テレワークでは、オフィスでの働き方とはさまざまな部分が異なるため、生産性の低下を招くケースが少なくありません。テレワークの運用で従来と同じ、もしくはそれ以上の生産性を実現するには、ツールの導入が必須です。本記事では、テレワークに役立つツールや導入における注意点などについて解説します。
テレワークにおけるツール導入の重要性
テレワーク特有の課題を解決し、生産性の維持や向上を実現するためにツールの導入は必須です。テレワーク環境下における課題のひとつが、コミュニケーションの取りにくさです。非対面で業務を遂行する性質上、どうしてもコミュニケーションが不足してしまい、孤立感によるストレスの増加や情報伝達の阻害などさまざまな弊害をもたらします。
また、監視の目が行き届かないため、業務の進捗を正確に把握しにくい課題も発生します。業務の遅れを上司が把握できず、結果的に顧客への納品が遅れてしまう、といった事態も招きかねません。
このように、従来にはなかったさまざまな課題が発生するため、これまでと同じやり方では業務をスムーズに遂行できない可能性があります。これらの課題を解決するのに、ツールの導入が有効なのです。
テレワークを支援するツールの種類
テレワークを支援するツールは多々あります。ここでは、その中でも代表的なツールをピックアップしました。ツールごとにどのようなことができるのか、把握しておきましょう。
コミュニケーションツール
コミュニケーションツールは、非対面業務におけるコミュニケーションの円滑化を図れるツールです。ビジネスチャットツールやWeb会議ツール、バーチャルオフィスなどが該当します。
ビジネスチャットツールは、テキストでリアルタイムなやり取りを行えるツールです。製品によっては音声や画像など各種ファイルも送信でき、スムーズな情報共有を実現します。
Web会議ツールは、オンラインでの会議を実現するツールです。複数でオンライン会議を開催でき、リアルタイムでの意見交換を行えます。画面に資料を展開できるため、情報を共有しつつ会議を進められます。
バーチャルオフィスは、仮想空間にオフィスを構築できるシステムです。常時システムに接続した状態で業務に取り組み、オンラインを介して気軽にコミュニケーションをとれるのが特徴です。テレワークで発生しやすい従業員の孤立感解消にも役立ちます。
プロジェクト / タスク管理ツール
プロジェクト管理ツールは、チームの業務進捗を管理できるツールです。ガントチャートで進捗を管理できるものもあり、ひと目で業務の進み具合を把握できます。業務が遅れている従業員もすぐに把握できるため、管理者はリソースの追加投入など適切な対処を行えます。
タスク管理ツールは、従業員個々のタスク管理を支援するツールです。導入により、従業員は優先して取り組むべきタスクを把握でき、効率よく業務を進められます。プロジェクト管理ツールには、タスク管理機能が実装されたツールもあります。
クラウドストレージ
クラウドストレージは、組織で扱うさまざまなデータファイルを、クラウドで管理できるサービスです。テレワーク環境下であっても、インターネットに接続できる環境が整っていれば、いつでも自由にデータへアクセスできるのが魅力です。
オンラインでデータにアクセスできるだけでなく、チームでの共有や共同編集などにも役立ちます。また、アクセス権限の設定も簡単に行え、重要なデータへのアクセスを制限するといったことも可能です。適切にアクセス権限を付与でき、情報漏えいのリスクも軽減できます。
ナレッジ共有ツール
ナレッジ共有ツールは、組織が蓄積してきたノウハウや技術、経験などを共有できるツールです。たとえば、業務の手順や内容をわかりやすくまとめて管理する、社内で使用する専門用語を辞書としてまとめ共有する、といったことが可能です。
テレワーク環境下では、従業員が業務についてわからないことがあっても、周りに質問できる人がいません。ナレッジ共有ツールに業務の手順や方法、注意点などがまとめられていれば、アクセスして問題を解決できます。
ナレッジを容易に共有できることから業務の属人化を防止でき、育成コストの削減にも役立ちます。従業員は業務のわからないことを自己解決できるため、業務効率化も促進できるでしょう。
勤怠管理ツール
勤怠管理ツールは、従業員の勤務時間や給与、休暇などの管理を行えるツールです。非対面で行うテレワークでは、従業員が規則通りに勤務しているかどうかを把握するのは容易ではありません。勤務実態の把握がしにくい課題を解決するのに、勤怠管理ツールが役立ちます。
ツールによって機能は異なりますが、打刻機能や有給の申請機能、勤怠情報の集計、シフト管理機能などを実装したものが多くを占めています。また、長時間労働を抑制するアラート機能や、不正打刻を防止する機能を設けたものもあります。
電子契約サービス
テレワーク環境下で効率よく業務を遂行するには、ペーパーレス化が不可欠です。ペーパーレス化が進んでいないと、契約書に押印してもらうため、提出のためにわざわざ出社する、といったことが起きてしまいます。
ペーパーレスを促進し、効率的なテレワークの運用に役立つ電子契約サービスの導入を検討してみましょう。電子契約サービスは、オンラインで契約の処理を実行できるサービスです。
サービスの導入により、オンラインで契約を締結できます。契約書の作成や送付といった手間もなくなり、コスト削減につながるのもメリットといえるでしょう。ただ、契約の種別によっては電子契約に対応できないため注意が必要です。
セキュリティ強化ツール
テレワークでは、従業員が私物のパソコンを業務に使用するケースが多く、セキュリティに脆弱性を生じさせるおそれがあります。情報漏えいや改ざんといったリスクを回避するため、セキュリティ強化ツールの導入も視野に入れましょう。
マルウェアやサイバー攻撃への対策として、ウイルス対策ソフトを導入するのは有効です。また、MDM(モバイルデバイス管理)を導入すれば、従業員が業務で使用するタブレット端末を紛失しても、遠隔でロックをかけられ、情報漏えいを防げます。
仮想デスクトップの導入もおすすめです。従業員は自宅でオフィスのパソコンと同様の環境で作業でき、しかもデータは端末に残りません。作業環境の整備とセキュリティ強化を同時に行える優れものです。
テレワークにツールを導入する際の注意点
テレワークにツールを導入する際には、自社の事情に合ったものを選ぶこと、使いやすさを事前に確認することの2点を押さえておきましょう。
自社の事情に合うものを選ぶ
テレワークに活用できるツールは多々あり、同じジャンルの製品でも実装されている機能が異なります。機能面をチェックし、自社の事情にマッチしたものを選ぶことを心がけましょう。
たとえば、ツールによっては他ツールとの連携が可能なものもあります。このような製品であれば、複数のツールを連携して利用でき、業務効率をさらに高められるでしょう。解決したい課題や達成したい目的を明確にしたうえで、導入するツールを検討するのも大切です。
使いやすさを確認する
高機能なツールであっても、従業員が使いこなせないようでは意味がありません。かえって業務効率を落としてしまうおそれがあるため、操作性を考慮したうえでツールを選定しましょう。
機能制限付きの無料プランがあるツールなら、あらかじめ操作性を確認できます。また、無料トライアル期間を設けたツールも同様に、導入前の操作性チェックが可能です。従業員のITスキルを考慮してツールを選び、トライアルが可能であれば事前の試用も検討してみましょう。
まとめ
テレワークにおける生産性の維持、向上に役立つツールとしてMicrosoft Teamsが挙げられます。リアルタイムのチャットやファイル共有ができるほか、ビデオ通話も可能なので、Web会議にも活用できます。堅牢なセキュリティを備え、安全に利用できるのもメリットといえるでしょう。