「ChatGPTとCopilotはどのように違うのか」
そんな疑問を持つ方に、当記事ではChatGPTとCopilotの違いを解説します。実はCopilotもGPTが使われており、どちらもGPTをモデルとした生成AIです。しかし、サービスとしての違いがいくつかあり、どちらを利用すべきなのかもケースごとに異なります。
両者の違いを理解して、自社はどちらをメインで利用すべきか確認しましょう。
ChatGPTとは?
ChatGPTとはOpenAI社が提供する生成AIサービスです。
ChatGPTのモデルであるGPTは大規模言語モデルであり、ユーザーが入力した言語や画像を読み取り、返答となる文章を生成します。入力された内容と事前に学習された知識をもとに文章を生成することで、人間と同様の返答が可能です。この技術は自然言語処理と呼ばれ、人間と対話するような精度を実現しています。
以下が可能です。
- 文章の要約
- 文章の翻訳(日本語や英語を含む他言語に対応)
- プログラミングのソースコード作成
- 入力した画像の内容読み取り
上記を活かした活用事例として以下があります。
- チャットボットの作成
- カスタマーサポート
- マニュアル作成
- プログラミングのサポート
- 面接や英会話のシミュレーション
このように、ChatGPTはさまざまな業界・業務において活用できる汎用性が高いサービスです。
ChatGPTの使い方について解説した記事もありますので、あわせてご覧ください。
ChatGPTの使い方 | できることや日本語での活用例を紹介
Copilotとは?
CopilotはMicrosoft社が提供する生成AIサービスです。
当初は、Microsoftの検索エンジンサービスであるBingのAIサポート機能「Bing Chat」として登場しました。2023年11月にBing ChatからCopilotに名称変更されています。
BingとCopilotについては別記事で解説しています。
CopilotとBingはどう違う?使い方や制限に注目して紹介
CopilotもChatGPTと同じくGPTがモデルの生成AIです。よって、文章や画像を読み取る能力、生成するコンテンツの内容のベースは同じになります。
主に以下から利用可能です。
- ブラウザからアクセス
- Microsoft 365用のCopilot for Microsoft 365(以下Copilot for M365)
- Windows OS用のCopilot for Windows
Copilotのブラウザからのアクセスは、ChatGPTと同様の用途に利用可能です。一方でCopilot for M365は、ExcelやOutlookなど各アプリでの利用をサポートしてくれます。またCopilot for WindowsもOSの操作に関するサポートに対応できます。
Copilot for M365は別記事でも詳しく解説しているので、あわせてご覧ください。
Copilot for Microsoft 365とは?できることやライセンス、料金を紹介
ChatGPTとCopilotの違い
両者には、以下の面で違いがあります。
- モデル
- 機能
- 料金
- 使用制限
- プラグイン
- 学習している情報
- API
モデルの違い
ChatGPTで利用できるモデルは以下のとおりです。
- 無料プラン:GPT-3.5、 GPT-4o(限定アクセス)、GPT-4o mini
- 有料プラン:GPT-4o、GPT-4o mini、GPT-4(Turbo)
一方で、現在のCopilotで利用できるモデルはGPT-4 Turboです。
各モデルの性能を比較すると、GPT-4oが最も優れています。Copilotは2024年8月現在、GPT-4oは利用できない点が差分です。しかし、Microsoft社はCopilotがいずれGPT-4oが利用できるようになることを発表しています。よって差分がなくなる日は近いでしょう。
上記の点により、2024年8月現在では、ChatGPTの方が高性能な生成AIを利用しているといえます。CopilotはGPTの後発になるため、ChatGPTの方が先に性能が高くなることが多いです。差分はChatGPTの改良からCopilotで追従するまでの期間のみなので、あまり長い時間ではないことが予想されます。
機能の違い
ChatGPTはブラウザ、またはアプリでチャット形式でのやり取りが可能です。またAPIも利用できます。
一方でCopilotは、ブラウザやアプリのチャット形式のやり取りだけでなく、M365のアプリやWindowsなどMicrosoft製品の中で利用できる特徴があります。CopilotはCopilot for M365やCopilot for Windowsにより、各製品内でCopilotにお願いしたいことを伝えられます。これにより、各製品に合った形でサポートが可能です。
例えばプレゼンテーションをつくりたい場合、ChatGPTでお願いすると構成を考えてくれますが、スライドの作成は手動で実施する必要があります。一方でCopilot for M365では構成を考えるだけでなく、スライドの作成まで行ってくれる点が機能面の違いです。
料金の違い
ChatGPTの料金プランは以下のとおりです(月額料金)。
- Free:0
- Plus:20ドル
- Team:25ドル(年間契約の場合)
- Enterprise:要相談
一方でCopilotの料金プランは以下のとおりです(月額料金)。
- 無料版
- Copilot Pro:3,200円
- Copilot for M365:4,497円
ChatGPTは料金がドルベースであり、有料プランは個人向けのPlusと企業向けのTeam、 Enterpriseが用意されています。Team企業規模であり、Enterpriseはグローバル企業向けという点が両者の違いです。
Copilotは料金が円ベースであり、ブラウザで利用するCopilotとCopilot for M365で料金が分かれていることが特徴です。なおCopilot for Windowsは料金はかかりません。
使用制限の違い
ChatGPTの使用制限は以下のとおりです。
- 無料版: GPT-3.5を使用すれば、基本的に回数制限はない
- 有料版(ChatGPT Plus): GPT-4oを使用する場合、3時間あたり80メッセージまで
一方でCopilotの使用制限は非公開になっています。
Copilotの上限に関する記載は以下のとおりです。
- 有料版のCopilot ProはGPT-4 Turboに優先アクセス
- 無料版はGPT-4 Turboにピーク時以外の時間帯にアクセス
上記の記載にとどまっており、具体的な上限は示されていません。
Copilotは無料版でGPT-4 Turboを利用可能です。ChatGPTは無料版の場合、限定的にGPT-4oを利用し、上限に達するとGPT-3.5のみ利用できます。GPT-3.5を含めればほぼ無制限のため、上限を気にせず利用できることが特徴です。
プラグインの違い
ChatGPTのプラグインは、ChatGPTをより便利に利用できるよう機能拡張するためのものです。2024年4月に廃止され、カスタマイズされたChatGPTであるGPTsに統合されています。
GPTsは専門知識なしで独自のGPTを作成できます。イメージとしては、すでにプラグインされた状態のChatGPTを自身でつくり出すことが可能です。
Copilotもプラグインにより機能拡張できます。Copilot Studioにログインしてプラグインによる機能拡張をすることで、アクセスできる情報の範囲が広がることや、外部サービスのAPI実行が可能です。
Copilotは、ChatGPTのプラグイン機能がそのまま残っているイメージです。ChatGPTはGPTsに置き換わり、機能拡張方法が異なっている違いがあります。
学習している情報の違い
ChatGPTが学習している情報は、モデルごとに異なります。
- GPT-4o、 GPT-4o mini:2023年10月のデータ
- GPT-4 Turbo:2023年12月のデータ
- GPT-3.5 Turbo:2021年9月のデータ
Copilotが学習している情報は、検索エンジンのBingにもとづいた回答です。よってインターネット上に掲載されている最新の情報を取得した上で回答を生成しています。
よってChatGPTは、一定期間までの情報を固めて学習させています。一方でCopilotは、リアルタイムで情報を収集して学習し、回答を生成している点が違いです。
APIの利用可否の違い
ChatGPTはAPIで利用できますが、CopilotはAPIを利用できません。
APIを利用することで、外部のサービスを利用する際に各サービスを組み込めます。例えばカスタマーチャットでメッセージを受け取った際に、APIを実行するようにプログラミングができます。
よってChatGPTはサービス作成時にAPIによって組み込めますが、Copilotは組み込めません。外部サービスを作成する際に組み込むことを考えるのであれば、ChatGPTを採用する必要があります。
ChatGPTとCopilotの共通点
両者の共通点は以下の通りです。
- 使い勝手
- 画像や音声も認識できる
使い勝手
両者の使い勝手は同様です。どちらも以下の流れで回答を生成します。
- ユーザーが知りたいことやメッセージを送る
- メッセージを受け取ったモデルが分析する
- 分析したメッセージをもとに、学習データを参照する
- 学習した内容をもとに、メッセージに対応する回答を生成する
- 生成された回答がユーザーに届く
両者は対話型になっており、自然言語処理技術によって、メッセージアプリでの対話と同じ感覚で利用が可能です。ユーザーが送るメッセージによって返答内容が異なるため、内容の重要性が高まっています(プロンプトエンジニアリングとも呼ばれます)。
それぞれがユーザーに分かりやすい形で使えるサービスになっているので、使い勝手を比較してどちらを導入すべきか決めることはないでしょう。
画像や音声も認識できる
両者はどちらも画像や音声を認識できます。
どちらもテキストだけでなく、画像や音声のファイルを入力することで認識できます。画像であれば、どんな画像なのか分析し、テキストで回答してくれます。音声の場合はファイルだけでなく、実際に会話をすることも可能です。ユーザーが話した内容をモデルが理解し、音声で返答できます。
どちらのサービスも画像、音声はテキスト同様に無料プランで利用可能です。ただし、ChatGPTの場合、画像入力は無料でも可能ですが、画像生成は有料でないとできないため注意してください。
双方とも画像、音声の入力に対応できるため、この部分でどちらを導入すべきなのかは決められません。画像出力をしたい場合はCopilotが優勢になりますが、無料プランでは生成できる画像数が少ないので、企業が利用するなら有料プランを導入することになるでしょう。有料プランであればChatGPTでも画像生成が可能なので、やはり画像、音声の対応可否で導入決定を決めることは難しいです。
ChatGPTとCopilotはどちらを使用すべきか
先述した両者の違い、共通点を踏まえて、どちらを利用すべきか解説します。解説した内容をもとに、自社ではどちらをメインに活用すべきか判断しましょう。
ChatGPTを使用すべきケース
ChatGPTを利用すべきケースは以下のとおりです。
- サービス開発時に組み込みたい
- 最新のモデルを利用したい
- 自在にカスタマイズしたい
ChatGPTはAPIの利用が可能なため、サービス開発時に組み込みたい場合にはChatGPTを採用しましょう。CopilotはAPIを利用できないため、サービスに組み込めません。
最新のモデルを利用したい場合にもChatGPTを選択してください。CopilotはChatGPTに追従する形で新しいモデルを導入します。よって最新モデルを利用したい場合には、ChatGPTを利用する必要があります。
自在にカスタマイズしたい場合にも、ChatGPTを利用すべきです。ChatGPTはGPTsで自在なカスタマイズができます。Copilotはカスタマイズ機能がChatGPTほど充実していないため、カスタマイズを利用したい場合にはChatGPTを採用しましょう。
Copilotを使用すべきケース
Copilotを利用すべきケースは以下のとおりです。
- 最新情報を集めたい
- Copilot for M365やCopilot for WindowsのようにMicrosoft製品上で使いたい
CopilotはBingで検索した情報から返答を生成するため、最新の情報を集められます。情報の鮮度はCopilotの方が高いため、情報収集はChatGPTよりも集めやすいです。
またM365やWindows OSのように、Microsoft製品上で使いたい場合には優れています。例えばCopilot for M365はTeamsの会議内容の要約や、Outlookでメールの構成作成などアプリに特化した形で利用可能です。
Bing、 M365、 WindowsなどMicrosoft製品を利用している企業は、Copilotの導入を検討してみましょう。
ChatGPTとCopilotについてよくある質問
ChatGPTとCopilotについてよくある質問に回答します。質問は以下の通りです。
- どちらの方が優れている?
- bingとCopilotの違いは?
- Microsoft 365 CopilotとCopilotは違う?
- Github Copilotとは?
- Copilot in Edgeとは?
どちらの方が優れている?
どちらの方が優れているか、については一概にはいえません。比較ポイントが多すぎるためです。
例えばテキスト生成能力は2024年8月現在であれば、GPT-4oを利用できるChatGPTの方が優れています。一方で無料プランで画像生成ができる点やM365、Windowsとの相性がよい点はCopilotが優れています。
利用したいケースごとにどちらを利用すべきなのかが異なるので、自社に合う方を導入すべきです。
BingとCopilotの違いは?
BingはMicrosoft社が提供している検索エンジンサービスであり、Copilotは生成AIサービスです。両者は全く違うサービスですが、Bing AIの存在が両者の違いをややこしくしています。Bing AIはCopilotの旧称であり、Bing経由で利用できる生成AIサービスでした。
BingとCopilotについて別記事で詳しく解説しているので、あわせてご覧ください。
CopilotとBingはどう違う?使い方や制限に注目して紹介
Microsoft 365 CopilotとCopilotは違う?
Microsoft 365 CopilotはCopilot for M365のことで、M365の各アプリでCopilotを利用できるサービスです。一方でCopilotは、ブラウザ上で利用できる生成AIサービスです。
どちらもCopilotに変わりはありません。ただし、M365 for Copilotは各アプリでの利用に特化しているため、アプリの利用中にユーザーのサポートが可能です。
M365 for Copilotについて別記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
Microsoft 365 Copilotの使い方を解説 | 便利な機能を活用しよう
Github Copilotとは?
GitHub Copilotは、Github社が提供するプログラミングをサポートするサービスです。コーディングのサポートや、書かれているコードの内容解説ができます。
Github CopilotにはGPT-4oがすでに導入されており、高い精度でプログラミングのサポートが可能です。Github CopilotはVSCodeなどのIDEで導入するか、Github CLIで利用します。
Copilot in Edgeとは?
Copilot in Edgeは、ブラウザのMicrosoft Edgeのサイドバーで利用できるCopilotです。利用することで、書かれている情報の要約やEdgeで開いているPDFの要約などができます。
Copilot in Edgeを利用するためには、Edgeの職場アカウントでログインする必要があります。
まとめ
ChatGPTとCopilotは似て非なる生成AIサービスです。ChatGPTはOpenAI社、CopilotはMicrosoft社が開発、提供します。
GPTはOpenAI社から次々と新しいモデルを発表し、Copilotは追従する形でCopilotに新しいGPTのモデルを導入しています。
どちらを利用すべきかはケースバイケースなので、当記事を参考に比較してみてください。