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センシングとは? 様々なビジネス分野での活用例と今後の可能性を紹介

IoTやAIなどの技術革新により、常識の転換が急速に進んでいます。センシングは、日本社会が直面している高齢化・労働人口減少・環境問題の解決に有用な技術です。本記事では、センシングの概要と、さまざまなビジネス分野における活用事例を紹介します。センシング技術の導入を検討している企業は、ぜひ参考にしてみてください。

センシングとは? 様々なビジネス分野での活用例と今後の可能性を紹介

先端技術とAI倫理がもたらす「より良い医療のかたち」

そもそもセンシングとは何か?

センシングとは、検知器や感知器、測定器などを用いて測定対象の定量的な情報を取得する技術です。英語で「感覚」や「感知」を意味する「sense」を現在形にした「sensing」に由来しており、日本語では「感知機能」や「センサー機能」と訳されています。電流センサー・照度センサーなど、センシングデバイスを活用して得たさまざまな情報を定量化するのがセンシングの役割です。

センシング技術は「スマートセンシング」と「リモートセンシング」の2種類に分けられます。スマートセンシングは、衝撃や温度、光量などの情報を取得して数値化する処理機能が組み込まれたスマートセンサーによるセンシング技術を指します。スマートセンサーで計測できる情報は非常に幅広く、製造業界や医療機関、自動車産業といったさまざまな分野において導入が進んでいるようです。

リモートセンシングは、直接物体に触れることなく測定対象の情報を取得できる技術です。人工衛星や航空機などにセンサーを搭載し、自然災害や環境問題といった地球規模のデータを取得する際に用いられています。たとえば、気象衛星から雲の動きや台風の進路などを予測して、気象予測などに役立てられています。

センシング技術導入のメリット

「第4次産業革命」という言葉を耳にする機会も増えてきました。IoTやAIを用いた技術革新により、今後の経済活動・ビジネス・ライフスタイルにおけるこれまでの常識は、大きく変化すると考えられています。あらゆるモノがインターネットを介し、情報のやり取りを行う社会が到来しつつあるのです。とくに、製造現場のIoTにおいてセンシングは不可欠な要素です。電子機器や駆動装置に最新のセンシング技術を導入すると、生産機器の遠隔操作やモニタリング、保全業務の省人化につながるとして注目を集めています。

また、機械学習やディープラーニングと組み合わせた画像認識技術を用いて、人間を遥かに凌駕する高精度な生産設備の異常検知や製品の検品・検査のオートメーション化を実現させれば、大幅な人的資源の削減に結びつきます。さらに、工場全体のセンシングデータをリアルタイムに収集して製造ラインを最適化し、組織全体における生産性向上を目指すことも可能です。

センシング技術は、広告分野でも導入が進んでいます。その一例として挙げられるのが、ディスプレイなどを設置して情報を発信するデジタルサイネージの領域です。商業施設や店頭に設置したデジタルサイネージにセンシング技術を用いると、時間帯や天候などに合わせて最適化された広告を表示できるため訴求効果の高い広告を打ち出せます。

センシングの活用事例を紹介

実際に、センシング技術はどのような分野で活用が進んでいるのでしょうか。ここでは、農業・自動車産業・製造業界・医療機関・ロボット工学の各領域におけるセンシング技術の導入事例を紹介します。

農業におけるセンシング

テクノロジーの進歩に伴いさまざまな産業が発展していく一方で、農業の分野においてのデジタル化は断片的にしか進んでいません。農業従事者数は年々減少し続け、国内の農業構造そのものが衰退傾向にある中で、生産体制に大きな変革をもたらすスマート農業に注目が集まっています。

農業の分野では、時間と労力の削減を目的にセンシング技術の導入が進められています。自宅や事務所から現地の温度・湿度・照度を定量化して判断につなげれば、いくつもある田畑へ足を運ぶことなく素早く状況を確認できるでしょう。作業の効率化が推進されれば、将来的な省人化も実現に導けます。農作物や土壌の過去のデータを分析して得た結果から、効率よく品質の高い農作業を行うことも可能です。農林水産省は、このような生産体制を「農業DX構想」と定義しています。

自動車産業におけるセンシング

ガソリン車の新車販売終了の方針策定や、2050年カーボンニュートラル宣言によるEV化の推進、運転支援システムから自動運転システムへの進化など、自動車産業には大きな変革が訪れようとしています。自動車の自動運転を実現するうえで、重要な役割を担っているのがセンシング技術です。

自動運転に使われるセンシング技術には、目の機能を果たすカメラをはじめ、対象までの距離と方向を測定・検出するミリ波センサーやLiDARといった高度なセンシング技術が用いられています。自動運転の実用化が進めば、市場や経済の活性化だけでなく、運送業におけるドライバー不足の問題も解決できるかもしれません。

製造業におけるセンシング

2012年にドイツ政府主導のもと「インダストリー4.0」が提唱され、製造業界ではIoTやAIの活用による生産体制のデジタル化が進展しています。生産設備とIoTやAIといったテクノロジーが融合した工場は「スマートファクトリー」と呼ばれ、さまざまなセンシング技術が取り入れられているのです。

製造ラインや、生産設備などの稼働状況を把握するためにセンサーを設置し、各生産プロセスのデータを収集することで、工場全域のプロセス管理を最適化します。スマートファクトリーの実現は、設備保全の省人化や検品・検査の高度化、人員配置の合理化やヒューマンエラーの減少により、業務効率化と品質の向上による顧客満足度アップなどのメリットが期待できるでしょう。

医療におけるセンシング

人生100年時代といわれる現代では、病気の早期発見が重要となりつつあります。体表に装着するウェアラブルデバイスにセンシング技術を搭載し、健康状態を可視化できるようにしておけば、心拍数や血圧、血糖値などの連続測定が可能です。搭載されたセンサーが身体の異常を検出して病気を早期発見できるようになると、早期に治療を開始できます。

医療分野におけるセンシングは身に着けるタイプのウェアラブルデバイスだけでなく、心臓疾患を抱える患者に植え込むペースメーカーにも使われています。また、X線やCT、MRIの画像検査においてもセンシングは活用されており、肉眼では捉えられない情報を定量化してより鮮明な画像を生成し、質の高い医療サービスの提供につなげているのです。

ロボット工学におけるセンシング

製造業では、ロボット工学の領域でセンシング技術を取り入れる事例が増えています。近年メーカーの製造現場では、無人搬送車や工業用ロボットなどを導入して業務効率を上げる取り組みが進められています。ロボティクスで精密機器の部品を組み上げるには、振動の制御や位置の補正といった細かい動作性能が不可欠です。これまでオペレーターの経験に依存してきた稼働中の微調整も、センシングで定量化すればスムーズに最適化が図れるでしょう。

また、AI技術の進化と共に普及していくと予測されているのが家庭用のロボットです。すでにロボット掃除機のようなハイテク家電が普及しつつあり、将来的には人々の暮らしを支えるあらゆるモノが、IoTやAIとつながる未来が到来するかもしれません。こうした技術革新が進むとともに、センシング技術の需要はますます拡大すると見られています。

センシング技術で新たなイノベーションを創出する未来

デジタルテクノロジーの進展に伴い、ロボットやIoT、AIといった先進技術がさまざまな場面で活用されるようになりました。第4次産業革命を迎えた現代では、経営層が生産性の向上といった課題にいかに取り組んでいくかが経営力に直結してくると考えられています。日本社会の人口減少と少子高齢化による影響は、避けて通れない課題です。このような時代の中で、企業がイノベーションを創出し、市場における競争優位性を確立するためには最先端テクノロジーの活用が不可欠といえるでしょう。

IoTやAIの発展により、これまで手間を必要としてきたあらゆる作業が簡単に自動化できるようになっています。次々と新たな常識が生み出されるようになると、従来では思いつかなかったような発想を得る機会もあるかもしれません。急速に進化する最先端テクノロジーが、社会にどのような影響を与えるかをよく学んで模索すれば、新規事業や新たなビジネスモデルが見えてくるはずです。

まとめ

センサーを用いて画像・温度・振動・音などを計測し、定量化する技術がセンシングです。すでに製造業界や医療機関をはじめ、自動車産業、農業などの幅広い分野で活用されており、効率化を成功させた事例も増えてきています。日本が抱える社会問題の解決に向けて、今後ますますセンシングを取り入れる企業は増えてくるものと考えられます。

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