業務効率化

労働生産性の計算式を中小企業庁資料をもとに解説! エクセルによる計算も

労働生産性を上げるには、超少子高齢化により人口減少が急速に進む日本において重要な課題のひとつです。先進国の中でも日本は労働生産性が低いという統計資料も出ているため、多くの国内企業にとって避けられない問題でしょう。
本記事では、生産性とは何か、その種類や算出するための計算式、エクセルでの算出方法、生産性を高めるために必要な要素などを解説します。

労働生産性の計算式を中小企業庁資料をもとに解説! エクセルによる計算も

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労働生産性とは

生産性は「生産諸要素の有効利用の度合いである」と定義されます。つまり、生産するためのさまざまな要素を投じたことにより得られる、産出物との相対的な割合ということです。この定義を労働による生産性に置き換え、労働による成果(産出物)を労働量で割ったものが「労働生産性」と呼ばれます。
この労働生産性は、労働に投資した人数、もしくは労働に投資した時間に対する産出物のことです。少しの投資量で多くの成果が得られる場合は、「労働生産性がよい」とされます。また、付加価値を成果の目的にした「付加価値労働生産性」と、物を成果の目的にした「物的労働生産性」の2種類があり、これらの生産性は企業にとって現在の状態を知るための重要な指標です。

日本は先進国の中でも労働生産性が低い水準にあり、企業にとって生産性向上に努めることは今後の重要課題と言われています。一方で、生産性向上と似た意味に捉えられやすいのが「業務効率化」です。生産性を上げることが、主に成果を上げることを目的としているのに対し、業務効率化はスムーズに作業をこなすことやコスト削減を目的としています。生産性向上と違い、業務効率化が成果に直結するとは限らないのです。

働き方改革により、長時間労働の是正や業務効率化に対する取り組みが推進されています。それらを実現しつつ、生産性をどのように上げるのかも大きな課題なのです。

労働生産性の計算式

労働生産性の計算式を考える上で、物を成果物にした「物的労働生産性」と、付加価値を成果物にした「付加価値労働生産性」の区分は重要です。労働により得た成果の種類で異なるので、それぞれの考え方や算出方法を確認しましょう。

物的労働生産性の計算式

物的労働生産性とは、労働で得られた「物的な生産量」を成果の目的にします。主に生産物の大きさや重さ、個数を成果として考える手法です。計算式は「物的労働生産性=生産量/労働投入量(労働者数もしくは労働者数×労働時間)」を用います。生産量を単位にすることで、生産能率・生産効率を測れるでしょう。

付加価値労働生産性の計算式

付加価値労働生産性は、成果の目的を「付加価値」にした考え方で、計算式は「付加価値労働生産性=付加価値額/労働投入量(労働者数もしくは労働者数×労働時間)」です。ここで言う「付加価値額」とは、売上から諸経費(人件費や減価償却費など)を差し引いた利益を指します。
付加価値を目的にした労働生産性を求めることは、1人の労働者がどのくらい付加価値の高い仕事をしているかを知ることができ、企業にとって現状を把握できる有効な手段です。中小企業庁の資料でも、近年の人口減少が進む中、国を挙げて生産性を増やすためには、従業員1人当たりにおける付加価値労働生産性の増大が必要だとしています。

エクセルで労働生産性を計算するには

さまざまな種類のデータ処理が可能なエクセルでは、生産性の計算も可能です。ここでは、エクセルで時間当たりの生産量を算出するための計算方法を解説します。

  • 時間当たりの生産量算出方法
    時間当たりの生産量=生産量/生産時間

  • エクセルでの生産量算出例
    1. A列2行目に生産時間を入力
    2. B列2行目に生産量を入力
    3. C列2行目に「=B2/A2」と入力

  • オートフィル機能で複数の行を自動で計算
    1. C列2行目の生産量が計算されたセルの右下にある■マークにカーソルを合わせる
    2. 十字が出たら下方向にドラッグして一挙に計算する

労働生産性を上げる方法

労働生産性向上は、少子高齢化により人口減少が進む日本において重要な課題のひとつです。ここでは、企業が従業員の一人ひとりの生産性を上げるために有効な方法を3つ紹介します。

作業をマニュアル化して効率化を図る

生産性を上げるためには、まず作業をマニュアル化して効率化を図ることが重要です。作業をマニュアル化・ルール化することで、従業員の誰もが同じ業務品質を保つことができ、作業の抜けも防止できます。また、マニュアル化により業務の流れが可視化されることで、業務の改善点が見つかる可能性もあるでしょう。
生産性が下がる原因のひとつとして、業務の属人化があります。属人化とは、特定の担当者しかその業務ができない状態です。マニュアル化・ルール化することで、業務を担当する従業員の急な休みや退職にも対応でき、生産性を落とすこともありません。さらに、新人に業務を教える場合や引き継ぎにかかる時間の削減も可能です。

加えて業務の自動化も業務効率を上げる方法として有効です。IT技術を駆使して単純作業を自動化すれば、従業員は他の業務に時間を割けます。まずは作業の流れを可視化し、マニュアル化して効率化することで生産性を高めましょう。

従業員のモチベーションを管理する

従業員のモチベーション管理も、生産性を上げるために必要な要素です。従業員のモチベーション向上には、まずは人事評価を見直してみることも方法のひとつです。勤続年数などで評価されやすい現状の制度が、離職の原因に繋がっている可能性があります。離職が増えると新しい人材の育成にリソースを割かれ、生産性が低下する恐れもあるのです。成果を重視した評価制度に切り替えることで、優れた人材の流出を防ぐことができ、従業員のモチベーションアップにも繋がります。従業員それぞれのモチベーションが上がることで、業務に意欲が湧きスキルアップに対して積極的になるでしょう。結果、一人ひとりの生産性向上が期待できます。

従業員のワークエンゲージメントを高める

従業員のワークエンゲージメントとは、従業員と業務の間に生まれる愛着心のことを言います。主に業務に対する「活力」「熱意」「没頭」の3つの要素で構成されており、労働生産性に深い関わりがあります。昨今のコロナ禍や働き方改革において、労働時間や勤務場所に縛られない柔軟な働き方が求められています。その中でリモートワークやフレックスタイム制などを取り入れ、ワークスタイルの自由度を高めることは、ワークエンゲージメントの向上にも繋がるのです。
また、ワークエンゲージメントが高まることは、従業員の定着率にも大きな影響を及ぼします。定着率が上がることで優秀な人材の慰留や新たな人材の獲得も期待できるでしょう。

このように、従業員のワークエンゲージメントを高めることは企業にとって大きなメリットであり、一人ひとりの労働生産性を高める重要な要素なのです。

まとめ

労働生産性は「物的労働生産性」「付加価値労働生産性」に分けられ、生産性を上げるには、作業のマニュアル化による効率化などに取り組むことが重要です。
その際、作業の効率化にはITの導入が有効な手段であるため、生産性の計算もできるエクセルをはじめとした使い慣れたアプリケーションが利用可能な、Microsoft 365の導入がおすすめです。

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