新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに、テレワークを導入する企業が増えてきました。しかし、テレワークに移行することで、業務効率の低下を懸念する企業担当者の方も少なくありません。そこで本記事では、テレワークを導入する際の注意点や、業務効率化・生産性の向上といった観点から講ずべき対策について解説します。
テレワークが急速に拡大した背景とは
テレワークが急速に拡大した背景としては、新型コロナウイルスの感染拡大が挙げられます。
2020年4月、政府は「新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言を受けた在宅勤務等の推進について」と題して、「オフィスでの仕事は原則、自宅で行えるようにすること」「やむを得ず出勤が必要な場合も、出勤者を最低7割は減らすこと」などの内容を要請しました。それを機に、これまでなかなか定着しなかったテレワークについて、企業が真剣に向き合うようになったため、普及が拡大しているのです。
また、実際にテレワークが定着していけば、基本オフィスに出社せず働くため、オフィスビル自体が不要という話も出てきます。とりわけ都心部にオフィスを構えていた企業は、固定費として毎月かなりの費用負担が発生していましたが、それがなくなることで経費の大幅な削減につながるでしょう。
オフィスを完全に撤退しないとしても、場所を変えたり、専有面積を減らしたり、サテライトオフィスを増設したり、といった企業も増えています。家賃以外にも、紙代や文具代といった雑費を削減できるのも大きなメリットでしょう。
DX時代に求められるテレワークの在り方
DX(デジタルトランスフォーメーション)時代に突入し、これまでアナログで行ってきたものをデジタルにシフトすることで、より革新的なイノベーションをもたらすことが期待されています。続いては、DX時代に求められるテレワークの在り方について解説します。
クラウド移行で場所を選ばずアクセスできる
データをクラウド上に移行して管理すれば、オフィスにいなくても、いつでも自由な場所からアクセスできるようになります。システムやツールを導入することで、リモート環境においてもファイルの共同編集ができたり、申請・承認作業も社外でできたりするなど、業務効率を上げる要素が多々あります。
全社員がメリットを享受できることはもちろん、特に営業などの職種においては、外回りをしたあと、作業のためだけに社内に戻ってくる必要もなくなるため、効率よく業務が行えるでしょう。
セキュリティ対策も担保する
クラウド移行サービスを導入すれば、運用や管理は社内の担当者の手を離れ、ベンダー側のセキュリティを利用することになりますが、この点でセキュリティへの不安を懸念する企業も少なくありません。対策をきちんと行わずにテレワークに移行した場合、企業のリスクは高まるばかりです。
テレワークを本格的に導入する場合は、強固なネットワークを構築しつつ、きちんとした安全なベンダーを選ぶようにしましょう。また、導入ツールを活用するための教育など、社員向けに行う企業努力も必要です。
従来のオンプレミス環境では、日々の運用・管理や突発的なトラブル対応などに人材を割かねばならず、どうしても情報システム部門などの負担が大きくなりがちでした。クラウドなら、これらの人的リソースの問題から解消され、シンプルな運用が実現できるでしょう。
チャットツールなどでコミュニケーション活性化をする
セキュリティ対策と同じくらい懸念されるのが、出社し対面する機会が減ることによるコミュニケーション不足です。
これまでは、社内にいればチームメンバーに囲まれた席で、相手の状況や表情をうかがいながらコミュニケーションを図れたことでしょう。しかし、テレワーク環境ではそうした機会そのものが減るため、孤独感やストレスに苛まれる人もいます。そういった問題を解決するためには、チャットツールやタスク管理ツールを導入し、メンバー間でのコミュニケーションの活性化を意識することが重要です。
テレワークで業務生産性は下がるのか
実際、テレワークの導入によって業務生産性が上がるのか、それとも下がるのかは気になるところでしょう。
デル・テクノロジーズ株式会社が2020年12月、従業員規模100~1,000人の中堅企業149社を対象に実施した調査によると、「業務効率がよい場所はどこか」という問いに対し、「オフィス」が58%、「自宅」が15%という結果が出ています。
これについては、人によって生産性は変化するものと考えるのが妥当です。オフィスで勤務する場合は、在宅勤務と比べて通勤の移動があったり、物理的な環境が整っていたりするため、公私の切り替えがしやすいといったメリットがあるでしょう。
また在宅勤務の場合、仕事環境がきちんと自宅に整備できるかどうかも関係してきます。業務に集中できる部屋があるか、デスクや椅子といった設備は整っているかなども、業務効率を左右する重要な要素です。
さらに、作業者の性格的な部分も関係してきます。テレワークでは基本的に、業務に必要なやり取りはチャットやWeb会議、メールで行うため、オフィス勤務のように隣の人と会話したり、ランチをしに出かけたりといったことがなくなります。こういった面からも孤独に強い人のほうが、性格的にはテレワークに向いているといえるでしょう。
加えて、テレワークでは自分で仕事をきちんと管理できる能力も必要です。上司や同僚の目がないことから、つい自由度が高くなると考える人も多いかもしれません。しかし自由である分、タスクを自分で計画的に進めて管理しなくては、生産性や業務効率も期待するほど上がりません。その点について、きちんと理解したうえで働く意識も求められます。
テレワークで業務生産性を向上する施策
テレワークを導入し、業務生産性を向上するためには、一体どのような施策があるのでしょうか。以下では、考えられる主な施策について解説します。
雑談を行う
テレワークだからこそ、オフィスで勤務していたとき以上に雑談が不可欠といえます。従来のオフィス勤務では、特に意識しなくても雑談が行われてきましたが、テレワーク環境においてはより意識的に「雑談しよう」という心がけが必要です。
雑談をすることで孤独感が減り、些細なことを話すだけでもストレスは解消されやすくなります。オンラインで会話することももちろん重要ですが、チャットツールなどを導入することで気軽にコミュニケーションが取りやすくなります。
タスク管理ツールを導入する
テレワークの懸念点として、タスクの進捗状況がわかりにくいことが挙げられます。同僚間ではもちろん、上司が部下のタスクの進捗状況を把握できないとなっては、人事評価にも影響を及ぼします。
オフィス勤務であれば忙しそうにしている空気も感じやすいものの、離れていてはそれも見えないため、1人がタスクを抱え込んだ結果、問題が発覚したときには手遅れとなる可能性も否めません。また、タスクの量に差が出てしまい、特定の社員だけオーバーワークになってしまうことも懸念されます。
これらの事態を防ぐためには、きちんとタスク管理ができるツールを導入し、常に進捗状況をリアルタイムで把握できるよう可視化することが大切です。
ハイブリッド型を採用する
業務のすべてをテレワークにするのではなく、出社とテレワークを組み合わせたハイブリッド型を採用している企業もあります。たとえば、集中して1人で作業したい日はテレワーク、対面で話したほうが効率的な業務がある日は出社など、臨機応変な働き方を選択することで、より業務効率化や生産性の向上が見込めるでしょう。
Teams導入でリモート環境を効率化する
これまで述べてきたように、テレワーク環境において業務を効率化させるためには、ツールの導入が不可欠です。ツール選びに迷った際は、Microsoft社が提供するコミュニケーションツール「Microsoft Teams」の導入をおすすめします。
TeamsではWeb会議やテキストチャット、通話、ファイルの共有など、オフィスで頻繁に交わされるコミュニケーションをそのままツール上で行えます。WordやExcelをはじめとした多数のOfficeアプリとも連携できるため、作業の共有などもスムーズです。Microsoftアカウントを持っている方ならば、無料で利用できるのもポイントです。
また、「Microsoft Planner」を連携させればタスク管理も行えるため、懸念されている業務の可視化や整理もこれで解決できるでしょう。全世界のみならず、国内でも導入している企業が多いため、外部とのWeb会議をはじめとしたやりとりの際も便利です。
まとめ
テレワークを導入する企業が増えていく中、実際に導入して業務効率が低下するのではないかと懸念する企業も多いことでしょう。しかし、今回ご紹介した施策を踏まえ、Microsoft Teamsをはじめとしたツールを有効活用などすれば、業務効率化や生産性の向上が見込めます。テレワークの導入と併せて、ぜひ検討してみてください。