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ワークフォースマネジメント(WFM)とは?概要や実施事例などを紹介

ワークフォースマネジメント(WFM)とは?概要や実施事例などを紹介

昨今、飲食店やコールセンターなどの労働集約型の企業を中心に、人員不足や人件費の高騰が経営の問題となっています。多くの従業員をマネジメントする管理者にとって、人件費を抑えながらも適切に人員を配置し顧客満足度を維持するのは一筋縄ではいきません。本記事でご紹介するワークフォースマネジメント(WFM)はそのような人材管理上の課題を解決するために開発されたソリューションです。

ワークフォースマネジメント(WFM)の基本概念

ワークフォースマネジメント(WFM)の基本概念

ワークフォースマネジメント(以下WFM)と聞くと少し難しく感じるかもしれません。しかし、WFMは、飲食店やレジャー施設など従業員の力が欠かせない労働集約型のビジネスを経営している企業の管理職であれば誰もが実行しています。ここではWFMの考え方について解説します。

WFMとは

WFMとは「Workforce Mangement」(ワークフォースマネジメント)の略語で人材管理を意味する言葉です。日本語でいう「人材管理」は幅広い意味を持ち合わせますが、WFMにおいてはとりわけ人材を適切に配置することでビジネスの最適化を図ることを意味します。

WFMシステムとは

WFMシステムはWFMをシステム上で実行するためのツールのことを指します。エクセルなどの一般的なオフィスツールを利用することで、専門的なWFMツールに頼らなくともWFMを実行することはできるかもしれません。しかし、そのような一般的なツールを利用する方法では人材管理者の経験や勘に頼る部分も出てきてしまい、WFMが属人化するリスクがあります。WFMシステムを活用することでWFMを属人化させることなく、システムを通じて誰でもWFMを管理できるようになります。

WFMシステムを導入する3つのメリット

WFMシステムを導入する3つのメリット

従業員の数が増えるほど、適切な人員配置を行うには時間と手間がかかり管理者に大きな負担を与えてしまいます。WFMシステムを導入することによって管理者はそのような負担から解放され、より重要な業務へ時間を割くことができるようになります。ここでは、WFMシステムの3つのメリットについて解説します。

品質アップによる顧客満足度向上

WFMシステムは、過去の販売実績などのデータに基づいて適切な従業員の数や配置をシミュレーションし、過不足なく従業員をアサインできるよう人材管理者に提案します。これによって人材管理者は個人の勘に頼ることなく精度の高い人材配置を実現することができ、顧客満足度向上にもつながります。

労働集約型のビジネスでは、時間や季節、そのときの状況に応じて顧客数が変動することがあります。例えば、飲食店の場合、土日祝日は店舗に訪れる客数が平日よりも増えます。新商品の販売開始日であれば、その日に合わせて顧客数が通常よりも増えることがあります。このような際に従業員が不足していると少ない人数でオペレーションを回すことになり、結果として顧客の待ち時間が長引いてしまい顧客満足度の低下につながります。

適切な人員配置による生産性の向上

WFMシステムの需要予測に基づき必要な人材を過不足なく配置することで、余分な人件費を抑制し生産性を向上させることができます。人員が過剰に配置され需要に見合っていないと、人件費がかさむだけではなく、従業員1人当たりの生産性が低下します。従業員によっては手持ち無沙汰になるという事態も発生します。逆に人員が不足すると、需要に追いついていけず利益を出せない悪循環につながります。

適切な人員配置を行うには、WFMシステムによって自動的に必要な人員をそれぞれのポジションに配置することが効率的です。生産性の向上により結果として利益へつなげることができます。

従業員の満足度向上

従業員によっては特定の曜日や時間帯に絞って働きたいということもあります。あるいは、飲食店であれば、レジ業務のみ対応してキッチンでの仕事は希望しないということもあるでしょう。学生の場合、試験前はアルバイトができないということも発生します。各従業員の条件や希望を全て把握し手作業でシフトを組んでいくには限界がありミスにつながるおそれもあります。

WFMシステムでは従業員の希望条件やスキルを登録しておくことで自動的にシフトを作成する機能があります。適切なシフトの作成は従業員のモチベーションを維持し離職を防ぐ効果があります。

WFMシステムに含まれる主な機能

WFMシステムに含まれる主な機能

WFMシステムは多くの従業員を雇用している企業においてなくてはならないツールです。手作業で行う人員配置やシフト作成、勤怠管理は効率が悪く長時間労働にもつながります。ここでは、WFMシステムが提供する主な機能について解説します。

必要な人員を予測する機能

労働集約型のサービスにおいてはさまざまな条件によって顧客数が変動し、適切な人員を予測することはたやすくありません。WFMシステムは過去に動員した人員に関する蓄積データをベースに、季節や時間帯、販売商品などの変数を取り入れ未来に必要な人員を予測します。これによってWFMシステムは管理者の経験や勘に基づいた人員予測よりも精度の高い予測を行うことが可能です。

予測した人員を手配管理する機能

人員の役割は業界によって多岐にわたります。飲食店の場合、キッチン、レジ、配膳などに分けることができます。医療機関では、受付、事務職、看護師、担当医などに分けることができます。必要な人員の数はそのポジションが求めるスキルに応じて変動します。飲食店の場合、繁忙期であれば、通常よりもキッチンと配膳の人員を増やさないといけないかもしれません。WFMシステムは必要なスキルを持った人員を適切な時間帯にアサインできるよう過不足なく手配できます。

メンバーのスキルを登録する機能

メンバーが保持しているスキルを登録することによって人員を適切なポジションに配置することができます。WFMシステムはメンバーのスキルを登録するのみならず、メンバーが希望する曜日や時間、社会保険の有無、交通費、賃金などの勤務条件を予め登録することで適切な人員配置を実現します。このような機能があるおかげで人件費を抑制しながらも需要に対して必要な人員を供給することができます。

シフトを作成する機能

シフト作成は人員を管理する監督者にとって安定した現場を運営するうえで最も重要な業務といえます。そのため、シフト作成にミスがあり必要な人員を配置できないと現場の疲弊や顧客満足度の低下にもつながりかねません。WFMシステムは人員に関する需要予測機能と登録されたスタッフの希望やスキルデータに基づき自動的にシフトを作成します。作成したシフトは従業員のPCや携帯端末に送信することも可能です。このような効率的なシフト作成によって、現場の管理者はより重要な業務に時間を割くことができます。

進行中の作業を把握する機能

WFMシステムは従業員が対応している作業のプロセス管理を行います。各作業が現在どのような進捗状況にあり、誰が対応しているのかが一目で分かります。期日が迫っている作業が滞っていれば必要な人員の追加アサインやアラートメッセージの送信にも対応しています。WFMシステムは勤怠管理にも対応しており、各メンバーが行う勤怠時間の登録、有休や遅刻などの勤怠履歴を後から振り返ることもできます。データとして勤怠が保存されるため、従業員の労働時間が規定よりも長くなっていないか、勤務態度に変化がないかなども簡単にチェックできます。

WFMの具体的な実施事例

WFMの具体的な実施事例

WFMシステムは企業の現場においてどのように活用され、どのような価値を企業に提供しているのでしょうか。ここではその具体例として3社をご紹介します。

株式会社オリエンタルランドの事例

株式会社オリエンタルランドは東京ディズニーランドを代表とするレジャー施設を展開する企業です。同社では従業員の募集から応募、採用、シフト作成などを管理するWFMシステムを2017年度より導入しています。レジャー施設は曜日や時間帯、更に天候や季節要因などによって来園者数が大きく変動します。従業員も特定の期間や時間帯で働きたい主婦や学生もいるため、従業員の需給バランスを取ることは容易ではありません。

オリエンタルランドはこのような状況を背景にWFMシステムを導入することで必要な従業員を適切なポジションに効率的に配置できるようになりました。
参考:オリエンタルランドマニュアルレポート

LINE株式会社の事例

LINE株式会社は同社が提供するコミュニケーションアプリ、ゲームアプリ、ファミリー向けアプリに関するユーザからの問い合わせ対応においてWFMシステムを導入しています。カスタマーサポートセンターへの問い合わせにおいては、サービス毎の知識を兼ね備えた人員を配置し顧客満足度を下げることのないよう対応しなければなりません。

同社はWFMシステムを通じて必要な業務量を予め予測し適切な人員を配置しながらも、リアルタイムで数値分析を行うことで効率的なコールセンターの運営に努めています。

参考:LINE Fukuoka press

三井住友海上火災保険株式会社の事例

三井住友海上火災保険株式会社は、損害保険を提供する企業です。同社は顧客からの保険に関する対応窓口として、約500人の従業員をかかえ大規模なコールセンターを運営しています。顧客からの問い合わせ数が多く、対応する従業員も多い企業ではWFMシステムの導入は必須といっても過言ではありません。

同社はWFMシステムを導入することで精度の高い入電予測を行うことができ効率的な人員配置を行うことに成功しています。WFMシステムの管理画面上で未来の入電予測数と必要人数を算出し自動的にシフト作成を行っています。

参考:CALL CENTER JAPAN

WFMの選び方

WFMの選び方

WFMシステムを選定する際は、使い勝手や機能を理解できるようにするため、無料トライアルから試すことをおすすめします。その際にそのシステムが自社にふさわしいか、以下3つの観点で確認するようにしましょう。

必要な機能を提供しているか

WFMシステムが提供する機能はツールによって異なり様々です。例えば、シフト作成だけでも参照できるデータやシフト作成方法が異なります。また、WFMシステムによっては利用したい機能が備わっていない場合もありますので、予め機能一覧を確認するようにしましょう。

業務内容とマッチしているか

コールセンターであれば入電予測数を算出できる機能、飲食店であれば需要の変動に対して人員数を予測できる機能がWFMシステムに備わっていなければなりません。WFMシステムが提供する機能と業務内容が合致しているか吟味が必要です。

費用対効果の観点で適切か

WFMシステムは当然費用がかかるため、投資する利用料を上回る結果を出すことが重要です。人員が比較的多くないにも関わらず高額なWFMシステムを導入することは避けなければなりません。自社の規模に見合ったWFMシステムを選定しましょう。

主なWFMツールの紹介

主なWFMツールの紹介

ここでは代表的なWFMシステムを3つご紹介します。それぞれに特徴があり、業界に特化したツールも存在します。3つとも無料トライアルを提供しているため、興味があったツールは一度無料トライアルを通じて試してみることをおすすめします。

ジョブカン

ジョブカンは主に勤怠管理とシフト作成、工数管理に特化したWFMシステムです。勤怠管理ではLINEやICカードなどの幅広い方法で打刻ができ、スタッフ毎の労働時間を記録します。超過労働にならないよう、残業時間が超過するおそれがある際は自動的にアラートメッセージを送信します。外国語は6カ国語に対応しているため、外国人の従業員が多い企業にとってはマッチしているツールといえます。医療機関における日勤や夜勤などの複雑なシフト作成にも対応しているのも大きな特徴です。

jinjer勤怠

jinjer(ジンジャー)勤怠は勤怠管理、シフト管理、ワークフローに対応したWFMシステムです。飲食店などの店舗管理に向いています。シフト管理では、従業員がシフトパターンを予め作成することで簡単にシフト申請ができます。管理者はシフト管理表を見ながら人員が足りない時間帯やポジションについて、他の店舗に連絡しサポートをリクエストできます。外国語は5カ国語に対応しています。予実管理できる点も特徴です。予実管理では、人件費の予算、実績、予測を一覧で可視化することができます。

幹部の右腕

幹部の右腕は主にスーパーや工場などのように、工程が細分化され各工程に人員がアサインされる企業向けのWFMシステムです。シフトの自動作成、分単位での作業工程の割り当てに対応しています。「人の手モデリング」という機能を通じて各スタッフの経験やスキルをデータ化することで、どのような人材がアサインされても運営できるようシフトを作成することが可能です。このような機能によってスタッフ間や店舗間における不公平感を軽減しています。

まとめ

本記事でご紹介した3つのツール以外にも、さまざまなWFMシステムがあります。更にWFMシステムが提供する機能も多岐にわたります。WFMシステムを選定する前に、現状の問題を整理したうえで、それに対してどのような解決策がベストであるかを考えることが重要です。

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