メールを送信する際、宛先の間違えや、誤った内容を送ってしまったという経験を一度はしたことがあるかもしれません。こうしたリスクを減らすためにも、誤送信防止ツールの導入を検討している企業も多いでしょう。
本記事では、導入したい企業担当者に向けて、誤送信の原因や対策、ツールの選定ポイントについて紹介します。
メール誤送信におけるリスクの種類
メール誤送信におけるリスクは、大きく2つに分けられます。いずれも企業にとって社会的な信用を失い、場合によっては訴訟にまで発展することもあるので、細心の注意を払うことが不可欠です。
「個人情報漏えい」におけるリスク
これは大事な顧客の氏名や住所、やり取りの履歴など、共有してはいけない大事な個人情報が相手に漏れてしまうことを指します。
また、複数人に送るメールの場合、受信者が他の人の連絡先を確認できる設定のままだと、その連絡先の情報までもが漏えいしてしまいます。特別な機能がついていない限り、送ったものは取り消せないため、メールを送信する前は、送り先や添付ファイルが正しいかどうか、再三確認をしなくてはいけません。
「機密情報漏えい」におけるリスク
これは開発中の新商品に関する内容や研究結果をはじめ、プロジェクトに関係する資料や、一般には未公開のさまざまな情報が社外に漏れる危険を指します。他社との共同企画がある場合、誤って相手の情報を外部に送ってしまうことで、他社との取引があることを知られてしまう恐れがあるほか、当該他社の内密な情報が外部に漏れてしまうというハイリスクが潜んでいます。
漏えいに関しては、担当部門の社員は特に気を付けなくてはいけませんが、会社として全社員がセキュリティ意識を高めることが不可欠です。
誤送信が起こりうるパターン
続いては、誤送信が起こりうる代表的な原因を3つ紹介します。誤送信を防ぐには、以下のような行為に気を付けることが重要です。
宛先(送信先)のミス
宛先に間違った人を選択する事例をはじめ、「To」「CC」「BCC」に間違った情報を入力してしまうケースが多いです。前者は社内の山田さんと思って選択したところ、実は社外の山田さんであったというような、名前が似ていて間違ってしまう例です。
一方、後者は全員の連絡先をBCCに入れるべきところをTOやCCに誤って入れてしまうようなケースで、メールマガジンやセミナーの案内などを送信する際に起こりやすいでしょう。このような間違えをすると受信者全員に購読者や参加者の連絡先を知られてしまい大変危険です。
入力間違い以外にも、名前やアドレスの一部を入力し始めると自動で候補を表示するオートコンプリート機能を使うことで、同姓の別の人が候補に挙がっていることに気が付かず、そのまま選択してしまう問題も懸念されています。
メール内容のミス
本文を書いてる途中で相手に送ってしまったり、文面をコピペした際、宛名の氏名を変え忘れたり、といったことが挙げられます。特に文面のコピペに関しては、毎回同じ文章を打ち込むと時間も手間もかかるため、普段の業務から気軽に取り入れている人も多いでしょう。しかし、コピペを行い、修正すべきところを直さずに氏名が異なる文章を送ると、相手の心証を悪くし、個人や企業への信用を失う可能性も否めません。
また、誤った添付ファイルを送ることで、個人情報や機密情報が第三者に漏れてしまう恐れもあります。この間違いは同じようなファイルが複数ある場合や、暗号化などのセキュリティ対策が行われていない場合に起こりやすい事故といえます。
セキュリティポリシーの違反
セキュリティポリシーとは、企業ごとに定められているコンピューターセキュリティの基本方針を指し、規約や実施手順などをはじめ、個人情報保護や機密情報漏えいの防止策として策定されたものです。暗号化などといったセキュリティ対策を義務づけている企業も多くあります。企業のセキュリティポリシーによっては、ファイルを暗号化せずに送ることは、セキュリティ基本方針に違反していることになるでしょう。
宛先の誤送信に関しては、責任者や上司に確認してもらってから相手に送信するようにし、CCに上司などの自社社員を入れてきちんと内容が共有できるようにするなど、日頃から定められたセキュリティセキュリティポリシーを遵守して業務にあたることが大切です。
誤送信を防止する代表的な対策とは
まずは、オートコンプリート機能を無効にすることが挙げられます。有効にしておくと、入力の手間が省けるなどのメリットもありますが、確認ミスによる誤送信の可能性も高まるため、無効にするほうがリスク回避できます。毎回自分で入力しなくてはいけないため、手間や時間はかかってしまいますが、間違った宛先を選んでしまうリスクは減らせるでしょう。
また、アドレス帳の工夫も効果的です。社内と社外の人で登録する場所を分けるほか、同じ氏名の人がいる場合は、すぐに見て分かるように氏名の前に絵文字をつけたり、会社名などの各項目に氏名以外の詳細を入力したりして、区別しやすいように管理するのもよいでしょう。
さらに重要なのが、添付ファイルの暗号化です。暗号化をきちんと行ってから送信すれば、万が一誤った連絡先に送ってしまった場合でも、リスクが回避できます。
こういった誤送信を防ぐためには専用のツールを活用するのも効果的です。上記で取り上げた対策を実施には手間もかかるため、業務の生産性を低下させてしまう恐れもあります。そういったときにツールを導入すれば、添付ファイルを自動で暗号化できるほか、第三者が確認するまで送信が行われないといった機能を利用でき、誤送信対策に伴う作業の手間を削減しながら、効率のよいセキュリティ対策が実施できるのです。
誤送信防止ツールの選定ポイント
一口にツールといっても、数多くの種類が存在します。続いては、自社に最適なツールを選定するために必要な、確認のポイントについて3点紹介します。
導入形態
導入形態はクライアント型、サーバ型、アプライアンス型、クラウド型などさまざまです。簡単にそれぞれの概要について解説します。
クライアント型
クライアントのPCにインストールするだけで利用開始できるため、サーバを用意する必要なく、簡単に導入できます。費用も抑えられるため、クライアントの数が少ない場合や、部分的な導入を検討している場合に適しています。
サーバ型
サーバ型とは、メールサーバの前に誤送信防止ツールを導入したサーバを設置して利用する形態です。自社でサーバを用意する必要があるため、導入に際して手間や初期費用がかかってきます。また、運用費に関してはサーバ台数やクライアント数など、ライセンス体系によって費用が異なるため、事前に確認しておきましょう。手間や費用がかかる一方、自動転送や送信保留機能など、さまざまな機能が使える点で優れています。
アプライアンス型
アプライアンス型も専用のサーバを自社に設置する必要がありますが、そのサーバにはすでにソフトウェアが組み込まれており、接続するだけで利用できるため、導入の手間が省けます。しかし、サーバ型と比べて拡張性が低い点や保守管理に費用がかかるなどがネックです。
クラウド型
クラウド上に送信メールサーバを設置する形態で、比較的低コストで導入可能です。インターネット環境があればどこからでも接続できる点や、高いセキュリティ環境下でデータ管理されている点が特徴といえるでしょう。また、導入から利用開始までの期間も短いため、すぐに活用できるのもポイントです。
サーバは、専用サーバと共有サーバがあり、前者の場合は豊富な機能を利用できる一方、その分コストが高くなります。後者の場合はかかる費用は抑えられるものの、利用できる機能が限られてしまうので、導入する際はどちらが自社に適しているかを確認しましょう。
価格及び契約形態
クライアント型やサーバ型を利用する場合は、製品のライセンス購入が必要なほか、保守メンテナンスに別途費用が発生する場合があります。一方、アプライアンス型の場合は、保守メンテナンスを含めてすべて組み込まれているものの、かかる費用はその分高くなります。そのほか、クラウド型の場合は1ユーザーあたり決められた月額を支払う形態が多いです。
社内環境に適しているか
製品はさまざまな種類があり、それぞれ導入形態や特徴が異なります。導入する際は、自社の課題を把握し、社内環境に適した導入形態かどうか、必要な機能が備わっているかどうかを基準に選ぶとよいでしょう。
せっかく導入したのに、活用できないのでは意味がありません。企業によって課題が異なるのはもちろん、ツールを導入して求められる効果のレベルも異なるでしょう。業務効率化を実現するためにも、必要な機能を洗い出し、それが含まれているかどうかを確認してから導入を進めることが重要です。ツールは企業の全社員が利用するため、各部門それぞれの責任者にヒアリングし、全部門にとって使いやすいものを選ぶとよりよいでしょう。
「誤送信防止ツール for Outlook」6つの機能
「誤送信防止ツール for Outlook」はPSC社によって提供されているツールです。指定外ドメインへの送信チェックや送信先数のチェック、件名の未入力チェック、添付ファイルのチェック、送信ホールド時間設定、ダイアログ表示の強制、といった6つが主な機能で、導入すれば誤送信防止につながります。
添付ファイル一覧や、社内・社外宛てのアドレスはポップアップできちんと表示されるのも効果的です。すべての確認項目にチェックを入れないと送信ボタンが押せないため、送る前に再度間違いがないか確認しやすいでしょう。この機能を備えることで、しっかり確認しないまま相手に送ってしまうというミスの発生も減らせるでしょう。
また、事前にホールド時間を設定することで送信ボタンを押してから一定時間は送信を保留にすることができます。万が一間違いがあった際は送信の取り消しができるので安心です。250名以上から利用でき、価格は初期費用0円、月額費用は1IDにつき150円です。
まとめ
メールの誤送信は個人情報や企業の機密情報漏えいにつながる恐れがあるため、きちんとしたセキュリティ対策が必要です。
本記事で紹介したポイントを踏まえつつ、効果的なツールを導入することで、業務効率を高めながらしっかりとした予防対策が実現できます。この機会に一度社内のセキュリティを見直してみてはいかがでしょうか。