利用者の利便性を向上させ、店側の作業の効率化を図るためにも、モバイルオーダーが注目されています。遠隔地であっても顧客と店がつながり、サービスの向上が図れるのがモバイルオーダーの大きなメリットです。 そんなモバイルオーダーのメリットや、業種ごとの導入の効果などについて見ていきます。
モバイルオーダー とは
近年、大手飲食店で「モバイルオーダー」を導入するところが増えてきています。今までも店側が用意した端末を使って、料理をオーダーする似たようなシステムはありました。しかし、それらのシステムとモバイルオーダーの大きな違いは、使用端末は店側が用意したものではなく、スマホやタブレットなど、利用者自身が所有しているモバイルだということです。
利用者はまず自分のモバイルにアプリをダウンロードします。テイクアウトシステムの場合は、自宅内や外出先から欲しい商品にチェックを入れてオーダーします。店側はモバイルを通して入ったオーダーに応じて商品を準備し、利用者が店に到着したちょうどよいタイミングで、商品の提供を行う、という流れです。
飲食店の場合は、利用者が席にいながらモバイルでオーダーをすることも可能です。決済もモバイルオーダーと同時にキャッシュレスで行えることが多くなっているため、オーダーと会計を速やかに済ませることができます。
このように店側にとっても利用者にとっても便利なモバイルオーダーですが、すでに「スターバックス」や「すき家」のような大型チェーンの飲食業界ではモバイルオーダーの導入が進んでいます。
なかでも、マクドナルドが本格的に導入したことは大きな話題となりました。以前より一部地域で導入してきましたが、2020年1月より一部店舗を除く全国で導入を開始。モバイルオーダーの導入により、利用者は店内で行列をすることなく、商品の購入が可能となりました。
利用者は家でゆっくりと家族や友人と相談しながら、オーダーを行うこともできます。また、各種クーポンを用意して、モバイルオーダーのシステムに表示ができるようにしておけば、新規利用者を安定してリピーター客とすることも可能です。支払い方法はクレジットカードかLINE Payを利用できるため、会計にかかる手間と時間を省くことができます。
事前決済サービス「CTC ECモ バイルオーダー」とは
モバイルオーダーを実現するシステムとして、事前決済サービスの「CTC ECモバイルオーダー」がよく知られています。CTC ECモバイルオーダーとはどのようなシステムなのでしょうか。CTC ECモバイルオーダーを導入すると、以下のようなことが行えます。
- スマートフォンやPCからの事前注文
- スマートフォンやPCによる事前決済
- 順番が来たときのお知らせ
- 来店予約
- 公共施設の予約
CTC ECモバイルオーダーは小売業、テイクアウト店、レストラン、行政、病院の薬局や調剤薬局、テーマパークなど、幅広い場所での活用が期待されています。
サービス導入のメリット
サービスを導入することで、店舗スタッフの負担軽減や利用者の注文・決済の簡略化、待ち時間回避などによる機会損失の削減などが実現できます。そのため顧客満足度の向上やスタッフの負担軽減といったメリットがあります。
たとえば利用者はお店の列に並ぶことなく、メニューを自分の好きなタイミングでオーダーすることができます。注文後は、だいたいの受け取り目安の時間もわかるため、待ち時間のロスを減らすことができます。急いでいるお客様を待たせることもありません。顧客満足度がアップすれば、店のリピーターになる可能性も高くなります。
スタッフにとっても、お客様を待たせることがなく商品の準備をすることができます。またオーダー時の聞き取りミスや行き違いを減らすこともでき、廃棄物の軽減にもつながります。ほかにも、今まで人が行ってきた会計もオンライン決済が可能です。そのため労働の効率化や会計ミスの削減にも繋がり、人手不足の店舗にとっては強い味方になります。
また、顧客の購買行動や履歴を蓄積し、ビッグデータとしてマーケティングに使用することも可能です。ビッグデータ解析によって、店舗のオペレーション改善や在庫調整、廃棄ロスの削減、労働力の最適化などにより、売り上げの向上にも結び付けられます。
ただし、スタッフにとっては店舗でオーダーするお客様と、モバイルオーダーのお客様双方への対応が必要になるため、慣れるまでは混乱が生じる場合があります。そのため人材配置の変更が必要になったり、場合によってはスタッフへの再教育の機会が必要になったりするかもしれません。
ECモバイルオーダーの活用シーン
幅広い業界・分野において活用が可能とされるモバイルオーダーですが、実際にはどのように導入されているのでしょうか。業界ごとに考えられる導入展開と効果について紹介します。
小売業
小売業の今までの課題には、ピーク時や繁忙期におけるレジの行列という問題がありました。長時間待たせてしまうことで、購入を諦めてしまうお客様が出てくるというのは、販売側にとってはとても悩ましいところです。 さらに、ソーシャルディスタンスが要求される現在の状況の中で、行列はスペースの確保という点でも課題となっています。
そこで、モバイルオーダーを導入し、事前に商品の予約をしてもらうようにします。また、支払いはモバイル決済を利用するようにします。事前に商品の注文状況が分かれば、お客様をお待たせすることなく販売できます。順番待ちの時間や行列を減らすことで顧客の満足度も向上できるでしょう。
化粧品メーカー
化粧品メーカーは、直営店を持っているところが多数あります。特に百貨店やショッピングセンターのような顧客数の多い店舗においては、順番待ちでお客様をお待たせしてしまい、それによる機会損失という問題があります。また化粧品売場の特徴として、販売スタッフがお客様にカウンセリングをしながら商品を勧めるという手法があります。しかしピークの時間帯には、カウンセリングとレジの両方にスタッフを配置するのが難しいという問題もあります。
そこでモバイルオーダーを利用し、商品のオーダーだけではなく、カウンセリングの時間も予約してもらうようにします。スタッフはその予約時間までに商品の準備を行ってラッピングをしておけば、スマートなお買い物を楽しんでもらうことができます。また、事前にカウンセリング希望のお客様の来店時間も分かるため、それに合わせてスタッフを待機させておくことが可能です。
行政機関
市民へのサービスを行う行政機関の課題としては、役所のサービス窓口の混雑や、公民館・体育館などの利用申し込み手続きの煩雑さがありました。「施設の空き状況が分からない」「予約のために役所を訪れるのが面倒」「窓口が非常に混み合う時間帯がある」など、利用者にとっても不便と感じることが多くあります。
そこで、受付の際はモバイルオーダーを使った予約制にします。また、公民館や体育館などの施設もモバイルで予約ができるようにします。窓口の混雑を減らすことで、職員は落ち着いて対応することができ、市民へのサービス向上にもつながります。公共施設の予約もモバイルオーダーで行うことで、窓口の作業を軽減することができます。
このように、モバイルオーダーは、商品・サービスを提供する側にとっても、利用する側にとっても、大きな変化をもたらすと考えられています。
まとめ
現在、小売店や飲食業を中心にモバイルオーダーの導入が進んでいます。顧客サービスの向上やスタッフの負担軽減が期待されると同時に、人材不足の場合にも有効な手段と考えられます。導入に際しては費用もかかりますが、サービスの向上、スタッフの負担軽減、機会損失への対策など、使い方次第で多くのメリットを享受できるでしょう。