現在、企業ではAIを使った自動回答ツール「チャットボット」とMicrosoft Teamsを連携する取り組みが進んでいます。それによりどのようなことが可能になるのでしょうか。本記事では、そのメリットや連携方法に加え、RPAを取り入れた「チャットボットコンシェルジュ」についてもご紹介します。
Teamsとチャットボットの連携で実現できること
リモートワーク下でもコミュニケーションを円滑に行えるMicrosoft Teamsですが、そのさらなる効率化に一役買うのが、チャットボットです。Teamsとチャットボットを連携させることで、具体的にどのようなことが実現できるのでしょうか。以下で詳しくご紹介します。
各種問い合わせの自動対応
社内の経理部や人事部、総務部やヘルプデスクには、毎日各種申請やシステムの使い方などに関する問い合わせが多く寄せられます。もし、それらすべてに担当者が対応していると、混み合っている場合などはすぐに順番が回ってこず、時間をロスしてしまうかもしれません。
加えて、問い合わせの内容は重複するものも多く、同じ質問に何度も答えるのは手間にもなります。チャットボットを活用すれば、よくある質問を自動で回答でき、質問者・解答者双方の時間と手間が省けます。
出退勤のリマインド
テレワークでは、始業時間と終業時間を上司にメールなどで報告しなければならない企業もあります。しかし、それでは忙しい時期だとつい忘れてしまうこともあるでしょう。しかし、チャットポッドをタイムカード代わりに活用すれば、ログインした時間が記録され、規定時間を超えそうになったら通知で知らせることも可能です。
会議の予約や管理
Teamsとチャットボットを連携させると、Teams上で会議室の空きを確認し、そのまま予約も行えます。予約は自動的にスケジュールに組み込まれるため、登録ミスの心配もありません。さらに各メンバーの進捗状況を見ながら、会議の変更やキャンセルなども行えます。
Teamsとチャットボットを連携させるメリット
Teamsとチャットボットを連携させることで、どのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは3つのメリットについて、くわしくご紹介します。
社内メール対応の削減
これまで社内のヘルプデスクに質問するのは、メールが主な方法でした。しかし、一つひとつの質問にメールで文章を書いて対応するのは手間がかかります。また、やり取りにタイムラグがあるため、解決まで時間を要していました。
しかし、ヘルプデスクのサポートにチャットボットを導入すれば、よくある質問はマニュアル化できるため、専門的な質問にマンパワーを集中できます。一方、質問する側もマニュアルで解決までの道筋を提示されることにより、自己解決能力の幅が広がります。
Microsoft 365との連携
Microsoft 365との連携が可能なことも、Teamsとチャットボットを組み合わせる大きなメリットのひとつです。Microsoft 365にはビジネスでよく使われるWordやExcel、PowerPointといったツールが入っており、それらと連携することで業務を効率化できます。また、オンライン会議の予約から変更・キャンセル、利用者への通知までチャットボットで行えるため、利便性も高まります。
属人化の防止
各種問い合わせに対し、これまでの電話やメール対応では、担当者のスキルにより回答にばらつきがあったり、回答のクオリティに差が生じたりしていました。最初に質問を受けた担当者では対応できず、他の担当者や部署へたらい回しにされると、時間をロスするだけでなく、質問する側の精神的なストレスにもつながります。
しかし、チャットボットを活用すれば、回答内容やクオリティの均一化が可能になります。すぐに回答が返ってくるため質問する側のストレスが減る上、勤務時間外に問い合わせできるのもメリットです。
Teamsにチャットボットを設置する方法
Teamsにチャットボットを設置するには、Teams Botを活用する方法と、外部のチャットボットツールを利用する方法の2種類があります。Teams Botとは、Teams内でアプリ連携が可能なチャットボットのことで、Microsoftのものだけでなく、ストアで提供されている他社のツールも含まれます。
一方、外部のチャットボットとは、Webサイトや社内ポータルでの利用を前提としながら、Teamsとも連携が可能なもののことを言います。外部のチャットボットは操作が直感的に行えるものが多く、サポートが手厚いというメリットがありますが、有料ツールが多いのでお試しで始めるにはややハードルが高くなります。
一方、Teams Botは無料で使えるものが多く、Teams内で設定まで完了できるので、手軽に始められるのがメリットです。中でも「Power Virtual Agents」というアプリは、よくビジネスで利用されているチャットボット用のツールです。
Power Virtual Agentsを活用したチャットボットの設置手順
ではここからは、「Power Virtual Agents」を活用したチャットボットの設置方法をご紹介します。手順は以下の通りです。
1.Teamsを開き、左側ナビゲーションウインドウ下部にある「アプリ」をクリックする。
2.検索ワードに「Power Virtual Agents」を入力し、表示された項目を選択する。
3.画面に詳細が表示されたら、「追加」ボタンを押す。
設置が終われば、「Power Virtual Agents」を開き、細かい設定を行ってください。設置は検索して追加ボタンをクリックするだけなので、外部ツールを取り込むより操作は簡単です。
Teamsとチャットボットを繋ぐ「チャットボットコンシェルジュ」
近年は、チャットボットをシステムと繋いで、さらなる業務の効率化が図れるツールも登場しています。それがチャットボットとRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)をかけあわせた、ISIDの「チャットボットコンシェルジュ」です。
これはチャットボットが「デジタルの窓口」となり、RPAが社内の業務システムやファイルサーバーを繋ぎ合わせて、代替操作を行うデジタルソリューションです。チャットボットからユーザーにプッシュ通知も送られるため、見逃していた情報などの気付きも与えてくれます。
活用シーンは多く、毎日の勤怠報告やメール、確定申告や団体保険の手続きといった定型的な作業を簡略化できます。導入に際しては、対象業務の選定からトライアル利用、操作トレーニング、活用コンサルティングにいたるまで、ISIDがトータルでサポートします。
チャットボットコンシェルジュの導入事例
最後に、チャットボットコンシェルジュの具体的な導入事例についてご紹介します。
A社ではいち早く社内にRPAを導入し、10体のロボットで約1,000時間もの業務時間を削減するなど、成果を上げてきました。そのA社が進めているのが、チャットボットコンシェルジュを活用した業務効率化への取り組みです。いままで人の手で行っていたロボットの起動をRPA経由にすることで、より多くのロボットをスピーディーに稼働させたいと考えています。
また、有給休暇の取得状況を見て、取るようにすすめてくれるなど、きめ細かい提案ができるチャットボットの作成も計画しています。目指すは有能な秘書やコンシェルジュのような、人に潤いを与えるコミュニケーションをとってくれるチャットボットです。
まとめ
Microsoft Teamsとチャットボットの連携は、問い合わせやメール作成、勤怠報告など幅広い分野において、煩雑だった作業を自動化してくれます。さらにRPAとも連携すれば、できることは広がっていくでしょう。業務のデジタル化・効率化のために、ぜひ導入をご検討ください。