します。
リモートワークでマネジメントはどうなる?
リモートワークの環境下においてマネジメントが難しい理由は、社員の労働実態を把握しづらいためです。オフィス勤務であれば、業務の進捗を直接確認でき、勤怠管理も問題なくできますが、個々が離れた場所で業務に取り組むリモートワークではそれが困難です。
そのため、従来のマネジメント手法ではリモートワークに対応できません。だからといって管理をおろそかにすると、業務の遅延や長時間労働などの発生を招くため、リモートワークに適したマネジメント手法にシフトする必要があります。
リモートワークにおけるマネジメント上の課題
リモートワークにおけるマネジメントの課題として、まずコミュニケーションの減少が挙げられます。また、労働実態が正確に把握できないため適切な人事評価を行いにくいほか、勤怠管理が難いといった課題もあります。
コミュニケーションが減少する
リモートワーク環境下においては、必然的にコミュニケーションが減少します。個々の社員がオフィス以外の場所で業務へ取り組むため、顔をあわせる機会が減少し、それに伴いコミュニケーションも少なくなってしまいます。
オフィス勤務であれば、周りに同僚や上司がいるため、分からないことや知りたいことをいつでも気軽に相談できますが、リモートワーク環境下ではそれが困難です。その結果、疑問を抱いたまま業務へ取り組むことでミスが発生したり、スムーズな情報共有ができず納期に遅延したりといったことが起こり得ます。
また、単独で柔軟な働き方ができるリモートワークに慣れることで、組織への帰属意識が薄くなる懸念もあります。その結果、社員の離職を招くことになる可能性も否めません。
適切な人事評価ができない
リモートワークは社員がどのように働いているのかを把握しづらく、適切な人事評価が難しい課題があります。成果主義や定量的な評価を導入して対応する企業も少なくありませんが、業務に取り組む姿勢やプロセスが見えないため、偏った評価になるケースも見受けられます。
社員の納得が得られない評価が続くと、不満が募りモチベーションや生産性の低下を招くおそれがあります。このような事態を避けるため、評価基準の見直しや新たな評価制度の導入を考えなくてはなりません。
勤怠管理が難しい
オフィス勤務であれば、誰が何時から何時まで働いたのかを容易に把握できます。一方、リモートワーク環境下ではタイムカードによる打刻での把握ができず、管理者の目も行き届かないため、勤怠管理が困難です。
また、慣れ親しんだ自宅で業務に取り組むため、オンとオフを切り替えにくく、長時間労働を招く恐れもあります。社員が長時間労働をしていることに気づけず、健康を害するおそれもあるため、リモートワークに対応できる勤怠管理手法を導入しなくてはなりません。
リモートワークでマネジメントを成功させる8つの方法
リモートワークでマネジメントを成功させるには、個人やチームの目標を明確にし、個々の能力に応じた仕事を割り振ることが大切です。また、成果や進捗を共有できる体制を整え、評価制度の見直しやコミュニケーション機会の創出にも目を向けましょう。
個人・チーム目標を明確にする
個人の目標を明確にすることで、社員は目標達成に向けて力を尽くせます。また、チーム内で目標を定めることによって、メンバーが一丸となって目標に向かって突き進める環境が構築できます。
リモートワークでは社員同士が離れた場所にいるため、チームのつながりが希薄になるケースも少なくありません。個人とチームの目標を明確化することで、そのような事態を回避することが可能です。
また、目標を達成するために個々の社員が何をするべきか、どのような業務プロセスが必要なのか、といったこともきちんと伝えなくてはなりません。
能力に応じた業務を任せる
リモートワーク下では管理者の目が行き届きにくくなるため、個々の能力に応じた業務を任せる必要があります。そのためには、社員の保有資格や経歴、スキルなどをマネジメント側が把握しておかなければなりません。
個々のスキルや経歴を正しく把握しておくことで、能力に応じて仕事を割り振れます。また、オンライン上で複数人同時に作業を進めるようなケースも想定し、特定の社員に負担が偏ることなく、各メンバーにどのように作業を割り振るのか、といったことも視野に入れる必要があります。
成果・進捗を共有する
成果や進捗を共有できる環境を構築することで、「問題なく仕事が進んでいるのか」「きちんと成果を得ているのか」などを把握できます。進捗を共有できるようになれば、遅れているメンバーに対して適切なサポートも行えます。
成果や進捗の共有には、ツールの利用が有効です。タスクの割り振りや進捗状況などが管理できるタスク管理ツールや、業務の進捗を可視化できるプロジェクト管理ツールなどが挙げられます。また、社内SNSを導入することによって、進捗をチェックできるだけでなく、コミュニケーション機会の創出にもつながります。
評価制度を整える
リモートワーク環境下では、従来の評価制度が機能しないおそれがあります。進行中のプロセスや業務への取り組み方などをチェックできないため、定量的な評価を行える成果主義の導入を検討しましょう。
ただ、成果のみを重視した評価では、社員が不満を募らせるおそれがあるため、注意が必要です。成果主義を基本としつつ、日々の労働実態をきちんと確認し、定期的に面談を行うなどの対処が求められます。
コミュニケーションの場を用意する
コミュニケーション不足を解消するための対策が必要です。コミュニケーション機会の創出には、ビジネスチャットやグループウェア、Web会議システムなどのツールを導入することが有効です。
リモートワーク環境下では、社員が孤独を感じ、業務に影響を及ぼすケースも少なくありません。このようなリスクを回避するためには、従来よりもミーティングの回数を増やしたり、月に一度は直接顔をあわせる機会を作ったりする工夫が求められます。
社員のモチベーションにも気を配る
社員のモチベーションが生産性に与える影響は決して小さくありません。そのため、社員のモチベーションを定期的にチェックし、必要に応じたサポートにつなげることも求められます。
提出された日報にただ目を通すだけではなく、きちんとフィードバックを行うことで、社員は「自分のことをきちんと見てくれている」と感じるようになり、モチベーションの維持につながります。
1対1の面談を定期的に行うことも有効です。リモートワーク上の悩みをヒアリングでき、適切なサポートを行うことでモチベーションの維持・向上が可能です。
勤怠管理ツールを活用する
リモートワーク環境下における勤怠管理は困難であるため、専用ツールを導入する必要があります。インターネット接続環境や端末さえあれば利用でき、リモートワーク環境下における適切な勤怠管理を実現します。
ツール選定時には、どのような打刻方法があるのか、リモートワークに対応できるのか、といった部分をチェックしましょう。近年では、クラウド型のツールも数多くリリースされています。
リモートワークに対応したセキュリティ対策を行う
リモートワークは、オフィス勤務と比べてセキュリティリスクが高まりやすいため、注意が必要です。「デバイスにセキュリティ対策ソフトを導入する」「安全な回線を利用する」「データを暗号化する」など適切な対策が求められます。
また、社員へのセキュリティ教育を徹底することも大切です。セキュリティ対策の重要性を説き、リテラシーを高めましょう。「公共Wi-Fiの使用を禁止する」「デバイスを外に持ち出さない」「怪しいWebサイトにアクセスしない」など、明確なルールを定めることもセキュリティ対策として有効です。
まとめ
リモートワークに関するマネジメントは難しいものの、進捗の可視化や共有化、評価制度の見直し、ツールの導入などの対策によって解決できます。効率的なリモートワークの実現に役立つ多くの機能を備えた「Microsoft 365」の導入もあわせて検討しましょう。