建設・ビル管理

サービスロボットとは?定義や活用事例を解説

サービスロボットとは?定義や活用事例を解説

現代は少子高齢化によって人材不足と就業者の高齢化が加速しており、業務の省人化と生産性向上の両立が求められています。そこで重視されるのがサービスロボットの活用です。本記事ではサービスロボットの概要や導入するメリット、具体的な活用シーンなどについて解説します。

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サービスロボットとは?定義を解説

サービスロボットとは、公共の場や医療施設、店舗、ホテル、商業施設、あるいは一般的な家庭などで活用されるロボットです。主にサービスの品質や生活の快適性を向上させることが目的であり、搬送、受付、案内、清掃、介護、配膳、警備、点検、在庫管理など、さまざまな領域で活用されています。近年では、警備や受付、案内など複数の機能が搭載された複合型サービスロボットを導入するオフィスビルも少なくありません。

サービスロボットと産業用ロボットの違い

現代は第4次産業革命の黎明期といえる時代であり、その実現を支える技術のひとつとして注目を集めているのがロボティクスです。ロボット市場は大きく分けるとサービスロボットと産業用ロボットに分類されます。これらの相違点は技術や機能が活用される場所です。サービスロボットと産業用ロボットの違いについて、日本産業規格では以下のように定義されています。

■産業用ロボット

自動制御され、再プログラム可能で、多目的なマニピュレータであり、3軸以上でプログラム可能で、1か所に固定して又は移動機能をもって、産業自動化の用途に用いられるロボット。

■サービスロボット

人又は設備にとって有益な作業を実行するロボット。産業自動化の用途に用いるものを除く。

参照元:ロボット及びロボティックデバイス−用語 |日本工業規格

産業用ロボットは複数軸のマニピュレータ(アーム型の遠隔操作機器)の複雑な制御が可能であり、主に製造現場における人間の作業を代替するロボットです。それに対してサービスロボットは産業用途以外の人間の作業や動作を支援します。つまり、生産工場や製造ラインでの用途が主体となるロボットが産業用ロボットで、それ以外の生活やサービスにかかわるロボットがサービスロボットです。また、サービスロボットはただ決められた動作を実行する産業用ロボットと異なり、人間とコミュニケーションを取れるものも多く存在するのが特徴です。さらにサービスロボットは業務用・個人用と屋内用・屋外用に大別されます。

サービスロボットを導入するメリット

サービスロボットを事業領域で活用する主なメリットは以下の3点です。

人件費を削減できる

サービスロボットを導入すれば、人件費の削減が可能です。たとえば飲食業界では配膳ロボットが普及しつつあります。AIを搭載したロボットが料理やドリンクを自動で配膳してくれるので、ホールスタッフにかかる業務負荷の大幅な軽減に成功しています。このように、サービスロボットを導入することが人件費の削減に寄与するのはもちろん、人手の少ない深夜帯や土日・祝日などの時給の偏りも解消できます。

国内は少子高齢化の影響によって人材不足が深刻化するなか、パートやアルバイトの平均時給は年々上昇していく傾向にあります。そのため、資金力に乏しい中小企業や個人経営の飲食店などにとって、いかにしてサービス品質と労働生産性を保ちつつ人件費を削減するかは重要な課題です。サービスロボットの導入は相応のコストを必要としますが、業務負荷の軽減によって人件費を削減でき、キャッシュフローの安定化に寄与します。

顧客満足度が向上する

サービスロボットの導入は顧客満足の向上にもつながります。たとえば飲食店の配膳や下膳といった業務を自動化できれば、ホールスタッフに余裕が生まれて接客対応に集中できます。それによって顧客一人ひとりにパーソナライズされた細やかな応対が可能となるので、顧客満足度の総合的な向上が期待できます。

また、オフィスの受付や清掃などをサービスロボットが代替できれば、空いた人的資源を業績の向上に直結するコア業務に集中できる点も大きなメリットです。本来、業務に優劣はありませんが、企業の経営資源は有限なため、コア業務とノンコア業務の切り分けは極めて重要です。重要度の高い業務にリソースを集中できれば製品やサービスの品質向上に寄与し、結果として顧客満足度の最大化につながると考えられます。

人手不足の解消

総務省統計局のデータによると、国内の総人口の概算値は2023年7月1日時点で1億2,456万人と、2008年の1億2,808万人をピークとして下降し続けています。それによって生産年齢人口が減少し、さまざまな分野で人材不足と就業者の高齢化が深刻化しているのが国内の現状です。このような社会的背景のなかで企業が発展し続けるためには、業務の省人化と生産性の向上を両立させなくてはなりません。

サービスロボットの導入によってノンコア業務を効率化・自動化できれば、従来は複数の人員が必要な業務を少人数で回せるようになるため、より少ないリソースで従来と同等以上の生産性を確保できます。また、サービスロボットの配置や導線を設計するためには、業務プロセスの全体像を把握しなくてはなりません。その過程で既存の業務フローを可視化できれば、オペレーションの合理化と工数削減に寄与するというメリットもあります。

サービスロボットの導入事例

ここではサービスロボットの代表的な事例として、「警備ロボット」と「清掃用ロボット」の活用シーンを紹介します。

警備ロボットの例

サービスロボットの代表的な活用シーンのひとつが、オフィスビルや商業施設などの警備業務です。IoTセンサーやカメラを搭載したロボットが自律的に建物内を警備し、不審な動きや異常を検知します。なかでも警備ロボットが得意とするのが、施設内の巡回や特定の場所での監視(立哨)です。たとえば、あるオフィスビルでは20階分のフロア警備に6人の警備員を配置していました。しかし4台の警備ロボットを導入することで巡回と監視が自動化され、警備員を半分の3人にまで削減できたという事例があります。

清掃用ロボットの例

清掃用ロボットは公共施設や商業施設、医療現場、飲食店などで導入が進んでいるサービスロボットです。床や壁、窓などの清掃はもちろん、除菌作業もできます。ロボットが自動走行で施設内を清掃してくれるので、品質のムラが少なく、人間の手が届かない場所や危険なエリアなどの清掃や除菌も可能です。新型コロナウイルスの感染拡大によって消毒・除菌の重要性が再認識されたことも相まって、清掃・除菌業務をロボットが担う事例が増加傾向にあります。

オフィスでのロボット活用と今後の展望

サービスロボットはさまざまな分野で注目を集めている技術ですが、現状の活用範囲は清掃・警備・受付・案内など極めて限定的です。しかし情報通信技術は日進月歩で発展しており、今後はAIやIoTなどの高度化に伴ってバックヤード業務の効率化や人的資源のパフォーマンス管理など、活用範囲の拡大が期待されています。

たとえばサービスロボットが従業員の健康状態を管理してパフォーマンスの最大化を支援する、または言語を翻訳・要約してコミュニケーションをサポートするといった活用方法が考えられます。今後はオフィス環境とオンライン環境をつなぐ中間的な基盤となり、デジタルワークプレイスを構築する上で欠かせないソリューションとなるかもしれません。

まとめ

サービスロボットは生活やサービスの品質向上を目的とするロボットです。サービスロボットの導入によって人的資源の業務負荷が軽減され、「人件費の削減」「顧客満足度の向上」「人材不足の解消」といったメリットを得られます。今後もオフィス環境のさまざまなシーンで活用される技術として大きな注目を集めています。

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