政府が自治体DXの取り組みとして「テレワークの推進」を挙げているのにもかかわらず、いまだ多くの地方自治体ではテレワークの導入が進んでいません。この記事では、自治体のテレワーク導入に関する現状とテレワーク導入が進まない理由について解説するとともに、自治体のテレワーク導入問題を解決するサービスを紹介します。
自治体の働き方改革はテレワークから始めるべき2つの理由
総務省が発表した「自治体デジタル・トランスフォーメーション推進計画【第 2.0 版】」には、自治体DXの重点取り組み事項として、テレワークの推進が挙げられています。また、以下の理由からも迅速なテレワークの導入が必要です。
業務継続(BCP対策)の重要性が顕在化したため
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、各自治体ではワクチン接種をはじめとする適切な対策が行われてきました。ウィズ・コロナへの移行に伴い体制が整いつつあるものの、万が一役所でクラスターが発生した場合、人手不足で通常業務を遂行できないなどの問題が発生する可能性があります。その結果、住民が各種住民サービスを受けられなくなる、といった状況も起こりかねません。
このような状況を回避し、業務の継続性(BCP対策)を高めるためにも迅速なテレワークの導入・定着が求められます。
復職しやすい環境(ワークライフバランス)づくりのため
テレワークの導入は、長期的な人材不足への対応にも有効です。これまで、長期間働きたいという意欲を持ちつつも、出産や育児、介護などの理由で職場を離れる必要がある職員がいました。しかし、テレワークを導入すれば、育児や介護が必要な時期は自宅で仕事を行い、落ち着いたら本格的に職場に復職するワークライフバランスの改善と職員の働き方の多様性に促せます。
また、働きやすい職場環境が整備されることは、経験豊かな職員がとどまってくれるだけでなく、採用競争においてアピールポイントにもなるため、人材不足の解消にもつながります。
自治体のテレワーク導入に関する現状とは
日本では新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに、多くの民間企業でテレワークの導入が進みました。しかし、地方自治体のテレワーク導入は、遅れをとっているのが現状です。なぜなら、地方自治体は住民の個人情報を扱うことが多く、窓口業務や相談業務、各種施設の運営など、テレワークでは難しい特殊な業務も多いからです。
総務省が公開した「地方公共団体におけるテレワークの取組状況調査結果の概要」によると、市区町村の自治体におけるテレワーク導入率は49.3%でした(2021年10月1日時点)。また、「地方公共団体におけるテレワークの推進について」によると、地方公共団体のテレワーク導入率は64.3%という調査結果が出ています(2022年10月1日時点)。これらのデータを参考にすると、一見テレワークの導入が進んでいるように思えます。
しかし、テレワークの導入率が64.3%に増えたとは言え、いまだ4割近くの地方公共団体がテレワーク導入にいたっていません。しかも、このテレワークの導入率には「試験的・実験的に導入」した数も含まれるため、継続的かつ本格的に導入した団体はこの数字よりも少ないと考えられます。
自治体にテレワーク導入が進まない3つの理由
自治体にテレワークの導入が進まない理由として、行政専用ネットワークを利用した業務の存在が挙げられます。また、コストがかかる、自治体向けテレワークシステムへの懸念も導入が進まない理由と考えられます。
LGWAN接続系の業務
自治体では「LGWAN(Local Government Wide Area Network・総合行政ネットワーク)」と呼ばれる行政専用のネットワークを利用しています。LGWANは、高度なセキュリティを構築した閉域ネットワークであり、文書管理や庶務事務、人事給与、財務管理といった業務をサポートします。
つまり、LGWANは通常のインターネット(パブリックネットワーク)と切り離されているため、LGWAN接続を必要とする業務を行うためには登庁するしかなく、テレワークでは対応できません。これが、自治体でテレワークの導入が進まない理由のひとつです。
コストがかかる
LGWANは閉域ネットワークですが、庁外からアクセスできないわけではありません。LGWAN運営主体のひとつである「J-LIS(地方公共団体情報システム機構)」が定めるセキュリティポリシーガイドラインに準拠し、閉域SIMやLGWAN-ASPサービスを使えば、庁外からでもリモートアクセスが可能です。
しかし、ガイドラインには「リモート接続するデバイスには情報を保存させない」と定められているため、この要件を満たそうとする場合、シンクライアント端末や通信の暗号化、閉域SIM回線などを用意しなければならず、多額のコストと時間を要します。
また、ガイドラインを適切に遵守するには、高度なIT知識を有する人材が不可欠ですが、地方自治体がそのような人材を確保するのは難しく、その点でもテレワークの導入が進みません。
自治体向けテレワークシステムへの懸念
テレワーク導入を進めるにあたり、上記2つの課題を解決しようと、2020年から官民共同で開発した「自治体向けテレワークシステム(画面転送方式)」の無料提供が始まりました。このシステムは、総務省が定めたLGWAN接続系テレワークシステム要件に適合し、LGWAN特有のセキュリティ仕様も満たしています。
ですが、同システムは「実証実験」という位置づけで開始されているため、今後も継続的に利用できるか不明です。また、ユーザーサポートがないため質問や相談などの問い合わせができないという問題点もあります。そのため、ICT人材が不足している小規模な自治体では同システムの利用にあたって不安が残り、テレワークの導入に慎重にならざるを得ません。
自治体のテレワーク導入は「moconavi RDS LGWAN リモートアクセスサービス」がお薦め
確実なサポートのもとでテレワークを推進するなら、株式会社レコモットが提供している「moconavi RDS LGWAN リモートアクセスサービス」がおすすめです。このサービスは、J-LISが扱うLGWAN-ASPサービスの商用版でJ-LISからの承認(承認番号:AB31508)を得ています。
moconavi RDS LGWANリモートアクセスサービスは、同社の一般企業向けサービス「moconavi RDS」をベースとしたLGWAN接続サービスです。庁内のPC画面を庁外のPCやスマホ・タブレット端末、に転送して、どこからでも安心して操作ができます。またBYODにも最適です。また、2段階認証や通信の暗号化、コピー&ペーストの禁止設定、ウォーターマーク(電子透かし)表示など、堅牢なセキュリティ環境も整っています。
スタッフによるユーザーサポートも充実しており、導入から運用まで丁寧なサポートが受けられます。30日間の無料トライアルがあるので、機能や操作性を確かめたうえで導入できるのもうれしいポイントです。
まとめ
自治体の働き方改革にはテレワークの推進が欠かせませんが、自治体では庁外からのアクセスが難しい「LGWAN」を利用しているため、テレワーク導入の大きな障壁となっていました。しかし現在、株式会社レコモットの「moconavi RDS LGWAN リモートアクセスサービス」など、安全で手軽にテレワークを実現できるサービスがリリースされています。この機会にサービスの検討をしてみてはいかがでしょうか。