会社が業務用の端末を従業員に対して支給するのではなく、従業員に自分の私用端末を職場へ持ち込んでもらって業務で使用するBYODが注目を浴びています。この記事では、BYODの特徴、メリット・デメリット、BYODを導入する際のポイントと導入の成功事例などを紹介するので、参考にしてください。
BYOD(Bring Your Own Device)とは私用端末を業務利用すること
BYODとは、Bring Your Own Deviceの略語で、従業員がプライベートで使用している端末を勤務先の企業が承認して、業務で利用できるようにすることを指します。
コロナ禍という不測の事態によって、多くの企業が業務に必要な機器を調達できないまま、テレワークの導入に踏み切りました。企業側からテレワーク用の機器を従業員に支給できず、やむなく従業員所有のモバイル端末を業務に使ってもらい、テレワークを可能にしたケースも少なからずあります。
シャドーITとの違い
シャドーITとは、企業側が把握していない端末やITサービスを使って、従業員が業務を進めることです。シャドーITの具体的なシーンとしては、会社が許可していないクラウドサービスを利用するほか、会社が許可していないスマートフォンやPCを使って会社のシステムに接続するなどがあげられます。
BYODとシャドーITとの違いは、企業による承認の有無です。BYODで用いられる端末は従業員の私物ではありますが、企業の承認を受けており、その管理下に置かれます。一方、シャドーITの場合は未承認なので、企業による管理から外れてしまいます。
BYODが普及している背景
個人端末の業務利用は、社内情報が外部に洩れる危険性を高めてしまうので、セキュリティの面で大きな不安材料となります。しかし、企業が適切な方法でBYODを導入すれば、業務で利用している従業員の私用端末を企業側でしっかりと管理できるので、セキュリティリスクは下げらます。
約2割でセキュリティ対策をせずに従業員の私用端末を使用
令和3年4月に総務省が公表した「テレワークセキュリティに係る実態調査(2次実態調査)報告書」では、テレワークを実施している企業が、業務でどのような端末の利用を許可しているのかを調査しています。それによると、会社支給のPC端末(通常職場で使用する端末)が68.4%、会社支給のモバイル端末が42.8%、会社支給のPC端末(テレワーク専用端末)が39.2%で、全体的には社給端末でテレワークを行っている企業が多いという結果が得られました。
しかし、一方で約2割の企業が、従業員の私用端末をそのまま使用していることもわかっています。本報告書によれば、従業員が通常利用している私物のPC端末を22.6%の企業が、従業員所有のモバイル端末を14.4%の企業が、それぞれテレワークを行う際に許可しているとのことです。
画像引用元:テレワークセキュリティに関する2次実態調査 - 総務省
BYODの4つのメリット
BYODのメリットとして主要なものを以下に4つ紹介します。
1. 従業員が使い慣れた端末で仕事できる
BYODならば、従業員は使い慣れたメーカーの端末で仕事ができます。個々の従業員が使い慣れた端末で業務を行うことにより、キーボードの配列やタッチ感、端末の操作方法の違いなどで生じるミスやストレスを軽減でき、作業効率がアップするはずです。
2. 新たに端末を購入する必要がない
会社が従業員に端末を支給する場合には、当然その分の費用がかかります。しかし、従業員が個人で所有している端末を業務用として転用すれば、新たに端末を購入する必要はなくなり、購入費用だけでなく、端末を維持・管理する費用も抑えられるでしょう。
3. 多様な働き方に対応できる
BYODでテレワークが可能な職種であれば、社外でも社内と同じように仕事ができ、従業員が望む多様な働き方にも対応できます。家庭の事情や居住地などの問題で、出社して働くのが困難な人を雇用できるようになれば、人手不足の解消にもつながるでしょう。
4. シャドーITの発生防止に役立つ
BYODなら、企業が承認した個人所有の端末に対し、公私の分離をして利用状況を監視することで業務の利用が管理できます。それにより、情報が出入りする経路の把握が可能です。従業員のプライバシーに配慮した適切なルールづくりを行えば、私物の端末などを無断で業務に使用するシャドーITの発生防止にも役立つでしょう。
BYODの4つのデメリット
BYODのメリットと同様に、デメリットについても主要なものを4つ紹介します。
1. プライベートと仕事の区別がつきにくい
プライベートと仕事の線引きが難しく、両者の区別がつきにくくなるのがBYODのデメリットです。業務時間外に上司からの指示や顧客からの連絡が入った場合に、思わぬ時間外労働を強いられるなどの問題が発生し、従業員の不満が募る可能性があります。
2. 従業員の労務管理が難しくなる
BYODを導入すると、従業員は出社しなくても、場所や時間を問わず仕事をする可能性もが出てくるため、労務管理が難しくなります。テレワーク中は各従業員が勤務している姿を誰かが直接見ているわけではないので、実労働時間の把握や時間外活動についてのルールを決めておく必要があります。
3. 情報漏えいとセキュリティリスクが高まる
BYODでは業務で使う端末をプライベートでも利用するため、情報漏えいとセキュリティのリスクが高まります。したがって、さまざまなリスクを考慮しなければなりません。たとえば、端末の盗難や紛失による情報漏えいはもちろん、従業員の家族や知人の端末が不正プログラムに感染した場合に従業員の端末へ被害が及ばないよう、対策を講じる必要があります。
4. ルールの徹底や教育の負担が増える
BYODを導入した場合には、従業員へのルールの徹底やセキュリティ教育が必要不可欠です。せっかく適切なルールを策定しても、従業員の理解が伴わなければ形骸化してしまうので、ルールの徹底や教育のための負担を惜しんではなりません。
BYOD導入時のポイント
上記で紹介したデメリットへの対策としては、以下の2点がポイントとなります。
システム環境の整備をする
BYOD導入時には、システム環境の整備を行うことが重要です。MDM(Mobile Device Management)とMAM(Mobile Application Management)という2つの方法が、安全にBYODを運用する方法として注目されています。
MDMとはモバイル端末管理を指し、端末を遠隔操作によりロックするなどの方法で、紛失・盗難のセキュリティリスクを抑えることが可能です。MAMはモバイルアプリ管理のことで、業務とプライベートの領域を分離して、セキュリティ対策を行います。
運用体制強化に向けたガイドラインを設定する
BYODを導入するなら、運用体制強化に向けたガイドラインを設定しましょう。それにより業務利用する範囲や通信料・セキュリティ対策にかかるコストなどに関して、運用体制を明確化することが大事です。ただし、ガイドラインの設定を行う際には、従業員の理解と同意を得なければなりません。
BYODの成功事例
BYODの導入を成功させるためには、適切なツールを利用して、セキュリティレベルとユーザビリティを確保するのがおすすめです。ここでは、テレワークやモバイルワークの課題を解決するMAMプラットフォーム『moconavi』を用いたBYODの成功事例を紹介します。
【株式会社サーラビジネスソリューションズ様】情報共有が今まで以上に容易に
株式会社サーラビジネスソリューションズ様では、全社員に社給端末が行き渡らないため情報格差が生じていました。そこでBYODを検討したところ、セキュリティの確保が課題として浮上し、個人の領域と業務の領域を完全に分離できるmoconaviが導入されました。
導入後は、個人の端末で社内システムへ安全にアクセスできるようになり、出向社員や外注業者との情報共有が容易になるなど、業務効率を向上させる大きな効果が得られています。
【セゾン投信株式会社様】コロナ禍のテレワークシフトを実現
セゾン投信株式会社様では、コロナ禍での間接販売開始に伴って、社外で業務を行う社員が増えたため、BYODの導入に踏み切りました。そこで、デバイスやOSを選ばず、Office365など社内で必須の多様なサービスと簡単に連携できるサポートツールとして選定したのがmoconaviです。導入した結果、社員の4割が在宅勤務でも問題なく業務を継続でき、コロナ禍におけるテレワークシフトの実現に成功しました。
moconaviでBYODの悩みを一気に解決!
従業員私用端末などで業務を行うBYODには、セキュリティリスクが高まるなどのデメリットがありますが、moconaviの導入により解決できます。moconaviは、利用端末にアプリをインストールして、堅牢なセキュリティなどを実現するBYOD導入のサポートサービスです。