政府による働き方改革の推進や、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、多くの企業が在宅勤務を導入しました。業務効率の向上をはじめ様々なメリットがありますが、コミュニケーション不足に陥ってしまうケースもみられます。そこで今回は、在宅勤務で円滑なコミュニケーションを取るための具体的な方法をご紹介します。
社内コミュニケーションの重要性
従業員一人ひとりが業務を効率良く遂行し、企業を発展させていくために、円滑な社内コミュニケーションは欠かせません。ここでは、その重要性を分かりやすく把握できるよう、円滑なコミュニケーションを確保することで得られるメリットをご紹介します。
情報共有の活発化・利益の向上
社内の風通しが良く、意見交換が活発な職場では、情報共有もスムーズです。たとえば営業が取引先との雑談で得た情報が、ほかのメンバーの業務に大きく役立つ可能性があります。たとえば、「〇〇社では、今新しい商品の開発を進めている」「新規の出店計画があるらしい」「こんなプレゼンをしたら好評だった」といった情報は、新たなビジネスチャンスにつながります。
会社にとってメリットのある情報を、個人にとどめず共有しやすい風土を醸成することは、利益の拡大に役立つでしょう。ところが、情報を共有する仕組みや機会がなかったり、従業員同士がコミュニケーションを取りづらい雰囲気が流れていたりすると、貴重な機会を喪失してしまいます。
また、他部署との連携が取りやすいことも重要です。部署や拠点を越えて相談しやすい状況があれば、専門知識が必要な場面や、トラブルが起きた際にも対処しやすくなります。ひいては会社全体の顧客対応のレベルが上がり、満足度が向上するというメリットも得られるでしょう。
離職率の低下
従業員同士がお互いを尊重し、サポートしながら業務を進められる環境を作ることによって、離職率が低下するというメリットが期待できます。
人間関係の不和は、従業員が離職する大きな要因です。「こんなことを言って否定されないだろうか」「相談しても、どうせとりあってもらえない」と不満を抱えてしまい、誰にも悩みを打ち明けられずにいると、次第に周囲との心理的な距離を広げてしまうでしょう。
上司と部下や先輩と後輩、同僚同士など、お互いの立場にかかわらず安心して相談ができる社内風土は、働くことに対するストレスを軽減します。
在宅勤務におけるコミュニケーションの課題
ワークスタイルの多様化にともない近年増加している在宅勤務で、もっとも大きな問題点として挙げられるのが、従業員間のコミュニケーション不足です。
自宅で業務を行う在宅勤務は、オフィスとは異なり、気軽にほかのメンバーに声をかけたり、雑談で交流をはかったりすることが難しくなります。また、ランチや飲み会などの業務外の接点も減るため、必要以上のやりとりができず、個々人の人柄や考え方など、パーソナルな面が見えにくくなる傾向にあります。これまで社内のコミュニケーションが問題なく取れていたとしても、在宅勤務の導入によってやりにくさを感じている方も多いのではないでしょうか。
実際に、サイボウズ株式会社が週1回以上の在宅勤務をしている会社員・公務員・経営者・役員などを対象に行ったアンケート調査では、「在宅勤務でのコミュニケーションがしにくい」という回答が50%を超えるという結果が出ています。このことからも、コミュニケーション不足を問題に感じている方が多いことがわかります。
コミュニケーション不足によるデメリット
コミュニケーション不足によって、ミスの増加・従業員のストレス増加・離職率の増加などのデメリットが生じます。
業務でなにか疑問点や困ったことがあったときに気軽に相談できる相手がいないと、問題を解決できず、ミスが起こりやすくなります。また、メンバー間の情報格差や、重要事項の共有が上手くできないことも、トラブルの原因になるでしょう。報告すべき案件を放置していることが、大きな問題へと発展するケースもあり得ます。
ミスが起こりやすい環境では、当然、従業員のストレスも増加します。人間関係にも不和が生まれ、ひいては離職の原因にもなります。コミュニケーションが円滑でないことによって、従業員にとっては決して働きやすいとは言えない状況に陥ってしまうのです。
コミュニケーションの課題を解決する方法
在宅勤務で起こりやすいコミュニケーション不足を解消するためには、どのような施策が有効なのでしょうか。ここでは、従業員同士のやりとりをスムーズにするための、具体的な3つの方法をご紹介します。
コミュニケーションツールの導入
主なコミュニケーションツールとして、Web会議システムやグループウェア、ビジネスチャットなどが挙げられます。Web会議システムは、カメラを使って顔を合わせながらコミュニケーションがとれるため、重要な話をする際やミーティングなどに活用できます。また、スケジュール管理・社内掲示板・ワークフローなどの様々な機能を備えたグループウェアは、社内での情報共有に役立つツールです。ビジネスチャットは、メールよりも気軽な連絡を取りたいシーンなどで便利に使えます。
このように多彩なツールを用意し、コミュニケーションを取りやすい仕組みを作ることで、情報の共有や悩みの相談がしやすい環境が整います。しかし、いくつものツールを適宜使い分けるとなると、苦手意識を感じるメンバーもいるでしょう。そこでおすすめしたいのが、「Microsoft Teams」です。
Microsoft Teamsは、Web会議システム・ビジネスチャット・ファイル共有といった複数のコミュニケーション手段を一元化できます。一つのアプリケーションで社内でのやりとりが完結するうえ、状況によって適切な方法を選べるのも利便性の面で優れています。Word・Excel・PowerPointなどとも互換性が高く、これらのファイルをクラウド上で手軽に共有したり、複数名で編集作業したりすることも可能です。
ルールの策定
適切なツールを導入したうえで、それらを円滑に運用するためのルールを定めることも大切です。管理者は、自社の業務内容や社内環境などをふまえてルールを策定しましょう。
たとえば、「Web会議ではカメラをオンにする」「上司は即レスを強要しない」「緊急時以外、定時外では連絡をしない」「進捗状況は細かく報告する」「スケジュールの入力を徹底する」など、ある程度具体的に定めておくのがおすすめです。ルール策定によって、従業員は足並みを揃えてスムーズに運用を開始でき、コミュニケーションの活性化につながります。
雑談・休憩の積極活用
在宅勤務をスムーズに運用するために、「雑談タイム」や「休憩タイム」などを意識的に設けましょう。在宅勤務は、通勤によるストレスが緩和されますが、人によっては他者と接する機会が激減し、それがかえって負担になるケースもあります。一人きりの孤独な空間で行う業務に、気が滅入ってしまうこともあるでしょう。
そこで、あえて業務外の会話ができる雑談用のチャットルームを設けたり、朝礼で雑談タイムを作ったりして、コミュニケーションの機会を増やすのがおすすめです。また周囲の目がない環境だからこそ、必要以上に根を詰めてしまうことがないよう、意識的に休憩時間を設けてください。
オン・オフのメリハリがしっかり切り替えられるように配慮することで、より効率良く業務を進められ、在宅勤務の孤独感もやわらぎます。
まとめ
在宅勤務の導入によって、従業員同士のコミュニケーションにも変化が生じます。対面でやりとりができないからこそのやりにくさを感じる方も多いでしょう。しかし、Microsoft Teamsをはじめとするコミュニケーションツールを導入し、適切なルールを策定することで、情報の共有や相談がしやすい環境を作れます。